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東京地方裁判所 平成14年(ワ)8430号 判決 2004年1月20日

原告

X1

ほか二名

被告

東京イエローキャブ株式会社

ほか一名

主文

一  被告らは、原告X1に対し、連帯して金四六二万四八二六円及び内金四二〇万四八二六円に対する平成一一年一〇月五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告らは、原告X2に対し、連帯して金二三一万二四一三円及び内金二一〇万二四一三円に対する平成一一年一〇月五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  被告らは、原告X3に対し、連帯して金二三一万二四一三円及び内金二一〇万二四一三円に対する平成一一年一〇月五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

四  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

五  訴訟費用はこれを二分し、その一を原告らの負担とし、その余を被告らの負担とする。

六  この判決は、第一項ないし第三項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

一  被告らは、原告X1に対し、連帯して金四一五三万〇七二〇円及び内金三八五三万〇七二〇円に対する平成一一年一〇月五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告らは、原告X2に対し、連帯して金二〇七六万五三六〇円及び内金一九二六万五三六〇円に対する平成一一年一〇月五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  被告らは、原告X3に対し、連帯して金二〇七六万五三六〇円及び内金一九二六万五三六〇円に対する平成一一年一〇月五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

一  争いのない事実

(1)  交通事故の発生

ア 日時 平成一一年一〇月五日午前一時三五分ころ

イ 場所 東京都荒川区西日暮里六丁目五二番三号付近道路

ウ 被害者 A(以下「亡A」という。)

エ 加害車両 被告Y1運転、被告東京イエローキャブ株式会社(以下「被告会社」という。)所有の事業用普通乗用自動車(タクシー、<番号省略>、以下「被告車」という。)

オ 事故態様 前記道路上に横たわっていた亡Aを被告車が圧轢した。

カ 結果 亡Aは、本件事故により、胸腹腔内臓器挫滅による多臓器不全の傷害を負い、平成一二年一月一一日、同傷害により死亡した。

(2)  責任原因

ア 被告Y1

被告Y1は、被告車を運転して被告会社の職務に従事中、進路前方に亡Aが横たわっているのを認めたが、漫然と進行して自車下部で亡Aを圧轢したものであるから、民法七〇九条により、不法行為に基づく損害賠償責任を負う。

イ 被告会社

被告会社は、被告車を保有する者であるから、自賠法三条により、損害賠償責任を負う。

二  争点

(1)  本件事故態様及び過失相殺

【被告らの主張】

以下のとおり、本件事故の発生につき亡Aに七割の過失があったから、七割の過失相殺を主張する。

ア 本件事故現場は、鴬谷方面から尾久橋方面に向かう通称「尾久橋通り」(以下「本件道路」という。)上であるところ、本件道路は片側三車線の幹線道路であり、最高制限速度は時速六〇キロメートルで、歩行者については横断禁止規制が施されていた。

本件事故は、夜間、路上に横臥している歩行者を車両が輪禍した事故類型であるから、基本過失割合は五〇対五〇である。修正要素としては、本件事故が起きた道路が幹線道路(歩行者横断禁止)であること、亡Aは飲酒により酩酊し、その影響があったことから、亡Aに二〇パーセント過失を加重すべきである。

イ 亡Aが事故の直前に飲酒していたことは明らがである。亡Aは、事故前日である平成一一年一〇月四日、午後七時から午後八時三〇分までの間、町会での会合に参加し、その後Bらと一緒に「どんまい亭」という飲食店においてビールを大瓶二本程度飲み、午後一〇時ころにそこを出た後、Bと一緒に自宅に帰ってから甥のCとともにさらにビールを三五〇ミリリットル缶で二本位飲んでいる(合計で約二リットルになる。)。また、亡Aは、同月五日午前〇時ころ自宅を出ているが、事故に遭った午前一時三五分ころまでの間、別の場所で更に飲酒を重ねた可能性も高い。

なお、原告らは、糖尿病による昏倒が横臥の原因であると主張するが、前述した亡Aの飲酒状況からすれば、糖尿病のみを原因として路上に横臥していたと考えることは不可能である。仮にそうであるとしても、糖尿病性昏睡の原因が主治医の節酒指導を無視した亡Aの飲酒にあることは明らかである。

よって、本件事故発生についての過失割合は、亡Aが七〇パーセント、被告Y1が三〇パーセントとなる。

【原告らの主張】

ア 被告Y1は、前記道路を時速約五〇ないし五五キロメートルで、自車前方約三〇メートルの距離を同方向に進行する車両に追随して進行していたが、同車両が進路を急に変更したのを認めた。よって、被告Y1は、進路前方に障害物等の出現が予想できる状況であったから、減速徐行し、厳に前方左右を注視し、障害物等の出現に即応できるようにすべき注意義務があるのに、これを怠り、漫然前記速度で進行し、亡Aを認めても停止又は回避の措置を何ら講じないで、自車の下部を通過させることができると思い、そのまま進行して亡Aを圧轢したものであるから、被告Y1の行為は未必の故意による殺人若しくは傷害致死と呼び得るものであり、そうでないとしても過失は極めて重大である。したがって、このような事故態様に照らして、亡Aにつき過失相殺をすべきではない。

イ また、亡Aが本件事故現場の道路に横臥していたのは、酒に酔ったためではなく、糖尿病に起因する転倒であるから、病人とみるべきであり、過失相殺すべきでない。

ウ 仮に、何らかの過失相殺を行う場合は、貧血により道路中央付近に倒れ交通事故に遭った事例につき四〇パーセントの過失相殺をした裁判例(大阪地裁昭和四七年一月一三日判決・判例タイムズ二七六号)が参考になる。

(2)  素因減額

【被告らの主張】

亡Aには、既往症たる糖尿病が寄与しており、本件の賠償額算定においては素因減額がなされるべきである。

すなわち、亡Aの死体検案書には、「直接には死因に関係しないが傷病経過に影響を及ぼした傷病名等」として、既往の「糖尿病」の記載がある。これは、本件事故によって胸腹腔内臓器挫滅を受傷し、その約三か月後に多臓器不全となり、その約二週間後に死亡しているが、この過程において既往症たる糖尿病が影響を及ぼしているという意味である。

さらに、死体検案調書によれば、「特に異状を有する所見並びに損傷に基因するときは、その部位及び程度」欄に、「糖尿により創傷治療が困難であった様子」と記載されている。

交通事故による脳障害と既往の糖尿病の影響を比べた場合、確かに脳障害が主たる原因であるものの、既往の糖尿病が高度であることや、糖尿病が治療経過に及ぼした影響が決して小さくないことなどからすれば、糖尿病が及ぼした影響は約三〇パーセントと考えるのが妥当である。

したがって、前記過失相殺減額に加えて、三〇パーセントの素因減額がなされるべきである。

【原告らの主張】

一般に、被害者の疾患、既往症、性格、体質等を理由に損害額を減額した事例は存在するが、被害者の体質等を理由に損害額の減額を認め得るのは、その損害が加害行為のみによって通常発生する程度・範囲を超えるものという評価を行い得る要素があるときである。

本件においては、亡Aの死は、被告Y1の加害行為のみによって通常発生する程度・範囲のものであるから、亡Aの糖尿病は、亡Aが交通事故で被った損害の発生に寄与しておらず、無関係である。

亡Aが糖尿病であったという理由をもって、交通事故により死亡するに至った被害者が一般的に受けられる損害賠償額を減額することは許されない。

(3)  損害額

【原告らの主張】

ア 治療費 一七九万六三四〇円

イ 入院雑費 一三万円(一日あたり一三〇〇円×一〇〇日)

ウ 傷害慰謝料 一七〇万円

エ 死亡慰謝料 二六〇〇万円

オ 葬儀費用 一二〇万円

カ 逸失利益 七八〇三万一四四〇円

亡Aは、給排水衛生設備業を営む日研産業株式会社(以下「日研産業」という。)の代表取締役であったが、役員報酬として年間一二〇〇万円の収入を得ていた。

亡Aは、死亡時五九歳六月であったが、少なくとも七五歳までの一六年間稼働したことは確実である。

生活費控除率は四〇パーセントが相当である。

(計算式)

年収1200万円×(1-0.4)×10.8377(16年ライプニッツ係数)=7803万1440円

キ 弁護士費用 六〇〇万円

ク 合計

前記アないしキを合計すると、一億一四八五万七七八〇円となる。

ケ 損害の填補後の残額

前記治療費及び死亡による自賠責保険金三〇〇〇万円の合計三一七九万六三四〇円を控除すると、残額は八三〇六万一四四〇円となる。

コ 相続

原告X1は亡Aの妻であり、法定相続分に従い、亡Aの損害賠償請求権の二分の一を相続した。また、原告X2及び原告X3は、亡Aの子であり、法定相続分に従い、亡Aの損害賠償請求権の各四分の一を相続した。

したがって、原告X1の損害賠償請求権は四一五三万〇七二〇円、原告X2及び原告X3のそれは、各二〇七六万五三六〇円となる。

【被告らの主張】

ア 原告らは、亡Aの基礎収入として、その経営する日研産業からの役員報酬一二〇〇万円を得ていたと主張する。

しかし、逸失利益算定の基礎収入は、被害者の労働対価分に限られるところ、亡Aのように、会社の経営者が代表取締役を兼ねる、いわゆるオーナー社長の場合、その役員報酬全額を労働対価分と認めることは相当でない。

亡Aは、日研産業の最大の株主であった。当時、原告X1や原告X2は役員ではなく、原告X1は、日研産業の従業員として月額二五万円の給料を得ていた。本件事故後、日研産業の代表取締役は、亡Aから原告X1に変更されたが、代表取締役に就任した原告X1の役員報酬は一二〇〇万円である。原告X2も亡Aの死後は取締役に就任しており、五六四万四〇〇〇円の役員報酬が支払われている。

以上のような各事実からすれば、亡Aに対して支払われていた役員報酬一二〇〇万円は、その大部分が利益配当であるとみるべきであり、労務の対価性に欠ける。

このような場合、亡Aの基礎収入は平均賃金で算定すべきであり、亡Aの死亡時の年齢が五八歳であり、高齢になるにつれて徐々に労務量も落ちることを考えると、平成一二年賃金センサス男性労働者学歴計・全年齢平均賃金五六〇万六〇〇〇円によるべきである。

仮に百歩譲って役員報酬を基準とするとしても、その五〇パーセント(六〇〇万円)を超えることはない。

イ 就労可能年数

原告らは、死亡時五九歳から七五歳までの一六年間稼働可能であったと主張するが、通常どおり六七歳までの八年間とすべきである。

ウ 生活費控除率

原告らは、亡Aの基礎収入の生活費控除率につき、四〇パーセントを主張している。

しかし、事故年の同人の確定申告書によれば、同人の扶養家族は母(当時満七八歳)のみである。

平成一二年から扶養家族であった母が死亡した平成一五年までの期間については四〇パーセントとし、それ以降は扶養家族がいないので五〇パーセントとすべきである。

第三争点に対する判断

一  事故態様及び過失相殺について

(1)  証拠(甲一の一~二二、乙二の一~一六)によれば、以下の事実が認められる。

被告Y1は、平成一一年一〇月五日午前一時三五分ころ、業務として普通乗用車を運転し、東京都荒川区西日暮里六丁目五二番三号付近道路(片側三車線の第二車線)を鶯谷方面から尾久橋方面に向かい時速約五〇ないし五五キロメートルで進行中、自車の約二九・五メートル前方を進行中の車両が右へ進路を急に変更したのを認めたのであるから、進路前方に障害物等の出現が予想できる状況であり、減速徐行し厳に前方左右を注視し進路前方の安全を確認しながら進行すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、前方注視不十分のまま漫然前記速度で進行した過失により、折から進路前方約二三・六メートルの地点に黒い物、すなわち横臥している亡A(当時五八歳)を認めたが、間に合わないと思い、自車の下を通過させようとして、停止又は回避の措置を講じないまま進行して自車下部で同人を圧轢したうえ、自車下部に亡Aを引っかけ、約三一メートルも引きずって停車した。

なお、被告車の先行車両の運転者であるDは黒い物を発見して右に進路変更し、クラクションを鳴らしたうえ、停止している。

(2)  過失割合について

ア 前記のとおり、被告Y1は、先行車両が進路を急に変更した直後に亡Aが道路上に横たわっているのを認識しながら、停止又は回避措置を講じないまま進行したものであり、その過失は重大である。

イ 他方、本件道路は片側三車線の幹線道路であり、最高制限速度は時速六〇キロメートルで、歩行者については横断禁止規制が施されていた(甲一の五)。

ウ また、亡Aは、夜間(午前一時三五分ころ)、飲酒して、片側三車線の幹線道路上に横臥していたものであり、その過失も大きいといわざるを得ない。

すなわち、亡Aは、本件事故に至るまでの五、六時間の間に、「どんまい亭」でビールを大瓶二本程度飲み、さらに、自宅に戻ってビールを三五〇ミリリットル缶で二本位飲んでおり、本件事故当時、飲酒の影響により正常な判断力を欠いて、ふらつきながら道路を横断しようとしたが、途中で路上に横臥したものと認められる(甲一の一五~一七)。

エ 上記認定の事実関係に照らして判断すると、本件事故発生についての過失割合は、亡Aが四〇パーセント、被告Y1が六〇パーセントと認めるのが相当である。

オ この点に関し、原告らは、本件事故態様に照らして過失相殺すべきでない旨、また、亡Aが本件事故現場の道路に横臥していたのは、酒に酔ったためではなく、糖尿病に起因する転倒であるから、病人とみるべきであり、過失相殺すべきでない旨主張する。

しかし、前記認定の事実関係に照らして、夜間、片側三車線の幹線道路に横たわっていることは非常に危険な行為である。また、前記のとおり亡Aに飲酒の影響があったものと認められること、亡Aの転倒が糖尿病に起因するものであることを認めるに足りる証拠はないこと、仮に糖尿病の影響があったとしても、それは、やはり亡A側の原因というべきであることを考慮すると、過失相殺をすべきことには変わりがない。

よって、この点に関する原告らの主張は採用できない。

二  素因減額について

甲一の一二、甲一〇、一一、乙六によれば、本件事故の五年くらい前から糖尿病の治療のため、近くの病院に通院し、薬の投与を受けていたことが認められる。また、確かに、死体検案書(乙三)及び死体検案調書(甲一の一八)には、被告らが指摘するような記載があるほか、被告らの主張に沿う医師の意見書(乙一一の一、乙二〇)もある。

しかし、本件事故態様及び受傷内容に照らして判断すると、被告Y1が被告車を停止又は回避の措置を講じないまま進行して自車下部で亡Aを圧轢し、約三一メートルも引きずった結果、亡Aは、胸腹腔内臓器挫滅という重症を負ったことがその後の治療経過及び死亡の原因となったものと認めるのが相当である(なお、乙三によっても、亡Aの糖尿病は「直接には死因に関係しない」とされている。)。したがって、糖尿病の存在が亡Aの死亡の原因となったものとは認められない。

また、仮に、被告ら主張のように亡Aの糖尿病が死亡に至るまでの治療経過に影響を及ぼしたことがあったとしても、原告らは亡Aの損害については、死亡による逸失利益を請求しており、死亡に至るまでの期間の休業損害を請求するものではないから、結局、本件の場合には、糖尿病を理由とする素因減額をすべき的確な証拠はないというべきである。

よって、この点に関する被告らの主張は採用することができない。

三  損害額について

(1)  治療費 一七九万六三四〇円(争いがない。)

(2)  入院雑費 一三万円(争いがない。)

(3)  慰謝料 二八〇〇万円

亡Aの年齢、職業、家族構成のほか、被告Y1が原告らに対し謝罪にも来ず、損害保険会社まかせにしていることが遺族である原告らの被害感情を大きくしていること(原告X1本人)をも考慮し、死亡に至る傷害分を含めた慰謝料として、二八〇〇万円が相当と認める。

(4)  葬儀費用 一二〇万円(甲一の一二及び弁論の全趣旨)

(5)  逸失利益 三五八八万三六四八円

証拠(甲二の一~四、甲三の一~六、甲四~九、一二、原告X1本人)によれば、以下の事実が認められる。

ア 亡Aは、事故当時、給排水衛生設備業を営む日研産業の代表取締役であり、役員報酬として年間一二〇〇万円の収入を得ていた。

もっとも、平成一二年賃金センサス男性労働者学歴計・当該年齢(五九歳)の年収が六四九万二〇〇〇円であること、原告X1は、日研産業の従業員として月額二五万円の給料を得ていたところ、本件事故後、日研産業の代表取締役は、亡Aから原告X1に変更されたが、代表取締役に就任した原告X1の役員報酬は亡Aと同額の一二〇〇万円であることをも考慮すると、亡Aの逸失利益の算定にあたっては、役員報酬一二〇〇万円の六割(七二〇万円)の限度で、利益配当を除いた労務対価部分として損害と認めるのが相当である。

イ 亡Aは、死亡時五九歳六月であったが、少なくとも七〇歳までの一一年間稼働して役員報酬を得る蓋然性があった。

ウ 亡Aには扶養すべき母がいたこと(甲二の四)に照らして、生活費控除率は四〇パーセントが相当である(なお、被告ら主張のようなその後の事情の変更は考慮できない。)。

エ 計算式

年収720万円×(1-0.4)×8.3064(11年ライプニッツ係数)=3588万3648円

(なお、本件事故の日である平成一一年一〇月五日から亡Aが死亡した平成一二年一月一一日までは休業損害として構成することも可能であるが、原告らの主張に従い、すべて逸失利益として算定した。)

(6)  小計 六七〇〇万九九八八円

(7)  過失相殺後の残額

上記金額から四〇パーセントの過失相殺をすると、残額は四〇二〇万五九九二円となる。

(8)  損害のてん補後の残額

前記四〇二〇万五九九二円から既払治療費及び自賠責保険金の合計三一七九万六三四〇円を控除すると、残額は八四〇万九六五二円となる。

(9)  相続

原告X1は亡Aの妻であり、法定相続分に従い、亡Aの損害賠償請求権の二分の一を相続した。また、原告X2及び原告X3は、亡Aの子であり、法定相続分に従い、亡Aの損害賠償請求権の各四分の一を相続した。

したがって、原告X1の損害賠償請求権は四二〇万四八二六円、原告X2及び原告X3のそれは、各二一〇万二四一三円となる。

(10)  弁護士費用

本件事案の内容、審理経過等を考慮すると、本件事故と相当因果関係のある弁護士費用は、原告X1が四二万円、原告X2及び原告X3が各二一万円と認めるのが相当である。

(11)  合計

(9)及び(10)を合計すると、原告X1が四六二万四八二六円、原告X2及び原告X3が各二三一万二四一三円となる。

四  結論

よって、原告らの請求は、原告X1が四六二万四八二六円及び内金四二〇万四八二六円に対する本件事故日である平成一一年一〇月五日から、原告X2及び原告X3が各二三一万二四一三円及び内金二一〇万二四一三円に対する同年同月同日から、各支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し、その余はいずれも理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 芝田俊文)

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