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東京地方裁判所 平成15年(ワ)9349号 判決 2004年7月22日

原告

株式会社桃源社

同代表者代表取締役

同訴訟代理人弁護士

竹川忠芳

木曽真吾

被告

同訴訟代理人弁護士

藤田吉信

主文

1  被告は、原告に対し、金一九〇万六〇九五円及びこれに対する平成一五年四月一八日から支払い済みまで年五分の割合による金員を支払え。

2  原告のその余の請求を棄却する。

3  訴訟費用はこれを三分し、その二を被告の負担としその余を原告の負担とする。

4  この判決は第一項に限り仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

1  被告は、原告に対し、別紙物件目録≪省略≫記載の建物を明け渡せ。

2  主文一項と同旨

3  訴訟費用は被告の負担とする。

4  仮執行宣言。

第二事案の概要

本件は、建物賃貸人である原告が、建物賃借人である被告に対して、共益費や消費税等の不払いにより建物賃貸借契約を解除したとして、賃貸借契約終了に基づき建物の返還を求めるとともに、未払の平成一二年六月分から平成一五年四月分までの共益費及び消費税合計一四七万円、平成八年二月分から平成九年三月分までの電気料金合計一一九万八八四五円に対する三パーセントの消費税相当額三万五九六五円及び平成九年四月分から平成一五年四月分までの電気料金合計四九〇万四七三三円に対する五パーセントの消費税相当額二四万五一三八円の合計二八万一一〇三円、未払賃料に対する消費税相当額一五万四九九二円の支払及び支払を催告した日の翌日から民法所定年五分の割合による損害金の支払を求めた事案である。

一  争いのない事実等

1  原告は、平成元年三月二九日、被告に対し、別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)を、以下の約定で賃貸し(以下「本件賃貸借契約」という。)、これを被告に引き渡した(≪証拠省略≫)。

(一) 賃貸期間 平成元年四月一日から平成三年三月三一日まで

(二) 賃料 月額二五万円(共益費を含む)

(三) 支払時期 翌月分毎月末日払い

(四) 特約 被告は賃料のほか、貸室及び共用部分における電気・ガス・水道料・ゴミ代等を負担する。水道・電気料は当社計算様式による。

2(一)  原告は、平成三年三月三一日、被告との間で、本件賃貸借契約を期間二年間として更新する旨合意した(≪証拠省略≫)。

(二)  本件賃貸借契約は、平成五年四月一日、法定更新された。

3(一)  原告と被告は、平成一二年五月三一日、同年六月分から本件建物賃料を月額一六万円、共益費を四万円の合計二〇万円に減額変更することで合意(以下「本件合意」という。)した(≪証拠省略≫)。

(二)  原告は、被告に対し、平成一五年四月一七日到達した内容証明郵便で、未払の平成八年一月二五日から平成一二年三月支払分までの電気料金、平成一二年五月支払分以降の共益費及び平成一二年三月支払分以降の消費税の合計一九〇万九〇九五円の支払をするよう催告し、平成一五年四月二二日までに支払いのない場合には、本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした(≪証拠省略≫)。

4(一)  本件賃貸借契約に基づく原告の被告に対する賃料債権は、債権者訴外協栄生命保険株式会社(現ジブラルタ生命保険株式会社)の申立により東京地方裁判所平成九年(ナ)第六四六号債権差押命令により差押えがなされた。(≪証拠省略≫)

同命令の請求債権は、平成一四年九月九日、訴外オリックス債権回収株式会社(以下「オリックス回収」という。)に債権譲渡され、差押債権者は訴外オリックス回収となっている(弁論の全趣旨)。

(二)  被告は、平成一三年四月分から平成一四年一〇月分までの一九か月分の本件建物賃料のうち、二二四万円を旧差押債権者であったジブラルタ生命株式会社に対して支払っていない。

(三)  被告は、平成一四年一一月分から平成一五年一〇月分までの一二か月分の本件建物賃料のうち、一一六万円を現在の差押債権者であるオリックス回収に対して支払っていない。

(四)  原告は、平成一五年一一月一九日、第二回弁論準備期日において、上記未払賃料三四〇万円を同月二六日までに各差押債権者に支払うよう催告し、支払がない場合には、同日の経過をもって本件賃貸借契約を解除するとの意思表示をした(弁論の全趣旨)。

5  相殺

(一) 原告を訴外有限会社きっ川(以下「きっ川」という。)、被告を訴外株式会社仁誠社(以下「仁誠社」という。)、原告及び原告代表者の三者とし、三井信託銀行株式会社(以下「三井信託」という。)の仁誠社に対する昭和六二年一二月三一日付け消費貸借契約に基づく貸金返還請求権をきっ川が三井信託から譲り受けたとして、かかる貸金返還請求権及び三井信託と本訴の原告との間の連帯保証契約に基づく連帯保証債務履行請求権(以下「本件債権」という。)等を訴訟物とする別件訴訟(当庁平成一二年(ワ)第一九〇五九号譲受債権等請求事件、東京高等裁判所平成一四年(ネ)第九六三号譲受債権等請求控訴事件、口頭弁論終結日平成一四年五月八日)において、仁誠社、原告及び原告代表者がきっ川に対し連帯して残元金の一部である五億円及びこれに対する期限の利益喪失の日の翌日である平成四年四月八日から支払済みまで約定の年一割四分の割合による遅延損害金を支払うよう命じた確定判決が存在する。(≪証拠省略≫)

(二) きっ川は、被告に対し、平成一五年五月二九日、上記判決で確定した債権のうち二〇〇万円分を贈与した。(≪証拠省略≫)

(三) 被告は、原告に対し、同年一〇月一五日の本件弁論準備手続期日において、上記(二)の債権を自働債権とし、原告の本訴請求債権を受働債権としてその対当額において相殺するとの意思表示をした(以下「本件相殺」という。)。(弁論の全趣旨)

6  原告は、本件建物の所有者であったが、本件建物についてオリックス回収の申立により平成一五年一月二三日競売開始決定がなされ、同年一二月二四日株式会社明星興産(以下「明星興産」という。)が本件建物を競落し、同月二五日明星興産に対する所有権移転登記がなされ、原告は本件建物所有権を失った。(≪証拠省略≫)

二  争点

1  被告は、原告に対し、本件建物の明渡義務を負うか。

(被告の主張)

原告は、競売により本件建物所有権を喪失しており、本件建物賃貸借契約が存続している場合には賃貸人たる地位を失い、本件建物賃貸借契約が解除によって終了している場合であっても、賃貸人たる地位に基づく本件建物明渡請求権を失った。

従って、原告は、被告に対し、本件建物明渡を求めうる権利を失ったから本件明渡請求には理由がない。

2(一)  被告は、原告に対し、電気料金について消費税を支払う旨合意したか。

(二)  被告は、原告に対し、賃料に対する消費税を支払う旨合意したか。

(三)  原告は、被告に対し、賃料及び電気料金について消費税を請求できるか。

(原告の主張)

被告は、原告に、本件賃貸借契約開始時から消費税分を上乗せした額を支払っており、平成八年に被告がこれまでの滞納額八五四万四四九四円を清算した際にも滞納額が消費税分の上乗せを含む額であることを確認したうえで清算に応じている。本件賃貸借契約開始から一三年を経過し原告から支払いの遅延を指摘された後になって、被告は合意の存在を否定するが不自然である。

(被告の反論)

本件賃貸借契約書には、電気料金の支払いについては「当社計算様式による。」との記載はあるが消費税を付加して支払うとの記載はなく、当社計算様式も示されていない。被告は、この合意を、建物の構造及び電気メーターの関係で原告が一括して東京電力と供給契約をするほかないので、各貸室の使用電気料金は、原告が管理行為として東京電力から請求されたビル全体の電気料金を各貸室の使用量に応じて配分して各貸室の賃借人に請求をするという趣旨だと理解していた。

東京電力が請求する電気料金には、既に消費税が含まれており、二重に消費税を支払う理由はない。東京電力から供給される電力を、賃貸人から賃借人が対価を得て供給を受けており、そのために消費税がかかるとは賃借人は理解できない。

原告は、本件建物及び他の貸室から得た賃料、共益費及び電気料金収入並びにこれに課税される消費税につき税務申告をしておらず、事業者として消費税を納入する意思もない。消費者は、かかる事業者に対してまで消費税を納入する義務を負い納入を拒否すれば債務不履行責任を問われるとするのは、あまりに不合理である。

3  本件合意は、執行免脱目的の合意として公序良俗に違反し無効か。

(被告の主張)

本件建物賃料は、既に訴外協栄生命保険株式会社の申立てにより差押えられており、差押にかかる賃料には共益費も含まれるところ、原告から被告に対し、平成一二年四月頃、差し押さえられている月額賃料(共益費を含む)二五万円を二〇万円に減額する代わりに月額共益費を四万円原告に対して支払うよう申し入れがあり、被告は、毎月の支払額が減額されるので本件合意をした。

しかし、共益費は、もともと賃料に含まれ既に差押を受けていたのに、原告が被告に働きかけて新たに共益費をあたかも賃料とは別個のものとして定め、共益費が差押対象から除外されたものとして実質的に共益費相当額を差押から免れさせることは明らかな執行免脱行為というべきである。従って、本件合意は、共益費相当額を差押から免れさせることを目的とするものであり、公序良俗に反し無効というべきである。

(原告の反論)

本件合意をした目的は、共益費が原告に支払われないと本件建物の維持管理ができなくなってしまうからであり、差押債権者からも何ら異議は出ておらず差押債権者自身本件合意を執行免脱目的であるとは見ていないことを示しており、執行免脱目的ではない。被告は、本件合意後の平成一三年四月から平成一五年四月までの約二年間に八ヶ月分しか差し押さえられた賃料月額一六万円を支払っておらず、賃料や共益費の支払いをしたくないための主張に過ぎない。

4  被告は、相殺の自働債権である原告に対する二〇〇万円の反対債権を取得したか。

(被告の主張)

きっ川は、被告に対し、平成一五年五月二九日、主債務者仁誠社に対する貸金債権二〇〇万円及びこれに付随する被告に対する連帯保証債権を譲渡した。きっ川は、同年一二月一二日、仁誠社及び原告に対し、債権譲渡通知を内容証明郵便及び普通郵便でしており、内容証明郵便は正当な理由なく受領しなかったが普通郵便は同月一三日頃原告に到達した。

(原告の反論)

被告は、原告に対する債権二〇〇万円を平成一五年五月二九日にきっ川から無償で取得したと主張するが、これを裏付ける契約書類はなく、通常二〇〇万円もの債権を無償で譲り受けることは考えられないので、きっ川と被告との間で債権譲渡契約が結ばれたとは認められない。

5  相殺の受働債権である原告の共益費債権は、性質上、もしくは信義則上、相殺の許されない債権か。

(原告の主張)

共益費は建物全体の維持管理のための経費であり、第三者から取得した債権を自働債権とする相殺を認めると現実に入ってくる共益費が不足し、建物の維持管理に支障を生じるおそれがある。そこで、共益費債権については、性質上相殺の許されない債権と解すべきである。

仮に性質上相殺の許されない債権に該当しないとしても、共益費支払債務と後日無償もしくは無償に近い価格で譲り受けた不良債権との相殺を認めてしまうと、建物の維持管理に支障を生じるほかまじめに共益費を支払い続けている他の賃借人との間に不公平が生じることから、信義則上相殺は許されないと解すべきである。

(被告の反論)

建物の維持管理に必要な共益費が将来にわたり継続的に差押を受け支払われない時は、建物の維持管理に支障が生じ、賃借人は共益費を支払っているのに相応する管理サービスを受けられないという不利益を強いられることになる。しかし、そのような場合、賃借人は、共益費の支払いを拒絶しうるし、賃貸人が個別の賃借人に対する過去の未払共益費債権を有している場合にまで、賃貸人の債権者がこれを差押えできないと解すべき合理的な理由はない。

原告は、本件建物の管理をほとんどしておらず、共益費の実質は、建物の維持管理費というより単なる原告の収入源に過ぎない。原告は、多額の債務を負い税金の支払いを停止し、破産すべき危機状態にありながらあえて破産申立をしていない。かかる原告が、自身に対する相殺を不良債権による相殺であるから信義則に反して無効であると主張するのは、何ら理由がない。

第三当裁判所の判断

一  ≪証拠省略≫及び弁論の全趣旨によれば、次の事実を認めることができる。

1(一)  消費税は、導入された昭和六四年一月から三パーセントの税率で課税され、平成九年四月から税率が五パーセントに増額されたことは、当裁判所に顕著である。

(二)  被告は、原告に、本件賃貸借契約開始時から消費税分を上乗せした額を支払っており、平成八年に被告がこれまでの滞納額八五四万四四九四円を清算した際にも異議なく清算に応じた。

(三)  東京電力は、原告に対し、電気料金として使用料に消費税を合算した額を請求している。

(四)  本件賃貸借契約では、水道・電気料は当社計算様式によるとされているが、当社計算様式は契約書のどこにも示されていない。

(五)  本件賃貸借契約書には、消費税に関して定めた条項は存在しない。

2  きっ川は、被告に対し、確定判決を得た原告に対する譲受債権のうち二〇〇万円を無償で贈与した理由として、原告がきっ川に対し判決確定後も一銭も任意に支払っていないにもかかわらず、多額の裁判費用をかけて本件訴訟を提起していることが許せなかったためであるとする。

きっ川と被告との間の贈与契約書は、本件訴訟では証拠として提出されておらず、贈与に伴う被告の課税関係についても明らかではない。

きっ川代表者は、被告とは、本件訴訟提訴後の平成一五年五月頃まで面識がなかった。

3  被告は、平成一二年六月分から平成一五年四月分までの共益費合計一四〇万円及び消費税七万円の合計一四七万円を支払っていない。被告は、平成八年二月分から平成九年三月分までの電気料金合計一一九万八八四五円に対する三パーセントの消費税相当額三万五九六五円及び平成九年四月分から平成一五年四月分までの電気料金合計四九〇万二七六〇円に対する五パーセントの消費税相当額二四万五一三八円の合計二八万一一〇三円も支払っておらず、未払賃料に対する消費税相当額一五万四九九二円も支払っていない。

被告の未払額は、合計すると一九〇万六〇九五円となる。

二  上記認定と前記争いのない事実等を総合すると、争点について次のとおり判断できる。

1  争点1について

対抗要件を具備した賃借建物の所有権取得者は、取得と同時に当然に賃貸借を承継する(最判昭和三九年六月二六日民集一二巻一三号二〇四〇頁)。

本件では、被告は本件建物引渡を受けており対抗要件を具備しているから、本件建物所有権を明星興産が競売によって取得したことにより、賃貸人たる地位も当然に明星興産に移転している。

従って、原告による本件建物賃貸借契約の解除が有効である場合にも、本件賃貸借契約の終了に伴い本件建物の返還を請求できる立場にあるのは、明星興産であって原告ではないことになる。そして、仮に原告による本件建物賃貸借契約の解除が要件を充たしていない場合には、原告は、被告に対し本件建物の返還を請求できないことは明らかである。

結局、原告は、解除が有効であるか否かに関わりなく、被告に対して本件建物の返還を請求することはできない。

よって、解除の有効性につき判断するまでもなく、原告の被告に対する本件建物明渡請求には理由がない。

2  争点2について

消費税導入前に締結された建物賃貸借契約では、従前は消費税支払いの合意がなかったとしても、消費税導入後は賃貸人から請求された場合には賃借人は消費税の支払義務を免れないと解すべきである。

本件賃貸借契約が締結された時期が消費税導入後まもなくであること、被告も基本的にほとんど全ての取引に消費税が課税されることは認識していたと推認されること、被告が本件賃貸借契約開始後長期間にわたり消費税を支払ってきており、本件訴訟提訴後初めて異議を述べるにいたった経過等前記認定した事実に照らすと、本件賃貸借契約開始時点では消費税支払の明示の合意が存在しなかったとしても、被告は、消費税の支払義務があることを認めていたというほかなく消費税支払いを免れない。

電気料金については、結果的に東京電力が請求した消費税部分にさらに消費税が加算されることになるが、売買等の取引が順次なされたときには常にかかる二重課税の問題は生じており、被告が消費税の支払いを拒絶する理由とならない。消費税を支払った相手方がきちんと納税するか否かは相手方と税務署との問題であり、相手方が納税する見込が少いからといって消費税の支払いを拒絶する理由とはならない。

3  争点3について

共益費は、建物全体の維持管理のための経費であって全建物賃借人にとって有益なものであり、差押により共益費が建物賃貸人に入金されなくなると最終的には建物の維持管理に支障を生じ、結局のところ建物賃貸借契約の継続自体を困難にすることにつながり、賃料を差押えた債権者にとっても不利益をもたらすことになる。

とすると、賃貸人が共益費を確実に徴収するために何らかの方策をとることも全く許されないわけではないといわざるをえず、従前は共益費込みの賃料額を定めていたため共益費まで含めた賃料全額が差し押さえられて共益費が全く入金されない事態を招いていたのを防止するため、賃料とは別個に共益費を定めることにより差押の効力が共益費には及ばないようにすることも一律に不当であるとはいえない。

ただ、賃貸人が賃借人との間で賃料とは別個に共益費の額を合意して従前の賃料額を減額した場合には、共益費に割り当てられた金額が、賃料額や実際に建物維持管理に要する金額等と比較して不相当に高額である場合等差押債権者を不当に害するおそれが存在する場合には、かかる合意は主に強制執行免脱目的でなされたものとして公序良俗に反するというべきである。

しかし、本件では、被告の同意を得るために賃料と共益費の合計額が従前の賃料額よりも減額された事実を考慮しても、減額変更後の賃料額等に照らして差押債権者を不当に害するおそれがあるとまでは認めることができず、他に差押債権者を不当に害するおそれを認めるに足りる証拠は存在しないから、本件合意が主に強制執行免脱目的でなされたものであるとまでは認定することはできない。

したがって、本件合意は、公序良俗に反するとはいえず無効とはいえない。

4  争点5について

きっ川が被告に債権を贈与した理由は、結局のところ確定判決を得ても任意に支払をしようとしない原告に対する腹いせで原告の妨害をしていると認定するほかない。しかしながら、原告による訴訟提起自体は、権利行使として全ての国民に憲法上認められた正当な行為であり、債務名義を取得した債権者であっても債務者による訴訟提起自体を非難したり妨害したりすることは許されない。

本件では、被告が正当な対価を支払ってきっ川から相殺の自働債権を取得したものではないことに照らすと、被告による本件相殺は、信義則に違反するものとして許されないと解すべきである。

三  以上によれば、その余の争点について判断するまでもなく、原告の被告に対する建物明渡請求には理由がないから棄却することとし、その余の金銭請求には理由があるからこれを全部認容し、訴訟費用の負担について民訴法六四条本文、六一条を、仮執行宣言については民訴法二五九条一項をそれぞれ適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 金光秀明)

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