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東京地方裁判所 平成14年(ワ)5410号 判決 2003年9月03日

原告

X1

ほか一名

被告

Y1

ほか一名

主文

一  被告Y1は、原告X1に対し、金二七三〇万二八六六円、原告X2に対し金二五七二万七一〇三円及びこれらに対する平成一三年三月一八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告らの被告ニッポンレンタカーサービス株式会社に対する請求及び被告Y1に対するその余の請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用はこれを二分し、その一を原告らの負担とし、その余を被告Y1の負担とする。

四  この判決は、第一項に限り仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

被告らは、各自、原告X1に対し、金四七三四万五四二六円、原告X2に対し、金四二七七万八二三一円及びこれらに対する平成一三年三月一八日から、支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

一  争いのない事実

(1)  事故の発生(以下「本件事故」という。)

ア 日時 平成一三年三月一八日午後七時一五分ころ

イ 場所 群馬県勢多郡赤城村大字津久田四〇七四先路上(以下「本件現場」という。)

ウ 被告車両 被告Y1運転にかかる普通乗用自動車(車両番号 <省略>、以下「被告車」という。)

エ 態様 被告Y1が、被告車を運転して追越車線を走行中、前方車を追い抜こうとして左側車線に入り、再び右側追越車線に戻ろうとした際、被告車をスリップさせ、左側車線の方に転覆させた。

オ 結果 本件事故により、同乗していた訴外A(以下「亡A」という。)が脳挫傷により死亡した。

(2)  相続

原告らは、亡Aの両親であり、同人の損害賠償請求権を二分の一ずつ相続した。

二  争点

(1)  被告らの責任

(原告らの主張)

被告Y1は、被告車を運転し、運転操作を誤った過失があるので、民法七〇九条により

被告ニッポンレンタカーサービス株式会社(以下「被告会社」という。)は、被告車を保有し、被告Y1に賃貸したもので、自己のために運行の用に供したものであるから、運行供用者として自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)三条により

いずれも本件事故による損害賠償責任を負う。

(被告らの主張)

被告らの責任はいずれも争う。

本件事故は、友人同士である被告Y1、亡AがB、C、D、E、Fとともにスキー、スノーボード旅行を企画し、新潟県の岩原スキー場に行った帰りに発生したものであり、被告会社から被告車を借り受け、レンタル料、ガソリン代等の費用は七名が均等に負担し、全員が同車に搭乗したものである。亡Aを含む搭乗者らは、被告車の使用権を有し、走行場所・経路等も自由に決めることができ、運行による利用利益も得ていたのであるから、被告会社が運行供用者といえるとしても、亡Aを含む他の搭乗者らと比して、運行支配の程度が、直接的、顕在的、具体的であるとはいえず、亡Aは被告会社に対し自賠法三条の「他人」であることを主張することはできない。

(2)  亡Aが共同運行供用者ないし好意同乗者であることによる減額、過失相殺

(被告らの主張)

亡Aは、共同運行供用者であり、他人に対して各自全額の損害賠償責任を負うが、共同運行供用者間においては、責任の程度、すなわち運行支配の程度に応じ、自己の負担部分についてのみ責任を負うにすぎず、共同運行供用者の一人が被害者になった場合においても、その責任の程度に応じて、損害が相殺され、減額されるべきであるから、本件事故における亡Aと被告Y1との運行支配の程度を比較すれば、亡Aの損害の三割程度は相殺減額されるべきである。

仮に、共同運行供用者相殺が認められないとしても、スキー旅行という共同の目的のためにレンタカーを共同で借り受け、被告Y1一人に運転を担当してもらっていたのであるから、亡Aは単なる無償同乗者とはいえず、信義側上、いわゆる好意同乗として二割程度の相殺減額がなされるべきである。

また、亡Aは、本件事故当時、被告車の三列の座席のうち二列目中央に腰掛けていたが、シートベルトを装着していなかったため、事故の衝撃で車外に放り出されて死亡するに至ったものである。シートベルト不装着は亡Aの過失であり、過失相殺されるべきである。

(原告らの主張)

共同運行供用者間の責任の負担割合は、運行支配の程度ではなく、事故に対する帰責性、過失割合等によって決まるべきである。また、好意同乗の場合においても、好意同乗自体を理由に減額されるべきではなく、同乗者に事故発生に関する具体的な帰責性が認められる場合に限って減額されるべきである。

本件事故は、被告Y1が制限速度を七〇キロメートル超える時速一二〇キロメートルで被告車を走行させた上、いらいらして右に急ハンドルを切ったために発生したもので、本件事故当時、亡Aは睡眠中で運転に対して具体的指示は一切しておらず、亡Aに本件事故についての帰責性は認められないから、相殺減額することはできない。

また、前記のとおり、被告Y1の身勝手な感情による行為が本件事故を発生させたものであり、同被告の過失は重大であるから、亡Aのシートベルト不装着による過失相殺をすることは、却って両者の公平に反する。

(3)  損害及びその額

(原告らの主張)

ア 亡Aの損害

<1> 治療関係費 五八万五五三四円

<2> 入院雑費 二万五五円

<3> 入院慰謝料 二五万円

<4> 死亡慰謝料 二二〇〇万円

<5> 死亡逸失利益 四九五〇万八五四八円

(計算式)

560万6000円(平成12年男性全年齢平均賃金センサス)×50%(生活費控除率)×17.6627(44年ライプニッツ係数)=4950万8548円

<6> 合計 七二三六万四一三七円

イ 原告X1の損害

<1> 葬儀費用 三九四万九三八〇円

<2> 遺体搬送料 八万七五八〇円

<3> 文書代 六三〇〇円

<4> 交通費 一万一二九六円

<5> 宿泊費 九万七四四〇円

<6> 固有の慰謝料 三〇〇万円

<7> 合計 七一五万一九九六円

ウ 原告X2の損害

<1> 固有の慰謝料 三〇〇万円

エ 損害のてん補

平成一四年一月一七日までに、被告らから治療関係費として五八万五五三四円が支払われた。

オ 弁護士費用

<1> 原告X1 四三〇万四一二九円

<2> 原告X2 三八八万八九三〇円

カ 合計

<1> 原告X1

亡Aの損害(てん補後の残額の相続分) 三五八八万九三〇一円

固有の損害 七一五万一九九六円

弁護士費用 四三〇万四一二九円

合計 四七三四万五四二六円

<2> 原告X2

亡Aの損害(てん補後の残額の相続分) 三五八八万九三〇一円

固有の損害 三〇〇万円

弁護士費用 三八八万八九三〇円

合計 四二七七万八二三一円

(被告らの主張)

ア 死亡逸失利益について

亡Aは、事故当時アルバイト生活者で年齢相当の勤労収入を得ていなかったのであるから、同人の基礎収入は控えめに算定されるべきである。年額三一九万二九〇〇円(賃金センサス平成一三年度二〇歳から二四歳男子平均)程度が妥当な額である。

イ 慰謝料について

被告会社が付保していた自動車保険により、平成一四年二月二〇日、原告らに一〇〇〇万円の搭乗者保険金が支払われているので、慰謝料の減額事由として斟酌すべきである。

ウ 弁護士費用について

原告ら代理人は、自賠責保険金の回収をしていないから、三〇〇〇万円の損害額に対応する弁護士費用の請求は不当であり、減額されるべきである。

第三争点についての判断

一  争点(1)(被告らの責任)について

(1)  前記争いのない事実に加え、証拠(甲一、二、乙二ないし二四、被告Y1本人)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

被告Y1は、平成一三年一月ころ、一年前にも一緒にスキー旅行にいった友人のD、F、Bとともに新潟県湯沢の岩原スキー場にスキー、スノーボード旅行(以下「本件旅行」という。)を計画し、D及びFが同じロックバンドの仲間である亡Aを、亡AがCを誘い、さらにBがEを誘って合計七人が参加することとなった。同年二月ころ、ロックのライブ会場において、Eを除く六名で旅行の打合せをし、参加者七名全員で一台のレンタカーに同乗していくこと、レンタカーは被告Y1の名義で借り受け、レンタカー代、ガソリン代は七名が均等に負担することを決めた。

平成一三年三月一六日、被告会社からレンタカーである被告車を借り受け、前払定額のガソリン代を含むレンタカー代四万九一〇六円を被告Y1が支払った。スキー場に到着後、被告Y1は、端数を切り捨てた四万九〇〇〇円を七で割った七〇〇〇円を亡Aを含む参加者全員から受け取った。

本件事故は、本件旅行の帰途に発生したものであるところ、本件事故現場である関越自動車道は、本件事故当時時速五〇キロメートルに制限されていたが、被告Y1は、速度規制に気がつかず、本件事故現場の手前まで時速約一〇〇キロメートルで進行し、追越車線を先行するマイクロバスに追いついた。被告Y1は、マイクロバスの速度が遅く、道を譲らないことに腹をたて、追い越すために走行車線に進路を変更した上、時速一二〇キロメートルに加速して、マイクロバスを追い抜いた。その後追越車線に戻るために、急に右にハンドルを切ったところ、被告車が制御不能状態になり、道路の縁石に衝突して車両が横転し、亡Aが車外に放り出され、脳挫傷により死亡したほか、他の同乗者も全員負傷した。

以上によれば、本件事故は、被告Y1の制限速度違反及びハンドル操作不適切の過失により惹起されたものであるといえるから、被告Y1は民法七〇九条により、本件事故によって死亡した亡Aに生じた損害を賠償する責任がある。

しかしながら、亡Aは、本件旅行の事前の打合せに参加し、被告Y1らとともに計画をたて、七名が共同で被告会社からレンタカーを借り受け、共同の目的である本件旅行の用に供したものであり、ガソリン代を含むレンタカーの費用も均等に負担していることからして、亡Aが単なる便乗ないし同乗者であるとは到底いうことができず、本件においては、実際の運転者や借受名義の如何にかかわらず、亡Aは他の参加者とともに運行供用者の地位にあったということができる。一方、被告会社は、本件車両を所有し、有償で被告らにこれを貸し出したものであるから、本件事故当時においても運行供用者の地位にあるものであると解されるが、本件車両を貸し出して、七名の使用に委ねていたものであるから、本件事故当時の本件車両の具体的運行に対する支配の程度、態様は、亡Aら旅行に参加した者が直接的、顕在的、具体的であるのに対し、被告会社のそれは、間接的、潜在的、抽象的であるといえる。よって、亡Aが被告会社に対し自賠法三条の他人であることを主張することは許されないというべきである。

二  争点(2)(運行供用者ないし好意同乗者であることによる減額、過失相殺)について

前記一において認定した事実のほか、証拠(甲一、二、乙三ないし二四、被告Y1本人)によれば、以下の事実が認められる。

被告Y1は、平成九年六月ころ運転免許を取得したが、時々父親の所有車を運転したり、レンタカーを運転する程度で、運転には不慣れであったが、本件旅行においては、一年前のスキー旅行でも被告Y1が運転を担当したことから、自然と被告Y1が運転することになった。参加者の中には、亡Aを含め免許を所持している者もおり、被告Y1は、本件旅行中に偶々亡Aから免許を持っていることを聞いていたが、他の者に対しては免許の有無を確認することも運転交替の話をすることもなく、往復の道程も被告Y1が決めていた。本件現場において、被告Y1は、前記一のとおり、時速約一〇〇キロメートルで被告車を運転していたが、高速運転の経験に乏しかったため、先行するマイクロバスを追い抜く際、一般道路における通常の進路変更と同じ感覚で急ハンドルを切ってしまったため、被告車がスリップして横転したものであるところ、本件事故当時、亡Aは、シートベルトをせずに二列目の座席の中央に座って寝ており、被告車が横転した際、シートベルトを着用していた被告Y1、B、F、Eは車内にとどまったが、亡Aは、シートベルトを着用していなかったD、Cとともに車外に放り出されたものである。その結果、被告Y1ら四名は比較的軽傷であったが、亡Aは脳挫傷により死亡し、Dは頭部挫傷、肺挫傷、Cは右肩部骨折、右手骨折、頭部打撲を受傷し、いずれも重傷であった。

被告らは、亡Aが運行供用者であることをもって、また、予備的に、好意同乗であることをもって減額すべきであると主張するところ、亡Aは、前記一のとおり、被告車の運行供用者であり、亡Aとの関係において好意同乗者であったといえる。しかしながら、運行供用者といっても、その運行支配の程度、態様は様々であり、運行供用者の地位にあることをもって直ちに損害を減額すべきであるということはできず、また、好意同乗であることのみをもって減額することも相当でない。被害者が運行供用者ないし好意同乗者である場合においても、運転者との関係、運転に至る経緯、運転の状況等に照らし、被害者が、危険な運転状態の作出に関与または容認していたり、あるいは危険を予見しえたのにあえて同乗したなど当該事故についての帰責事由がある場合に限って、民法七二二条の適用または類推適用による減額をするべきである。

そこで、本件についてみると、前記認定事実のとおり、亡Aら同乗者は、本件旅行において被告Y1一人に運転を委ねていたということはできるが、それ以上に、被告Y1に運転を指示したり、スピードをあおるなど無謀な運転を誘発する行為をしたことが認められないことはもとより、本件旅行の疲れが運転に影響を与えていたとか、被告Y1が運転に慣れていないことを知って同乗したなど運転に危険性が高いことを承知ないし予測できたというような事情も窺えない。かかる状況に照らせば、亡Aは、被告Y1のスピードオーバーや急ハンドルという危険な運転行為の作出に関与、容認していたとも、危険を予見しえたともいうことができず、亡Aが共同運行供用者ないし好意同乗者であることのみをもって、本件事故により生じた損害を減ずるべきであるとはいえない。しかし、亡Aは、シートベルトを着用していなかったが故に車外に放り出され、死亡するに至ったものであり、同人のシートベルト不着用は同人の過失であると認められるから、後記損害額の一割を減額するのが相当である。

三  争点(3)(損害及びその額)について

(1)  亡Aの損害

ア 治療関係費 五八万五五三四円

当事者間に争いがない。

イ 入院雑費 一万五〇〇〇円

証拠(甲二、乙八)及び弁論の全趣旨によれば、亡Aは、沼田脳神経外科循環器科病院に一〇日間入院していたことが認められるから、一日あたりの金額を一五〇〇円として計算した限度において認める。

(計算式)

1500円×10日=1万5000円

ウ 入院慰謝料 二〇万円

入院一〇日間に対する慰謝料としては上記の金額が相当である。

エ 死亡慰謝料

一七〇〇万円 証拠(乙二五の一ないし三)によれば、被告会社が締結した保険契約により、搭乗者傷害保険金一〇〇〇万円が支払われていることが認められるが、運転者である被告Y1が保険料を負担したと認めるに足りる証拠はなく、保険料が被告車のレンタカー代に含まれているとすれば、亡Aもそれを負担しているのであるから、被告Y1から亡Aないし原告らに対する見舞金的性格を有する金員として交付されたとは言い難く、同保険金が支払われたことを慰謝料の減額事由として過大に斟酌すべきではない。しかしながら、前記一及び二のとおり、亡Aらが、本件旅行という共同の目的、利益のため被告Y1一人に運転を委ねていたという経緯のほか、本件事故の態様、被告Y1の過失や事故後の対応、両親固有の損害額などを総合的に考慮すれば、亡Aの死亡慰謝料としては一七〇〇万円が相当である。

オ 死亡逸失利益 三二一三万二五一三円

証拠(甲一〇ないし一四)及び弁論の全趣旨によれば、亡Aは死亡当時二三歳であり、平成九年三月に専門学校卒業後、両親と同居し、就職をしないで、アルバイトをしながらバンド活動を続けていたもので、アルバイト先も固定されていなかったこと、亡Aは、グッドウィル・グループ株式会社に登録し、平成一二年の同社からの給与は二六万八〇八〇円であり、亡Aの通帳には平成一〇年二月から平成一三年二月までの間、数社から給与として数千円から一四万円程度が振り込まれていること、平成一二年分の振り込みは四三万九一六六円であり、ロジコムコーポレーション株式会社からは平成一二年三月及び四月に合計二四万六六〇〇円(勤務日数三六日)、平成一三年一月及び二月に合計一〇万一八〇〇円(勤務日数一六日)の給与を得ているところ、平成一二年の亡Aの収入は、前記収入を合計すると九五万三八四六円となるが、同金額は、平成一三年の賃金センサス第一巻第一表産業計・企業規模計・男子労働者高卒該当年齢の三割に満たないことが認められ、他にアルバイトによる現金収入があったとしてもそれを裏付ける客観的な資料はない。しかし、前掲各証拠によれば、亡Aは未だ若年であり、事故前もアルバイトとはいえ現実に就労していたものである上、今後のアルバイト先も一応決めて、両親の面倒を見ながら仕事をすると述べていたことが認められ、これらを総合すれば、将来的には平成一三年賃金センサス第一巻第一表の産業計・企業規模計・男子労働者高卒全年齢平均賃金五一九万七八〇〇円の七割程度の収入は得られるものと認めるのが相当である。そこで、これを基礎収入とし、死亡当時の年齢二三歳から稼働可能年齢六七歳までの四四年間についてライプニッツ係数を用いて中間利息を控除し、生活費控除率五〇%として計算すると、逸失利益は三二一三万二五一三円となる。

(計算式)

363万8460円×50%×17.6627=3213万2513円

カ 小計 四九九三万三〇四七円

(2)  原告X1の損害

ア 葬儀費用 一五〇万円

証拠(甲四の一ないし九)によれば、原告X1は、葬儀関係費用として三九四万九三八〇円を支出したことが認められるが、そのうち一五〇万円を限度として本件事故と相当因果関係のある損害と認める。

イ 遺体搬送料(甲五) 八万七五八〇円

ウ 文書代(甲六) 六三〇〇円

エ 交通費(甲七の一ないし四) 一万一二九六円

オ 宿泊費 三万四五六〇円

証拠(甲八の一ないし四)によれば、宿泊費として九万七四四〇円を支出したことが認められるが、宿泊者等が明らかではなく、上記金額を限度として本件事故と因果関係のある損害と認める。

カ 固有の慰謝料 一五〇万円

前記(1)エのとおり亡Aの死亡慰謝料を算定したことに加え、原告らは平成三年に次男を亡くしており(乙七、八、弁論の全趣旨)、一人息子となった亡Aを失った原告らの精神的苦痛を慰謝するためにはそれぞれ上記金額が相当である。

キ 小計 三一三万九七三六円

(3)  原告X2の損害(固有の慰謝料) 一五〇万円

前記(2)カのとおり、原告X1同様上記金額が相当である。

(4)  過失相殺

原告らが、それぞれ二分の一の割合で亡Aを相続したことについて当事者間に争いはなく、損害額は、原告X1が二八一〇万六二五九円、原告X2が二六四六万六五二三円となるが、前記二のとおり、同損害につき過失相殺により一割を減額するのが相当である。

(5)  損害のてん補

平成一四年一月一七日までに、被告らから原告らに対し、治療関係費として五八万五五三四円が支払われたことは、当事者間に争いがない。

(6)  弁護士費用

本件事案の難易、審理の経過、請求額、認容額のほか諸般の事情を考慮すると、本件事故と相当因果関係のある弁護士費用は原告X1につき各二三〇万円、原告X2につき二二〇万円とするのが相当である。

(7)  合計

原告X1の損害 二七三〇万二八六六円

原告X2の損害 二五七二万七一〇三円

第四結論

以上によれば、原告らの被告会社に対する請求は理由がないが、被告Y1に対する原告X1の請求は二七三〇万二八六六円及びこれに対する平成一三年三月一八日から支払済みまで年五分の割合による金員を求める限度で、原告X2の請求は二五七二万七一〇三円及びこれに対する平成一三年三月一八日から支払済みまで年五分の割合による金員を求める限度でそれぞれ理由がある。

(裁判官 髙取真理子)

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