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東京地方裁判所 平成13年(ワ)16363号 判決 2002年12月25日

原告

ワイズビジネス株式会社

同代表者代表取締役

菅原広隆

同訴訟代理人弁護士

永沢徹

大野澄子

長浜周生

野田聖子

同訴訟復代理人弁護士

魚谷隆英

被告

甲野太郎

同訴訟代理人弁護士

矢田次男

新穂均

同訴訟復代理人弁護士

結城大輔

主文

1  被告は、原告に対し、四六九四万一六〇八円及びこれに対する平成一三年八月一〇日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  この判決は仮に執行することができる。

事実及び理由

第1  原告の請求

主文同旨

第2  事案の概要

1  本件は、株式会社××(以下「訴外会社」という。)に対して店舗の広告用チラシ(以下「本件チラシ」という。)の印刷(その折込みを含む。以下同じ。)に係る売掛金債権(以下「本件売掛金債権」という。)を有していたという原告が、同社から本件売掛金債権の支払を受けられないことによって損害を被ったが、それは同社の取締役であった被告がその職務を執行するにつき悪意又は重過失(以下「職務懈怠」という。)があったからであると主張して、商法二六六条ノ三の規定に基づき、その賠償を求めている事案である。

2  本訴請求に対する判断の前提となる事実は、以下のとおりであって、当事者間に争いがないか、弁論の全趣旨によってこれを認めることができる。

(1)  当事者等

① 原告は、製版、印刷、製本、印刷物加工、出版などを業とする株式会社である。

② 訴外会社は、電気通信事業法に基づく通信回線利用者の募集及びその利用権の販売促進に関する代理店などを業とする株式会社であって、株式会社光通信(以下「光通信」という。)と提携関係にあった。

③ 被告は、訴外会社の取締役であったが、同社には、他に、代表取締役として乙川次郎、被告以外の取締役として丙田三郎がいた。

(2)  原告と訴外会社との取引関係

① 原告は、その代金の支払義務者が訴外会社であったのか、それとも光通信であったのかはともかく、平成一一年二月二〇日から六月一日までの間、本件チラシの印刷を受注して、これを行った。

② 前記取引(以下「本件取引」という。)に係る売掛金債権が本件売掛金債権であって、原告の主張によれば、その代金は合計四六九四万一六〇八円となる。

③ 原告は、本件売掛金債権は訴外会社の注文によるものであって、その支払義務者は訴外会社であるとして、訴外会社に対し、前記四六九四万一六〇八円の支払を求める訴訟(当庁平成一一年(ワ)第二九三五〇号売掛代金請求事件。以下「別件訴訟」という。)を提起し、訴外会社の対応に問題があったか否かはともかくとして、平成一三年四月二六日、原告の請求を認容する旨の判決(以下「別件判決」という。)を得、同判決は、同年六月一日に確定した。

(3)  別件判決に基づく本件売掛金債権の回収

原告は、訴外会社に対する別件判決を得たが、訴外会社が平成一一年一〇月ころから休眠状態に陥り、事実上の倒産状態にあるため、訴外会社から本件売掛金債権を回収し得ない結果となっている。

3  本件訴訟の争点

(1)  第一の争点は、本件売掛金債権の支払義務者が別件判決で確定されたとおり訴外会社であったのか、それとも、光通信であったのかであるが、この点に関する当事者双方の主張は、要旨、以下のとおりである。

(原告)

① 原告は、訴外会社の会長と称されていた、同社の取締役であった被告から本件取引の注文を受けて本件チラシの印刷を行ったのであって、本件売掛金債権の支払義務者が訴外会社であるのは当然である。

② 原告と訴外会社との間で、原告主張の売掛金に訴外会社ではなく、光通信の支払うべき売掛金が含まれているのではないかと指摘されたことはあるが、その指摘を受け、訴外会社の支払うべき分と光通信が支払うべき分とを仕訳けして請求しているのであって、本件売掛金債権は、少なくとも訴外会社が支払うべき分である。

③ また、本件チラシには、訴外会社以外の店舗のチラシも含まれているが、訴外会社が同社以外の店舗のチラシについても、これをまとめて発注したものであるから、訴外会社がその代金も支払うべきである。

④ 被告は、本件チラシに誤植があったので、代金が減額されるべきであると主張するが、その事実はなく、代金を減額する理由はない。

(被告)

① 訴外会社は、光通信と提携関係にあったところ、本件取引は、光通信の指示を受け、店舗数を拡張するために必要となった本件チラシの印刷を注文したものであって、その費用は光通信が負担する前提で、原告に発注し、原告もこれを承知して受注していたのであるから、その支払義務者は、訴外会社ではなく、光通信である。

② 原告は、それにもかかわらず、本件売掛金債権につき、訴外会社に対して支払を求める別件訴訟を提起し、請求認容の確定判決を得ている。しかし、別件訴訟を提起された当時、訴外会社では、代表取締役の乙川が出社せず、残された取締役の被告、丙田らの判断で応訴したところ、敗訴したため、控訴の提起も検討したが、代表取締役の乙川がいない以上、その後の対応が困難であると判断し、控訴を提起することなく、控訴期間を徒過したため、別件判決が確定するに至ったにすぎない。別件判決が確定しているからといって、原告と被告との間で本件売掛金債権の額が確定されているというわけではない。

③ 訴外会社に原告に対する売掛金の支払義務があったとしても、本件チラシには、訴外会社以外の店舗のチラシが含まれているところ、そのチラシは、訴外会社がその取りまとめをしただけであって、訴外会社以外の店舗のチラシの代金についてまで訴外会社に支払義務はない。

④ また、本件チラシには、原告が代金の減額に応じた場合以外にも、誤植があるから、代金が減額されるべきである。

(2)  第二の争点は、本件売掛金債権の支払義務者が訴外会社であったとして、同社の取締役であった被告に職務懈怠があって、原告に対し、商法二六六条ノ三所定の損害賠償責任を負うか否かであるが、この点に関する当事者双方の主張は、要旨、以下のとおりである。

(原告)

① 被告の訴外会社における地位

被告は、訴外会社の実質的な代表者として同社の経営全般を掌握し、本件取引も、被告がその責任者として開始し、継続したものである。

② 本件取引開始時の職務懈怠

訴外会社は、本件取引時において、既に財務状況は悪化していて、本件取引による広告代金を支払う余裕がなかったにもかかわらず、被告は、光通信が本件広告代金を支払ってくれるものと判断して本件取引を開始しているのであって、被告には、この点に職務懈怠がある。

③ 本件取引開始後の職務懈怠

仮に本件取引開始時の職務懈怠が認められないとしても、その後、訴外会社の財務状況は悪化し、休眠状態に陥って事実上の倒産状態にあるところ、被告は、光通信の融資を受けるなどして、なお訴外会社の業務を継続することが可能であったにもかかわらず、その対応を講じなかったのであって、被告には、この点に職務懈怠がある。

④ よって、原告は、商法二六六条ノ三の規定に基づき、被告に対し、本件売掛金債権に相当する四六九四万一六〇八円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日である平成一三年八月一〇日から完済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

(被告)

① 被告の訴外会社における地位

被告は、訴外会社の単なる取締役にすぎず、会社業務を実際に執行していたのは、代表取締役の乙川であった。本件取引は、被告が担当する部分もあったが、乙川のほか、丙田も担当していたのであって、被告が責任者として本件取引を開始し、継続したというわけではない。

② 本件取引開始時の職務懈怠

訴外会社は、本件取引開始前後の平成一一年二月ないし五月ころ、経常利益を上げていたのであって、財務状況が悪化していたということはなく、被告が訴外会社の支払が不能であると認識していたにもかかわらず、本件取引を開始したということもなく、被告としては、あくまで光通信が本件売掛金債権を支払ってくれると信じていたのであるから、被告には、職務懈怠はない。

③ 本件取引開始後の職務懈怠

訴外会社は、本件取引開始後、休眠状態に陥り、事実上の倒産状態となったが、それは、代表取締役の乙川、取締役の丙田が出社しなくなり、営業を継続することが事実上困難になって、会社としての信用も失ったからであって、その結果として、訴外会社が本件売掛金を支払うことができなくなったとしても、被告に職務懈怠があったわけではない。

④ したがって、原告が訴外会社から本件売掛金債権を回収し得なくなって損害を被ったとしても、被告には、原告に対してその損害を賠償すべき商法二六六条ノ三所定の責任はない。

第3  当裁判所の判断

1  本件売掛金債権の支払義務者について

(1)  証拠(甲10ないし12、22)及び弁論の全趣旨によれば、本件取引は、もっぱら原・被告間の折衝で開始され、継続されていたことが明らかであって、訴外会社において、光通信の代理人として本件取引に係る発注をし、あるいは、第三者である光通信のために本件取引に係る発注をし、その発注を受けた原告において、注文者あるいは受益者を光通信とすることを了解して本件取引に係る受注をしたという場合でなければ、本件取引は、訴外会社を注文者、原告を受注者として開始され、継続されていたものと認めるほかはない。

(2)  被告は、本件売掛金の支払義務者が光通信であると主張し、その主張に沿う証拠(甲4、23、乙6、被告本人)もないわけではないが、前掲証拠によれば、前認定の折衝に際して、被告は、自ら原告の担当者と印刷原稿を見て了承を与えているし、その後、広告折込日の一週間ほど前には、原告と打合せを行い、被告自ら手書きした販売店リストに基づいて販売店ごとに作成する本件チラシの部数を決定していることが認められるのであって、その際、訴外会社において、光通信を注文者あるいは受益者として本件取引を発注するものであるとの申出をした事実も、原告において、光通信を注文者あるいは受益者として本件取引を受注するとの回答をした事実も認められないから、被告の主張するところは、所詮、光通信と提携関係にあった訴外会社の期待として、光通信の意向を受けて店舗数を拡大することに伴い必要となった当該店舗の広告用チラシの印刷に係る費用である以上、光通信が負担してくれると判断していたというにとどまり、その主張に沿う前掲証拠をもってしても、光通信が、注文者としてであっても、受益者としてであっても、原告に対する関係で、本件売掛金債権の支払義務を負うべきものであったとまで認めることはできない。

(3)  したがって、本件売掛金債権の支払義務者は、別件判決でも認定され、確定しているとおり、訴外会社であったことは明らかである。

(4)  被告は、訴外会社が本件売掛金債権の支払義務者であったとしても、本件チラシのうち、同社以外の店舗に係るチラシについては、訴外会社に支払義務がないと主張するが、訴外会社以外の店舗を含め、訴外会社が取りまとめて原告に発注していることは被告も自認するところ、訴外会社以外の店舗のチラシについては、その発注者である訴外会社ではなく、当該店舗の設置者が支払義務を負うことを受注者である原告との間で取り決めたという事実は認められず、被告の主張は、訴外会社が原告に対して本件売掛金債権を支払った後、当該店舗の設置者に求償し得るか否かの問題にとどまり、本件売掛金債権の額を左右するものではない。

(5)  また、被告は、本件チラシに誤植があったことを理由に、本件売掛金債権の額が減額されるべきであるとも主張するが、その主張に係る事実を認めるに足りる証拠はなく、本件売掛金債権の額は、本件訴訟においても、以上説示したところを総合すれば、別件判決で認定されている原告主張の四六九四万一六〇八円であったと認めることができるのであって、この認定を覆すに足りる証拠はない。

2 被告の職務懈怠の有無及びその時期について

(1) 本件売掛金債権の回収の有無

原告は、訴外会社に対し、本件売掛金債権の支払を求める別件訴訟を提起し、請求認容の確定判決を得ているが、訴外会社が休眠状態に陥り、事実上の倒産状態にあるため、結局、その回収をすることができず、原告が本件売掛金債権に相当する損害を被っていることは否定することができない。

(2) 被告の訴外会社における立場

①  原告は、前記損害につき、訴外会社の取締役であった被告の職務懈怠を主張するが、その職務懈怠の有無及び時期を検討するには、被告の訴外会社における立場ないし役割を理解しておく必要があるので、以下、この点について検討すると、証拠(甲1、24、25)及び弁論の全趣旨によると、(ア)訴外会社は、通信事業に関心・経験の深い乙川、丙田、丁野四郎及び被告が集まって設立した株式会社であって、乙川が代表取締役、丙田及び被告が取締役に就任したこと、(イ)その設立の経緯からして、訴外会社では、代表取締役の乙川のみが対外的な業務の執行に当たり、取締役の丙田、丁野及び被告は、もっぱら社内的な業務のみを担当するといった役割分担が決められていたわけではなく、それぞれの経験をいかして業務分担していたこと、(ウ)被告は、四名のなかでも最年長であったことから、会長と呼ばれ、三人の調整役あるいは相談役という立場にもあったこと、(エ)そのようにして発足した訴外会社は、光通信と提携関係にあったところ、光通信がその業務を拡大する一環として、代理店数も全国的に拡張する必要が生じ、訴外会社は、その拡張される店舗の広告用のチラシの印刷を原告に注文することになったこと、(オ)その折衝に当たったのは、もっぱら被告であったこと、以上の事実が認められる。

②  前認定の事実によれば、被告が原告主張のように訴外会社の実質的な代表者として業務全体を統括していたとまでいい得るか否かはともかく、原告との間の本件取引では、訴外会社を実質的に代表する立場で折衝に当たっていたことは明らかであって、本件取引については、その開始時においても、開始後においても、本件取引の消長を決定し得る立場にあったといわなければならず、その限りでは、実質的な代表者として、商法二六六条ノ三所定の職務懈怠の有無を判断されるのが避けられない立場にあったといわなければならない。

③  被告は、訴外会社における前認定の立場を争うが、その供述(前掲甲4、23、乙6を含む。)をもってしても、被告が訴外会社の単なる取締役として、取締役会を構成する一員として、代表取締役である乙川の対外的な業務執行を監督し得るにすぎない立場であって、原告との間の本件取引についても、社内的にはともかく、対外的な折衝には一切関与する余地がなかったと認め得るものではなく、被告の主張は採用し得ない。

(3) 取引開始時の職務懈怠の有無

①  そこで、まず、本件取引開始時に被告に原告主張の職務懈怠があったか否かについて検討すると、証拠(甲10ないし12、22ないし25、乙6、被告本人)及び弁論の全趣旨によれば、訴外会社では、光通信の意向を受けて店舗数を拡大することになったが、光通信から支払われることを見込んでの店舗数の拡大であって、その支払を受けても、財政状態は収支がとんとんの状態であって、利益が見込まれるわけではなく、本件取引に際して、被告は、訴外会社の立場として、光通信が訴外会社の支払うべき代金についてもこれを支払ってくれるものと期待していたのであるが、それも、訴外会社の以上の財政状況を踏まえての判断であったと認められ、この認定を妨げる証拠はない。

②  前認定の事実を踏まえ、本件取引開始時、被告に職務懈怠があったか否かを検討すると、被告は、光通信が本件売掛金債権の支払に当たってくれるものと判断していたが、本件売掛金債権の支払義務者は、光通信ではなく、訴外会社であるのであって、訴外会社において、光通信との間で本件売掛金債権の支払をめぐって折衝が重ねられ、被告が判断したように光通信が本件売掛金債権を支払ってくれるものと期待し得る状況にあったとしても、それは、訴外会社と光通信との関係にとどまる。光通信が本件売掛金債権の支払義務を原告に対する関係で負担し、その反面、訴外会社が原告に対する関係でその支払義務を免れるというためには、光通信を注文者あるいは受益者として訴外会社が本件取引を発注し、原告がそれを承諾して受注するといった場合であることを必要とするところ、前説示したとおり、その事実はない。それにもかかわらず、光通信が本件売掛金債権を支払ってくれるものと信用して、被告が訴外会社を代表して原告に発注したとすれば、本件取引の注文者である訴外会社の実質的な権限者として軽率な判断であったといわざるを得ず、その軽信によって本件取引を発注して原告に本件売掛金債権を生じさせ、かつ、本件売掛金債権に相当する損害を被らせたとすれば、被告には、原告に対し、本件取引開始時の職務懈怠を理由に、その損害を賠償すべき責任があるといわなければならない。

③  もっとも、本件売掛金債権を光通信が支払ってくれるものと軽信して本件取引を発注したとしても、訴外会社に自ら本件売掛金債権を支払う資力が備わっていたとすれば、光通信からその支払を受けられるとの期待が裏切られたとしても、自ら原告に対してその支払をすれば足りることであるから、光通信の支払を軽信したことをもって、直ちに職務懈怠というべきものではない。

しかしながら、訴外会社においては、前認定のとおり、本件売掛金債権を支払うような資金的な余裕がなく、光通信の指示で店舗を拡大することを余儀なくされたため、自社の資金繰りに考慮することなく、光通信の意向で必要となった費用は光通信が負担してくれるものと軽信し、訴外会社と原告及び光通信との三社間で、本件取引は訴外会社が注文するが、その代金は訴外会社ではなく、光通信が支払う旨の合意を取りまとめることもないまま、本件取引を注文しているのである。その際、原告に対する関係で光通信が支払義務を負い、訴外会社が負わないということが法的に可能であるか否かを検討していれば、前記合意も取り決められていない本件においては、訴外会社が注文者として本件売掛金債権の支払義務を負わざるを得ないことは容易に知り得るところである。そして、その検討をしていれば、被告本人が当審における本人尋問に際して、本件取引を開始することはなかったと述懐しているように、拡大する店舗用チラシの印刷を取り止めることが光通信の意向に反する結果となるにしても、本件取引の注文を取り止めるのが取引上で当然の判断であって、光通信が支払ってくれるものと軽信して本件取引を注文したことについては、被告の職務懈怠を認めざるを得ない。

この点につき、被告代理人は、被告本人の前記述懐が誤導されたものであるというが、光通信の支払を期待していたという被告に対し、その期待に反し、訴外会社が自ら支払義務を負うと分かっていたとすれば、どのような対応をしたかを問い質すことを誤導というのは当たらず、訴外会社の本件取引開始時の財政状況からみて、本件取引を発注すべきではなかったといえるにもかかわらず、本件取引を発注した被告は、その職務懈怠を理由として、原告が訴外会社から本件売掛金債権を回収し得なくなったことによる前認定の損害を賠償すべき責任があるといわなければならない。

3  以上説示したところによれば、原告が被告に対して本件売掛金債権に相当する損害賠償として四六九四万一六〇八円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日である平成一三年八月一〇日から完済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める本訴請求は、被告の本件取引開始後の職務懈怠の有無について進んで検討するまでもなく、その理由があるから、これを認容し、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法六一条、仮執行の宣言につき、同法二五九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官・滝澤孝臣)

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