大判例

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東京地方裁判所 平成11年(ワ)10780号 判決

原告 松本高典

右訴訟代理人弁護士 高場一博

同 本間豊

被告 庄田和代

主文

一  被告は、原告に対し、一〇〇〇万円及びこれに対する平成三年一月一日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

二  訴訟費用は被告の負担とする。

三  この判決は仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

主文同旨

第二事案の概要

本件は、画商を営んでいた被告が、絵画が贋作で無価値なものであることを知りながら、又は、通常の注意義務を払えばこれを知り得たにもかかわらず不注意にもこれを知らずして、原告に担保提供又は譲渡することを約し、原告から貸付金又は譲渡代金として一〇〇〇万円を不法に取得したとして、原告が被告に対して右一〇〇〇万円の損害賠償を求めた事案である。

第三判断

甲七号証の一、二、甲九、一二号証、甲一一号証の一、二、乙二、九ないし一一号証、証人島崎吉彦の証言、原・被告各本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、被告は、平成元年に画家である夫と離婚し、その後マンションの一室を事務所として画商としての仕事を始めたこと、被告は、島崎吉彦から、絵画(西村龍介作で一〇号のもの。以下「本件絵画」という。)を売却してほしいと依頼されたこと、被告は、その当時、主に友人らが作成した絵画や彫刻などを扱っていたにすぎず、いわゆる大家の作品を扱ったことはなく、西村龍介作の絵画を扱うことも初めてであったが、美術年鑑を参照するなどして自ら一〇〇〇万円と値段を付けて、原告に購入を打診したこと、その際、被告は、原告に対し、本件絵画は二〇〇〇万円程度の価値があるし、しばらくすれば本件絵画の価値は上がるので、原告に利益をもたらすことができる旨申し向けたこと、そこで、原告は、このような被告の説明を信頼して本件絵画を購入することとし、平成二年三月頃、被告に対して一〇〇〇万円を支払ったこと、しかるに、本件絵画は、贋作で無価値なものであったことが認められる。

そうすると、いかに大家の作品を扱ったことがなかったとはいえ、被告は、事務所を構えて画商として仕事をしていたというのであるから、絵画の取引を仲介するに際してはこれが贋作であるかどうかについても注意を払い、交渉相手である第三者に不測の損害を被らせることのないようにする注意義務があったと解されるにもかかわらず、被告は、美術年鑑を参照するなどして値段を付けたのみで、本件絵画が贋作であるかどうかについては何らの調査等もしていないのであるから、右注意義務を怠ったことは明らかである。

そして、右認定の事実によれば、被告のかかる行為によって原告が一〇〇〇万円の損害を被ったものと認めることができる。

したがって、原告の請求には理由がある。

(裁判官 土田昭彦)

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