東京地方裁判所 平成14年(ワ)4049号 判決 2002年9月30日
原告
A野太郎
訴訟代理人弁護士
中村昌典
被告
C川こと B山春夫
主文
一 被告は、原告に対し、一七万一六二〇円並びにうち一六万二〇〇〇円に対する平成一二年一一月二八日から及びうち九六二〇円に対する同年一二月一二日からいずれも支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 被告は、原告に対し、一〇万円を支払え。
三 原告のその余の請求を棄却する。
四 訴訟費用は、これを二〇分し、その一を原告の負担とし、その余は被告の負担とする。
五 この判決は、原告勝訴部分に限り、仮に執行することができる。
事実
第一請求
一 被告は、原告に対し、一九万二〇〇〇円及びこれに対する平成一二年一一月二八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え(民法七〇四条に基づく不当利得返還請求)。
二 主文第二項と同旨(不法行為に基づく損害賠償請求)
第二当事者の主張
一 請求原因
(1) 民法七〇四条に基づく不当利得返還請求
ア 被告は、貸金業者である。
イ 原告は、別表一の番号一記載のとおり、被告から金員の貸付けを受け(以下「本件貸付け」という。)、その後、同表の番号二ないし九記載のとおり、八回にわたり、被告に対して利息の支払をした。
ウ 上記イによれば、本件貸付けにおける約定利率(以下「本件約定利率」という。)は、年七五〇パーセントにも上ることになり、したがって、本件貸付けにおける利息の約定(以下「本件利息契約」という。)については、公序良俗に反するものとして、利息制限法所定の利率の範囲内の部分も含め、その全部が無効であるというべきである。
エ よって、原告は、被告に対し、悪意の不当利得として、原告が被告に対して支払った利息の合計額(二四万円)から原告が被告から交付を受けた金員の額(四万八〇〇〇円)を控除した残金一九万二〇〇〇円及びこれに対する七回目の利得の日の翌日である平成一二年一一月二八日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による利息の支払を求める。
(2) 不法行為に基づく損害賠償請求
ア 請求原因(1)ア(被告が貸金業者であること)のとおり
イ 請求原因(1)イ(本件貸付け、取引経過等)のとおり
ウ 上記イによれば、本件約定利率は、年七五〇パーセントにも上ることになり、したがって、被告が原告との間で本件利息契約を締結し、これに基づき原告から利息を受領したことは、いずれも出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という。)に違反し、原告に対する不法行為に該当する。
エ 原告は、被告の上記ウの行為により、多額の金員の支払を余儀なくされ、また、その支払を強制され、更に、そのための金策に苦しまざるを得ず、多大の精神的苦痛を被った。これに対する慰謝料は、一〇万円を下らない。
オ よって、原告は、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償として、一〇万円の支払を求める。
二 請求原因に対する認否
(1) 請求原因(1)ア及び同(2)アは認める。
(2)ア 請求原因(1)(イ)及び同(2)イのうち、本件貸付けの日及びその金額、天引きがされたとの事実、被告が原告に対して支払った金員の名目並びに別表一の番号九記載の支払にかかる金額は否認し、その余は認める。
イ 被告は、本件貸付けに際し、何らの天引きも行っていない。
ウ 被告が原告に対して支払った金員の名目は、約定利息及び元本である。
エ 本件貸付けの日及びその金額並びに同貸付けの後の取引経過は、別表二記載のとおりである。
(3)ア 請求原因(1)ウのうち、本件約定利率が年七五〇パーセントであるとの事実は否認し、本件利息契約が公序良俗に反し無効であるとの主張は争う。
イ 本件約定利率は、年二九パーセントである。
(4)ア 請求原因(2)ウのうち、本件約定利率が年七五〇パーセントであるとの事実は否認し、本件利息契約の締結及びこれに基づく利息の受領が原告に対する不法行為に該当するとの主張は争う。
イ 本件約定利率は、年二九パーセントである。
(5) 請求原因(2)エは否認し、争う。
理由
第一不当利得返還請求について
一 請求原因(1)ア(被告が貸金業者であること)について
請求原因(1)アの事実は、当事者間に争いがない。
二 請求原因(1)イ(本件貸付け、取引経過等)について
(1) 原告の被告に対する支払について
ア 原告が被告に対し別表一の番号二ないし八記載のとおり本件貸付けにかかる金員を支払ったとの事実は、当事者間に争いがない。
イ(ア) 別表一の番号九記載の取引につき、原告が被告に対し本件貸付けにかかる金員として少なくとも九六二〇円を支払ったとの事実は、当事者間に争いがない。
(イ) 同取引につき、原告は、本人尋問において、「一二月に入って一度も支払をしていない」旨供述し、その陳述書(甲七)にも、「結局、一二月九日のボーナスでやりくりができなかった」旨の記載があり、また、《証拠省略》によれば、原告訴訟代理人中村昌典弁護士(以下「中村弁護士」という。)も、平成一四年二月四日付けで被告に対し裁判外の和解の申入れをした際、原告が平成一二年一二月中に被告に対する支払をしていないことを前提としていたものと認められ、本訴の訴状においても、同様に、原告が同月中に被告に対する支払をしていないことが前提とされており、その他、原告が被告に対し本件貸付けにかかる金員として同月中に九六二〇円を超える金員を支払ったとの事実を認めるに足りる証拠はない。
ウ 以上によれば、原告の被告に対する支払の経過は、別表三の番号二ないし九記載のとおりとなる。
(2) 本件貸付けの日及び金額、天引きの有無、名目及び金額並びに被告が原告に対して支払った金員の名目について
ア 原告は、本件尋問及びその陳述書において、大要、次のとおりの供述ないし記載をしている。
(ア) 平成一二年四月(以下、平成一二年中の日付については、年の記載を省略することがある。)末ころ、被告の担当者から貸付けの勧誘を受けた。五月の連休明けころ、被告の店舗に赴き、乙イ四の借入申込書(以下「申込書」という。)に所定事項を記入し、審査を受けたが、被告から貸付けを受けることはできず、他の金融業者を紹介され、そこから一〇万円を借り入れた。
(イ) 五月下旬ころ、再度、被告の担当者から貸付けの勧誘を受け、同月の給料日(二六日)の前後ころ、被告の店舗に赴いた。借入れ希望額について訪ねられた際、二〇万円であると答えたが、結局、額面八万円の貸付けしか受けることができず、また、利息三万円及び手数料二〇〇〇円を天引きされ、実際に受け取った金員の額は、四万八〇〇〇円であった。返済条件は、毎月の給料日(二六日)に利息として三万円を被告の店舗に持参して支払い、七月一〇日に支給されるボーナスにより完済するというものであった。
(ウ) 上記(イ)の際、被告宛の借用証書を作成したが、元本が二〇万円であるとの記載をした記憶はない。また、この借用証書については、毎月二六日に利息の支払のため被告の店舗に赴いた際、書き換えるという約束になっており、現に、振込送金の方法によった場合も含め、利息を支払い、又はこれを支払った際には、必ず被告の店舗に赴き、借用証書の書換えを行った。なお、当該事換えが行われたいずれの機会においても、元本が二〇万円であるとの記載をした記憶はない。
(エ) 七月一〇日に支給されたボーナスにより完済するとの前記(イ)の条件を守ることはできなかったところ、被告の担当者から、三万円の利息を支払えば継続してやると言われ、その後、一一月まで、毎月二六日から二八日の間に利息として三万円を支払ってきた。
(オ) 一一月の支払日に被告の担当者と連絡をとり、一、二日待ってほしい旨申し入れたところ、一二月に支給されるボーナスにより一括で返済してほしい旨言われた。その際、被告の担当者に金額を確認すると、八万円であるとのことだった。当該ボーナスは、同月九日に支給されたが、結局、被告に対する支払をすることはできず、中村弁護士に債務整理の依頼をした。
イ ところで、被告は、本人尋問及びその陳述書(乙イ六)において、その主張(別表二記載のとおり)に沿う供述ないし記載をしており、また、原告の上記アのとおりの供述ないし記載の内容に反する書証(乙イ一の顧客貸出元帳(以下「元帳」という。)、申込書及び乙イ五の金銭借用証書(以下「本件借用証書」という。)が提出されているので、これらについて検討する。
(ア) 元帳について
a 元帳には、起票日欄に「五月九日」との、同日の残高欄に「二〇万円」との各記載がある。
b しかしながら、元帳の次回予定日欄の各記載(合計八個)は、「五月二六日」との記載を除き、いずれも対応する入金日欄記載の日付と同一の日付が記載されており、また、上記次回予定日欄の各記載のうち、「七月一一日」との記載は、被告が本人尋問及び陳述書において供述ないし記載する支払期日(七月一〇日)と異なるものであり、また、「九月二七日」及び「一〇月二七日」との各記載も、本件借用証書に記載された約定の支払期日(毎月二六日)と異なるものであるところ(なお、「八月二八日」、「一一月二七日」及び「一二月一一日」との各記載については、これらの日がいずれも月曜日であるため、約定の支払期日を記載したものと考えられなくもない。)、このように元帳の次回予定日欄に約定の支払期日と異なる日付を記載し、しかも、それが実際に支払がなされた日付と同一であるというのは、極めて不自然であり、また、後記cのとおり、この点についての被告の供述が不合理であることや、被告が、中村弁護士に対する甲四の書簡(以下「被告書簡」という。)において、「記憶では、平成一〇年か一一年に貸付けをし、金額は、一〇万円ないし一五万円だと思う。金銭借用証書及び借入申込書は処分した。今後、通知してもらっても分からないので、ご遠慮いただきたい」旨の記載をしていることなどにも照らすと、元帳については、本訴に対する応訴のため、後日作成されたとの疑いが極めて濃厚であり、その記載内容については、これを採用することができない。
c この点に関し、被告は、本人尋問において、原告からの入金がされた直後、翌月の入金予定を聞き、原告から一、二日延ばしてほしい旨の申出があれば、その日付を予定日として設定し、元帳に記載していた旨供述しているが、原告が被告に対し当月の支払をした段階で既に翌月の支払につき確定的な日付を設定して弁済猶予を求めるというのも不自然であるし、また、貸金業者である被告が当月の支払がされた段階で既に翌月分の弁済猶予を与えるというのも通常では考え難いことであるといわざるを得ず、被告の上記供述をそのまま採用することはできない。
(イ) 本件借用証書について
a 本件借用証書には、元金として「弐拾万円」との記載があり、また、その作成日付は、五月九日とされている。また、被告は、本人尋問において、原告から借用証書を徴求したのは本件借用証書一通のみである旨供述している。
b しかしながら、被告は、その陳述書において、「当初、毎月三万円ずつ元利金を支払い、七月一〇日のボーナスで完済する約束であったが、夏のボーナスで完済することができないとのことだったので、一二月のボーナスで完済することになった」旨の記載をしているところ、本件借用証書の作成日付は、上記aのとおり、五月九日とされているにもかかわらず、同証書には、既に、元金の支払期日として一二月二六日との記載がされており、明らかに上記陳述書の記載内容と矛盾している。また、本件借用証書には、上記のとおり、元金の支払期日として一二月二六日との記載がされているほか、利息の支払期日として毎月二六日との記載がされているが、被告は、その陳述書において、上記のとおりの記載をするとともに、本人尋問においても、「弁済期については、毎月給料日に元利均等で支払うことになっていた」旨の供述をしており、この点でも、本件借用証書の記載内容と被告の供述ないし陳述書の記載の内容とが矛盾している。以上に加え、後記cのとおり、この点についての被告の供述が不合理であることや、前記(ア)bのとおりの被告書簡における記載内容などにも照らすと、仮に、本件借用証書が真正に成立したものと認められたとしても、その作成日付及び元金額については、本訴に対する応訴のため、後日記入されたとの疑いが残るものといわざるを得ず、これらの記載内容をそのまま採用することはできない。
c この点に関し、被告は、本人尋問において、「貸付けをした時の弁済期は、七月一〇日ではない。五月に貸す時に、できたら七月に支払ってくれという話はしたが、最悪のときは、一二月二六日までの期間でお願いしますと言われた。つまり、五月九日の段階で、最終期限は一二月二六日とする旨の約束ができていたが、できれば七月一〇日のボーナスで返すということだった。本件借用証書に元金の弁済期として七月一〇日と記載しなかったのは、債務者のことを考えたまでである」旨供述しているが、貸金業者である被告が、債務者のことを考えて、一応の話合いができていた支払期日を借用証書に記載しないということは、通常であれば考え難いといわざるを得ないから、被告は、本人尋問において、陳述書の記載内容と本件借用証書の記載内容との矛盾について質問されたのに対し、苦し紛れに上記のとおりの供述をしているものとみるほかなく、これを採用することはできない。
(ウ) 被告の本人尋問における供述及びその陳述書の記載について
a 被告が本人尋問及びその陳述書においてその主張(別表二記載のとおり)に沿う供述ないし記載をしていることは、前記のとおりである。
b しかしながら、被告の本人尋問及び陳述書における供述ないし記載の内容に関連書証の記載内容と矛盾する点がみられたり、不合理な点がみられたりすることは、前記(ア)及び(イ)において説示したとおりである。
加えて、被告は、本人尋問において、「原告に対し、無理に三万円を入れろとは言っていない。どのくらいできるのかと言ったのに対し、一応三万円くらいはということを言っていた。被告としては、一か月五〇〇〇円にも満たない利息分を支払ってもらえればよいと思っていた。三万円というのは、原告が決めて勝手に振り込んできている金額である」旨供述しているが、別表三記載のとおり、約定の支払期日に支払をすることができないこともあった原告が、被告に対し、支払うべき金額の六倍を超える額の金員を任意に支払うなどということはあり得ず、被告の上記供述は、極めて不合理であるといわざるを得ない(なお、被告の上記供述は、その陳述書にみられる「毎月二六日に三万円ずつ支払うという約束だった」との記載とも矛盾するものである。)。
また、被告は、本人尋問において、「五月九日の時点においては、原告に他の業者からの借入れがないとの前提で、原告に対する貸付けを行った。ところが、同月二六日に支払がされなかった際、原告から連絡があり、トイチ業者から借入れをしているということが分かったため、六月まで支払を猶予した」旨の供述をしているが、被告が原告に他の業者からの借入れがないとの前提で本件貸付けを行ったというのであれば、原告がいわゆるトイチ業者から借入れをしているということが判明した時点で、被告としては、むしろ債権回収に対する危機感を強めるのが自然であると考えられるところ、そのような状況において、被告が原告に対し約定の支払を猶予するなどということはおよそ考え難いというべきである。
更に、被告は、本人尋問において、「原告には、領収証の控えがわたっているはずである」旨強弁しておきながら、領収証の控えが被告に残っているのかと質問されるや、「ちょっと分からない」などと供述している。
以上に加え、前記(ア)bのとおりの被告書簡における記載内容などにも照らすと、被告の本人尋問及び陳述書における供述及び記載内容をそのまま採用することはできないといわざるを得ない。
(エ) 申込書について
申込書には、その貸付金額欄に「二〇万円」との記載があるが、上記(ア)ないし(ウ)において説示したところに照らせば、この記載についても、これをそのまま採用することはできない。
ウ これに対し、原告は、本人尋問において、本件貸付けを受けるに至った経緯、本件貸付けの際の状況、その後の支払の状況等について、具体的な供述をし、また、本件貸付けの正確な日付や別表一の番号九記載の支払等、自己の記憶にない事項については、率直にその旨自認するなど、その供述態度にも無理なところがみられず、加えて、上記イにおいて説示したとおり、被告の供述等をそのまま採用することができないことなどに照らせば、前記アのとおりの原告の本人尋問及び陳述書における供述ないし記載内容は、全体として十分これを採用することができるというべきである。
エ 以上によれば、本件貸付けの日及び金額、天引きの有無、名目及び金額並びに被告が原告に対して支払った金員の名目については、いずれも別表三のとおり(前記(1)ア及びイ(ア)のとおり争いがない事実を除く。)認定するのが相当である。
三 請求原因(1)ウ(公序良俗違反性)について
(1) 別表三によれば、原告が被告に対して支払うべき利息は、一か月三万円であったということになる。
(2) 上記(1)によれば、本件約定利率は、出資法五条四項の規定に従い、元本額を天引き後の交付額として計算すると、年七五〇パーセントにも上り、平成一一年法律第一五五号(平成一二年六月一日施行)による改正前の同法五条二項に規定する利率(年四〇・〇〇四パーセント)の一八倍を超えることとなる。そうだとすると、本件利息契約は、暴利行為として公序良俗に反するといえ、しかも、その暴利性の程度は極めて大きいといわざるを得ないから、本件利息契約は、利息制限法所定の制限利率の範囲内にとどまる部分も含め、全体として無効であると解するのが相当である。
四 不当利得返還請求についての結論
以上によれば、被告は、法律上の原因なく、平成一二年一一月二七日までに合計一六万二〇〇〇円を利得し、原告は、これにより、同額の損失を被り、また、被告は、法律上の原因なく、同年一二月一一日に九六二〇円を利得し、原告は、これにより、同額の損失を被ったということができ、更に、被告は、悪意の受益者であるということができるから、原告は、被告に対し、民法七〇四条に基づき、不当利得金一六万二〇〇〇円及びこれに対する同年一一月二八日から支払済みまで同法所定の年五分の割合による利息並びに不当利得金九六二〇円及びこれに対する同年一二月一二日から支払済みまで同法所定の年五分の割合による利息の返還を求めることができる。
第二不法行為に基づく損害賠償請求について
一 請求原因(2)ア(被告が貸金業者であること)について
請求原因(2)アの事実は、当事者間に争いがない。
二 請求原因(2)イ(本件貸付け、取引経過等)について
前記第一の二において説示したとおりであって、本件貸付け、取引経過等にかかる具体的な事実関係は、別表三記載のとおりとなる。
三 請求原因(2)ウ(不法行為の成否)について
前記第一の三において説示したとおり、本件約定利率は、平成一一年法律第一五五号による改正前の出資法五条二項に規定する利率(年四〇・〇〇四パーセント)の一八倍を超える年七五〇パーセントにも上るものであるから、被告が原告との間で本件利息契約を締結し、これに基づいて、原告から別表三記載のとおり利息を受領したことは、いずれも極めて悪質な犯罪行為であるといえ、したがって、被告のこれらの行為は、私法上も、原告に対する不法行為に該当すると解するのが相当である。
四 請求原因(2)エ(損害)について
(1) 別表三記載のとおりの取引経過によれば、原告は、被告の上記三のとおりの行為により、半年以上にわたって支払ういわれのない極めて高利の利息の支払を余儀なくされたものであり、これにより、精神的苦痛を被ったものと認められる。
(2) 上記(1)の精神的苦痛に対する慰謝料としては、一〇万円をもって相当であるとすべきである。
五 不法行為に基づく損害賠償請求についての結論
以上によれば、原告は、被告に対し、民法七〇九条に基づき、損害賠償金一〇万円の支払を求めることができる。
第三結論
以上のとおりであるから、本訴請求のうち、不当利得返還請求については、主文第一項の限度で理由があり、その余は理由がなく、不法行為に基づく損害賠償請求については、全部理由があることになる。よって、不当利得返還請求については、主文第一項の限度で認容し、その余は棄却し、不法行為に基づく損害賠償請求については、全部認容することとし、主文のとおり判決する。
(裁判官 浅井憲)
<以下省略>