東京地方裁判所 平成13年(ワ)7442号 判決 2002年10月15日
両事件原告
工藤信博
平成一三年(ワ)第七四四二号事件被告
株式会社損害保険ジャパン
平成一四年(ワ)第一四四五九号被告
佐藤栄治
主文
一 被告佐藤栄治は、原告に対し、一三九万〇一五〇円及びこれに対する平成一二年六月一一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 被告株式会社損害保険ジャパンは、原告の被告佐藤栄治に対する判決が確定したときは、原告に対し、一三九万〇一五〇円及びこれに対する平成一二年六月一一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
三 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
四 訴訟費用はこれを四分し、その一を原告の負担とし、その余を被告らの負担とする。
五 この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
※ 以下、両事件原告を「原告」と、平成一三年(ワ)第七四四二号事件被告株式会社損害保険ジャパンを「被告会社」と、平成一四年(ワ)第一四四五九号事件被告佐藤栄治を「被告佐藤」と、それぞれ略称する。
第一請求
一 被告佐藤は、原告に対し、一九二万九一五〇円及びこれに対する平成一二年六月一一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 被告会社は、原告の被告佐藤に対する判決が確定したときは、原告に対し、一九二万九一五〇円及びこれに対する平成一二年六月一一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二事案の概要
本件は、自己の所有する車両(以下「原告車両」という。)を路上に駐車させておいた原告が、被告佐藤の運転する車両(以下「被告車両」という。)が衝突したために原告車両が損傷を受けたと主張して、<1> 被告車両の運転者である被告佐藤に対し、民法七〇九条に基づき、修理費用、代車使用料等の損害賠償を請求するとともに、<2> 被告車両について自動車保険契約を締結していた被告会社に対し、被告佐藤が無資力であるとして、民法四二三条に基づき、被告佐藤に代位して同額の保険金の支払を請求した事案である。本件の主たる争点は、原告車両が損傷を受けた原因であり、原告車両に存する損傷のすべてが本件事故の際の被告車両との衝突によって生じたものか否かである。
一 前提となる事実(証拠を掲げた事実以外は、争いがない。)
1 本件事故の発生(甲一)
(一) 日時 平成一二年六月一〇日午前〇時三〇分ころ
(二) 場所 千葉県松戸市千駄堀一六一番地付近路上
(三) 原告車両 原告が所有する普通乗用自動車
(四) 被告車両 被告佐藤が運転し、株式会社日産ファイナンシャルサービス(以下「レンタカー会社」という。)が所有する普通乗用自動車
(五) 態様 原告が原告車両を道路左側に駐車させておいたところ、被告車両に衝突されて損傷した。
2 保険契約の締結
被告佐藤は、本件事故当時、レンタカー会社の所有に係る被告車両を借り受け、運転中であった。そして、被告会社は、本件事故日以前に、レンタカー会社との間で、被告車両について、レンタカー会社を契約者、記名被保険者とし、被告車両の借受人を許諾被保険者とし、本件事故日を保険期間内とする自動車保険契約(BAP)を締結していた。
3 被告佐藤の無資力
被告佐藤は、平成一二年秋ころ、千葉地方裁判所松戸支部に自己破産を申し立て、同裁判所において、同年九月一二日午後五時に破産宣告を受け、同年一二月七日に免責決定を得たものであり、現在、無資力である(甲七、弁論の全趣旨)。
二 争点
1 原告車両の損傷の原因
(一) 原告の主張
原告車両に存する損傷は、すべて本件事故により発生したものである。
(二) 被告会社の認否及び反論
原告の主張は、否認する。
本件事故の態様は、原告車両の右側面のすべての損傷箇所に、被告車両が衝突したというものではない。すなわち、双方の車両の損傷状況、各車両形態、自動車の運動法則などから見て、被告車両の左前部が原告車両の右前部に衝突したと考えるのが自然である。このような事故形態であると考えた場合、本件事故による原告車両の損傷は、右フェンダー部分に限定されることになる。
2 原告の損害額
(一) 原告の主張
ア 修理費用 七八万〇一五〇円
イ 代車使用料 九三万九〇〇〇円
原告は、本件事故当時、中距離トラックの運転手として稼働しており、自宅のある千葉県松戸市から職場のある埼玉県三郷市まで、原告車両で通勤していた。原告は、本件事故後、平成一二年六月一一日から同年八月三日までの間、友人を介して野村なる人物から、メルセデスベンツSEを一日一万円で借り受け、同年八月四日から九月一〇日までの間、職場の友人の知り合いで神立という人物から、マツダのセンティアを同じく一日一万円で借り受け、これらを通勤に用いていた。
平成一二年六月一一日から同年九月一〇日までの代車使用料の合計は、九三万九〇〇〇円(消費税一万九〇〇〇円を含む。)である。
ウ 弁護士費用 二一万〇〇〇〇円
エ 合計損害額 一九二万九一五〇円
(二) 被告会社の認否及び反論
ア 前記のとおり、本件事故による原告車両の損傷は、右フェンダー部分に限定されるから、原告主張の修理費用のうち、被告会社が担保すべき損害はその一部にとどまる。
イ 原告主張の代車使用料については、代車の貸主がいずれも個人であること、いかなる車種・年式の車両が貸し出されたのかも不明であること、原告に代車使用の必要性があったかどうかも不明であること、加えて、原告は既に原告車両を売却してしまっていること等の事実を総合すると、原告主張の代車料相当の損害が発生したとは考えられない。
第三争点に対する判断
一 原告車両の損傷の原因について
1 原告及び被告佐藤の述べる本件の事故態様は、次のとおりである。
(一) まず、原告は、本件の事故態様について、要旨、「本件事故当日の深夜〇時過ぎ、原告車両(キャデラック)を走行させていた際、本件事故現場の道路の左側に自動販売機を見付けた。当日は、結構強い雨が降っていたが、その時は少し小降りになっていた。そこで、飲み物を買うために、原告車両の左側半分以上を歩道に乗り上げるようにして停車させた。原告車両を降りて五~六m先の自動販売機で飲み物を買おうとしていたところ、道の両側から車が走ってくるエンジン音がしたと思ったら、突然、ガリガリガリというようなすごい音が聞こえた。驚いて振り返ると、後方から走ってきた被告車両が、原告車両の停車位置よりかなり先に行った所で止まるところであった。戻ってみると、原告車両の右側面全体が擦られて傷が付いていた。被告車両には、左側フロント部分に切り裂いたような穴が空いていた。」と述べている(甲一〇。以下「原告陳述」という。)。
(二) 次に、被告佐藤は、本件の事故態様について、原告代理人及び被告会社代理人の質問に答えて、要旨、「本件事故当時は、結構強い雨が降っていた。被告車両(日産サニー)を運転して本件事故現場付近を通過しようとしたところ、対向車が走行してきた。そこで、左へよけたが、対向車がライトを上向きにして走行してきたため、道路左側に停車していた原告車両の発見が遅れた。被告車両の左前部が原告車両の後部に衝突しそうになったので、右にハンドルを切ったが、被告車両の左のフロント部分が、擦るみたいな感じでガーッと原告車両の右側面に衝突した。最初に接触したのは、多分、原告車両の後部の方だと思う。そのままザザーと行くように、長く擦った感じがした。その時は、急いでいたからスピードを出していたかもしれないが、メーターを見ていなかったので、被告車両の速度はよく分からない。原告車両に衝突した時は、ブレーキで減速しながら当たったという感じである。原告車両の損傷は大したことがなかったが、被告車両の方は穴が空いていて損傷がひどかった。被告車両の左のフェンダーミラーは、衝突の衝撃により手前に倒れていた。」と述べている(乙六。以下「佐藤供述」という。)。
(三) 以上の原告陳述及び佐藤供述からすると、本件の事故態様は、原告車両が少なくとも車体の半分ほどを道路左側の歩道に乗り上げて停車しているところへ、被告車両が、ハンドルを右に切りながら、原告車両の右側面後部に衝突し、そのまま原告車両の右側面を擦るようにして前方へ走行した、ということになる。
2 これに対し、被告会社から工学解析を依頼された相見忍は、解析の結果、原告陳述及び佐藤供述は信用できないとして、「佐藤証言は、衝突速度が実際の双方車両の損傷状態と大きく異なるばかりでなく、自動車の固有形状から双方車両が接触することは物理的に、全くあり得ない損傷である。また、双方車両が本当に衝突したのであるならば、車両の構造上から必ず衝突しなければならない部分には衝突が認められない。双方車両の損傷で一致しているのは、キャデラックの右前の一部とサニーの左前角部だけであり、その事実を隠し、双方車両の損傷全てが当該事故のみによって生じたとしている佐藤証言から考察できることは、別の場所で、別の形態で双方車両を衝突させたとしか、逆に推定せざるを得ない。以上から、当該事故情報は、当該事故関係者による虚偽に基づくものであり、全く別の機会に、別の方法で生じさせた損傷を、あたかも一つの事故として申告した、極めて悪質な偽装事故であると判断するに至った。」という結論を導いている(乙七。以下「相見解析」という。)。
3 しかし、相見解析は、解析の手法及び解析の結論のいずれについても問題があり、採用することができない。
(一) 第一に、相見解析は、次のとおり、証拠上確定し難い事実を解析の前提とし、逆に、前提とすべき事実を解析に当たって考慮に入れていないなど、その解析の手法自体に問題がある。
ア 被告車両のスリップ痕について、相見解析は、スリップ痕が存在しないことを当然の前提にして解析を進めているが、証拠上、スリップ痕の有無はいずれとも確定し得ない。
イ 被告車両の停止位置について、相見解析は、佐藤供述を根拠に、原告車両より被告車両の全長一台分である四・三m先で停止したと推定する。しかし、被告車両の停止位置に関する佐藤供述は曖昧であり、他方、原告陳述では、被告車両の停止位置は原告車両からかなり離れた所とされているのであって、被告車両の停止位置は、証拠上、確定することが難しいといわなければならない。
ウ 被告車両の衝突時の速度について、相見解析は、時速一五km程度と推定するが、これは、イのとおり被告車両が四・三m先で停止したことを前提とするものであり、根拠が薄弱である。したがって、「サニー車の衝突速度は、サニー車のフェンダー鉄板を切り裂くほどの速度ではない」との相見解析の推論も、早計である。
エ 相見解析は、車両は卵形に近い楕円形をしているから、片方の車両が前進しながら接触しているときは、絶対に双方の側面が満遍なく接触することはできないとする。しかし、イメージ図は、車両が楕円形であることを過度に強調するものであり、実際には、車両の側面の大半は直線的な形状をしており(相見解析末尾の図面参照)、少なくともこの部分に関しては、上記の立論は成り立たない。
オ 相見解析は、原告車両のドアーノブと被告車両の左フロントフェンダーが衝突し、被告車両の同部分の鋼板が裂けたか否かについて、「サニーのフェンダーが裂けている位置とキャデラックのドアーノブの高さを比較してみたところ、双方の高さが全く異なることから、衝突のしようがないことは、何の理論も必要なく明らかな事実であることが判明した」とし、原告車両のドアーノブの位置は被告車両のフェンダーの裂けた部分より一〇cm以上高いという事実を挙げている。そして、「以上説明するまでもなく、当該事故が創作された、架空の事故であることは論を待たない」という結論を導いている。
しかし、原告陳述によれば、原告車両は少なくとも車体の半分ほどを歩道に乗り上げて停車していたというのであり、この事実は相見自身も否定していないと見られるところ(乙一)、乙五によれば、当該歩道は車道と二〇cmくらい段差のあることが認められる。そうすると、原告車両はある程度車道側に傾いた状態で停車していたと考えられるのに、相見解析は、この事実を前提にすることなく、平面における双方車両の部位の高さの比較だけから損傷の発生する可能性を検討している。
カ 相見解析は、被告車両のフェンダーの裂けた部分の周辺には衝突痕跡がないが、被告車両の運動上の制約から、フェンダー以外に亀裂損傷を及ぼさずに被告車両が原告車両に接触衝突することは不可能であるとする。しかし、被告車両が原告との衝突時にどのような動きをしたのかは、証拠上、確定することが困難であり、相見解析の述べるように、被告車両の衝突時の動きを、直進するか、大きく円運動をするかのいずれかに限定する理由はない(この点につき、佐藤供述参照)。相見解析は、被告車両の損傷の生ずる可能性について十分な検討をしているとはいえない。
キ 相見解析は、被告車両のフェンダーミラーのボディは全く損傷していないが、原告車両と衝突したのであれば、全く無傷であるわけがないという。確かに、乙四の写真八からは、被告車両のフェンダーミラーのボディに特に損傷があるようには見えないが、ミラーが衝突と同時に内側に倒れたとすれば(佐藤供述参照)、写真から判別し得るような損傷がなくとも不自然とはいえない。一方、原告車両のミラーについては、その位置からして、フェンダーミラー以外の被告車両の車体部分と接触しない可能性は十分にあると考えられるが、この点は、相見解析の説明からは判然としない。
ク 相見解析は、原告車両の右側面に被告車両が衝突したとすれば、原告車両の車体外側に出っ張っている前後のタイヤアーチに損傷がないのは不自然であるとし、「したがって、キャデラック右側面には、サニー車によっては着けることが出来ない傷が、多数あることに他ならない」というが、オのとおり、原告車両がある程度車道側に傾いた状態で停車していたという事実を前提とした場合に、前後のタイヤアーチに損傷がないことを合理的に説明し得ないのかどうかは、相見解析では言及されていない。
(二) 第二に、相見解析の結論は・原告と被告佐藤とが通謀の上、全く別の機会に別の方法で生じさせた損傷を、あたかも本件事故により生じた損傷として申告したというものであるが、このような原告と被告佐藤との通謀の事実や別の事故の存在を窺わせる証拠は全くない。
まず、原告と被告佐藤との通謀に関しては、通謀の事実それ自体を直接に裏付ける証拠がないのはもとより、本件事故前に原告と被告佐藤との間に何らかの人的な関係があった事実や何らかの接触があった事実のように、通謀の事実を推認させるべき間接事実も、証拠上、一切認めることができない。さらに、別の事故なるものに関しても、証拠上、その存在を窺うことはできず、少なくとも被告車両に関しては、レンタカーの借出時間等からその発生の可能性を調べる余地はあると思われるのに、被告会社においてこの点を調査した形跡もない。
(三) 以上のとおりであって、相見解析は、解析の手法及び解析の結論のいずれの観点からしても、採用し得ない。
4 ところで、甲八、乙二、三の原告車両の写真からすると、原告車両の車体右側面に見られる擦過損傷は、側面前部から後部まで、ほぼ均一の形状を保って帯状に印象されており、これらは一体として、同一の事故により生じた損傷であると認めるのが自然である。そして、前記の原告陳述及び佐藤供述からすると、少なくともこれら原告車両の車体右側面に見られる擦過損傷は、本件事故により生じたものと認めるのが相当である。原告車両については、本件事故以外の事故に遭って損傷したことを認めるべき証拠はなく、そのように推論すべき合理的な根拠も存しない。
したがって、原告車両に存する損傷は、すべて本件の被告車両との衝突事故により生じたものと認めるほかはない。
二 原告の損害額について
1 修理費用 七八万〇一五〇円
甲二によれば、原告車両は、本件事故により、修理費用七八万〇一五〇円を要する損傷を被ったことが認められる。
2 代車使用料 四〇万〇〇〇〇円
甲三の一・二、九によれば、(一) 原告は、本件事故当時、中距離トラックの運転手として稼働しており、自宅のある千葉県松戸市から職場のある埼玉県三郷市まで、原告車両(キャデラック)を使用して通勤していたこと、原告方から最寄りの駅までは徒歩で一五分以上かかり、また、勤務先から最寄りの駅までも徒歩で二〇分以上かかるため、自動車を使用しない場合には、通勤が大変不便であったこと、(二) 原告は、本件事故により、原告車両を修理工場に預けることになり、通勤の手段がなくなったため、平成一二年六月一一日から同年八月三日までの間、職場の友人を介して野村康宏から、メルセデスベンツSEを一日一万円で借り受けて、通勤に使用したこと、(三) また、原告は、同年八月四日から同年九月一〇日までの間、職場の友人の知り合いの神立出から、マツダ・センティアを同じく一日一万円で借り受け、通勤に使用したこと、(四) 同年六月一一日から同年九月一〇日までの三か月間の代車使用料は、合計九二万円(消費税を含まない金額)であることが認められ、この認定を覆すに足りる証拠はない。
ところで、代車使用料が認められるのは、本件のように被害車両が修理可能な場合には、相当な修理期間についてであるが、これには、修理自体に要する期間のほか、事情に応じて見積りその他の交渉をするのに必要な期間も含まれるものと解される(東京地裁平成一二年三月一五日判決・交民集三三巻二号五三五頁参照)。そして、被害者としては、修理費用の負担に関する保険会社の意向にかかわりなく、自らの判断で修理に着手することができるけれども、保険会社と修理工場との間で協定が成立してから修理が行われるのが一般的な慣行であることからすれば、保険会社が協定の締結を拒絶して修理費用を負担しないという態度を明確にするか、それ以前であっても合理的な検討期間が経過するまでの間は、被害者が自ら修理に着手しないとしても無理からぬものというべきである。本件においては、被告会社が偽装事故の疑いがあるとして損傷の整合性等を調査し、最終的に修理費用を負担しない態度を明確にしたものであるところ、証拠上、原告ないし修理工場と被告会社との交渉の経緯や被告会社の調査の経過は明らかではないが、少なくとも本件事故から一か月程度の間は、原告が交渉の推移等を見守り、自ら修理に着手しなかったとしても、やむを得ないものと考えられる。
そこで、本件においては、修理自体に要する期間と合わせて合計一か月半を、代車使用料が認められるべき相当な修理期間として認定するが、一日当たりの代車使用料の相当性について十分な立証がないことを考慮して、原告の支出した前記代車使用料のうち四〇万円の限度で、本件事故と相当因果関係のある損害と認める。
3 弁護士費用 二一万〇〇〇〇円
本件事案の内容、本件訴訟の経過、原告代理人の訴訟活動の内容(殊に、原告代理人は、出廷に難色を示す被告佐藤から事情を聴取するため、被告会社代理人と共に遠方まで出向いていること)、本件の認容額その他諸般の事情を考慮すると、本件事故と相当因果関係のある弁護士費用の額は、原告請求に係る二一万円を下回るものではないというべきである。
4 合計損害額 一三九万〇一五〇円
第四結論
以上によれば、原告の請求は、被告らに対し(ただし、被告会社に対する債権者代位権に基づく請求に関しては、原告の被告佐藤に対する判決が確定することを条件として)、各自、一三九万〇一五〇円及びこれに対する本件事故の後である平成一二年六月一一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し、その余は失当として棄却することとして、主文のとおり判決する。
(裁判官 河邉義典)