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東京地方裁判所 平成14年(レ)122号 判決 2002年12月05日

控訴人

吉川将平

被控訴人

鈴木実

主文

一  原判決を次のとおり変更する。

二  控訴人は、被控訴人に対し、六万五〇〇九円及びこれに対する平成一三年五月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  被控訴人は、控訴人に対し、二六万九六九〇円及びこれに対する平成一三年五月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

四  控訴人及び被控訴人のその余の請求をいずれも棄却する。

五  訴訟費用は、第一・二審とも、本訴・反訴を通じてこれを五分し、その三を控訴人の負担とし、その余を被控訴人の負担とする。六 この判決は、第二項及び第三項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一控訴人の求めた裁判

一  原判決を次のとおり変更する。

二  被控訴人の本訴請求を棄却する。

三  被控訴人は、控訴人に対し、六四万六五九七円及びこれに対する平成一三年五月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

本件は、後記の被控訴人運転車両(以下「鈴木車」という。)と控訴人運転車両(以下「吉川車」という。)との間に発生した交通事故(以下「本件事故」という。)によって両当事者が被った損害に関して、被控訴人が控訴人に対し、民法七〇九条に基づき(本訴)、また、控訴人が被控訴人に対し、民法七〇九条及び人的損害部分については自動車損害賠償保障法三条に基づき(反訴)、それぞれ損害賠償を請求している事案である(なお、控訴人は、当審において、反訴請求を六四万六五九七円に減縮した。)。

一  前提となる事実

(1)  本件事故の発生

ア 日時 平成一三年五月一日午前六時五〇分ころ

イ 場所 東京都小平市小川町一丁目四五〇番地先路上(以下「本件事故現場」という。)

ウ 鈴木車 自家用普通乗用自動車(多摩七九ゆ二六五五)

同運転者・保有者 被控訴人

エ 吉川車 自家用普通自動二輪車(多摩の九九四四)

同運転者 控訴人

(2)  本件事故の態様

L字型の曲路(別紙図面参照)に接続する直線道路(以下「南北道路」という。)を直進走行していた鈴木車の右前部に、曲路の曲がり角を挟んで反対側の直線道路(以下「東西道路」という。)から曲がり角を越えて左折進行してきた吉川車が、鈴木車との衝突を回避しようと控訴人によって左側に倒された結果、滑走して衝突した。

二  争点

(1)  双方の過失の有無及び過失割合

(控訴人の主張)

被控訴人は、鈴木車を運転し、曲路の曲がり角の手前において、曲がり角付近に設置されたカーブミラー(別紙図面に「カーブミラー」と記載されているもの)に吉川車が映っていたにもかかわらず、吉川車の発見が遅れ、かつ、鈴木車を南北道路の左側に避譲させる措置ないし危険回避の措置を採らずに右側寄りを走行させ、吉川車の走行を妨害したものである。したがって、本件事故は、被控訴人の前方注視義務違反、安全運転義務違反、道路の右側を進行した過失によって発生したものであり、被控訴人は、控訴人に対し、民法七〇九条及び自動車損害賠償保障法三条に基づき損害賠償責任を負う。

一方、控訴人は、吉川車を運転し、東西道路の左側の車道外側線に沿って進行したものであるが、控訴人の進行側からはカーブミラーによって南北道路の状況を確認することが難しく、曲路の曲がり角付近まで達した時点でもカーブミラーには鈴木車が映っていなかったのであるから、控訴人に前方不注視の過失が認められるとしても、その過失割合は二割を超えることはないというべきである。

(被控訴人の主張)

控訴人は、曲路を左折するに当たり、左折先である南北道路の見通しが悪かったのであるから、吉川車を徐行させ、かつ、カーブミラーによって南北道路を走行する車両の有無及び動静を注視すべき注意義務があるにもかかわらず、これらを怠り、漫然と進行した過失がある。したがって、本件事故は控訴人の過失によって発生したものであり、控訴人は、被控訴人に対し、民法七〇九条に基づき損害賠償責任を負う。

(2)  控訴人の損害額

(控訴人の主張)

控訴人の損害額合計 六四万六五九七円

ア 治療費 一〇万七〇二五円

控訴人は、本件事故によって負った傷害の治療のために次のとおり通院し、その治療費として計一〇万七〇二五円を要した。

(ア) 平成一三年五月一日 南台病院 九七二五円

(イ) 同月二日~同月一四日 東大和病院 二万〇一二〇円

(ウ) 同月二〇日~同年七月一三日 松前整形外科 七万七一八〇円

イ 通院慰謝料 三〇万〇〇〇〇円

ウ 吉川車の修理費用 二五万〇一一〇円

吉川車の修理費用として計二七万一七九〇円が見積もられており、購入してから二か月程度が経過していることを考慮しても、同見積額の九割は損害として認められるべきである。

エ その他部品等の費用 八万八六一二円

前記ウの費用の他に、本件事故によってヘルメット、グローブ、作業衣等が損傷したので、少なくとも、その購入費用である合計一一万〇七六六円の八割に当たる八万八六一二円は、本件事故と相当因果関係のある損害として認められるべきである。

オ ア~エの合計 七四万五七四七円

カ 過失相殺後の残額 五九万六五九七円

前記オの七四万五七四七円から、控訴人の過失割合である二割を控除すると、五九万六五九七円となる。

キ 弁護士費用 五万〇〇〇〇円

(被控訴人の認否・反論)

控訴人の主張のうち、ア(ア)について認め、ア(イ)(ウ)は不知、その余は否認する。なお、ア(ア)の南台病院に係る治療費九七二五円は被控訴人が支払ったものであるから、この額は控訴人の損害額から控除すべきである。

(3)  被控訴人の損害額

(被控訴人の主張)

被控訴人の損害額合計 九万九六三〇円

ア 修理費用 八万四六三〇円

イ 弁護士費用 一万五〇〇〇円

(控訴人の認否)

いずれも不知。

第三当裁判所の判断

一  双方の過失の有無及び過失割合(争点(1))について

(1)  証拠(甲一、二の一ないし三、三、四の一ないし五、五、乙一、三ないし五、九ないし一二。ただし、甲二の一、乙九、一〇については、後記採用できないとした部分を除く。)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実を認めることができる。

ア 本件事故の発生した曲路の状況は、概ね別紙図面(平成一三年五月一日付け実況見分調書添付現場見取図)のとおりであり、鈴木車が進行していた南北道路(全体の幅員は約四・七mであり、左右両側には幅員各約〇・五mの路側帯がある。)と、吉川車が進行していた東西道路(全体の幅員は約五・八mであり、左右両側には路側帯がある。)とがL字型に接続した道路である(以下、両道路の接続部を「本件交差地点」という。)。本件交差地点付近には両道路に接続する道路は他に存在せず、同地点の内側の角は車両の通行が容易になるようにわずかながら内側に折れている。両道路の路面は、アスファルトで舖装されており平坦である。

イ 南北道路の鈴木車進行方向の左側で本件交差地点直前には、「かちどき薬局」という名称の薬局(以下「薬局」という。)があり、更にその少し先には、南北道路から東西道路の状況を、東西道路から南北道路の状況を、それぞれ確認するためのカーブミラーが設置されている。南北道路の鈴木車進行方向の右側及び東西道路の吉川車進行方向の左側には、それぞれ三m以上の高さの塀ないし建造物があり、カーブミラーを通さずに互いの道路の状況を確認することは不可能である。

そして、カーブミラーによる南北道路から東西道路の視認状況については、カーブミラーの設置場所が元々南北道路の側端からやや奥まっていることに加え、薬局の一階軒先に庇が張り出しているために、薬局の付近にまで来ないとカーブミラーに映る東西道路の状況を確認することは困難な状況である。

一方、カーブミラーによる東西道路から南北道路の視認状況については、カーブミラーが東西道路突き当たりのほぼ中央に位置しており、直接カーブミラーを遮るような障害物等はない。しかし、前記のように、カーブミラーが南北道路の側端からやや奥まっていること、薬局の庇が張り出していることから、南北道路を走行する車両が薬局の手前付近にまで来ないと、カーブミラーにその姿が映らず、東西道路からカーブミラーによって同車両を確認することは困難である。また、南北道路を走行する車両が道路の左端や右端に寄って走行した場合にも、カーブミラーによる同車両の確認は困難になる。

ウ 東西道路の吉川車進行方向の右側には「南台病院」という名称の病院(以下「病院」ともいう。)があり、病院の入口が、東西道路端(南北道路の鈴木車進行方向左側端)約一・五mの地点から幅員約五・七mにわたって存在する。

なお、本件事故発生当時の天候は晴天であり、本件事故現場付近に他の車両は走行していなかった。

エ 被控訴人は、立川通り方面から自己の勤務する南台病院に行くために、鈴木車を運転し、南北道路の中央やや左寄りを、時速約三〇kmで走行していた。その結果、鈴木車からは、道路左寄り一杯に進行するよりは、東西道路を走行する車両をカーブミラーを通じて確認することは比較的容易であったが、これを目視で直接確認することはやや困難であった。被控訴人は、南北道路をほぼ毎日走行しており、本件事故現場付近の状況をよく知っていた。

一方、控訴人は、本件事故現場から約一〇〇mの距離にある自宅から立川通り方面に行くために、吉川車を運転し、東西道路の左側の車道外側線に沿って時速約二〇kmで走行していた。控訴人は、本件事故に至るまでに東西道路を何回か走行しており、本件事故現場付近の状況をよく知っていた。

オ 控訴人は、本件交差地点の一〇mくらい手前の地点(別紙図面の

’点付近)で吉川車を減速させ始めたが、同地点では鈴木車の存在には気付いていなかった。そして、控訴人は、時速約二〇kmをやや下回る速度で本件交差地点を曲がっている最中に、別紙図面の<ア>点付近で初めて鈴木車の存在に気付いたが、ブレーキを掛ける余裕がなかったので、鈴木車との衝突を回避するために吉川車のハンドルを左方に切り、自らは吉川車から離れて、地面に転倒した。無人となった吉川車は、転倒したまま約六・四m滑走し、同車の右前部が鈴木車のフロントバンパー右側に衝突した。

一方、被控訴人は、本件事故現場の約七・七m手前の地点(別紙図面の<1>点)でカーブミラーに映った吉川車の存在に気付き、鈴木車を減速させ始めた。そして、被控訴人は、本件事故現場の約四・九m手前の地点(別紙図面の<2>点)に差し掛かった時、本件交差地点を曲がり自車に向かってくる吉川車を直接目視し、急ブレーキを掛けたが、左側に転倒した状態で滑走してきた同車を避けきれず、前記衝突に至った。

なお、両者がカーブミラーを介さずに直接互いの存在を目視したのは、両車両の距離が約一一・一mに近づいた地点であった。

カ 控訴人は、吉川車から離れて転倒した際、左前腕挫傷、右母指・頭部・腰部・全身打撲、頸椎・腰椎捻挫、左肋骨骨傷の各傷害を負った。

(2)  ところで、被控訴人は、東西道路を走行していた控訴人が、カーブミラーによる南北道路を走行する車両の有無及び動静の確認を怠ったまま、速度を落とすことなく本件交差地点に至ったのが、本件事故の主たる原因であると主張し、原審における被控訴人本人の尋問結果を反訳した乙一〇にはこれに沿う記載がある。しかしながら、控訴人はカーブミラー自体を見ていたもののカーブミラーには鈴木車は映っていなかったと供述しているところ(乙九)、前認定の事実からすれば、鈴木車の走行位置によっては、控訴人がカーブミラーにより鈴木車の存在及び動静を確認するのが困難な場合があると考えられるから、控訴人がカーブミラー上に鈴木車を認めていなかったことをもって、直ちに、控訴人にカーブミラーによる確認を怠った過失があるということはできない。この点に関し、甲二の一には、東西道路からカーブミラーによる南北道路の状況確認は容易である旨の株式会社損害保険リサーチの調査担当者による記載があり、確かに、甲二の二の写真(一〇丁目上のもの)から見る限りでは、南北道路を走行する車両がカーブミラーに映っていることが認められるが、同車両の位置関係によってはカーブミラーに映らないことがあるのは前記のとおりであって、必ずしも吉川車から南北道路の状況確認が容易であるとはいい難く、前記記載は採用できない。

したがって、被控訴人の前記主張のうち、控訴人がカーブミラーによる確認を怠ったとする部分は理由がない。

(3)  一方、控訴人は、吉川車の速度を自転車程度に落としており、カーブミラーで吉川車を確認したにもかかわらず避譲措置を採るのを怠った被控訴人の過失が、本件事故の主たる原因であると主張し、原審における控訴人本人の尋問結果を反訳した乙九にはこれに沿う記載がある。しかしながら、前認定のとおり転倒後の吉川車の滑走距離が約六・四mあったこと、後記二(1)イのように控訴人の負った傷害の内容が約二か月半の通院を要するものであったことからすると、本件事故発生時の吉川車の速度は控訴人の主張する自転車程度の速度よりも相当速かったものと考えられ、控訴人の前記供述は直ちに採用することができない。したがって、控訴人の前記主張のうち、吉川車の速度に関する部分は理由がない。

(4)  以上の事実に加えて、控訴人が吉川車を購入したのが平成一三年二月又は三月の初めころであり、購入から本件事故発生まで約二か月しか経過していない上、控訴人が自動二輪車の運転免許を取得してから初めて乗った自動二輪車が吉川車であり、自動二輪車の運転にさほど熟達していたわけではなかったこと(甲二の三、乙九)も考慮すると、控訴人には、東西道路を走行するに当たり、カーブミラーでは南北道路の確認が容易ではなかったのであるから、南北道路を走行してくる車両の存在を予想して、これとの衝突を回避し得るよう吉川車の速度を落として走行すべき注意義務があったにもかかわらず、これを怠り、漫然と時速約二〇kmをやや下回る速度で走行しつつ左折した過失があり、これが本件事故の主たる原因と認められる。

一方で、被控訴人においては、カーブミラーで吉川車が進行してくるのを認識した以上、吉川車の走行状況を注視した上、鈴木車を左側に寄せて徐行させ、又は一旦停車させ吉川車の通過を待つなどして吉川車と安全に擦れ違うことができるようにすべき注意義務があったにもかかわらず、これを怠った過失がある。

そして、双方の過失の態様を対比すると、南北道路の走行車両の存在が予想されるにもかかわらず速度を十分に落とさなかった控訴人の過失の方がより重いものというべきであるが、吉川車が自動二輪車であることも考慮すると、双方の過失割合は控訴人六五:被控訴人三五と認めるのが相当である。

二  損害額(争点(2)、(3))について

(1)  控訴人の損害額 三〇万六三三六円

ア 治療費 一〇万七〇二五円

証拠(甲六、乙四ないし八、一一)によれば、控訴人は本件事故によって負った傷害の治療のために次のとおり通院し、その治療費として計一〇万七〇二五円を要したことが認められる。

(ア) 平成一三年五月一日 南台病院 九七二五円

(イ) 同月二日~同月一四日 東大和病院 二万〇一二〇円

(ウ) 同月二〇日~同年七月一三日 松前整形外科 七万七一八〇円

イ 通院慰謝料 三〇万〇〇〇〇円

前認定の本件事故による控訴人の受傷内容のほか、通院加療日数(通院期間七四日間、通院実日数二二日)等を総合考慮すると、通院慰謝料は三〇万円と認めるのが相当である。

ウ 吉川車の修理費用 二四万三七九〇円

証拠(乙一、一二)及び弁論の全趣旨によれば、吉川車の修理費用として計二七万一七九〇円が見積もられていることが認められる。しかし、このうち、マフラーサイレンサーの交換費用(二万八〇〇〇円)については、傷の外見及び本件事故の態様からして、マフラーの傷は本件事故によって生じたとは認められないから、前記見積額二七万一七九〇円からマフラーサイレンサーの交換費用相当額二万八〇〇〇円を控除した二四万三七九〇円を本件事故と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。

エ その他部品等の費用 三万三二二九円

控訴人は、前記ウの費用の他に、本件事故によってヘルメット、グローブ、作業衣等が損傷したので、その購入費用が本件事故と相当因果関係を有する損害に当たると主張するところ、乙二として控訴人が購入費用として合計一一万〇七六六円を要した旨の控訴人作成の証明書が提出されており(なお、同証明書にヘルメットの購入金額として「二七〇〇〇〇」との記載があるが、これは「二七〇〇〇」の明らかな誤記である。)、乙九にもこれに沿う部分がある。しかしながら、前記ヘルメット等が本件事故によって全損(又はいわゆる経済的全損)の状態になったという立証はない上、前記購入費用の相当性についても何ら客観的証拠がない。また、ヘルメット、グローブ及び作業衣については本件事故後も使用を継続している旨の控訴人の供述もあり(乙九)、以上からすると、前記購入費用の全額が本件事故と相当因果関係を有する損害となるとは認められない。そこで、前認定の本件事故の態様、控訴人本人の供述内容(乙九)等を総合考慮し、控訴人主張の購入費用の三割を本件事故と相当因果関係のある損害と認めることとする。その額は、三万三二二九円(円未満切捨て。以下同じ)となる。

オ ア~エの合計 六八万四〇四四円

カ 過失相殺後の残額 二三万九四一五円

前記オの六八万四〇四四円から、前記一(4)で認定説示の過失割合に従って六五%を控除すると、二三万九四一五円となる。

キ 損害填補後の残額 二二万九六九〇円

証拠(甲六)によれば、前記ア(ア)の治療費九七二五円が被控訴人によって支払われたことが認められるから、この額は前記カの損害額から控除すべきである。控除後の額は二二万九六九〇円となる。

ク 弁護士費用 四万〇〇〇〇円

本件の事案の内容、審理の経過、認容額等にかんがみると、本件事故と相当因果関係のある弁護士費用は四万円と認めるのが相当である。

ケ 合計 二六万九六九〇円

(2)  被控訴人の損害額 六万五七七八円

ア 修理費用 八万四六三〇円

証拠(甲三、四の一ないし五)によれば、鈴木車の修理費用として八万四六三〇円を要したことが認められる。

イ 過失相殺後の残額 五万五〇〇九円

前記アの八万四六三〇円から、前記一(4)で認定説示の過失割合に従って三五%を控除すると、五万五〇〇九円となる。

ウ 弁護士費用 一万〇〇〇〇円

本件の事案の内容、審理の経過、認容額等にかんがみると、本件事故と相当因果関係のある弁護士費用は一万円と認めるのが相当である。

エ 合計 六万五〇〇九円

三  結論

以上によれば、被控訴人の本訴請求は、控訴人に対し、六万五〇〇九円及びこれに対する本件事故日である平成一三年五月一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において、また、控訴人の反訴請求は、被控訴人に対し、二六万九六九〇円及びこれに対する本件事故日である平成一三年五月一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において、それぞれ理由があるから、これらを認容すべきであり、控訴人及び被控訴人のその余の請求はいずれも棄却すべきである。よって、これと異なる原判決は不当であるから、原判決を変更することとして、主文のとおり判決する。

(裁判官 河邉義典 森剛 石田憲一)

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