東京地方裁判所 平成13年(ワ)25240号 判決 2002年9月30日
原告
劉涛
訴訟代理人弁護士
谷川浩也
同
佐藤文彦
同
福田修三
被告
コンピュータ印刷株式会社
代表者代表取締役
小田潤
訴訟代理人弁護士
木下秀三
主文
一 原告の被告に対する一か月当たり一万八〇〇〇円を超えた社宅使用料債務は存在しないことを確認する。
二 原告のその余の請求を棄却する。
三 訴訟費用はこれを二分し、その一を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。
四 この判決は、第三項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第一請求
1 原告の被告に対する一か月当たり一万七〇〇〇円を超えた社宅使用料債務は存在しないことを確認する。
2 被告は、原告に対し、一〇万八〇〇〇円及びこれに対する平成一三年一二月一日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。
3 被告は、原告に対し、平成一三年一二月から本件口頭弁論終結日まで、毎月二五日限り、一か月一万三五〇〇円及びこれに対する各当月二六日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。
第二事案の概要
本件は、被告の従業員である原告が、被告に対し、社宅使用料の原告負担分として月額一万七〇〇〇円を上回る金額を毎月の給与から控除することは違法であるとして、一か月当たり一万七〇〇〇円を超えた社宅使用料負担債務は存在しないことの確認と、債務不履行に基づく損害賠償請求金として月額一万三五〇〇円の割合による平成一三年四月以降の超過差額分相当の損害金及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案である。
1 前提となる事実(証拠によって認定した事実は末尾に証拠を示した。証拠の記載のない事実は当事者間に争いがない)
(1) 当事者
ア 原告は、中華人民共和国(以下「中国」という)国籍を有する、一九六六年(昭和四一年)八月五日生まれの男性である。
イ 被告は、製版、印刷等を目的とする株式会社である。
(2) 労働契約の締結及び現自宅入居
ア 原告は、平成九年八月二一日付で被告への採用が内定され、同年一二月ころから被告においてアルバイトとして勤務を開始し、翌平成一〇年四月一日から正社員(一般職)として勤務することとなり、入社後は営業一部二課で被告の業務に従事している。
(証拠略。一部争いがない)
イ 被告は、原告及びその妻を居住させる目的で、平成一〇年三月三一日、有限会社タクトから、家賃七万円、期間二年の約定で、原告住所地に所在するマンション内田三〇二号室(広さは2DKである。以下「本件居宅」という)を賃借し(以下「本件賃貸借契約」という)、同日、原告及びその妻が同室に入居した。
本件賃貸借契約は、本件口頭弁論終結日である平成一四年九月九日までに二度更新されている。(証拠略)
(3) 被告の借上社宅規程
被告の借上社宅規程(以下「社宅規程」という)は、別紙のとおりである。
(4) 被告による原告の「家賃」名目控除の取扱いの変遷
ア 被告は、平成一〇年四月から平成一二年三月までは、原告の給与から、本件居宅の「家賃」名目で毎月一万六〇〇〇円を控除していた。
(書証略。一部争いがない)
イ 被告は、平成一二年四月から、原告は社宅規程の適用対象ではないとして、原告の給与から、本件居宅の「家賃」名目で三万五〇〇円を控除し始めた(以下「本件控除額変更」という)。
これに対し、原告が抗議したところ、被告は、平成一三年四月、給与支払いの際に、平成一二年四月分から平成一三年三月分の控除分のうち、毎月当たり一万三五〇〇円、合計一六万二〇〇〇円を返還した。
ウ 被告は、平成一三年四月以降、原告の給与から本件居宅の「家賃」名目で毎月三万五〇〇円を控除している。
2 争点
(1) 原告の被告に対する社宅使用料債務の額
(2) 被告の原告に対する債務不履行に基づく損害賠償責任の存否及びその額
3 争点に関する当事者の主張
(1) 争点(1)について
(被告の主張)
ア 原告に社宅規程の適用がないこと
被告は、社宅規程の入居条件には満たないものの、原告の日本での生活を考慮して、例外として、本件居宅を借上社宅扱いにすることにした。
したがって、原告には、社宅規程の適用がない。
イ 平成一〇年三月の合意の内容
被告(被告代表者)は、原告に対し、被告の寮又は社宅に入居できるとの説明をしていない。
このように、原告と被告は、遅くとも平成一〇年三月末までには、本件居宅を例外的に借上社宅扱いとし、その使用料の一部を被告が支給することに明示的又は黙示的に合意したにすぎない。
ウ 本件控除額変更について
(ア) 被告は、社宅規程の正しい運用と社員間の待遇の不公平是正のため、被告の従業員全員に対し、平成一一年六月二五日付け「借上社宅規程の運用について」と題する書面(以下「本件書面」という)を配布し、社宅規程が正しく適用されていない従業員の控除額について、平成一五年四月までに段階的に是正すること(自己負担額の増加)を告知した。また、被告は、原告に対し、同人の退職意思を確認していたことから、本人に個別説明をしないまま、平成一二年四月からの「家賃」名目で控除していた社宅使用料を三万五〇〇円とした(本件控除額変更)。
しかし、住居費は、本来個人で負担することが原則であり、社宅規程が公平に適用される結果、自己負担額が増額される場合であっても、被告としては、その旨該当者に通知することで給与からの控除が認められるべきものであり、逐一該当者の個別的承諾まで要しないものというべきである。
(イ) また、本件は社宅使用料の自己負担額の改定の問題であり、労働基準法二四条に基づく書面による協定の対象ではない。
エ まとめ
以上のとおり、原告の被告に対する社宅使用の自己負担額は、月額一万七〇〇〇円を超えていた(少なくとも三万五〇〇円であった)というべきである。
(原告の主張)
ア 原告に社宅規程の適用があること
(ア) 社宅規程によると、「従業員が本社、支店、営業所に転勤し、会社が認めた場合は、他人の保有する家屋を会社が借家し、社宅として居住させる」とされているが、ここにいう「転勤し」と「会社が認めた場合」については、並列の関係にあり、従業員が転勤した場合又は会社が認めた場合に社宅を支給するとしたものと解すべきである。
(イ) 原告の場合、被告の藤総務課長から社宅について説明を受け、原告が同課長の説明に従い社宅を探し、被告を賃借人とする本件賃貸借契約を締結していることから、「会社が認めた場合」に該当することは明らかである。
したがって、原告は、社宅規程に基づいて、被告に対し、社宅の支給を受ける権利を有する。
イ 平成一〇年三月の合意の内容
仮に「会社が認めた場合」に該当しないとしても、原告と被告の間には、原告の入社前に藤総務課長から社宅についての説明がなされ、かつ原告のために被告を賃借人とする本件賃貸借契約がなされていることから、少なくとも平成一〇年三月三一日までには原告に対し社宅を支給するとの合意があった。
社宅支給は、従業員の福利厚生にとって極めて重要な事項であり、労働条件の一部を構成するものである。
したがって、原告と被告は、平成一〇年三月ころ、原告に対する社宅支給を労働条件に加えるとの合意をしたというべきである。
ウ 本件控除額変更について
(ア) 被告の本件控除額変更は、社宅規程又は平成一〇年三月ころの合意で労働条件となっている社宅を利用する権利を原告の同意なく一方的に奪うものであり、違法である。
(イ) また、被告の本件控除額変更は、法令上の根拠も、被告の内部規定上の根拠もない措置であり、原告の同意のない自己負担額の増額分の控除は、労働基準法二四条に反する。
エ まとめ
以上のとおり、原告の被告に対する社宅使用の自己負担額は、社宅規程に従って算定される額(月額一万七〇〇〇円)を超えていないというべきである。
(2) 争点(2)について
(原告の主張)
ア 被告は、原告に対し、社宅を利用する権利を保障し、社宅規程に定められた社宅家賃負担金を原告に支給すべき債務を負担している。
社宅規程によると、一般職の場合、家賃が六万円を超える場合は個人負担となり、さらに、間取りが2DKの場合には使用料が入社二年までは六〇〇〇円、入社四年までは七〇〇〇円とされている。原告の場合、家賃が七万円であり、間取りが2DKであるので、家賃の変動がない場合、その自己負担額は、入社以降平成一二年三月までが一万六〇〇〇円、同年四月から平成一四年三月までが一万七〇〇〇円となる。
イ しかしながら、被告が、本件控除額変更に基づいて、社宅規程に定められた原告の社宅使用料(自己負担金)を超える額を原告の給与から過剰に徴収した行為は、被告が原告に支給すべき社宅家賃負担金の支払債務を怠ったものである。
したがって、原告は、被告に対し、被告が原告に支給すべき社宅家賃負担金の支払債務の不履行に基づく損害賠償として、平成一三年四月から同年一一月までの合計一〇万八〇〇〇円の超過差額分相当の損害金及びこれに対する訴状送達の翌日である同年一二月一日から支払済みまでの商事法定利率である年六分の割合による遅延損害金、並びに、平成一三年一二月から本件口頭弁論終結日である平成一四年九月九日まで毎月二五日限りで控除された一か月一万三五〇〇円の超過差額分相当の損害金及びこれに対する各当月二六日から支払済みまで商事法定利率である年六分の割合による遅延損害金の支払いを求める。
(被告の主張)
争う。
第三当裁判所の判断
1 争点(1)に対する判断
(1) 前記第二の1の事実、証拠略及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
ア 原告は、平成九年八月一四日ころ、被告の就職試験の最終面接で、被告の和田直久代表取締役(当時)ほか役員から、「会社に寮がある。社宅もある」と言われ、「よろしくお願いします」と答えた。その後、原告は、平成一〇年三月ころ、被告の藤総務課長に対し、結婚する予定なので社宅に入居したい旨伝えた。
被告は、社内協議の結果、原告が外国人であることを考慮して、原告の申出に応じることにし、同月三一日、原告が選定した本件居宅について本件賃貸借契約を締結した(同日、原告とその妻が本件居宅に入居した)。
なお、原告は、入社時(平成一〇年四月一日)までは社宅規程を見たことはなく、入社後にその存在を知ったが、記載内容までは知らなかった。
イ 被告は、平成一〇年四月分から平成一二年三月分までの原告の給与から「家賃」名目で毎月一万六〇〇〇円を控除するとともに、本件居宅の賃料との差額分(毎月五万四〇〇〇円)を自ら負担し、合計月額七万円を有限会社タクトに支払っていた。
原告は、この期間、被告に対し、「家賃」名目の控除について、特段異議を述べなかった。
ウ 被告は、従業員全員に対し、本件書面を配布し、社宅規程が正しく適用されていない従業員の控除額について、平成一五年四月までに段階的に是正すること(自己負担額の増加)を告知した。そして、被告は、対象となる従業員に対し、個別に説明を行った上、平成一二年四月分の給与から、本件書面記載の是正を実施した。
一方、被告は、原告に対し、同人が本件書面の記載した是正の対象であったにもかかわらず、本人に個別説明をしないまま、平成一二年四月の給与分から本件控除額変更を実施した。
これに対し、原告は、「家賃」名目の控除額が急増したため、藤総務課長に抗議したところ、平岩堅志総務部長(当時。以下「平岩総務部長」という)は、「劉君は社宅じゃない」、「例外的に社宅として扱っているのだ」との説明があったが、原告はこの説明に納得しなかった。
この後、原告と平岩総務部長、佐伯潔志常務取締役(当時)との話合いが数回行なわれ、原告の退職をも視野に入れた解決策が模索された。
エ 原告は、本件控除額変更に納得せず、平成一三年三月ころ、「事前の具体的説明をしないまま(本件控除額変更を)スタートさせた」旨抗議した。
これに対し、被告は、原告の抗議に応じ、平成一三年四月一七日、平成一二年四月分から平成一三年三月分の控除分のうち、毎月当たり一万三五〇〇円、合計一六万二〇〇〇円を返還したが、同時に改めて同月分から本件書面記載の是正をしたい旨説明した。このとき、原告は、自らに社宅規程の適用があるという前提で、社宅規程のとおりにすること(平成一二年四月以降に月額を一万七〇〇〇円に変更すること)は了承するが、それ以上の増額は拒むことを回答した。
オ 原告に社宅規程(別紙)の適用があるとすれば、原告の本件居宅についての社宅使用料は、平成一四年四月以降は、毎月一万八〇〇〇円である。
(2) 以上の認定事実を踏まえて判断する。
ア 原告に対する社宅規程の適用の有無について
社宅規程に定める「本社、支店、営業所に転勤し、会社が認めた場合」という要件について、「転勤し」と「会社が認めた場合」とが並列の関係にあるとはいえない。そして、原告は「本社、支店、営業所に転勤」という要件を満たしていない。
したがって、原告については、社宅規程の適用を受けることができないと認めるのが相当であり(このことは本件居宅が社宅であることとは必ずしも矛盾しない。被告において本件書面記載の是正が必要であったことは、社宅規程の適用要件に合致しない社宅があったことを示すものである)、これに反する原告の主張は採用できない。
イ 平成一〇年三月末の合意の内容
(ア) 原告の採用面接時の被告の説明や本件賃貸借契約締結に至る経緯からすると、被告は原告に「被告の寮又は社宅に入居できる」との説明こそしていないけれども、原告が選定した本件居宅を社宅として扱うことを了承し、その旨原告に説明していたと認めるのが相当である。
そして、社宅支給は、従業員の福利厚生にとって極めて重要な事項であり、労働条件の一部を構成するものであることに鑑みると、原告と被告は、平成一〇年三月ころ、原告に対する社宅支給を労働条件に加えるとの合意をし(以下「平成一〇年三月合意」という)、これに基づいて被告が本件賃貸借契約を締結し、本件居宅を社宅として原告に提供したと認めるのが相当であり、これに反する被告の主張及び証拠略は採用できない。
(イ) もっとも、被告が原告に入社前に社宅規程を提示したことはないし、原告も入社前は社宅規程の存在すら知らなかったのであるから、平成一〇年三月合意が社宅規程に基づく双方の負担額を定めたものと認めることはできず、これに反する証拠略は採用できない。
ただし、原告が入社直後に被告がした「家賃」名目で一万六〇〇〇円を平成一〇年四月分の給与から控除したことについて異議を述べていないことからすると、原告と被告は、遅くとも平成一〇年四月末には本件居宅の賃料について、被告負担額(社宅家賃負担金)を毎月五万四〇〇〇円、原告負担額(社宅使用料)を毎月一万六〇〇〇円とし、原告負担額(社宅使用料)を原告の毎月の給与から控除することを黙示に合意した(以下「平成一〇年四月末合意」という)と認めるのが相当である。
ウ 本件控除額変更について
(ア) 本件控除額変更は、平成一〇年四月末合意を一方的に変更し、原告の給与からの控除額を増額させるものである。
しかしながら、すでに有効に成立した当事者間の合意を有効に変更するには、法律上又は契約上の形成権を行使する場合や、いわゆる事情変更の原則を適用することが許される場合でない限り、当事者間の新たな合意を要するというべきである。また、給与からの控除額を一方的に増額させるという側面からしても、労働基準法二四条一項の要件を満たさない限り、やはり当該労働者の同意を要するというべきである。
すると、原告が本件控除額変更に抗議し、平成一三年四月一七日に社宅規程の適用を受ける限度(当時は月額一万七〇〇〇円)でしか了承していない。また、本件書面の記載が必ずしも具体的でない上、被告が本件書面配布後に対象となる従業員に個別に説明を行なっていることからすると、本件書面の配布後に対象となる従業員(原告を含む)が特段の異議を述べていないからといって、その内容に対象となる従業員(原告を含む)が同意したものともいえない。この外、労働基準法二四条一項の要件を満たすべき事実を認めるに足りる証拠はない。
したがって、本件控除額変更については、平成一〇年四月末合意で定めた原告の社宅使用料(自己負担分)を社宅規程の所定額に変更する限度でしか効力がないものといわざるを得ない。
(イ) 被告は、住居費は、本来個人で負担することが原則であり、社宅規程が公平に適用される結果、自己負担額が増額される場合であっても、被告としては、その旨該当者に通知することで給与からの控除が認められるべきものであり、逐一該当者の個別的承諾まで要しないし、労働基準法二四条の問題ではないと主張する。
しかしながら、たとえ、住居費が本来個人で負担することが原則であるべきものであること及び社宅規程の公平な適用という要請がある(これがいわゆる事情変更の原則の適用が許される場合に当たるともいえない)としても、前記(ア)で述べたとおり、本件控除額変更どおりに原告と被告の法律関係を変更するためには原告の個別同意まで要すると解するのが相当であるし、本件控除額変更が原告の給与からの控除額を一方的に増額させるものであることからすると、やはり労働基準法二四条との整合性を問題にする必要がある。
したがって、被告の前記主張は採用することができない。
エ まとめ
以上のとおり、原告には社宅規準が適用されないものの、平成一〇年三月合意によって社宅が支給され、平成一〇年四月末合意で定めた原告の社宅使用料(自己負担分)は本件控除額変更によっても社宅規程の所定額に変更する限度でしか変更されないから、原告の被告に対する社宅使用料支払債務は、本件口頭弁論終結時である平成一四年九月九日において、毎月一万八〇〇〇円を超えて存在しないと認めるのが相当である。
2 争点(2)について
原告は、被告が「社宅規程に定められた社宅家賃負担金を原告に支給すべき債務」を負担し、この債務の不履行が損害賠償責任を生じさせると主張する。
しかしながら、前記1(2)ア、イで判断したとおり、原告には社宅規程の適用がないし、平成一〇年三月合意及び同年四月末合意のいずれにおいても、被告の負担金を原告に支給することを定めていない。
また、前記第二の1(2)イのとおり、本件賃貸借契約の当事者が被告と有限会社タクトであり、本件居宅は被告が借り上げた上で原告に提供されており、原告が有限会社タクトに本件居宅の賃料を支払っていることを認めるに足りる証拠はないことからすると、被告が本件居宅の賃料を賃貸人である有限会社タクトに支払い、原告の負担金を原告の給与から控除して賃料支払債務の一部に充当しているものと認めるのが相当である(原告が実質的な貸借人であり、被告は原告の賃料支払代行者にすぎないと解することは、被告による「借上げ」という事実に反し、採用できない)。
したがって、被告が「社宅規程に定められた社宅家賃負担金を原告に支給すべき債務」を負担しているとはいえないから、原告の前記主張は失当である。
3 結語
以上の次第であり、原告の本訴請求は、原告の被告に対する毎月一万八〇〇〇円を超えた社宅使用料債務が存在しないことの確認を求める限度で理由があるからその限度で認容し、その余は理由がないから棄却することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 鈴木拓児)
(別紙) 借上社宅規程
従業員が本社、支店、営業所に転勤し、会社が認めた場合は、他人の保有する家屋を会社が借家し、社宅として居住させる。
(1) 借上社宅の間取りは、原則として課長以上は3DKその他の者は2DKとする。ただし、単身者は1Kとする。
(2) 借上社宅の入居については、次の家賃基準額を越える金額は全額個人負担とする。
<省略>
(3) 借上社宅の使用料は、月額次のとおりとする。
<省略>
(4) 上記の他、会社が特に業務上必要と認めるものについては、この限りではない。