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東京地方裁判所 平成12年(ワ)22885号 判決 2002年2月22日

原告

A野太郎

同訴訟代理人弁護士

坂本成

吉田英一

被告

B山松夫

他2名

上記三名訴訟代理人弁護士

松吉威夫

柏木秀夫

鈴木邦人

主文

一  被告B山松夫及び同C川株式会社は、原告に対し、連帯して、金一三三万四五二一円及び内金一〇三万四五二一円に対する平成一一年一月一二日から、内金三〇万円に対する平成一二年一一月一八日から、各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告日新火災海上保険株式会社は、原告の被告B山松夫に対する判決又は同C川株式会社に対する判決が確定したときは、原告に対し、金一三三万四五二一円及び内金一〇三万四五二一円に対する平成一一年一月一二日から、内金三〇万円に対する平成一二年一一月一八日から、各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  原告のその余の請求をいずれも棄却する。

四  訴訟費用は、これを二分し、その一を被告らの、その余を原告の負担とする。

五  この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

一  被告B山松夫及び同C川株式会社は、原告に対し、連帯して、金二七四万一九八六円及び内金二二四万一九八六円に対する平成一一年一月一二日(本件事故日)から、内金五〇万円に対する平成一二年一一月一八日(訴訟送達の日の翌日)から、各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告日新火災海上保険株式会社は、原告の被告B山松夫に対する判決又は同C川株式会社に対する判決が確定したときは、原告に対し、金二七四万一九八六円及び内金二二四万一九八六円に対する平成一一年一月一二日(本件事故日)から、内金五〇万円に対する平成一二年一一月一八日(訴状送達の日の翌日)から、各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

一  争いのない事実及び容易に認定し得る事実

(1)  事故の発生(《証拠省略》)

ア 日時 平成一一年一月一二日午後三時二分ころ

イ 場所 東京都荒川区東日暮里六丁目五五番地一号先の、JR日暮里駅方面からJR三河島駅方面に向かう道路(以下「本件道路」という。)と、本件道路から日暮里中央通り方面に向かって分岐する道路(以下「本件交差道路」という。)とが交差する丁字路状の交差点(以下「本件交差点」という。)内

ウ 原告車 原告(昭和一六年一〇月一六日生。当時五七歳。鍼灸マッサージ等の施術を行うやはき整骨院の院長である。)が運転していた足踏み式自転車

エ 被告車 被告B山松夫(以下「被告B山」という。)が運転していた普通貨物自動車

オ 事故態様 本件道路をJR日暮里駅方面からJR三河島駅方面に向かって進行し、本件交差点を日暮里中央通り方面に向かって右折進行していた被告車と、本件道路をJR三河島駅方面からJR日暮里方面に向かって進行し、本件交差点を直進進行していた原告車が、本件交差点内で衝突した(以下「本件事故」という。)。

(2)  被告らの責任

ア 被告B山は、被告車を運転して本件交差点を右折進行するに当たって、適切な運転操作を怠った過失がある。

イ 被告C川株式会社(以下「被告会社」という。)は、被告車の運行供用者であるから、原告に対し、被告B山と連帯して損害賠償責任を負う。

ウ 被告日新火災海上保険株式会社(以下「被告日新火災」という。)は、本件事故当時、被告会社との間で自動車保険契約(BAP。対人賠償保険金額は無制限)を締結しており、原告の被告らに対する損害賠償請求が判決で確定した場合には、被告らに代わってその損害を填補する責任を負う。

(3)  原告の受傷及び治療経過

ア 原告は、本件事故により、頸椎捻挫、右鎖骨骨折、右肩打僕、歯牙破折、頭部外傷、右頬部挫創、頭皮挫創等の傷害を受けた。

イ 原告は、東京大学医学部附属病院(少なくとも、平成一一年一月一二日から同年三月二九日までの間に、整形外科二日間(一月一二日、同月二〇日である)、顎口腔外科六日間(一月一四日、同月一八日、二月八日、同月一五日、三月八日、同月二九日)、脳外科三日間(一月一二日、同月一八日、三月五日)、形成外科九日間(一月一二日、同月一八日、同月二〇日、同月二二日、同月二五日、二月一日、同月八日、同月一五日、三月一日)、眼科一日(二月一五日)の延べ実日数二一日間の通院。以下「東大病院」という。)、やはき整骨院(平成一一年一月一二日から同年六月三〇日までの実日数一二七日間の通院、同年七月一日から同年九月一四日までの実日数三一日間の通院、合計一五八日間の通院)、朝霞厚生病院(平成一一年九月六日から平成一二年三月三〇日までの間の実日数九日間の通院)において治療を受けた。

(4)  原告の損害額と被告らによる損害の填補

ア 原告の被った損害のうち、東大病院への通院交通費は二万八三九〇円、休業損害は二〇万四五九三円である。

イ 被告らは、原告に対し、損害の填補として、一七四万一六一七円を支払っている(やはき整骨院における施術費一五六万八五五〇円(平成一一年六月三〇日までの分)を含む。)。

二  争点

(1)  本件事故の態様及び被告B山と原告との過失割合

ア 被告らの主張

原告は、本件交差点を直進進行するに当たり、対向車線から本件交差点を右折進行しようとする被告車の動静を十分注視せずに、漫然と直進したのであるから、原告にも本件事故発生につき過失がある。

イ 原告の主張

原告が本件交差点を直進して渡り切ろうとしたとき、すなわち、交差点の向こう側の歩道に差しかかろうとしたときに、被告車が原告車の後輪右側及び原告の頭部に衝突してきたのであり、原告の視界外からの衝突であるから原告には過失はないし、被告B山の前方不注視、早回り右折の運転操作を考慮すると、過失相殺すべきではない。

(2)  原告の損害額の算定

ア 原告の主張(前記東大病院の通院交通費、休業損害を除く)

(ア) 治療費

(請求額 一八一万二三四〇円(内金))

a 東大病院分 一〇万七三五五円

b やはき整骨院分 一七五万二〇五〇円

c 朝霞厚生病院分 一〇万〇七四〇円

d 日暮里薬局分 三九六〇円

e 高田屋薬局分 二万六七八〇円

f 株式会社東仁堂分 一三万三〇九〇円

g その他薬局分 八三三七円

(イ) 通院交通費 (請求額 八二八〇円)

朝霞厚生病院への通院交通費である。

(ウ) 慰謝料 (請求額 一九三万円)

(エ) 弁護士費用 (請求額 五〇万円)

イ 被告の主張

(ア) いずれも否認する。

(イ) やはき整骨院での施術の必要性、朝霞厚生病院での治療の必要性を争う。

第三当裁判所の判断

一  争点(1)(本件事故の態様及び被告B山と原告との過失割合)について

(1)  本件事故現場周辺の状況及び本件事故の態様

《証拠省略》によれば、以下の事実が認められる。

ア 本件事故現場周辺の状況

本件事故現場付近の道路の形状等は概ね別紙図面一のとおりであり(ただし、本件道路と本件交差道路の交差する角度・形状は、別紙図面二のとおりであり、本件交差道路は南東方向を向いている。)、本件交差点は、JR日暮里駅方面から本件交差点を右折して本件交差道路に入り日暮里中央通り方面に向かう車両にとっては、右ハンドルを深く切って、右後方に戻るように右折進行しなければならないような形状である。

本件道路の両脇には車道よりも一段高い段差のある歩道が設置されており、歩道と車道は人の腰の高さほどの植込み(街路樹)によって仕切られている。

イ 原告車の動き

原告は、本件事故当時、JR三河島駅方面からJR日暮里駅方面に向かって本件道路の左側の歩道上を原告車を運転して走行していた。

原告は、本件交差点を直進進行するに当たり、本件交差点手前の歩道から同交差点の向こう側の歩道に向かって、本件交差道路を横断するように直進走行していたが、本件交差道路を横断し終えるわずか手前の地点(別紙図面一の×地点よりもややJR日暮里駅寄りである。別紙図面二の×地点付近)に至ったとき、被告車の右前部が原告車の後輪右側面に、被告車の右前部ミラーが原告の右側頭部・右頬部にそれぞれ衝突した。

原告は、被告車との衝突によって転倒し、大西自動車工業前のレンガ造りの歩道路面上に頭部、胸部等を打った。

ウ 被告車の動き

被告B山は、被告車を運転して本件道路をJR日暮里駅方面からJR三河島駅方面に向かって時速約二〇キロから三〇キロの速度で走行して本件交差点に差しかかった。被告B山は本件交差点を右折して日暮里中央通り方面に向かうつもりであったので、別紙図面一の①地点付近で右折指示灯を占灯させて本件交差点に接近し、②地点の手前付近で対向車線の交通状況を視認したところ、対向車両はなく、対向して向かってくる自転車や歩行者も見当たらなかった。そこで被告B山はすぐに②地点付近で右折ハンドル操作を行って右折を開始し、その後は右折方向、すなわち本件交差道路の日暮里中央通り方面(被告B山にとっては右後方である。)を目を向けたまま右折進行したところ、③地点付近で原告の存在に気づき急制動措置を講じたものの間に合わず、別紙図面一の×地点のややJR日暮里駅寄りの地点において、被告車の右前部と右前部ミラーがそれぞれ原告車の後輪右側面と原告の右側頭部・右頬部に衝突した。

(2)  被告B山と原告の過失の内容と原告の損害に対する過失相殺割合

被告B山は、本件交差点を右折するに当たって、対向車両の有無のみならず歩道上を対向して向かってくる歩行者や自転車の有無等にも十分に注意を向けるべきであったにもかかわらず、対向して走行してくる原告車の存在を見逃した点、さらには、右折進行中に本件交差道路の進行方向のみに注意を向ける余り、右折進行中、対向してくる車両等に全く注意を向けていなかった点が指摘されるのであって、被告B山には、右折進行に際しての必要な前方ないし右前方に対する注視義務を怠った過失がある。

そして、被告B山の右折方法は、本件交差点に進入する直前ないし交差点に進入した直後に右折を開始していることから、極端な早回り右折となっており、それゆえ、本件交差点を通過しきろうとする原告にとっては、被告車を視認しにくい右側方から突然急接近して衝突する事故態様となっていることをも併せると、本件事故を発生させた被告B山の過失責任は重大であるといわざるを得ない。

これに対し、原告にも本件交差点を通過するに際しては対向車両の有無、動向等、前方の交通事情を注視しなければならないことはいうまでもないが、前示の右折態様からすると、たとえ前方を注視していたとしても急接近してきた被告車の動きに対応した適切な事故回避措置をとることは困難であったと考えられ(仮にかかる措置をとり得るとすれば、それは、被告車との衝突回避のために原告は本件交差道路の横断途中で停止し、被告車の通過を待つこととなろうが、かえって危険度が増す結果となる。)、被告B山の著しい前方不注視、極端な早回り右折進行という走行態様を考慮すると、原告には、過失相殺すべき具体的で合理的な基礎事情は見出し難く、被告らの過失相殺に係る主張は採用することができないというべきである。

二  争点(2)(原告の損害額の算定)について

(1)  やはき整骨院での施術費を損害として計上することができるか

ア 鍼灸マッサージ等の施術の必要性、合理性

負傷した被害者が病院又は診療所において受けた医師又は歯科医師(以下、歯科医師と併せて「医師」と総称する。)による治療は、特段の事情のない限り、その治療の必要があり、かつ、その治療内容が合理的で相当なものであると推定され、それゆえ、それに要した治療費は、加害者が当然に賠償すべき損害となるから、加害者がこれを争う場合には、加害者が積極的に個別具体的な主張立証をしなければならない、と解すべきである。

これに対し、被害者が自らの治療のために、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師又は柔道整復師(以下「あん摩マッサージ師等」という。)による施術を選択した場合には、その施術を行うことについて医師の具体的な指示があり、かつ、その施術対象となった負傷部位について医師による症状管理がなされている場合、すなわち、医師による治療の一環として行われた場合でない限り、当然には、その施術による費用を加害者の負担すべき損害と解することはできないのであって、施術費を損害として認めるためには、被害者は、①そのような施術を行うことが必要な身体状態であったのかどうか(施術の必要性)、②施術の内容が合理的であるといえるかどうか(施術内容の合理性)、③医師による治療ではなく施術を選択することが相当かどうか(施術の相当性。医師による治療を受けた場合と比較して、費用、期間、身体への負担等の観点で均衡を失していないかどうか)、④施術の具体的な効果が見られたかどうか(施術の有効性)、等について、個別具体的に積極的な主張、立証を行わなければならない、と解すべきである。なぜなら、あん摩マッサージ師等は、医師と異なり、その施術は限られた範囲内でしか行うことができない(外科手術、薬品投与等の禁止、脱臼又は骨折の患者に対する施術の制限等。あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律四条、五条、柔道整復師法一六条、一七条)上、その施術内容の客観性、合理性を担保し、適切な医療行為を継続するために必要な診療録の記載、保存義務が課せられていないこと(医師法二四条一項、二項、歯科医師法二三条一項、二項の診療録の記載及び保存義務に関する規定が、前記各法律にはない。)、外傷による身体内部の損傷状況等を的確に把握するために重要な放射線による撮影、磁気共鳴画像診断装置を用いた検査をなし得ないこと(医師の指示の下に医師又は診療放対線技師が機械操作することとなる。診療放射線技師法二三条、二条二項。)、それゆえ外傷による症状の見方、評価、更には施術方法等にも大きな個人差が生じる可能性があること、施術者によって施術の技術が異なり、施術方法、程度が多様であること、自由診療で報酬規程がないため施術費が施術者の技術の有無、施術方法等によってまちまちであり、客観的で合理的な施術費を算定するための目安がないこと、といった点が指摘され、これらの事情を考慮すると、あん摩マッサージ師等による施術については、医師の治療のような必要性、合理性、相当性の推定をすべきではなく、それゆえ、施術費を、医師の治療費と同様に、加害者の負担すべき損害とするのは相当ではないからである。

イ やはき整骨院における施術について

(ア) 施術が医師の治療の一環として行われたかどうかについて

前示認定事実によれば、原告は、やはき整骨院での施術治療期間中、東大病院にも通院しているが、整形外科での受診は平成一一年一月一二日と同月二〇日のわずか二日間にとどまっており、東大病院整形外科の穴水依人医師(以下「穴水医師」という。)は、同年一月二〇日に針治療を含めた加療を要する旨の診断をしたものの、それ以降、原告の治療に携わった形跡はなく、原告の身体状態について詳細不明としていることからすると、穴水医師は前記施術期間中に原告の身体の症状管理をしていなかったことが認められるから、やはき整骨院での施術が医師による治療の一環としてなされたものとはいい難い。

(イ) 施術の必要性、合理性、相当性、有効性等について

a 施術の必要性、相当性

穴水医師は、原告の身体状態が針治療等の施術も含めた治療を行うことについて必要性を肯定する。しかし、穴水医師は、原告の症状につき通院治療を続けながら経過観察を行うことを基本としていたと考えられ(一月一二日の記載)、診療録上施術に関する具体的な指示事項の記載や施術内容に関する聴取事項の記載が全くないこと、をも併せると、同医師は、原告の身体状態が鍼灸マッサージ等の施術を必要とする、との認識していたというよりは、むしろ、施術が原告に対する治療にとって特段障害ではなく、有用性は否定しない、という消極的な認識を有していたにすぎないと解されるのであって、結局、原告に対する施術の必要性を裏付けるに足りる具体的で合理的な証拠はないといわざるを得ない。

そして、後述するとおり、施術は原告の身体症状にとって有効なものであったとは認められるものの、施術を行うことが、医師による治療を受け続けた場合と比較して、費用、期間、原告の身体への負担等の観点から相当であることを裏付けるに足りる証拠もない。

b 施術内容の合理性、有効性

しかし、やはき整骨院での施術期間中、原告の症状(左上腕から左第四、第五指への疼痛、しびれ感、右半身の脱力感、右上腕部の疼痛等)がしだいに緩解、軽快していった状況と、原告が現に快復している状態であったこと、に照らすと、施術内容が合理性を有し、かつ、原告にとって有効なものであったと推認することはできる。

(ウ) まとめ

やはき整骨院における施術は、医師の治療の一環として行われたものとは認められず、また、原告の症状に対して施術を選択することが必要で、合理的かつ相当であったとは認められない。

しかし、施術そのものは、原告の症状を緩解させ、原告の快復に有効であったことは認められる。

ウ 結論

前示のとおり、やはき整骨院での施術が有効であったことは認められるが、その施術を行うことの必要性、合理性、相当性が認められない以上、同施術に要した費用を損害として加害者に負担させるのは相当ではない。

もっとも、前示のとおり、施術が原告の症状に有効であったこと、この施術期間中整形外科の治療費の支出がなかったこと(原告が医師による治療を選択せず、これを受ける機会が少なかったため、算定されるべき治療費に係る損害額も少なくなる。)を考慮すると、施術費を損害として計上せずに被害者たる原告の自己負担としてしまうことは、必ずしも、公平の観点から見て相当とはいい難い。

当裁判所は、原告が、施術費を自己負担をしてでも施術を受けて軽快させたいと思う程度の症状に苛まれていた、との観点から、これを、後述する慰謝料の加算事情として積極的に評価するのが相当であると考える。これに対し、施術費中の幾らかを損害額として割合的に認定する考え方もあり得るが、そのような算定をするための合理的な基礎資料を収集、整理し、提出することは一般に容易ではなく、本件でもそれは十分でないため、割合数値を設定することは困難である。そこで、本件では、民事訴訟法二四八条によって、あえて施術費の費目で損害額を認定するよりは、むしろ、算定困難な損害額の算定として有用な慰謝料の費目で計上するのが合理的かつ相当であると判断した。

(2)  損害額の算定

ア 治療費 二三万四八七五円

(ア) 東大病院分(一〇万七三五五円)

《証拠省略》により認める。

(イ) やはき整骨院分 (認めない)

(ウ) 朝霞厚生病院分 (一〇万〇七四〇円)

《証拠省略》により認める。

同病院における治療の必要性については、《証拠省略》に照らして認めることができる。

(エ) 日暮里薬局分 (認めない)

購入した薬品の内容、必要性が不明である。

(オ) 高田屋薬局分 (二万六七八〇円)

朝霞厚生病院の処方によるものであり、《証拠省略》により認める。

(カ) 株式会社東仁堂分 (認めない)

購入した薬品の内容、必要性が不明である。

(キ) その他の薬局分 (認めない)

購入した薬品の内容、必要性が不明である。

イ 通院交通費 三万六六七〇円

東大病院分(二万八三九〇円)は争いがなく、朝霞厚生病院分(八二八〇円)は相当であると認められる。

ウ 休業損害 二〇万四五九三円

争いがない。

エ 慰謝料 二三〇万円

原告の負傷内容、程度、治療経過等のほか、前示の事情を加算事情として考慮した(慰謝料の算定に当たっては、やはき整骨院における通院頻度、身体症状、施術費用の金額等を基礎事情とした。)。

オ 小計 二七七万六一三八円

カ 過失相殺 認めない

キ 既払金(一七四万一六一七円)控除後の金額 一〇三万四五二一円

ク 弁護士費用 三〇万円

本件事案の難易度、原告代理人の訴訟活動の内容(事故態様の調査、書証の作成等、被告らの過失相殺の主張に対応した訴訟活動)等を考慮すると、認容額が低額ではあっても、なお、前示金額を弁護士費用として認めるのが相当である。

ケ 合計 一三三万四五二一円

三  結論

よって、原告の請求は、被告B山及び被告会社に対しては、連帯して、金一三三万四五二一円及び内金一〇三万四五二一円に対する平成一一年一月一二日(本件事故日)から、内金三〇万円に対する平成一二年一一月一八日(訴状送達の日の翌日)から各支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、被告日新火災に対しては、被告B山又は被告会社に対する前記判決が確定したときは、前示と同額の支払いを求める限度で理由がある。

(裁判官 渡邉和義)

<以下省略>

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