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東京地方裁判所 平成12年(ワ)7120号 判決 2001年10月30日

原告

立石泰則

訴訟代理人弁護士

美勢克彦

被告

株式会社文藝春秋

代表者代表取締役

白石勝

被告

甲野一郎

被告ら訴訟代理人弁護士

喜田村洋一

林陽子

主文

1  被告らは、原告に対し、各自金二〇〇万円及びこれに対する平成一二年四月一一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2  原告のその余の請求をいずれも棄却する。

3  訴訟費用はこれを六分し、その一を被告らの負担とし、その余を原告の負担とする。

4  この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第1  請求

1  被告株式会社文藝春秋は、株式会社朝日新聞社の全国版朝刊社会面に、別紙目録2の「1体裁」の項記載のとおりの体裁で、同目録の「2広告文」の項記載のとおりの広告を一回掲載せよ。

2  被告甲野一郎は、株式会社朝日新聞社の全国版朝刊社会面に、別紙目録3の「1体裁」の項記載のとおりの体裁で、同目録の「2広告文」の項記載のとおりの広告を一回掲載せよ。

3  被告株式会社文藝春秋は、その発行する「本の話」の最終頁に、別紙目録4の「1体裁」の項記載のとおりの体裁で、同目録の「2広告文」の項記載のとおりの広告を一回掲載し、別紙目録1記載の書籍を回収し廃棄せよ。

4  被告らは、各自金一一〇〇万円及びこれに対する平成一二年四月一一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第2  事案の概要及び争点

1  争いのない事実

(1)  当事者

ア 原告は、経済誌編集者、週刊誌記者を経て、昭和六三年七月に独立したノンフィクション作家である。原告の主な著書には、「復讐する神話・松下幸之助の昭和史」(昭和六三年、被告株式会社文藝春秋発行)、「漂流する経営・堤清二とセゾングループ」(平成二年、被告株式会社文藝春秋発行)、「覇者の誤算・日米コンピュータ戦争の四〇年(上・下)」(平成五年、日本経済新聞社発行)、「三和銀行香港支店」(平成九年、講談社発行)、「ふたつの西武」(平成九年、日本経済新聞社発行)等がある。

イ 被告株式会社文藝春秋(以下「被告会社」という。)は、昭和二一年六月一三日に設立された雑誌、図書の印刷、発行及び販売等を目的とする出版社である。被告甲野一郎(以下「被告甲野」という。)は、平成一〇年四月以降、平成一二年三月末日まで被告会社第二出版局第二出版部長の地位にあった者である。

(2)  事実経過

ア 原告は、別紙目録1記載の「魔術師 三原脩と西鉄ライオンズ」(以下「魔術師」という。)の著者であり、その第一刷は平成一一年四月三〇日に被告会社から発行された。

しかし、その発行前に「魔術師」第一刷に多数の誤植等が判明したので、被告会社は社内在庫の二〇〇〇部を断裁処分とし、改めて第二刷として発行することとした。そこで、原告は、同月二八日、被告会社第二出版局第二出版部次長で、原告の担当編集者である下山進(以下「下山」という。)と訂正箇所について協議し、その後も新たに見つかった誤植等について、下山と連絡をとった。

その後、「魔術師」の第二刷ないし第四刷が発行された。しかしながら、これらには原告の知らない変更箇所があった。

イ 被告会社は、財団法人日本文学振興会(以下「日本文学振興会」という。)の委託を受けて、「大宅壮一ノンフィクション賞」(以下「大宅賞」という。)の候補作選考委員会(以下「社内選考委員会」という。)を行っているところ、第三一回大宅賞の社内選考委員会において、被告甲野は、「『魔術師』には五〇〇箇所以上の誤植や事実の誤りがあった」旨の発言をした。

「魔術師」は社内選考の最終候補に残らなかった。

ウ 被告会社は、平成一二年四月二六日までに「魔術師」の社内在庫については出庫停止とし、取次店に同書の回収を依頼することを決定した。この結果、「魔術師」回収の事実は、「トーハン週報」(五月三週号)、「日販速報」(五月二二日号)、「大阪屋商報」(五月三一日号)に掲載された。

2  事案の概要

本件は、「魔術師」の著者である原告が、「魔術師」第一刷から第二刷への改訂に当たって、被告らによって原告に無断で「魔術師」が改竄されたとして、著作者人格権(同一性保持権)の侵害を理由に、被告らに対して、著作権法一一五条による謝罪広告の掲載及び「魔術師」第二刷ないし第四刷の読者からの回収と廃棄並びに不法行為による損害賠償を求めるとともに、第三一回大宅賞の社内選考委員会においてされた被告甲野の発言は原告の名誉を毀損するものであるとして、被告らに対して、民法七二三条による謝罪広告の掲載及び不法行為による損害賠償を求める事案である。

3  争点

(1)  被告らは、故意又は過失により原告の著作者人格権(同一性保持権)を侵害したか。

(2)  被告らの行為は、原告の名誉を毀損した不法行為となるか。

(3)  原告の損害及び謝罪広告の可否。

4  争点に関する当事者の主張

(1)  争点(1)について

【原告の主張】

ア 「魔術師」の第二刷ないし第四刷には、別紙無断改竄箇所全リスト記載のとおり、無断改竄箇所が合計一九三箇所、原告が訂正を指示したにもかかわらず訂正されていない箇所が一〇箇所存する。無断改竄箇所のうち、第一刷が正しいにもかかわらず、改竄されたため、事実関係に誤りまで生じてしまった箇所が一六箇所、第一刷の表現が正しいにもかかわらず、改竄により、違った意味になってしまった箇所が七五箇所、第一刷の表現で間違っていないのに、無断改竄した箇所が八〇箇所、原告の訂正の指示に従わずに、無断改竄した結果、文意が通じない、あるいは通じにくくなった、また著者の意にそぐわない文章になった箇所が一三箇所、表現を勝手に改竄した箇所(計算間違いも含む。)が九箇所存する。

イ 被告甲野の責任

被告甲野は、原告が許諾、同意した変更箇所を、下山から聞いて知りながら、あえてこれを無視して、被告甲野の思い通りに「魔術師」第一刷を改竄し、原告が求めた訂正をしなかった。

ウ 被告会社の責任

被告会社には、被告甲野の行為について、民法七一五条の責任があるほか、変更箇所を原告に確認していないことを見過ごした過失がある。

【被告の主張】

出版社ないし出版人である被告らには、著者である原告に無断で原稿を変更する意図もないし、そのようなことをする実益もない。本件では、被告甲野において、「魔術師」の第一刷から第二刷への変更に当たり、各変更箇所についての原告の確認が得られていたものと誤信した点において過失があるにすぎず、改竄と非難されるようなものではない。

そして、第一刷から第二刷への変更は、客観的にみれば第一刷の誤りないし不適切な表現を正したものがほとんどであり、これによって「魔術師」第二刷は、第一刷より良いものとなった。

(2)  争点(2)について

【原告の主張】

ア 平成一二年一月一三日の第二次社内選考委員会の場で、被告甲野が、「①『魔術師』は回収問題を起こすなど、いろいろなトラブルを抱えている、②五〇〇箇所以上にも及ぶ誤植や事実関係の誤りがあった、③そんな本を選考に回すことは、被告会社が出版社としてのモラルを問われることになる。」と述べた結果、「魔術師」の扱いは被告会社第二出版局に一任されることとなり、結果として「魔術師」は選考に回さないことが決められた。しかし、この被告甲野の発言は、次のとおり事実無根である。

(ア) 被告会社第二出版局長の藤沢隆志(以下「藤沢」という。)は、「魔術師」の第一刷の誤植はすべて版元である被告会社の責任なので、社内在庫の二〇〇〇部を断裁処分にし、ただちに訂正したものを第二刷として発売したいので、了承して欲しい旨を原告に電話で申し出たので、原告はこれを了承した。その結果、平成一一年四月二八日に原告と下山がチェックし、その後も原告が指示して「魔術師」の第二刷ないし第四刷が発行されているから、「『魔術師』は回収問題を起こすなど、いろいろトラブルを抱えている。」ということはない。

(イ) 「魔術師」の第二刷ないし第四刷には、別紙無断改竄箇所全リスト記載のとおり、無断改竄箇所が合計一九三箇所、原告が訂正を指示したにもかかわらず訂正されていない箇所が一〇箇所存するが、このほか、別紙改訂箇所全リスト記載のとおり、第一刷から変更された箇所がある。しかし、これらのうち、第一刷における事実関係の誤りは、二四箇所にすぎず、誤植と併せても五〇〇箇所にははるかに及ばない。「『魔術師』には五〇〇箇所以上の誤植や事実の誤りがあった」ということはない。

イ 被告甲野が、ノンフィクションを担当する編集者がそろった大宅賞の社内選考委員会の席上で上記発言をして、さらにはその言により「魔術師」が賞の選考対象から外されることは、フリーランスでノンフィクション分野を仕事とする原告にとって致命的である。すなわち、「魔術師」が選考対象から外されることによって、被告甲野の虚偽の発言が「正しい」あるいは「事実」であると被告会社において、さらにノンフィクション分野の出版業界の者の間で受け止められてしまう結果となるし、ことに被告会社第二出版局第二出版部長という地位にあった被告甲野による、ノンフィクションの生みの親ともいうべき被告会社での発言は、原告に対して「ノンフィクション作家として認められない。」と宣言したに等しい行為であり、作家生命にも重要な影響を及ぼす行為である。

ウ したがって、被告甲野の上記発言は、原告の名誉を毀損する不法行為というべきである。

【被告らの主張】

ア 被告甲野の社内選考委員会での発言は、他の委員からの「出荷停止、断裁の理由を知りたい。」との発言に答えて述べたもので、「魔術師」を社内選考の対象から外すためのものではなく、「魔術師」が社内選考で最終候補に残らなかったことは、被告甲野の発言とは関係がない。

イ 「魔術師」第一刷が回収されたこと及び「魔術師」の第一刷と第二刷以降で、変更された箇所が五〇〇箇所以上あることは事実である。

ウ 社内選考委員会では、自由な意見交換が保障されなければならないから、そこでの出席者の発言が外部に出ることはなく、ましてこれが広く社会に流布されることはあり得ない。また、「魔術師」が選考の対象にされなかったという事実は、この事実が社会的に広く知られたとしても、原告の社会的評価を低下させるものではない。

エ したがって、名誉毀損は成立し得ない。

【原告の反論】

ア 被告甲野の社内選考委員会での発言は、「出荷停止、断裁の理由を知りたい。」との発言に答えて述べられたものではない。被告甲野は、社内選考委員の「魔術師」に対する評価発表が終了した直後に突然立ち上がって発言したものである。

イ 社内選考委員会での出席者の発言が外部に出ることはないというのは事実ではない。原告の作品は、これまでにも三度大宅賞の候補になっているが、担当編集者や被告会社の関係者から最終候補に残った他の作品の社内選考委員会の選評や有力候補作品が外れた理由等を詳細に聞いている。したがって、「魔術師」が選考の対象から、全く事実と異なる被告甲野の発言によって外されたなどという事実も速やかに他社の編集者等に広まっていくのであり、このことは文壇関係者には周知の事実である。

(3)  争点(3)について

【原告の主張】

ア 著作者人格権侵害に対する慰謝料 各自五〇〇万円

イ 名誉毀損に対する慰謝料

各自五〇〇万円

ウ 弁護士費用 各自一〇〇万円

エ 謝罪広告

上記著作者人格権侵害及び名誉毀損の態様に、被告らが原告の社会的な名誉を回復するための誠意ある措置をとっていないことを総合すると、原告の社会的な名誉声望を回復するためには、被告らに対し、謝罪広告を命じる必要がある。

【被告らの主張】

いずれも争う。

第3  争点に対する判断

1  事実経過(1)―「魔術師」第二刷ないし第四刷の出版に至るまでの経緯―

(1)  上記争いのない事実並びに証拠(甲1、2、5の1、甲6の1、甲8、11、12、乙1ないし5、証人下山、同藤沢、原告及び被告甲野本人)及び弁論の全趣旨によると、以下の事実が認められる。

ア 被告会社は、平成三年ころ、被告会社の創立七〇周年記念出版企画として、原告に対し「魔術師」の執筆を依頼した。この際、取材費が一〇〇万円、初刷の部数が一万五〇〇〇部で、印税率は一二%とされた。

原告は、平成八年一〇月ころ「魔術師」の原稿を完成したが、四〇〇字詰め原稿用紙二〇〇〇枚を越える大作となったので、被告会社第二出版局長藤沢は、一巻本として出版したいとの意向から最低四〇〇枚程度削除するように申し入れた。そこで、原告は平成一〇年一一月一二日に「魔術師」の改訂稿を完成させ、平成一一年一月一九日から二二日までの間、「魔術師」の初稿ゲラを校正した。

被告会社は、同年四月二二日ころ、「魔術師」第一刷を八〇〇〇部発行し、原告に献本した。

イ 被告会社の取締役阿部達児は、同年四月一九日、「魔術師」出版の実務上の責任者である被告甲野に対し、「魔術師」第一刷に多数の誤植や事実の誤りがあると指摘し、対処を求めた。そこで、被告甲野は、新井信出版総局長(以下「新井」という。)に報告し、新井から被告甲野の責任により「魔術師」第二刷を出版するようにとの指示を受けた。被告甲野は、同月二一日から二四日にかけて「魔術師」第一刷の中で変更を要する箇所を調査し、自ら所持する「魔術師」第一刷(乙5)に書き込み、同月二六日と二七日の両日にわたり、下山と共に「魔術師」第一刷の変更を要する箇所の検討を行った。下山は、所持する「魔術師」第一刷に、検討後の変更箇所を書き込んだ。上記検討の際、下山は、被告甲野に対して、文章の内容にわたる変更箇所があるので、原告の了解を得る必要がある旨述べた。被告甲野は、原告の了解を得ることについては、消極的であったが、下山が了解を得ないとトラブルになるなどと述べたため、下山が原告に変更箇所について話して了解を得ることに同意した。

被告甲野は、下山との上記検討後、被告会社の校閲部に対して「魔術師」第一刷の校正を依頼し、校閲部は、校正後、その結果を記載した書面(乙4)を、被告甲野に出した。被告甲野は、同年五月七日ころまで、校閲部に校正を依頼したことを下山に話さなかった。

ウ 被告会社は、「魔術師」第一刷八〇〇〇部中、被告会社が保管中の在庫約二〇〇〇部を出版停止、廃棄処分にするとともに、将来返品されるものについても同様に廃棄処分とすることを決定した。藤沢は、これらの措置をとることを、電話で原告に話し了解を得た。そして、被告会社は、これらの措置を実施した。

エ 下山は、同年四月二八日、池袋のメトロポリタンホテルにおいて、上記イの検討結果を踏まえて、原告との間で、変更箇所についての検討を行った。下山は、上記イの検討の結果生じた変更箇所について原告の了解を求めたが、原告が変更に同意せず、激怒することがあった。原告から、変更を求めた箇所もあった。

下山は、同月三〇日ころ、原告との上記検討の結果を記載した「魔術師」第一刷とその写しを被告甲野に渡した。

上記検討の後も、原告と下山は、新たに見つかった変更を要する箇所について、電話で連絡を取り合っており、原告が見つけて連絡した変更箇所もあれば、下山が連絡した変更箇所もあった。

オ 被告甲野は、①上記イの下山との検討結果、②上記ウの校閲部の校正結果、③下山が上記エのとおり原告から聞いた意見を総合して、「魔術師」の訂正用原稿(乙2)を作成し、同年五月六日、これを印刷所に入れた。上記訂正用原稿では、「魔術師」第一刷からの変更箇所が五〇〇箇所以上あった。

被告甲野は、同月七日ころ、下山に対して、事故調査報告書へのサインを求めたところ、下山は同報告書に「五〇〇箇所以上の誤植と事実の誤りがあった」旨の記載があったことから、自らの認識と異なるとしてこれを拒否した。そうすると、被告甲野は、校閲部に校正を依頼したことを話し、被告甲野の認識として五〇〇箇所以上の誤植と事実の誤りがあった旨述べた。これを聞いて、下山も同報告書にサインした。

同月一〇日に、印刷所から「魔術師」第二刷のゲラ(乙3)が上がってきたので、被告甲野は、翌一一日ころ下山とともに検討した。このとき、下山は一箇所を除き特に異議を述べなかった。被告甲野は、上記検討の結果生じた変更箇所を印刷所に指示した。そして、被告会社は「魔術師」第二刷を同月二八日に二〇〇〇部発行し、原告に二部献本した。

被告会社は、同年六月七日に「魔術師」第三刷を三〇〇〇部、第四刷を二〇〇〇部発行し、それらの増刷時にも原告にそれぞれ三部、二部献本した。

カ 下山は、同年五月中頃、被告甲野から戻された原告との上記エの検討結果を記載した「魔術師」第一刷の写し(甲8)を作成して、原告に郵送した。

(2)  被告甲野は、上記(1)イ認定に係る平成一一年四月二六日と二七日における下山との検討より前に校閲部に校正を依頼し、その結果を得ていた旨供述するが、この供述は、下山が同年五月七日ころ初めて校閲部に校正を依頼した事実を知った旨証言していること、校閲部の校正結果(乙4)には、上記(1)カ認定のとおり下山が原告に送付した「魔術師」第一刷の写し(甲8)に含まれていない変更箇所が多く含まれていること、被告会社から原告に送付された二〇〇〇年三月二二日付けの回答書(甲6の1)には、下山が原告との間で作成した訂正用原本のほかに、被告甲野が校閲の意見を勘案して訂正用原本を作り、それを原告との検討を経ないまま第二刷用原本として使用した旨の記載があることに照らすと、信用することができない。

また、被告甲野は、平成一一年四月三〇日ころ下山から原告との検討の結果を記載した「魔術師」第一刷とその写しを受け取ったことはないと供述するが、この供述は、下山は被告甲野に渡した旨具体的に証言していること、下山は、原告に対して「魔術師」第一刷の写し(甲8)を送付しており、そこには、明らかに被告甲野に宛てて記載されたと考えられる記述(「本人……と言ってます」等)が存することからすると、信用することができない。

なお、乙5に含まれている変更箇所で、甲8に含まれていないものが存するが、上記(1)エ認定のとおり、原告は、同年四月二八日に行った下山との打合せにおいて、変更に同意せず、激怒することがあったのであるから、下山は、上記(1)エ認定のとおり、原告との検討の結果を記載した「魔術師」第一刷を作成するに当たって、原告の同意が得られなかった箇所の多くを書き入れなかった可能性が高いし、被告甲野がもともと下山に伝えなかった又は下山が書き落としたということも考えられるから、上記(1)の認定を覆すに足りるものではない。

2  争点(1)について

(1) 証拠(甲1、2、乙1)及び弁論の全趣旨によると、「魔術師」第一刷と第二刷ないし第四刷とを対比した場合、五四〇箇所の変更箇所が存することが認められる。

そして、上記1認定の事実及び証拠(乙2ないし5)によると、上記変更箇所の一部である別紙無断改竄箇所全リスト記載の一九三箇所(◎が付された一〇箇所を除く箇所)は、①被告甲野が自ら変更した箇所、②被告甲野が被告会社の校閲部に依頼した結果、校正された箇所(乙4)、③印刷所のゲラ(乙3)の変更箇所のいずれかであること、その数は、①が四六箇所、②が一四一箇所、③が六箇所であると認められ、これらについて原告の同意を得たことを認めるに足りる証拠はない。

そうすると、別紙無断改竄箇所全リスト記載の二〇三箇所中上記一九三箇所については、原告の「魔術師」に対する著作者人格権(同一性保持権)が侵害されたものと認められる。

(2)  そこで、上記著作者人格権侵害行為について被告甲野の責任について判断する。

ア 上記1認定の事実によると、上記(1)の一九三箇所のうち、①被告甲野が自ら変更した箇所はもとより、②被告甲野が被告会社の校閲部に依頼した結果、校正された箇所(乙4)及び③印刷所のゲラ(乙3)の変更箇所についても、被告甲野が変更を決定し指示したことが認められるから、上記著作者人格権侵害行為は、被告甲野によってされたものと認められる。

イ 上記1認定の事実によると、上記②被告甲野が被告会社の校閲部に依頼した結果、校正された箇所(乙4)及び③印刷所のゲラ(乙3)の変更箇所については、被告甲野が平成一一年四月二六日と二七日に下山と変更箇所の検討をした後に生じた変更であると認められること、上記1(1)イ認定のとおり、被告甲野は、もともと原告の同意を得ることには消極的であったこと、上記②及び③について、被告甲野が、下山に対して、原告の同意を得るよう指示したとか、同意を得たかどうか確認したことを認めるに足りる証拠はないことからすると、被告甲野は、原告の同意がないことを知りながら、すなわち、故意で、上記著作者人格権侵害行為をしたものと認められる。

ウ 次に、上記①被告甲野が自ら変更した箇所について検討する。

(ア) 上記①被告甲野が自ら変更した箇所四六箇所のうち、一二箇所は、乙5に記載があるが、二五箇所は、乙5には記載がないものと認められる。そうすると、上記①被告甲野が自ら変更した箇所は、被告甲野が平成一一年四月二六日と二七日に下山と変更箇所の検討をする前に変更された箇所と、その検討の後に変更された箇所が含まれているものと認められる。

(イ) 上記①被告甲野が自ら変更した箇所のうち、被告甲野が平成一一年四月二六日と二七日に下山と変更箇所の検討をした後に変更された箇所については、上記イで②及び③について述べたのと同様の理由により、被告甲野は、故意で上記著作者人格権侵害行為をしたものと認められる。

(ウ) 上記①被告甲野が自ら変更した箇所で、被告甲野が平成一一年四月二六日と二七日に下山と変更箇所の検討をする前に変更されていた箇所のうち、別紙無断改竄箇所全リスト記載の■を付した一三箇所のうちに含まれているものについては、下山は、被告甲野に原告との上記1(1)エの検討結果を記載した「魔術師」第一刷及びその写しを提出することによって、原告が同意しない旨の報告をしたものと認められるから、被告甲野は、原告の同意がないことを知っていたものと認められる。したがって、これらの箇所については、被告甲野が、故意で上記著作者人格権侵害行為をしたものと認められる。

(エ) これに対し、その余の被告甲野が平成一一年四月二六日と二七日に下山と変更箇所の検討をする前に変更されていた箇所については、上記1(1)イで認定した事実からすると、被告甲野としては、下山が原告の同意を得るものと考えていたことが認められ、下山が被告甲野に提出した原告との上記1(1)エの検討結果を記載した「魔術師」第一刷及びその写しにその変更が記載されていなかったとしても、下山が原告が同意しない旨の報告をしたとまでは認められないから、被告甲野が原告の同意がないことを知っていたとまでは認められない。したがって、これらの箇所については、被告甲野が、故意で上記著作者人格権侵害行為をしたものとは認められない。しかし、被告甲野には、原告の同意の確認を怠ったことについて過失があるというべきである。

エ 以上のとおり、上記(1)の一九三箇所のうち多くの箇所において、被告甲野は、故意で上記著作者人格権侵害行為をしたものと認められ、故意が認められない箇所についても、過失を認めることができる。

なお、上記1認定の事実によると、被告甲野は、同年五月七日ころ下山に校閲部に校正を依頼した事実を話し、同月一一日ころ下山と共に「魔術師」第二刷のゲラを突き合わせたが、その際、下山はほとんど異議を述べなかったことが認められるが、原告の同意について話題になったことを認めるに足りる証拠はないから、下山が上記のとおりほとんど異議を述べなかったからといって、被告甲野が上記①ないし③の変更箇所(上記ウ(エ)記載の箇所を除く。)について原告の同意があると考えたとは認められない。

オ したがって、被告甲野は、上記著作者人格権侵害行為について責任を有するものと認められる。

(3)  被告会社は、民法七一五条により、従業員である被告甲野が行った上記著作者人格権侵害行為について責任を有するものと認められる。

(4)  原告は、原本に訂正の指示をしたにもかかわらず、第二刷以降訂正されていない箇所一〇箇所についても、原告の著作者人格権(同一性保持権)侵害を主張するが、著作権法二〇条にいう「意に反する改変」とは、文字通り著作者の意思に反して著作物に変更を加えるものであると解されるところ、上記の場合は被告らにおいて原告著作物である「魔術師」に変更を加えたものではないから、これをもって原告の著作者人格権(同一性保持権)を侵害したものとは認められない。

3  事実経過(2)―社内選考委員会における被告甲野の発言等―

(1)  上記争いのない事実並びに証拠(甲1、2、5の1、8、9、甲10の1ないし9、甲11、12、乙1ないし5、証人藤沢、同下山、同大松芳男、原告及び被告甲野本人)及び弁論の全趣旨によると、以下の事実が認められる。

ア 第三一回大宅賞は、平成一一年中に刊行された作品及び応募原稿の中から選考され、「魔術師」も同賞の対象作品であった。しかし、対象となる作品が膨大であり、五名の選考委員がそのすべてに目を通して選考当日に決定するのは不可能なことから、大宅賞を主催する日本文学振興会は、大宅賞の最終候補作の選定を被告会社に委託していた。被告会社では、編集・出版各局所属の社員の中から約三〇名が社内選考委員に指名されて対象作品を下読みして、選考委員が読む最終候補作を選ぶ作業を行っていた。

イ 被告会社の社内選考委員会では、第一次の選考で一組二名の社内選考委員が読み、選考に値すると判断すれば、その作品は第二次の選考に回され、第二次の選考では二組四名の社内選考委員が読むという方法をとっていた。

「魔術師」は、当初は選考の対象とされていなかった。そこで、下山は、被告甲野に対して、その理由を聞いたところ、被告甲野は、「誤植が五〇〇箇所以上ある。」と述べた。これに対し、下山が、「誤植は担当編集者である自分の責任であり著者の責任ではない。」と述べて、「魔術師」を社内選考委員会の選考対象とするよう求めたので、「魔術師」は選考の対象とされ、平成一一年一二月下旬に行われた第一次の選考で二名の社内選考委員に読まれ、第二次の選考に回された。

ウ 平成一二年一月一二日に行われた第二次社内選考委員会には約三〇人の社内選考委員が出席していたが、下山は欠席していた。同委員会において「魔術師」が検討の対象とされ、社内選考委員の「魔術師」に対する評価発表が終了した後に、同委員会に出席していた被告甲野は、「『魔術師』には五〇〇箇所以上の誤植や事実の誤りがあった」旨発言した。この発言がきっかけとなって、「魔術師」の取扱いは、被告会社の第二出版局に委ねられることとなった。そして、被告会社の第二出版局において、同日、藤沢、被告甲野及び第二出版局第一出版部長の宇田川眞の三人で協議し、「魔術師」については、更に社内選考委員会での検討を求めないこととした。

エ 下山は、同月一三日、藤沢に対して、「五〇〇箇所以上の誤植や事実の誤りがあった」旨の被告甲野の発言は事実ではないと述べて再考を促したが、藤沢はこれを受け入れなかった。また、下山は、同日、藤沢の了解を得て、原告に会い、「魔術師」が選考の対象とされなくなった経過を原告に話した。

なお、被告会社においては社内選考委員会での候補作品決定後、社内選考委員が選考過程を候補作品の著者に説明することがあった。

オ 原告は、平成一二年三月九日、「魔術師」によりミズノスポーツライター賞の最優秀作品賞を受賞した。

(2)  被告らは、平成一二年一月一二日に行われた第二次社内選考委員会における被告甲野の上記(1)認定の発言は、他の委員からの「出荷停止、断裁の理由を知りたい。」との発言に答えて述べられたものであると主張し、被告甲野は、その旨供述する。これに対して、原告は、被告甲野は、突然立ち上がって発言したと主張し、原告の陳述書(甲12)には、原告が大松芳男から聞いた結果として、その旨の記載がある。しかし、被告甲野の供述は、準備書面に書いてあるとおりであるというもので、あまり明確なものではなく、一方、原告の陳述書における上記記載も、伝聞によるものであり、しかも、証人大松芳男は、この点について、「職業の秘密に関する事項」であるとして、証言を拒絶している。したがって、以上の点について、いずれが正しいかを認定することはできず、他に、この点について認めるに足りる証拠はない。

また、原告の陳述書(甲11)には、下山から、上記第二次社内選考委員会において、被告甲野が「『魔術師』は回収問題を起こすなど、いろいろなトラブルを抱えている。」、「そんな本を選考に回すことは、出版社としてのモラルを問われることになる。」との発言をした旨及び被告甲野の発言の後で、鈴木重遠が「そんな本なら、なぜ回したのだ。最初から外せばよかったじゃないか。」と述べ、これに対し、被告甲野が「当初は、そう思ったが、どうしても回して欲しいという要望があったので、とりあえず回しただけだ。」と述べた旨を聞いたとの記載がある。しかし、被告甲野は、これらの発言を認める供述をしていないこと、上記陳述書の記載は、下山が誰かから聞いたことを原告が聞いたもの(再伝聞)であること、他にこれらの発言がされた事実を認めるに足りる証拠はないことからすると、これらの発言がされた事実を認めることはできない。

4  争点(2)について

(1)  上記3(1)認定の事実に証拠(甲3、甲6の1)及び弁論の全趣旨を総合すると、誤植は、一般に出版社の責任であると認識されていたものと認められるから、被告甲野の第二次社内選考委員会における上記発言のうち「誤植」に関する部分が直ちに原告の社会的評価を低下させるとは認められない。これに対して、「事実の誤り」は、著者にも責任があると考えられるから、原告の取材能力等に関する社会的な評価を低下させるおそれがあるものと認められる。

しかしながら、被告甲野の第二次社内選考委員会における上記発言は、直接原告の能力について述べたものではなく、あくまでも「魔術師」について述べたものである。しかも、原告の社会的評価とかかわりあいのない「誤植」と併せて五〇〇箇所以上と述べたものである。

(2)  証拠(甲1、2)及び弁論の全趣旨によると、「魔術師」第一刷には、別紙改訂箇所全リスト記載のとおり、単純誤植が一六二箇所、事実関係の誤りが二四箇所存したこと、「魔術師」第一刷には、これらを含めて、原告が結果的に変更に同意した箇所が三一八箇所存すること、以上のとおり認められる。これに、別紙無断改竄箇所全リスト記載の二〇三箇所中◎が付された一〇箇所を除く一九三箇所等を加えると、「魔術師」第二刷ないし第四刷において第一刷から変更された箇所は、前記2(1)認定のとおり五四〇箇所であると認められる。そして、被告甲野は、以上の事実を基に、「五〇〇箇所以上の誤植や事実の誤り」との発言をしたものと認められる。しかし、別紙無断改竄箇所全リスト記載の上記一九三箇所については、既に認定したとおり、被告甲野の著作者人格権侵害行為によって生じたものと認められるから、これらを「魔術師」第一刷における「誤植や事実の誤り」ということはできない。そうすると、被告甲野の上記発言のうち、「五〇〇箇所以上」という点は、真実ではないということになるが、上記認定の事実によると、「魔術師」第一刷には、「誤植及び事実の誤り」が存しなかったわけではなく、特に誤植については、多数の誤植が存したものと認められるから、その限りでは、上記発言を裏付ける事実は存したものということができる。

(3) 被告甲野が上記発言をした場は、社内選考委員会という社内選考委員が自らの意見を自由に述べて議論する場であって、上記3(1)ウ認定のとおり、被告甲野の発言を聞いていた者は、約三〇名の社内選考委員であったことが認められる。そして、証拠(乙6、証人藤沢、同大松、被告甲野本人)及び弁論の全趣旨によると、被告会社では社内選考委員会における評議の内容を外部に漏らすことは禁止されており、仮にそれを洩らした場合は被告会社の社員就業規則によって処分の対象となることが認められる。もっとも、前記3(1)エ認定のとおり、被告会社においては社内選考委員会での候補作品決定後、社内選考委員が選考過程を候補作品の著者に説明することがあったものと認められるが、証拠(証人藤沢)及び弁論の全趣旨によると、これは、著者の今後の執筆活動の参考となるように、選考過程の一部を話すというものであると認められ、話を聞く著者も、そのような趣旨のものであることは当然認識していると考えられるから、通常は、聞いた事項を自らの内にとどめておき、公表したりはしないものと考えられる。そうすると、社内選考委員会における発言が外部の者に広く伝わる可能性があるとまで認めることはできない。

(4) 上記3(2)で述べたとおり、被告甲野の上記発言は、被告らが主張するように「出荷停止、断裁の理由を知りたい。」との発言に答えて述べられたものか、原告が主張するように突然立ち上がって発言したものかは、不明である。したがって、上記発言がされた状況から、被告甲野がことさら「魔術師」を大宅賞の選考対象から外すために上記発言をしたとまで認めることはできない。また、上記3(1)イ認定のとおり、被告甲野は、もともと「魔術師」を大宅賞の選考対象とすることに消極的であったことが認められるが、そのことから直ちに被告甲野がことさら「魔術師」を大宅賞の選考対象から外すために上記発言をしたとまで認めることはできない。そして、他に、被告甲野がことさら「魔術師」を大宅賞の選考対象から外すために上記発言をしたことを認めるに足りる証拠はない。

(5) 以上述べたところを総合すると、被告甲野の第二次社内選考委員会における上記発言は、原告の社会的な評価を低下させるおそれがあるものではあるが、違法に原告の名誉を毀損したとまで認めることはできない。

5  争点(3)について

(1)  慰謝料について

既に認定したとおり、被告会社第二出版局第二出版部長であった被告甲野は、別紙無断改竄箇所全リスト記載の二〇三箇所中◎が付された一〇箇所を除く一九三箇所について、原告が「魔術師」について有する著作者人格権(同一性保持権)を侵害したものであって、その多くは、故意によってされたものと認められる。しかし、被告甲野が、悪意、すなわち、原告を困らせたり、損害を加える意図まで有していたというべき事情は認められない。また、証拠(甲1、2)及び弁論の全趣旨によると、上記一九三箇所には、実質的な内容が変わったり、明らかに事実が誤りとなったものが、三〇箇所(別紙無断改竄箇所全リスト中、3、12、24、36、42、43、45、46、54、58、59、62、66、73ないし75、86、97、103、111ないし113、116、143、146、147、150、165、167、199)、他の著書からの引用について正しく引用されなくなったものが、六箇所(別紙無断改竄箇所全リスト中、35、131、163、164、168、194)存するが、他の部分は、主に表現や表記の方法が変更されたものであると認められる。そして、上記三六箇所(上記の三〇箇所と六箇所)についても、著書の客観的な価値を毀損するほどの重大な変更とは認められない。さらに、前記2(1)及び3(1)で認定した事実並びに上記4(2)で認定した事実によると、上記著作者人格権侵害行為は、被告甲野をして、「『魔術師』には五〇〇箇所以上の誤植や事実の誤りがあった」との誤った認識を生じさせ、被告甲野が社内選考委員会においてその旨の発言をしたために、それがきっかけとなって、「魔術師」の取扱いは、被告会社の出版局に委ねられることとなり、最終的には、「魔術師」は選考の対象とされなくなったものと認められる。

以上の事実に加えて、本件に現れた一切の事情を考慮して、本件において著作者人格権が侵害されたことにより原告が被った損害を金銭に評価すると、一五〇万円が相当である。

(2)  弁護士費用について

原告が、本件訴訟の提起、遂行のために原告訴訟代理人を選任したことは、当裁判所に顕著であるところ、本件訴訟の事案の性質、内容、審理の経過等の諸事情を考慮すると、被告らの著作者人格権侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用の額としては、五〇万円が相当である。

(3)  謝罪広告等について

原告は、被告らに対して、著作者人格権(同一性保持権)の侵害を理由として、著作権法一一五条に基づいて、謝罪広告の掲載及び「魔術師」第二刷ないし第四刷の読者からの回収と廃棄を求めているが、著作権法一一五条に基づく請求が認められるためには、著作者人格権の侵害によって、著者の社会的な名誉声望が毀損されることが必要であると解される。「上記認定のとおり、被告甲野の著作者人格権侵害行為においては、実質的な内容が変わったり、明らかに事実が誤りとなったものが、三〇箇所、他の著書からの引用について正しく引用されなくなったものが、六箇所存するが、他の部分は、主に表現や表記の方法が変更されたものであり、上記三六箇所についても、著書の客観的な価値を毀損するほどの重大な変更とは認められないから、被告甲野の著作者人格権侵害行為によって、原告の社会的な名誉声望が毀損されたとしても、その程度は大きいものとはいえないこと、前記争いのない事実のとおり、被告会社は、平成一二年四月二六日までに「魔術師」の社内在庫については出庫停止とし、取次店に同書の回収を依頼することを決定し、「魔術師」回収の事実は、「トーハン週報」(五月三週号)等に掲載されたものであり、弁論の全趣旨によると、上記出庫停止及び回収は、既に実施されたものと認められること、その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、被告らに対する損害賠償請求を認めたうえ、更に被告らに謝罪広告を掲載させて、読者から回収させることまで必要であるとは解されない。

第4  以上により、原告の各請求は、主文の限度で理由がある。

(裁判長裁判官・森義之、裁判官・内藤裕之、裁判官・上田洋幸)

別紙

目録1〜3<省略>

無断改竄箇所全リスト<省略>

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