東京地方裁判所 平成15年(ワ)11184号 判決 2004年8月25日
原告
破産者有限会社a破産管財人 X
被告
Y
訴訟代理人弁護士
川口誠
主文
1 被告は、原告に対し、金四九九二万二二二一円及びこれに対する平成一五年五月二五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は、被告の負担とする。
3 この判決は、仮に執行することができる。
事実及び理由
第1請求
主文同旨
第2事案の概要等
本件は、破産会社が、被保険者を破産会社の代表取締役、保険金受取人を破産会社として生命保険契約を締結したが、保険金受取人を破産会社から同社の取締役である被告に変更し、被告が被保険者の死亡により死亡保険金等を受領したとして、原告が、被告に対し、上記保険金受取人の変更は、利益相反行為であるにもかかわらず社員総会の認許を得ていないので無効である(有限会社法三〇条一項の適用ないし類推適用)、予備的に破産法七二条一号に該当するので否認するとして、被告の保険金等の受領は不当利得に当たると主張して、同額及び遅延損害金の支払を求めた事案である。
1 争いのない事実等(容易に認定できる事実については、括弧内に証拠を挙示する。)
(1) 破産会社は、平成一五年三月一二日午後五時、東京地方裁判所において破産宣告を受け(平成一五年(フ)第三四一五号)、原告は、同日破産会社の破産管財人に選任された。
(2) 破産会社は、平成一三年三月一日、被保険者を破産会社の代表取締役であった亡Aとして、住友生命保険相互会社(住友生命)との間において生命保険契約(本件保険契約)を締結した。
(3) 本件契約における保険金受取人の名義は、破産会社とされていたところ、平成一三年一二月一九日、破産会社はその名義を被告に変更した。
(4) 亡Aは、平成一四年一二月二日、死亡した。
(5) 被告は、平成一五年一月二九日、住友生命から本件保険契約に基づく給付金として死亡保険金五〇、〇〇〇、〇〇〇円及び契約通算扱特約給付金一二、〇一四円から未払保険料八九、七九三円を控除した金四九九二万二二二一円を受領した。
(6) 破産会社は、亡Aが全額出資している会社である(≪証拠省略≫)。また、被告は亡Aの妻であり、破産会社の取締役である。
2 争点
(1) 本件保険契約における保険金受取人は破産会社から被告に変更されたか否か(保険金受取人の指定変更行為)。
(2) 保険金受取人の指定変更行為は有限会社法三〇条一項が適用又は類推適用されるべき利益相反行為に該当するか。
(3)ア 保険金受取人の指定変更行為は破産法七二条一号の否認権行使の対象となるか。
イ 破産法七二条一号の要件を具備するか。
3 争点に対する当事者の主張
(1) 争点(1)について
ア 原告の主張
本件保険契約締結時には、保険金受取人は破産会社と指定されていたところ、保険契約者である破産会社は、平成一三年一二月一九日、保険金受取人を破産会社から被告に変更したものである。
イ 被告の主張
本件保険契約締結時には、保険金受取人は被告と指定されていたものであって、生命保険証券の保険金受取人欄には被告と記載されるべきところ、誤って破産会社と表示されていたにすぎない。したがって、本件保険金の受取人が破産会社から被告に変更されたことはなく、保険金受取人欄の記載の表示が訂正されたにすぎない。
(2) 争点(2)について
ア 原告の主張
本件保険契約において保険金受取人を破産会社から被告に変更することは、破産会社の有する保険金受給権等を、取締役である被告にこれを取得させるのであるから、利益相反行為に該当する。したがって、有限会社法三〇条一項の適用ないし類推適用により、上記変更については破産会社の社員総会において認許を得る必要があるところ、これを得ていないのであるから、上記変更行為は無効である。なお、有限会社法三〇条一項は、会社の利益を保護する趣旨と解すべきところ、ここにいう会社の利益には会社債権者の利益をも含まれるものであるから、破産会社が一人会社であっても同法の適用ないし類推適用があるというべきである。
イ 被告の主張
破産会社の社員総会において、保険金受取人の変更につき認許していないことは認める。有限会社法三〇条一項は、取締役個人と会社の利益が相反する場合には、取締役個人の利益を図り、会社に不利益な行為が行われる虞があるため、これを防止するために、社員総会の認許を求めた趣旨である。そうすると、破産会社のように代表者である亡A一人が全額出資している一人会社の場合には、亡Aの利益はそのまま会社の利益となるのであるから、そもそも利益相反の虞を観念することができない。さらに本件では、受取人の変更は、社員であり代表者である亡Aによってなされているのであるから、社員総会の認許自体不要というべきである。
(3) 争点(3)について
ア 争点(3)アについて
(ア) 原告の主張
破産法七二条一号は「破産者が破産債権者を害することを知りて為したる行為」と規定し、何らの制限を設けていないところ、保険事故発生前の受取人が有している権利は停止条件付保険金請求権という財産権であり、保険金受取人の変更はその処分行為であるから、否認の対象というべきである。
(イ) 被告の主張
保険金受取人の有する権利は、契約者の有した権利を承継して取得するものではなく、受取人の固有の権利というべきである。したがって、契約者の債権者や相続人らが受取人の有する権利について関与することはできない権利なのである。そうであれば、否認の対象となるとはいえない。これを本件に即してみても、本件保険契約の目的は、破産会社の代表者が死亡した場合の経済的損失を補填するものではなく、亡A死亡後の被告の生活のために締結されたものであること(なお、契約者を破産会社としたのは、法人としての加入を勧誘されたことや保険料の支払いを簡便にするためであった。)、保険料は、破産会社から支払われているものの、それは亡Aの破産会社への貸付金を原資としてその中から支払われているのであるから、亡Aが保険料を出捐していること、被告は保険金受取人は当初から被告であると信じていたこと、これらの事情からすると、本件において破産法七二条一号を適用すべきではない。
イ 争点(3)イについて
(ア) 「破産者が破産債権者を害することを知りて為したる行為」に該当するか。
① 原告の主張
破産会社は、平成一三年一二月ころには、すでに買掛金残高が約二〇〇〇万円、消費税などの公租公課の延滞金が三五〇万円あって、買掛金の返済は滞っている状態にあり、しかも破産会社の経営する中華料理店の賃借しているビルの管理会社にその負担金の軽減を嘆願していることからすると、その財政状態は極めて悪化しており、債務超過により債権者への弁済が著しく困難な状態にあったといえる。したがって、破産会社とすれば、保険金受取人の名義を破産会社から被告に変更すれば、一般財産が減少し、ひいては債権者に対する返済が困難となることは自明のことであるから、破産会社が破産債権者を害することを知って保険金受取人の変更行為をしたことは明らかである。
② 被告の主張
争点(3)ア(イ)の被告の主張記載の事情からすると、破産会社において破産債権者を害すること知って行った行為とはいえない。
(イ) 保険金受取人の変更行為によって被告が利益を受けたか
① 原告の主張
保険事故発生前の受取人の有する権利は、停止条件付保険金請求権という財産権であり、これを取得した被告に利益があることは明らかである。
② 被告の主張
本件のような死亡保険金請求権は、被保険者が死亡して初めて具体的に発生するという不確実なそして不確定な権利であることからすると、被告が保険金受取人に指定されたからといってそれにより利益を受けたとはいえない。
(ウ) 被告の害意性
① 被告の主張
被告は、被告自身が受取人であると確信していたのであり、名義の変更も訂正の趣旨と考えていたのであるから、被告において債権者を害する意図があったとはいえない。
② 原告の主張
被告は、破産会社の取締役であり、手書き帳簿の記帳などの経理事務を担当し、少なくとも本件保険契約の保険料が、破産会社に対する亡Aの役員貸付金の返済として破産会社から支払われていたことを熟知していたのであるから、被告が債権者を害することを知って保険金受取人の変更を受けたことは明らかである。
第3当裁判所の判断
1 争点(1)(保険金受取人)について
原告は、本件保険契約時、保険金受取人は、破産会社と指定されており、その後被告に変更されたものである旨主張し、被告は本件保険契約当初から被告であった旨主張する。
そこで検討するに、証拠(≪証拠省略≫)及び争いのない事実を総合すると、破産会社は、平成一三年一月一九日付けで、住友生命に対し、契約者を破産会社、被保険者を亡A、保険金受取人を破産会社、死亡保険金額を四〇〇〇万円等とする生命保険契約を申し込み、同日初回分の保険料八万九七九三円を破産会社振出の小切手により支払ったこと、平成一三年三月一日本件保険契約が成立したこと、その後保険料は破産会社の口座から引き落としの形で支払われていること、破産会社は、平成一三年一二月一四日、住友生命に対し、保険金受取人を破産者から被告に変更する旨の名義変更請求を行い、同月一九日保険金受取人の変更がなされたことが認められ、これらの事実によれば、本件保険契約時の保険金受取人は、破産会社であり、その後平成一三年一二月一九日、破産会社から被告に変更されたものと認められる。
この点につき被告は、① 亡Aは、本件保険契約以前、被告に対し、俺に何かあったときに家族に何もしてあげられないし、何も残らないから、せめて保険に入って家族を安心させてあげたい旨の話をしており(被告本人)、亡Aは保険金受取人を被告とすることを考えていたこと、② 生命保険契約申込書(≪証拠省略≫)の「受取人」の記載は、「保険契約者様」と記載され(≪証拠省略≫)、間接的な表現であってしかも小さな活字で印刷されているため、亡Aは十分に意識せず記載したものと考えられること、そして亡Aが十分記載内容を認識していないことは、亡Aが同申込書の「保険契約者」欄の署名欄には破産会社を表示しながら、「生年月日」欄に「一八年○月○日生」と記入し、「性別欄」の「男性」欄に○印を付けていること(≪証拠省略≫)からも、明らかであること、③ 本件保険契約時、破産会社の経営状況は厳しく(≪証拠省略≫)、後継者もいなかったことからすれば(被告本人≪証拠省略≫)、保険金受取人を破産会社とすることは考えられないこと、④ Aは、平成一三年一月二六日には、同人が契約者、受取人は被告ないし被告の母となって加入していた簡易保険契約を解約し、解約還付金一四五万九七三四円を受領しており(≪証拠省略≫)、本件保険契約は簡易保険契約を解約することに代えて加入したこと(≪証拠省略≫)、⑤ 会社が保険金受取人を当該会社として保険契約を締結する場合、経費(保険料)として支払をするのが通常であるにもかかわらず、本件では、亡Aの破産会社に対する貸付金勘定から引き落とすという処理がなされているのであって(≪証拠省略≫)、結局本件保険契約の保険料は亡A個人が出捐し負担していること、⑥ 一般に生命保険の受取人の変更が為されるのは、例えば保険金受取人として指定された者が死亡するなど、保険契約当時に予想し得なかったような受取人を指定した背景事情に重大な変化が生じ、そのために保険金受取人を変更する必要が生じた場合であるところ、本件においては平成一三年三月から一二月にかけては経営状況に特段の変化はなく(被告本人)、そうであれば、保険契約締結後僅か九ヶ月弱という短期間の後に受取人名義の変更が為されていることからして、受取人名義の誤りに気づいたことから、その訂正をしたものにすぎないと考えるのが自然であること、これらのことから、保険金受取人は本件保険契約当初から被告であり、名義変更は名義の訂正であると主張する。しかしながら、①については、亡Aは、破産会社の経営状況がよくなかったことから、他の仕事に代わることを考えていたものの、取引先への借金の整理もあることから他の仕事につくことが実現しなかったこと(被告本人)、後記3(2)イ(ア)のとおり当時の借入金等の状況(債務とすれば約二三五〇万円である)と保険金額(死亡保険金額だけでも四〇〇〇万円)からすると、保険金額が借入金額を上回るのであり、亡Aとすれば、自分に何かあったときに被告を含めた家族のことのほかに破産会社の借入についても考えていたことといえるのであって、亡Aが被告に対し上記のとおり述べたことをもって原告の主張を認めることはできない。②についても、保険契約者にとって保険金受取人が誰であるかは重要なことであって、亡Aは破産会社を経営しており、当時五八歳(確認)であることからすると、表示が間接的であることや字が小さいことをもって記載を認識していなかったということはできない。また、契約者署名欄に生年月日や性別を記載したとしても、これらの記載と保険金受取人の記載とその重要性において格段の差があるのであるから、この記載をもって、亡Aが内容特に保険金受取人の記載について認識していなかったということはできない。③④については、①記載のとおり、亡Aが破産会社の借入金について考えていたことを考慮すると、これらの事情をもって上記認定を左右することはできない。⑤については、亡Aが破産会社に対し貸付金が存在することを前提とするものであるが、その貸付金の内容や保険金の支払による充当関係は全く不明であって、亡Aの貸付金の存在自体不明といわざるを得ないのであるから、亡Aが保険料を支出したと認めることはできない。また仮に亡Aが保険料を出捐したとしても、亡Aは、本件保険契約の保険契約者が破産会社であることは亡A自身知悉しており、亡Aが保険料を支払うことは破産会社に対する貸付金等の増加とならざるを得ないのであってきわめて不自然な支払といわざるを得ない。⑥については、一般に生命保険の受取人の変更が為されるのは、保険契約当時に予想し得なかったような受取人を指定した背景事情に重大な変化が生じ、そのために保険金受取人を変更する必要が生じた場合であるところ、本件においては平成一三年三月から一二月にかけて破産会社の経営状況に特段の変化はなかったとしても、そのことから直ちに本件保険契約における保険金受取人が当初から被告であったと認めることはできない。したがって被告の主張は採用できない。
2 争点(2)(有限会社法三〇条一項の適用あるいは類推適用)について
有限会社法三〇条一項の趣旨は、取締役個人と会社の利益が相反する行為を個人が行う場合には、取締役個人の利益を図り、会社の不利益な行為が行われることを防止するため当該行為をすることについて社員総会の認許にかからしめたものであるといえる。そうすると、出資者が一人でありその者が代表取締役であるときは、そもそも会社の利益はそのまま当該代表取締役個人の利益と一致するのであって、そもそも利益相反の虞自体観念し得ない。この点原告は、会社債権者の利益もまた同条によって保護されるべきである旨主張し、会社の利益は会社財産の保護として会社債権者の利益になるが、同条はそのような債権者の利益を直接保護することを目的とするものとはいえないから、原告の見解は採用できない。
したがって、原告の主張は理由がない。
3(1) 争点(3)ア(保険金受取人の指定変更行為と破産法七二条一号の否認権行使)について
保険契約において保険金受取人として指定されることによって、保険金受取人は、保険事故の発生を停止条件とする保険金請求権を取得する。そしてこの停止条件付保険金請求権が財産的価値を有することは明らかである。そして、本件では、本件契約の契約者たる破産会社が、破産会社を保険金受取人として指定した後、これを被告に変更したものであり、同変更行為は、それまで保険金受取人として破産会社が有していた停止条件付保険金請求権を、契約者たる破産会社がこれを喪失せしめる行為であって、破産会社の財産の減少を伴う行為であることは明らかである。したがって、保険金受取人の変更行為が、破産法七二条一号の否認権行使の対象となると解すべきである。
被告は保険金受取人の権利は保険金受取人の固有の権利であることを理由に否認の対象にならない旨主張するが、保険金受取人の権利が同受取人の固有の権利であるとしても、それが破産会社の財産を構成する以上、その減少行為が否認の対象にならないということはできないから、被告の主張は採用できない。また被告主張の事情をもってしても、本件において、保険金受取人の変更行為が否認の対象にならないと解すべきとはいえない。
(2) 争点(3)イ(破産法七二条一号の要件の具備)について
ア 「破産者が破産債権者を害することを知りて為したる行為」について
証拠(≪証拠省略≫、被告本人)によれば、破産会社は、平成七年六月二九日に設立され、東京都江東区亀戸のbビル内において中華料理店を経営していたが、当初から経営状況は厳しく、平成一三年一二月一九八三万五八一一円の買掛金債務があり、これらの買掛金の支払は滞っていたこと、しかも破産会社は、同年七月三一日までの源泉所得税及び消費税合計三二六万五五九二円、同年五月二一日までの社会保険料の三七万七五〇一円合計三六四万三〇九三円も滞納している状態であったこと、しかも破産会社は、上記ビルの管理会社にその負担金の軽減を嘆願していることが認められ、これらからすると、破産会社の財政状態は極めて悪化していたことが認められ、破産会社においては、本件保険契約の保険金受取人の名義を破産会社から被告に変更することによって、破産会社の財産が減少し、そのために破産債権者が害されることを知って、保険金受取人の変更を行い、さらに保険金を受領したものと評価することができる。
被告は、① 本件契約の目的は、亡A死亡後の被告の生活のために締結されたものであること、② 保険料は、亡Aが保険料を出捐していること、③ 保険金受取人は当初から被告であること、これらの事情からすると、破産者が破産債権者を害することを知って為した行為ではない旨主張するが、①については上記のとおり必ずしも破産会社の借入債務の返済を考慮していないとはいえないこと、②及び③についてはこのような事実が認められないことは上記のとおりであるから、被告の主張は採用できない。
イ 被告の受益について
保険金受取人の有する権利は、停止条件付保険金請求権という財産権であることは上記のとおりであり、これを取得した被告に利益があることは明らかである。被告は、本件のような死亡保険金請求権は、被保険者が死亡して初めて具体的に発生するという不確実なそして不確定な権利であることからすると、被告が保険金受取人に指定されたからといってそれにより利益を受けたとはいえない旨主張するが、不確実であり不確定であることから直ちに受益がないということはできない。
ウ 被告の害意性について
被告は、被告自身が受取人であると確信していたのであり、名義の変更も訂正の趣旨と考えていたのであるから、被告において債権者を害する意図があったとはいえない旨主張し、被告本人尋問の結果は上記主張に沿うものである。そこで検討するに、本件保険契約は保険金受取人を破産会社としており、破産会社は後にこれを変更して被告としたこと、当時破産会社の経営状態が厳しかったことは上記のとおりであり、証拠(≪証拠省略≫、被告本人)によれば、被告は、帳簿の記帳などの経理事務を担当していたこと、被告は、本件保険契約の保険料の支払について、平成一三年四月分は破産会社による保険料支払として記帳していること(なお上記のとおり、三月分は小切手による支払をしている)、被告はその後の支払については、破産会社に対する亡Aの貸付金の返済として破産会社から支払うという処理をしたことが認められ、これらを総合すると、被告は、破産会社の経営状態が厳しい中で、破産会社が本件保険契約を締結し、破産会社が保険料の支払をしていることを認識していたものということができ、そうであれば、被告としては、本件保険契約が保険会社を契約者とし、保険金受取人を破産会社とする内容であることを認識していたものということもでき、上記被告本人尋問の結果はにわかに信用することができず、ほかに被告の主張を認めるに足りる証拠はない。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 遠山廣直)