東京地方裁判所 平成12年(ワ)807号 判決 2001年7月25日
原告
片山一
ほか一名
被告
橘美沙
ほか一名
主文
一 被告橘美沙は、原告片山一に対し金三〇七万五七九九円、原告片山清代子に対し金三〇九万七五九二円及び同各金員に対する平成一一年五月七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 被告住友海上火災保険株式会社は、原告らの被告橘美沙に対する前項の判決が確定したときは、原告片山一に対し金三〇七万五七九九円、原告片山清代子に対し金三〇九万七五九二円及び同各金員に対する平成一一年五月七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
三 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
四 訴訟費用は、これを九分し、その五を被告らの、その余を原告らの負担とする。
五 この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第一請求
一 被告橘美沙は、原告片山一に対し金六六四万七四三八円、原告片山清代子に対し金四五三万二八五五円及び同各金員に対する平成一一年五月七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 被告住友海上火災保険株式会社は、原告らの被告橘美沙に対する前項の判決が確定したときは、原告片山一に対し金六六四万七四三八円、原告片山清代子に対し金四五三万二八五五円及び同各金員に対する平成一一年五月七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二事案の概要
一 争いのない事実及び容易に認定し得る事実
(一) 事故の発生(甲一の一、二)
ア 日時 平成一一年五月七日午後三時五分ころ
イ 場所 東京都北区岩淵町三六番先道路(以下「本件道路」という。)上
ウ 原告車 原告片山一(以下「原告一」という。)が運転し、原告片山清代子(以下「原告清代子」という。)が同乗していた普通貨物自動車
エ 被告車 被告橘美沙(以下「被告橘」という。)が運転する普通乗用自動車
オ 事故態様 被告車が原告車に追突した(以下「本件事故」という。)。
(二) 被告らの責任
本件事故は被告橘の前方不注視によって発生したものであるから、被告橘は原告らに対する損害賠償義務を負う。
また、被告住友海上火災保険株式会社(以下「被告住友海上」という。)は、被告橘との間で締結した自動車保険契約に基づき、原告らの被告橘に対する損害賠償請求判決が確定したときは、原告らに対して損害賠償金を支払う義務を負う。
(三) 原告らの受傷と治療経過
ア 原告一
原告一は、頸椎捻挫、腰部捻挫等の診断名で、北部セントラル病院(平成一一年五月七日から同月一〇日までの間に少なくとも二日間通院。甲一〇)及び山川整形外科(平成一一年五月一七日から同年一一月三〇日までの間の実日数一四六日の通院。甲一三、二六)にそれぞれ通院し、平成一一年一一月三〇日に症状固定した(甲三の一)。原告一は、その後、山川整形外科に同年一二月一四日までの間に四日間通院している(甲二六)。
イ 原告清代子
原告清代子は、頸椎捻挫、腰部捻挫等の診断名で、北部セントラル病院(平成一一年五月七日から同月一〇日までに少なくとも二日間通院。甲一四)及び山川整形外科(平成一一年五月一七日から同年一二月七日までの間の実日数一四九日の通院。症状固定に係る診断書作成日(同年一二月七日)を含む。甲一六、二七)にそれぞれ通院し、平成一一年一二月七日に症状固定した(甲三の二)。原告清代子は、その後、山川整形外科に同年一二月二一日までの間に三日間通院している(甲二七)。
(四) 原告らの損害額及び被告らによる既払金
ア 原告一
原告一の治療に要した治療費(平成一一年一一月一〇日まで)は合計一三五万七八四〇円である。
被告らは、同治療費のほか、平成一一年一一月一〇日までの通院交通費名目で八万〇四三〇円、平成一一年七月六日までの休業損害名目で九六万九四一二円を原告一に対して支払った。
イ 原告清代子
原告清代子の治療に要した治療費(平成一一年一一月一〇日まで)は合計一三四万七九六〇円である。
被告らは、同治療費のほか、平成一一年七月三一日までの通院交通費名目で八万〇四三〇円、平成一一年七月六日までの休業損害名目で三一万七二〇〇円を原告清代子に対して支払った。
二 争点
(一) 原告らの負傷と本件事故との因果関係
ア 被告らの主張
原告らの前記負傷は本件事故に起因するものではない。
本件事故の追突による破損は、原告車が荷台下のリアステップ曲損のみ、被告車が前部バンパー上の三か所の点状凹損のみであり、追突の衝撃は極めて軽微である。したがって、原告らの前記傷害と本件事故とは無関係である。
イ 原告らの主張
原告らの前記負傷は本件事故によってもたらされたものである。
被告橘は、ブレーキとアクセルとを踏み間違えて追突に至ったのであって、その衝撃は軽微ではない。
(二) 前回事故の寄与度減額の可否
ア 被告らの主張
原告らの前記負傷は、原告らが平成一〇年一月四日に遭遇した交通事故(以下「前回事故」という。)にも原因がある以上、相当額の寄与度減額をすべきである。
イ 原告らの主張
原告らの前回事故による負傷は治癒しており、原告らの本件事故による受傷に前回事故による影響はない。
(三) 原告一の損害額の算定(前記治療費を除く)
ア 原告一の主張
(ア) 通院交通費 (請求額 一万〇七七〇円)
前記受領済みの通院交通費(八万〇四三〇円)のほかに、平成一一年五月一〇日、同月一三日、同年七月二七日に自宅から山川整形外科に通院するために要したタクシー代の合計額である。
(イ) 休業損害 (請求額 三五三万四八二八円)
平成九年分の専従者給与控除前所得額六九三万四〇五六円に租税公課三四万一〇〇〇円、損害保険料二四万五〇〇〇円、減価償却費一八万九〇〇〇円、地代家賃一九万五〇〇〇円を加算した金七九〇万四〇五六円を三六五で除した金額である二万一六五五円を基礎日額とし、休業期間を平成一一年五月七日から同年一一月三〇日までの二〇八日間として算定した四五〇万四二四〇円から、前記既払額九六万九四一二円を控除した金額である。
(ウ) 慰謝料 (請求額 二〇〇万円)
本件事故後の被告橘の不誠実な態度のほか、被告住友海上の上野支店の担当者宮崎俊郎は、平成一一年七月一九日まで一度も会おうとせず、また、原告らと示談交渉でも会社の査定である、会社の規則である、などと一方的な態度に終始したり、突然一方的に治療費の支払を拒否したりする等、不誠実で不当な言動、対応により、原告一は精神的苦痛を更に深めた。
(エ) 弁護士費用 (請求額 一一〇万一八四〇円)
イ 被告らの主張
否認する。
原告一には、既往症として、バルソニー(項靱帯骨化)や第二頸椎から第四頸椎に軽度の経年性変化が認められ、休業期間は最大一一四日を超えない。
(四) 原告清代子の損害額の算定(前記治療費、通院交通費を除く)
ア 原告清代子の主張
(ア) 休業損害 (請求額 一六九万六〇六〇円)
平成一〇年の全女子労働者の平均賃金から算出した日額九三六四円を基礎とし、休業期間を平成一一年五月七日から同年一二月七日までの二一五日間として算定した二〇一万三二六〇円から、前記既払額三一万七二〇〇円を控除した金額である。
(イ) 慰謝料 (請求額 二〇〇万円)
原告一と同様である。
(ウ) 弁護士費用 (請求額 八二万四四〇九円)
イ 被告らの主張
否認する。
第三当裁判所の判断
一 争点(一)(原告らの負傷と本件事故との因果関係)について
本件事故当時、原告一は助手席の原告清代子と話をするため上体と首を少し助手席方向に斜めに向けており、原告清代子はシートベルトを着用して顔を正面に向けていたものの背中とシートを接着させていなかったこと、本件衝突により原告清代子はまず背中とシートがぶつかり、上体が少し浮くような形となって前のめりになるという動きをしたことが認められ(原告一、同清代子本人)、本件事故による衝撃が、原告らの身体に複雑に作用した可能性があると考えられる。
そして、このような本件事故の衝突時の状況に加えて、本件事故直後に原告らは救急車によって北部セントラル病院に搬送されたこと(甲三一)、原告らはそれぞれ同病院で前示のとおりの傷病名でいずれも今後二週間の通院加療の必要性を認めることを内容とする診断を受けたこと(甲一〇、一四)、原告らはその後前示のとおりの通院を重ねていること、タイル工事等のリフォーム全般を妻である原告清代子とともに個人で営む原告一の事業実績が本件事故後極端に低下していること(甲三一、甲二三の四枚目「月別売上(収入)金額及び仕入金額」の月別推移による。)、原告らは、仕事を継続しなければ自らの借金の返済にも窮し、しかも顧客を失う等により日常生活すら維持することのできない事態を招く危険に直面するのであって、原告らがことさら根拠のない愁訴を展開して通院を継続したり、仕事を懈怠したりするとは考え難いこと(甲三一、三二、原告一、同清代子本人)、からすると、原告らの前示傷病名にかかる負傷及び治療並びにそれに伴って余儀なくされる休業状態は本件事故に起因するものであったと認めるのが合理的である。
これに対し、被告らは、本件事故による衝突が軽微であるとして、原告らの負傷と本件事故との因果関係を否認し、乙三(松下智康作成に係る工学鑑定書。以下「松下鑑定書」という。)を提出する。しかし、松下鑑定書は、以下の理由により採用することはできない。すなわち、松下鑑定書は、原告車及び被告車のそれぞれの損傷箇所が直接見分されていないのみならず、損傷の具体的状況や損傷部位の強度(例えば、原告車が荷台下のリアステップの変形状況はどうか、それはどの程度の荷重で曲がるのか、被告車の前部バンパーの凹みが形成されるのに必要な荷重はどのくらいか、など)等、衝撃の強さに関する重要な事実に関する具体的な調査が全くなされないまま被告車の追突速度が微速であるとしている点で根拠不十分といわざるを得ない上、事故による衝撃・力が原告らの身体にどのように影響するかを評価するに当たって、本件事故時の原告らの顔の向きや姿勢等を具体的に検討することが必要であるにもかかわらず、それらを全く検討しないまま、乗員を使った実車実験のデータ(そもそも、このような実験結果は、被験者らが衝突実験に臨むことをあらかじめ認識しており、不意打ちに衝撃を受ける原告らのような被害者の事例に当然に当てはめようとすること自体無理がある。)を用いて、本件事故の衝撃が軽微であるから原告らの身体に与えた衝撃も軽微であるとしていること、さらには、原告らの個別具体的な身体状況について医学的な見地からの合理的な検討を十分行わないまま、原告らの負傷が心因性の要因によると結論付けていること、が指摘されるからである。
よって、被告らの主張には理由がない。
なお、このような松下鑑定書を提出して原告らの負傷と本件事故との因果関係を否定し、損害賠償責任を否認する被告らの態度(実質的な主体は被告住友海上である。)は、本件事故によって仕事をなしえずそのために生活に窮する状況に陥った原告らの精神的苦痛を更に深め、かつ、原告ら代理人の訴訟追行を困難ならしめたといわざるを得ず、後述するとおり、原告らの慰謝料及び弁護士費用の加算事情として斟酌するのが相当である。
二 争点(二)(前回事故の寄与度減額の可否)について
原告らは、平成一〇年一月四日に本件事故と同様の追突事故に遭遇し、原告一は頸椎捻挫、背部捻挫の傷害を、原告清代子は頸椎捻挫、腰椎捻挫の傷害をそれぞれ受けている(乙七、九、一〇、一二、二〇の一、三、五、七)。
しかし、原告一については、同人の治療は平成一〇年一二月三〇日までに終了し、その後は治療を受けていないこと(乙一六)、原告一の業務実績も次第に回復する傾向を見せ、本件事故直前の四月には前回事故以前の実績に匹敵する程度の売上額を記録しており、その回復基調が十分にうかがえること(甲二一から二三の各四枚目「月別売上(収入)金額及び仕入金額」の月別推移による。)、医学的な観点から客観的に確認できるような前回事故に起因する身体的損傷が原告一に現在することを認めるに足りる証拠がないこと、に照らすと、本件事故時において、原告一の身体に前回事故の影響が残存していることを裏付けるような具体的で合理的な事実は認められない。
また、原告清代子についても、同人の前回事故による示談は三月までの影響を想定した内容となっており(甲三三の一、三)、現に同人の治療も平成一一年三月ころまでに終了していること(原告清代子)、その後、原告清代子は、前回事故以前のとおり、原告一の仕事の手伝いや家事に従事する通常の日常生活を送っていたこと(甲三二、原告清代子)、医学的な観点から客観的に確認できるような前回事故に起因する身体的損傷が原告清代子に現在することを認めるに足りる証拠がないこと、に照らすと、本件事故時において、原告清代子の身体に前回事故の影響が残存していることを裏付けるような具体的で合理的な事実は認められない。
よって、本件事故に遭遇した時点において、原告らの身体に前回事故の影響が残存しており、前回事故による寄与度減額をしなければ公平を失するというような具体的で合理的な事実は認められないのであって、被告らの主張には理由がない。
なお、被告ら(実質的には被告住友海上である。)は、原告らに対し、およそ他覚所見のない頸椎捻挫の影響は通常数か月程度にとどまる(当初二か月としていた。甲六)などと主張し、そのための治療やそれに伴う休業損害等の損害はその限度で十分であるなどと述べて、本件訴訟前において原告らに対する治療費や休業損害の支払を突然打ち切るなどの強硬措置をとり、原告らを日常生活に窮する事態に陥らせた一方で、前回事故による他覚所見のない頸椎捻挫の影響については、前回事故から一年四か月もの期間を経た本件事故時においてもなおその症状が残存しており、原告らの本件事故後の症状は前回事故による頸椎捻挫が原因であるなどと述べて、頸椎捻挫に関する内容の矛盾する主張を展開している(その主張を裏付けるに足りる証拠は全くなく、排斥したことは前示のとおりである。)。このような被告住友海上の原告ら被害者に対する態度は、前項と同様、原告らの精神的苦痛を更に深刻にしたと評価すべきであるし、また、原告ら代理人による訴訟前及び訴訟後の対応等を困難ならしめたとの観点から、後述するとおり、原告らの慰謝料及び弁護士費用の加算事情として斟酌するのが相当である。
三 争点(三)(原告一の損害額の算定)について
(一) 通院交通費 認めない
原告一が通院のためにタクシーを利用し、その対価を支払ったことを認めるに足りる証拠が全くない。
(二) 休業損害 八七万五七九九円
ア 基礎収入
原告一は、前回事故後収益が激減していたものの、前示のとおり徐々に稼働実績を回復することに努め、また、現にその傾向を見せていたのであるから、本件事故に遭遇しなければ、平成一一年の稼働収入については、前回事故前の稼働実績を反映する収入に達するとまではいえないとしても、少なくとも、前回事故による影響を直接的に受けた平成一〇年分稼働収入と前回事故前である平成七年分から平成九年までの稼働収入の平均値との中間値程度の実績にまで復帰する蓋然性があるものと認めるのが相当である。
平成七年から平成九年までの青色申告特別控除前の所得金額の平均値は四六二万六三四三円であり(甲一九から二一の各三枚目の所得税青色申告決算書の<46>欄の金額の平均値である。)、平成一〇年のそれは一六九万四〇八三円であるから(甲二二)、その中間値は、三一六万〇二一三円である。また、事故当年の平成一一年の固定経費の合計額が八八万七三七五円であること(甲二三の三枚目の所得税青色申告決算書の<8>、<15>、<16>、<18>、<22>の合計額である。)、からすると、休業損害を算定するための基礎収入は、前示中間値に固定経費合計額を加えた四〇四万七五八八円(日額一万一〇八九円)となる。
イ 休業期間
原告一が就業に当たって本件負傷による制約を受けた期間は、少なくとも、本件事故日の平成一一年五月七日から症状固定日である同年一一月三〇日までの二〇八日間であることが認められる(甲二三の四枚目・平成一一年分の「月別売上(収入)金額及び仕入金額」の一一月と一二月の数値比較のほか、甲二八、三一、三二、三六の一から五、原告一本人、弁論の全趣旨)。そして、その制約の程度については、本件事故後の原告一の売上額の状況、推移のほか、通院の頻度が高いこと、原告一の仕事内容が前示負傷部位に相当程度の負荷を与える肉体労働であること、を考慮すると、その度合いは少なくとも八〇パーセントに及ぶものと解するのが相当である。
ウ 計算式(休業損害に係る既払金控除後の金額)
1万1089円×208×0.8=184万5209円
184万5209円-96万9412円=87万5799円
エ なお、原告一には、第五、第六頸椎に軽度の変形性変化、バルソニー(項靭帯石灰化)が認められるが(乙二六)、これが、同じ年代の男性に通常見られる加齢性変化の状態とは異質な程度のものといえるか、については明らかではなく、右のような原告一の身体状況の存在をもって、直ちに、休業損害を減額して評価するのは相当ではない。
(三) 慰謝料 一六〇万円
原告一の負傷内容、程度、治療経過のほか、前示一及び二で言及した事情を加算事由として考慮した。
(四) 小計 二四七万五七九九円
(五) 弁護士費用 六〇万円
本件事案の困難性と前示一及び二で言及した事情を考慮した。
(六) 結論 三〇七万五七九九円
四 争点(四)(原告清代子の損害額の算定)について
(一) 休業損害 八九万七五九二円
ア 基礎収入
原告清代子は、原告一の仕事を手伝う一方で、家事に従事する主婦でもあることから、その休業損害を算定するための基礎収入としては、本件事故の発生した年である平成一一年の女子労働者平均賃金である三四五万三五〇〇円(日額九四六一円)とするのが相当である。
イ 休業期間
原告清代子が家事労働等の就業に当たって本件負傷による制約を受けた期間は、少なくとも、本件事故日の平成一一年五月七日から症状固定日である同年一二月六日までの二一四日間あることが認められるが(甲二九、三二、原告清代子)、家事労働を全般的になし得なかったとまでは認め難く、痛みなどの身体状態によって制約された部分について、休業の必要があったものとして休業損害の算定対象とするのが相当であるところ、その休業の必要度については、その通院の頻度や治療状況、原告清代子の身体の痛みやしびれ等の家事労働に及ぼしたと考えられる影響等を総合的に考慮し、全期間を通じて六〇パーセントとするのが相当である。
ウ 計算式(休業損害に係る既払金控除後の金額)
9461円×214日×0.6=121万4792円
121万4792円-31万7200円=89万7592円
(二) 慰謝料 一六〇万円
原告清代子の負傷内容、程度、治療経過のほか、原告一について言及した前示の事情が原告清代子にも当てはまる点を考慮した。
(三) 小計 二四九万七五九二円
(四) 弁護士費用 六〇万円
本件事案の困難性のほか、原告一について言及した前示の事情が原告清代子にも当てはまる点を考慮した。
(五) 結論 三〇九万七五九二円
三 結論
よって、原告ら請求は、被告橘に対しては、原告一につき金三〇七万五七九九円、原告清代子につき金三〇九万七五九二円及びこれらの各金員に対する平成一一年五月七日(本件事故日)から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で、被告住友海上に対しては、原告らの被告橘に対する判決が確定することを条件に、原告らがそれぞれ前示の各金員の支払を求める限度で、いずれも理由がある。
(裁判官 渡邉和義)