大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 平成13年(特わ)3849号 判決 2001年10月26日

主文

被告人を懲役10月に処する。

未決勾留日数中30日をその刑に算入する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は,常習として,平成13年9月2日午前7時16分ころから同日午前7時19分ころまでの間に,東京都足立区a丁目b番c号所在のA旅客鉄道株式会社B駅から同区c町d番e号所在のA社C駅に至るまでの間を進行中の電車内において,D(当時28歳)に対し,右手でDの着衣の上から陰部付近を撫で,もって,公共の乗物において,人を著しくしゅう恥させ,かつ,人に不安を覚えさせるような卑わいな行為をしたものである。

(量刑の理由)

被告人には,同種犯行による4回の罰金前科,5回の懲役前科があること,本件犯行は,前刑出所後,仕事で電車に乗らなくてもよいようにと茨城県内の養鶏場に住み込みで働いていた被告人が,平成13年9月1日仕事が辛く無断で同所を飛び出した翌日に敢行したものであること等の事情に照らすと,被告人には,この種犯罪についての誠に根深い犯罪性向が認められるといわざるを得ない。また,公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(東京都条例)の改正により,いわゆるちかん行為に対する処罰が加重され,平成13年9月1日から施行されたものであるところ,婦人警官であるDの処罰感情にも極めて厳しいものがある。

そうすると,被告人の刑事責任は相応に重いというべきであり,被告人が本件犯行を反省悔悟していること等,被告人に対して斟酌すべき事情も考慮した上,主文の刑を量定することとした。

よって,主文のとおり判決する。

(求刑 懲役1年)

(裁判官 植村稔)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例