東京地方裁判所 平成15年(行ウ)539号 判決 2004年11月30日
原告 甲
訴訟代理人弁護士 中元信武
被告 日野税務署長
小坂善三
指定代理人 本田利美
櫻井保晴
折木榮一
笹﨑好一郎
沼田渉
主文
一 原告の請求をいずれも棄却する。
二 訴訟費用は、原告の負担とする。
事実及び理由
第一 請求
一 渋谷税務署長が原告に対して平成14年1月8日付けでした、原告の平成10年分所得税についての更正処分(ただし、平成14年6月4日付け異議決定及び平成15年6月24日付け裁決により一部取り消された後のもの)のうち、総所得金額2242万9743円を超え、還付金に相当する税額2167万1848円を665万3648円とした部分、並びに過少申告加算税の賦課決定(ただし、平成14年6月4日付け異議決定及び平成15年6月24日付け裁決により一部取り消された後のもの)をいずれも取り消す。
二 渋谷税務署長が原告に対して平成14年1月8日付けでした、原告の平成11年分所得税についての更正処分(ただし、平成15年6月24日付け裁決により一部取り消された後のもの)のうち、総所得金額3139万3862円を超え、還付金に相当する税額1834万8512円を79万2382円とした部分、並びに過少申告加算税の賦課決定(ただし、平成15年6月24日付け裁決により一部取り消された後のもの)をいずれも取り消す。
三 渋谷税務署長が原告に対して平成14年1月8日付けでした、原告の平成12年分所得税についての更正処分(ただし、平成14年6月4日付け異議決定及び平成15年6月24日付け裁決により一部取り消された後のもの)のうち、総所得金額7177万8810円を超え、還付金に相当する税額793万8330円を納付すべき税額2030万1900円とした部分、並びに過少申告加算税の賦課決定(ただし、平成14年6月4日付け異議決定及び平成15年6月24日付け裁決により一部取り消された後のもの)をいずれも取り消す。
第二 事案の概要
一 事案の骨子
本件は、渋谷税務署長が原告に対してした平成10年分ないし12年分の所得税更正処分及び過少申告加算税の賦課決定につき、原告が、貸倒損失の額、利子割引料の額及び給料賃金の額を事業所得の金額の計算上必要経費に算入すべきであるのに、これを算入しなかったことは違法であると主張して、被告に対し、上記各処分の取消しを求める事案である。
二 関係法令の定め
1 所得税法27条(事業所得)
1項 事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。
2項 事業所得の金額は、その年中の事業所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額とする。
2 所得税法施行令63条(事業の範囲)
法第27条第1項(事業所得)に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業(不動産の貸付業又は船舶若しくは航空機の貸付業に該当するものを除く。)とする。
1号ないし11号(略)
12号 前各号に掲げるもののほか、対価を得て継続的に行なう事業
3 所得税法37条(必要経費)
1項 その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第35条第3項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。(以下省略)
4 所得税法51条(資産損失の必要経費算入)
1項(略)
2項 居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業について、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる債権の貸倒れその他政令で定める事由により生じた損失の金額は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
3項及び4項(略)
5項 第1項及び前2項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
5 所得税法施行令(必要経費に算入される損失の生ずる事由)法第51条第2項(資産損失の必要経費算入)に規定する政令で定める事由は、次に掲げる事由で不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業の遂行上生じたものとする。
1号 販売した商品の返戻又は値引き(これらに類する行為を含む。)により収入金額が減少することとなつたこと。
2号 保証債務の履行に伴う求償権の全部又は一部を行使することができないこととなつたこと。
3号 不動産所得の金額、事業所得の金額若しくは山林所得の金額の計算の基礎となつた事実のうちに含まれていた無効な行為により生じた経済的成果がその行為の無効であることに基因して失われ、又はその事実のうちに含まれていた取り消すことのできる行為が取り消されたこと。
三 前提事実
以下の事実は、証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができるか、又は当裁判所に顕著な事実である。
1 当事者
原告は、「A相談室」の屋号で経営コンサルタント業を営んでいる者である。原告は、平成8年10月15日付けで、貸金業者として東京都に登録している。
2 課税処分の経緯
(一) 本件における課税処分の経緯は、別表1(課税処分等の経緯(平成10年分))、別表2(課税処分等の経緯(平成11年分))及び別表3(課税処分等の経緯(平成12年分))記載のとおりである。
(二) 原告は、平成11年3月24日、貸倒金2000万円、利子割引料475万1400円及び給料賃金3575万円を事業所得の金額の計算上、必要経費に算入して、別表1の「確定申告」欄記載のとおり、平成10年分の所得税の確定申告をした。
(三) 原告は、平成12年3月14日、貸倒金4218万円、利子割引料333万6522円及び給料賃金3060万円を事業所得の金額の計算上、必要経費に算入して、別表2の「確定申告」欄記載のとおり、平成11年分の所得税の確定申告をした。
(四) 原告は、平成13年3月12日、貸倒金5200万円、利子割引料382万7103円及び給料賃金2910万円を事業所得の金額の計算上、必要経費に算入して、別表3の「確定申告」欄記載のとおり、平成12年分の所得税の確定申告をした。
(五) 渋谷税務署長は、平成14年1月8日、原告の平成10年分ないし12年分の所得税について、別表1ないし3の「更正処分」欄記載のとおり、更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定(以下、本件各更正処分と合わせて「本件各更正処分等」という。)をした。
(六) 原告は、平成14年3月4日、本件各更正処分等を不服として、別表1ないし3の「異議申立て」欄記載のとおり、異議申立てをした。これに対し、被告は、同年6月4日付けで、本件各更正処分等のうち、平成10年分及び12年分の所得税についての各更正処分及び各過少申告加算税賦課決定の一部をいずれも取り消し、平成11年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定に対する異議申立てを棄却する旨の決定(以下「本件各決定」という。)をした。
(七) 原告は、本件各決定を不服として、国税不服審判所長に対し、平成14年7月4日、審査請求をした。これに対し、国税不服審判所長は、平成15年6月24日、本件各更正処分等をいずれも一部取り消す旨の裁決(以下「本件各裁決」という。)をした。
(八) 原告は、平成15年9月25日、本件訴えを提起した。
四 被告が主張する原告の所得税額等
被告が本訴において主張する原告の所得税額及び過少申告加算税額の算出過程、算出根拠等は、以下のとおりである。原告は、このうち、①貸倒損失の額(ただし、乙(以下「乙」という。)に係る貸倒損失分1900万円、丙(以下「丙」という。)に係る貸倒損失分4000万円及びB株式会社(以下「B」という。)に係る貸倒損失分3200万円のみである。)、②上記3名に対する貸付けのための借入金に係る利子割引料の額、③丁(以下「丁」という。)、戊(以下「戊」という。)、C(以下「C」という。)及びD(以下「D」という。)に係る給料賃金の額が、事業所得の計算上、必要経費に算入されなかった点を争っており、その余の所得税の算出根拠及び計算関係については争っていない。
1 更正処分について
原告の平成10年分から12年分までの所得税の納付すべき税額の計算根拠は、別表4(被告が主張する納付すべき税額の計算根拠(主位的主張))及び別表5(被告が主張する納付すべき税額の計算根拠(予備的主張))記載のとおりであり、各項目の金額は次に述べるとおりである。なお、被告は、貸倒損失につき、主位的に、貸倒金の存在自体が認められない旨主張し、予備的に、仮に貸倒金があっても、これを事業所得の金額の計算上必要経費とみる余地はない旨主張している。
(一) 平成10年分
(1) 総所得金額 主位的主張 6714万5819円
予備的主張 6701万5819円
上記各金額は、次のアないしエの各合計金額である(別表4及び5の各「平成10年分」欄・順号16参照)。
ア 事業所得の金額 1862万2875円
上記金額は、下記(ア)の総収入金額から下記(イ)の必要経費の合計額を控除した金額である(別表6(事業所得の内訳(平成10年分))の「②被告主張額」欄参照)。
(ア) 総収入金額(別表6の「②被告主張額」欄・順号1参照) 8850万0000円
(イ) 必要経費の合計額(別表6の「②被告主張額」欄・順号4参照) 6987万7125円
上記金額は、下記aないしeの金額の合計額である。
a 給料賃金(別表9(原告の主張する給料賃金)参照) 1355万0000円
上記金額は、原告が平成10年分収支内訳書(一般用)(以下「平成10年分収支内訳書(一般用)」という。)に記載した給料賃金の金額3575万円から、丁(240万円)、戊(480万円)、E(以下「E」という。240万円)、F(480万円)、C(420万円)及びD(360万円)については勤務実態等がなく、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないので、同人らに対して支払われたとする金額2220万円を控除した後の金額である。
b 貸倒金 0円
原告が平成10年分収支内訳書(一般用)に記載した貸倒金2000万円は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないから、平成10年分の貸倒金の額は零円となる。
c 利子割引料(別表11(利子割引料)参照) 362万2276円
上記金額は、原告が平成10年分収支内訳書(一般用)に記載した利子割引料の金額475万1400円から、原告の事業の資金として使用されたとは認められない有限会社G(以下「G」という。)からの借入金(以下「本件借入金」という。)に係る利子割引料112万9124円を控除した後の金額である。
d 連帯保証債務 0円
e 上記aないしd以外の必要経費の合計額 5270万4849円
イ 不動産所得の金額 563万2944円
ウ 給与所得の金額 4276万0000円
エ 雑所得の金額 主位的主張 13万0000円
予備的主張 0円
(ア) 主位的主張について
雑所得の金額は、原告の平成9年分の所得税の確定申告に基づく還付金に係る国税通則法58条1項に規定する還付加算金13万円である。
(イ) 予備的主張について
雑所得の金額は、原告の平成9年分の所得税の確定申告に基づく還付金に係る国税通則法58条1項に規定する還付加算金13万円から、乙に対する貸倒金1900万円を控除した金額であるマイナス1887万円となるはずであるが、所得税法51条4項により、雑所得の金額の計算上生じた損失の金額については、当該雑所得の金額を限度として必要経費に算入することとなるので、原告の平成10年分の雑所得の金額は零円となる。
(2) 所得控除の額の合計額 217万6984円
(3) 課税総所得金額 主位的主張 6496万8000円
予備的主張 6483万8000円
上記各金額は、前記(1)の総所得金額6714万5819円又は6701万5819円から前記(2)の所得控除の額の合計額217万6984円を控除した後の各金額(ただし、国税通則法118条1項により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。以下同じ。)である。
(4) 還付金の額に相当する税額 主位的主張 28万8648円
予備的主張 35万3648円
上記金額は、次のアの各金額からイ及びウの各金額の合計額を差し引いた後の各金額である。
ア 課税総所得金額に対する税額 主位的主張 2645万4000円
予備的主張 2638万9000円
上記各金額は、前記(3)の課税総所得金額6496万8000円ないし6483万8000円に所得税法89条1項に規定する税率を乗じて算出した金額である。
イ 特別減税額 5万7000円
ウ 源泉徴収税額 2668万5648円
(二) 平成11年分
(1) 総所得金額 9208万6989円
上記金額は、次のアないしオの合計金額である(別表4及び5の各「平成11年分」欄・順号16参照)。
ア 事業所得の金額 4322万3568円
上記金額は、下記(ア)の総収入金額から下記(イ>の必要経費の合計額を控除した金額である(別表7(事業所得の内訳(平成11年分))の「②被告主張額」欄参照)。
(ア) 総収入金額(別表7の「②被告主張額」欄・順号1参照)9350万0000円上記金額は、原告の平成11年分の事業所得の収入金額に、雑所得に該当すると認められる受取利息相当額(別表10(雑所得に加算する収入金額)参照)が含まれているので、原告が平成12年3月14日付けで渋谷税務署長に提出した原告の平成11年分所得税の確定申告書及びこれと同日付けで提出した平成11年分収支内訳書(一般用)(以下「平成11年分収支内訳書(一般用)」という。)に記載した事業所得の収入金額9405万円から当該受取利息相当額55万円を控除した後の金額である(別表7の「②被告主張額」欄・順号3参照)。
(イ) 必要経費の合計額(別表7の「②被告主張額」欄・順号4参照)5027万6432円上記金額は、下記aないしdの金額の合計額である。
a 給料賃金(別表9参照) 1320万0000円
上記金額は、原告が平成11年分収支内訳書(一般用)に記載した給料賃金の金額3060万円から、丁(360万円)、戊(480万円)、E(120万円)、C(420万円)及びD(360万円)については勤務実態等がなく、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないので、同人らに対して支払われたとする金額1740万円を控除した後の金額である。
b 貸倒金 0円
原告が平成11年分収支内訳書(一般用)に記載した貸倒金4218万円は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないから、平成11年分の貸倒金の額は零円となる。
c 利子割引料(別表11参照) 231万8295円
上記金額は、原告が平成11年分収支内訳書(一般用)に記載した利子割引料の金額333万6522円から、原告の事業の資金として使用されたとは認められない借入金に係る利子割引料101万8227円を控除した後の金額である。
d 上記aないしc以外の必要経費の合計額 3475万8137円
イ 不動産所得の金額 545万8521円
ウ 給与所得の金額 4276万0000円
エ 雑所得の金額 64万4900円
雑所得の金額は、原告の平成10年分の所得税の確定申告に基づく還付金に係る国税通則法58条1項に規定する還付加算金9万4900円と上記ア(ア)で述べた受取利息相当額55万円を合計した金額である。
なお、原告が平成11年に回収不能となった貸倒金として主張する丙分4000万円については、貸倒れの事実自体が認められない。
オ 分離長期譲渡所得の金額 0円
(2) 所得控除の額の合計額 217万6984円
(3) 課税総所得金額 8991万0000円
上記金額は、前記(1)の総所得金額9208万6989円から前記(2)の所得控除の額の合計額217万6984円を控除した後の金額である。
(4) 納付すべき税額 410万8200円
上記金額は、次のアの金額からイ及びウの各金額を差し引いた後の金額(ただし、国税通則法119条1項により100円未満の端数を切り捨てた後のもの。以下同じ。)である。
ア 課税総所得金額に対する税額 3077万6700円
上記金額は、前記(3)の課税総所得金額8991万円に所得税法89条1項及び経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律(以下「負担軽減措置法」という。)4条に規定する税率を乗じて算出した金額である。
イ 定率減税額 25万0000円
ウ 源泉徴収税額 2641万8432円
(三) 平成12年分
(1) 総所得金額 主位的主張 1億6024万3889円
予備的主張 1億5860万3893円
上記各金額は、次のアないしオの各合計金額である(別表4及び5の各「平成12年分」欄・順号16参照)。
ア 事業所得の金額 8252万3459円
上記金額は、下記(ア)の総収入金額から下記(イ)の必要経費の合計額を控除した金額である(別表8(事業所得の内訳(平成12年分))の「②被告主張額」欄参照)。
(ア) 総収入金額(別表8の「②被告主張額」欄・順号1参照)1億2402万1400円上記金額は、原告の平成12年分の事業所得の収入金額に、雑所得に該当すると認められる受取利息相当額(別表10参照)が含まれているので、原告が平成13年3月12日付けで渋谷税務署長に提出した原告の平成12年分所得税の確定申告書及びこれと同日付けで提出した平成12年分収支内訳書(一般用)(以下「平成12年分収支内訳書(一般用)」という。)に記載した事業所得の収入金額1億2562万1396円から、当該受取利息相当額159万9996円を控除した後の金額である(別表8の「②被告主張額」欄・順号3参照)。
(イ) 必要経費の合計額(別表8の「②被告主張額」欄・順号4参照)4149万7941円上記金額は、下記aないしdの金額の合計額である。
a 給料賃金(別表9参照) 1320万0000円
上記金額は、原告が平成12年分収支内訳書(一般用)に記載した給料賃金の金額2910万円から、丁(360万円)、戊(480万円)、E(120万円)、C(420万円)、D(150万円)及びH(60万円)については勤務実態等がなく、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないので、同人らに対して支払われたとする金額1590万円を控除した後の金額である。
b 貸倒金 0円
原告が平成12年分収支内訳書(一般用)に記載した貸倒金5200万円は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないから、平成12年分の貸倒金の額は零円となる。
c 利子割引料(別表11参照) 269万3564円
上記金額は、原告が平成12年分収支内訳書(一般用)に記載した利子割引料の金額382万7103円から、原告の事業の資金として使用されたとは認められない借入金に係る利子割引料113万3539円を控除した後の金額である。
d 上記aないしc以外の必要経費の合計額 2560万4377円
イ 不動産所得の金額 547万3894円
ウ 給与所得の金額 5121万5000円
エ 雑所得の金額 主位的主張 163万9996円
予備的主張 0円
(ア) 主位的主張について
雑所得の金額は、原告の平成11年分の所得税の確定申告に基づく還付金に係る国税通則法58条1項に規定する還付加算金4万円と上記ア(ア)で述べた受取利息相当額159万9996円との合計額163万9996円である。
(イ) 予備的主張について
雑所得の金額は、原告の平成11年分の所得税の確定申告に基づく還付金に係る国税通則法58条1項に規定する還付加算金4万円と上記ア(ア)で述べた受取利息相当額159万9996円との合計額163万9996円から、Bに対する貸倒金3200万円を控除した後の金額であるマイナス3036万0004円となるはずであるが、所得税法51条4項により、雑所得の金額の計算上生じた損失の金額については、当該雑所得の金額を限度として必要経費に算入することとなるので、原告の平成12年分の雑所得の金額は零円となる。
オ 一時所得の金額 1939万1540円
(2) 所得控除の額の合計額 157万0504円
(3) 課税総所得金額 主位的主張 1億5867万3000円
予備的主張 1億5703万3000円
上記各金額は、前記(1)の総所得金額1億6024万3889円又は1億5860万3893円から前記(2)の所得控除の額の合計額157万0504円を控除した後の各金額である。
(4) 納付すべき税額 主位的主張 2479万3700円
予備的主張 2418万6900円
上記各金額は、次のアの各金額からイ及びウの各金額を差し引いた後の各金額である。
ア 課税総所得金額に対する税額
主位的主張5621万9010円予備的主張5561万2210円上記金額は、前記(3)の課税総所得金額1億5867万3000円又は1億5703万3000円に所得税法89条1項及び負担軽減措置法4条に規定する税率を乗じて算出した各金額である。
イ 定率減税額 25万0000円
ウ 源泉徴収税額 3117万5290円
2 過少申告加算税について
原告は、本件各更正処分により納付すべき税額の計算の基礎となった所得について、過少に申告しており、そのことについて国税通則法65条4項に規定する正当な理由も存在しない。したがって、過少申告加算税の額は、原告が本件各更正処分により新たに納付すべきこととなった税額(同法118条3項により1万円未満の端数を切り捨てた後の金額。以下同じ。)を基礎として、同法65条に基づき、次のとおり算出した金額となる。
(一) 平成10年分の過少申告加算税の額 200万1000円
上記金額は、原告が平成10年分の更正処分により新たに納付すべきこととなった税額1501万円に国税通則法65条1項に基づき100分の10の割合を乗じて算出した金額である150万1000円に、同条2項に該当する税額1000万円に100分の5の割合を乗じて算出した金額である50万円を加算した金額である。
(二) 平成11年分の過少申告加算税の額 222万9000円
上記金額は、原告が平成11年分の更正処分により新たに納付すべきこととなった税額1755万円に国税通則法65条1項に基づき100分の10の割合を乗じて算出した金額である175万5000円に、同条2項に該当する税額948万円に100分の5の割合を乗じて算出した金額である47万4000円を加算した金額である。
(三) 平成12年分の過少申告加算税の額 307万4000円
上記金額は、原告が平成12年分の更正処分により新たに納付すべきこととなった税額2824万円に国税通則法65条1項に基づき100分の10の割合を乗じて算出した金額である282万4000円に、同条2項に該当する税額500万円に100分の5の割合を乗じて算出した金額である25万円を加算した金額である。
五 争点
1 貸倒損失の取扱い
貸倒損失の額(ただし、乙に係る貸倒損失分1900万円、丙に係る貸倒損失分4000万円及びBに係る貸倒損失分3200万円)を事業所得の計算上、必要経費に算入することができるか。
2 利子割引料の取扱い
乙、丙及びBに対する貸付けのための借入金に係る利子割引料の額を事業所得の計算上、必要経費に算入することができるか。
3 給料賃金の取扱い
丁、戊、C及びDに係る給料賃金の額を事業所得の計算上、必要経費に算入することができるか。
六 争点に関する当事者の主張の要旨
1 争点1(貸倒損失の取扱い)について
(一) 被告の主張
(1) ある支出が事業所得における必要経費として控除され得るためには、それが当該事業と直接の関連をもち(関連性)、かつ、事業の遂行上必要であること(必要性)が要件となる。そして、個人所得においては、個人事業主は、日常生活において、事業による所得の獲得活動のみならず、所得の処分としての消費行為をも行っているのであるから、事業上の必要経費と、所得の処分たる家事費とを明確に識別する必要がある。したがって、ここにいう必要性とは、単に事業主の主観的判断のみではなく、客観的に通常かつ必要なものと認められるものでなければならない。
(2) 主位的主張
ア まず、原告が主張する貸付けの事実自体が認められない。原告が主張する貸付けの事実を裏付ける金銭消費貸借契約書は存在せず、また、原告は、貸付けの相手方、貸付年月日、貸付けの原資となる資金の出所等を一切明らかにしていないから、原告が担保であるとする約束手形等の存在のみをもって、貸付けの事実を認めることはできない。
イ 仮に、原告から乙、丙及びBに対する何らかの金員の移転があったとしても、原告が貸付けと主張するところは、貸付先の再建等のために資金を拠出し、再建等が成功した場合には、貸付先の顧問に就任して顧問料収入を得るなどして利益を得るというものである。金銭消費貸借契約の要素たる元金の返済についても、貸付先の事業が軌道に乗ったら返済するというにすぎず、金員交付に当たり、返還の合意があったとは認め難いものであり、社会通念上、これを貸付けとは評価し得ない。貸付先からの顧問料収入や給与収入は、貸付契約(金銭消費貸借契約)に基づき支払われるものではなく、法的に別個の顧問契約や雇用契約に基づき支払われるものであるから、これを利息と評価することもできない。
貸付けと評価し得る行為の存在が認められなければ、貸倒金の存在自体を観念することはできないから、事業所得の金額の計算上、必要経費を認める余地もない。
(3) 予備的主張
ア 仮に、乙、丙及びBに対する貸付け及び貸倒金自体は存在するとしても、原告は、貸金業を営んでいる者ではないから、本件貸倒金については、事業所得の金額の計算上、必要経費とは認められない。
イ 丙に対する4000万円の貸付けについては、その担保として、丙が裏書人となっている額面2000万円の約束手形2枚が差し入れられているところ、同手形について、原告は、いまだ求償のための銀行等への取立依頼もしていないから、上記金員について、回収不能となったとは認められない。
ウ(ア)所得税法51条2項にいう「事業の遂行上生じた・・・・(中略)・・・・貸付金」とは、当該事業の遂行と何らかの関連を有する貸付金のすべてを指すものではなく、その業種業態から見て、当該業務の遂行上通常一般的に必要であると客観的に認め得るもの、換言すれば、当該事業による収入との間に相当因果関係の認められるそれをいうものと解されている。したがって、ある貸付金について、「事業の遂行上生じた」というためには、金銭の貸付行為そのものを事業として行っている場合か、そうでなくとも、現に営んでいる事業の遂行に当たり、通常一般的に必要であると客観的に認められる貸付けといえる場合に限られる。
(イ) 金銭の貸付行為が所得税法上の事業に該当するか否かについては、社会通念に照らして、その営利性、継続性及び独立性の有無によって判断すべきものと解するのが相当であり、具体的には、利息の収受の有無及びその多寡、貸付けの口数、貸付けの相手方との関係、貸付けの頻度、金額の大小、担保権設定の有無、人的及び物的設備の有無、規模、貸付けの宣伝広告の状況等諸般の事情を総合的に勘案して、判断すべきである。
(ウ) これを本件についてみるに、原告は、貸金業者としての登録こそ行っているものの、①貸金業における主たる収入であるはずの利息の約定をしていないこと、②将来貸付先の事業が成功した際、今後事業の報酬として長く利益を上げるための成功報酬的な先行投資であるから、貸付先の事業が成功しなければ元金の回収すら望めない極めて投機的な行為を行っていること、③貸付けに当たり、契約書を作成せず、また、貸金業としての帳簿の備付け、債務者、貸付金額、受払金額等の記録の保存という継続的に業務を遂行するために欠くことのできない管理すら行っていないこと、④貸金業の宣伝広告は全くしておらず、貸付先は、一般の顧客はなく、原告の関係者がほとんどであること、⑤貸金業の規制等に関する法律17条(書面の交付)及び19条(帳簿の備付け)等の義務を何ら遵守していないことなどをも併せかんがみれば、営利性、継続性等を有するものと評価することは到底できず、所得税法上の事業に該当すると認められないことは明らかである。
(エ) 本件各貸付けが経営コンサルタント業の一部ないし当該事業と密接に関連するというのであれば、少なくとも、貸付先は、いずれも原告の経営コンサルタント業の顧客であるべきであるが、本件において、そのような事情はうかがわれない。特に、乙に対する貸付けは、単なる株式の購入資金としての貸付けであるから、これを経営コンサルタント業の一部として行われたものとは到底認められない。
また、一般に、経営コンサルタント業とは、会社経営等の専門分野について、社外の専門家としての立場で、知識、経験、技術を基に診断、指導、助言を与えることを業とし、その対価を得るものである。取引先の会社又は個人企業に対する経営等についての診断や助言とともに、当該企業等の資金繰りの一環として、借入金及び融資といった類の相談を受けたりすることは考えられるものの、仮に、そのような相談を受けた場合において、経営コンサルタントの業務の範囲として、当該企業等に資金等を貸し付けることが含まれるとまでは社会通念上認められず、そのような金銭の貸付行為が経営コンサルタント業と相当な因果関係をもつとはいい難い。
したがって、原告の主張する貸付けについて、経営コンサルタント業の業務の遂行に当たり、通常一般的に必要であると客観的に認められるものと評価することはできない。
(オ) 以上によると、原告の主張する貸付けについては、所得税法51条2項にいう「事業の遂行上生じた・・・・(中略)・・・・貸付金」とは認められないから、その貸倒れについて、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入する余地はない。
(4) 原告は、原告のコンサルタントが功を奏し多額の収入を得た場合には、被告はそれを事業所得とみなして高額の所得税を課しておきながら、功を奏しなかった場合には事業所得の必要経費とは認められないというのは、余りにも衡平性を欠く旨主張する。
しかし、所得税法は、収入を得た場合には、給料の場合は給与所得として、報酬の場合はその性質に応じて所得を区分して申告しなければならないものとしており、原告も、その収入の性質に応じた申告をしているにすぎず、これと資金の貸付けに係る損失が事業所得の必要経費として認められるかは別の問題であるし、そのすべてを事業所得の金額の計算上、必要経費とする理由もない。
(二) 原告の主張
(1) 原告は、次のとおり、乙、丙及びBに対し、金銭を貸し付けた(以下、これらを合わせて「本件各貸付け」という。)。
ア 原告は、乙に対し、I株式会社の株式を取得するため、毎月100万円ずつ返済する約定の下、2000万円を貸し付けた。原告は、乙が経営するJ株式会社の振出に係る額面100万円の約束手形20枚を受領した。
その後、原告は、乙から、100万円の弁済を受けたが、J株式会社は、平成10年6月5日に手形不渡り事故を起こして倒産し、乙も所在不明となったため、1900万円が回収不能となった。
イ 原告は、丙に対し、特許取得の費用として、弁済期の定めなく、4000万円を貸し付けた。原告は、丙が経営するK株式会社の振出に係る約束手形を受領した。
しかし、K株式会社は、平成11年春ころ倒産し、丙も所在不明となったため、4000万円が回収不能となった。
ウ 原告は、Bに対し、L銀行(当時の名称である。)から融資を受けるまでのつなぎ資金として、弁済期の定めなく、3200万円を貸し付けた。原告は、Bの振出に係る約束手形3通(額面合計1400万円)及びM株式会社の振出に係る約束手形3通(額面合計1800万円)を受領した。
しかし、Bは、銀行からの融資を受けることができなかった。原告は、仙台地方裁判所から、平成12年夏ころ、B及びM株式会社が破産した旨の通知を受けた。
したがって、Bに貸し付けた3200万円の回収が不能となった。
(2) 原告は、貸金業を独立の事業として営んでいるのではなく、経営コンサルタント業の一環として行っている。
一般に、経営コンサルタント業は、顧客に対し、事業の経営等に関する助言、指導、相談等を行い、それに応じた相談料、報酬等を受領する。
しかし、原告の場合、経営の行き詰まった会社等について、その信用状況を詳細に調査検討し、再建の見込みがある会社等について、単に助言、指導、相談をするだけではなく、原告自ら当該会社等の役員、顧問、代理人となって、直接、当該会社等の債権者、取引先、関係官庁等と折衝する。原告の経営コンサルタント業の内容は多様で、その中には資金融資も含まれるのである。原告が、コンサルタント業とともに貸金業も営んでいることは、いわゆる口コミで広まっている。
原告の経営コンサルタント業の内容が多様であるからこそ、顧客会社等が無事に再建することができた場合には、通常では考えられない多額の報酬、顧問料を得ることができるのである。原告は、貸付けの目的を先行投資として考えており、通常の貸金業と異なり利息をさほど重視せず、貸付先に利益が上がるようになってから、利息よりもはるかに多額の顧問料収入や給与収入を得る。
なお、原告は、別表10記載のとおり、貸付金に係る受取利息として、事業所得の金額の計算上総収入金額に計上している。
原告の貸付業務は、経営コンサルタント業の業務の遂行と密接な関係があるから、事業所得を生ずる経営コンサルタント業の業務に関連又は付随する業務に該当し、事業所得を生ずべき事業に該当する。
(3) 乙、丙及びBは、いずれも原告とは親族関係にない第三者である。原告は、これらの者の信用状況等を検討した上で各貸付けを行い、担保として約束手形を差し入れさせた。その際、原告と貸付先との間では、利息、返済期、返済方法等につき、明確な約定はなかったが、貸付先は、原告に対し、事業が軌道に乗った時に返済し、かつ相応の利息を支払い、又は利息相当分として、原告が貸付先の顧問ないし役員に就任して、顧問料ないし役員報酬を支払う旨約束していた。
本件各貸付けは、原告の行う経営コンサルタント業務の一部であるから、本件各貸付けから生じた所得は、事業所得であり、貸付金が、貸付先の倒産、所在不明等の理由により回収不能になった場合、その貸倒損失の額は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入されるべきである。
(4) 被告は、原告のコンサルタント業が功を奏し、多額の収入を得た場合には、それを事業所得とみなして高額の所得税を課しているにもかかわらず、原告のコンサルタント業が功を奏さず、投入資金を回収することができなかった場合には、それを事業所得の計算上必要経費として認めないというのでは、余りにも課税の衡平性を欠くというべきである。
(5) 原告は、貸金業者として東京都に登録した理由は、以前、税務署の職員から、貸金業者として登録すれば、貸付金に係る貸倒損失の額を事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができる旨の指導を受けたからである。
2 争点2(利子割引料の取扱い)について
(一) 被告の主張
(1) 事業所得の金額の計算上、必要経費に算入される借入金の利子、すなわち、利子割引料については、当該利子割引料を生じる借入金について、事業との関連性及び必要性が認められるものでなければならない。
しかし、既に述べたとおり、本件各貸付けは事業所得を生ずべき事業と認められないのであるから、その原資たる本件借入金について、原告の事業所得を生ずべき事業の遂行上必要なものと認める余地のないことは明らかである。
したがって、原告の主張する利子割引料を事業所得の計算上必要経費に算入することはできない。
(2) また、本件借入金の使途等は明らかとはいえないから、本件借入金が事業所得の収入金額を得るために発生したとは認められない。
(二) 原告の主張
(1) 原告は、Gから、平成8年ころ、貸付業務に必要な資金として、3000万円を利息年5分の約定で、返済期の定めなく借り入れた。
原告は、Gに対し、上記借入れに係る利息として、平成10年分112万9124円、平成11年分101万8227円、平成12年分113万3539円を支払った。
(2) 既に述べたとおり、本件各貸付けは、原告の事業と認められるから、その資金を調達する借入行為は、事業と直接の関連注を有し、事業の遂行上必要なものである。
(3) したがって、支払利息の額は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入されるべきである。
3 争点3(給料賃金の取扱い)について
(一) 被告の主張
(1) 丁は、原告の実子であるところ、そもそも、原告自身、丁について、原告の事業所であるA相談室に勤務している事実はない旨述べている。
また、丁は、株式会社Nにおいてコンピューターゲームの開発の仕事をしており、コンサルタント業や貸金業の仕事には全く関わりはないが、勤務先から給料をもらえないため、A相談室から収入を得ている旨述べ、A相談室には、丁の座席、出勤簿及びタイムカードすらないというのである。
原告において、コンピューターゲームの開発を業としている事実はなく、これは、株式会社Nの業務であるから、その業務の遂行上生じた収入及び必要経費は株式会社Nに帰属するのであって、原告の事業所得の計算上何ら考慮することができないことは明らかである。
仮に、丁が、原告の指示により関連会社に出向し、原告が丁に対する給料賃金を支払っていたとしても、丁の役務はA相談室とは何らの関連もない。すなわち、丁は、出向先で出向先の仕事を行っていたのであるから、仮に、原告が丁の給料賃金を負担したとしても、本来、出向先法人である株式会社Nが負担すべきものを原告が代わって負担したものであり、原告が出向先に対して当該給料賃金の額を請求しないのであれば、当該給料賃金の額は、単に原告から出向先法人に対する寄付であり、原告の事業とは関連がないことは明らかである。
したがって、丁の給料賃金について、原告の事業所得の必要経費に算入することはできない。
(2) 戊は、原告の実子であるところ、そもそも、原告自身、戊について、A相談室に勤務している事実はない旨述べている。
また、戊は、A相談室以外にも、合計3社から収入を得ている上、通常、有限会社Oの業務に従事し、午前10時から夕方6時ころまで同社に勤務し、その他の事務所に出勤している事実はなく、A相談室ではこれといった仕事はない上、A相談室での勤務の記録等も残っていないというのであるから、原告の業務に従事していないことは明らかである。
(3) Cは、A相談室には勤務せず、別にパート勤務をしているから、原告の業務に従事していないことが明らかである。
(4) Dは、A相談室への勤務はなく、A相談室に、座席やロッカーもなかったのであり、原告の業務に従事していないことは明らかである。
(二) 原告の主張
(1) 丁は、かつて原告の下で働いていたが、平成10年以降、原告の指示により、原告の関連会社である株式会社Pに出向し、同社において、コンピューターゲームソフトの製作業務に従事していた。丁は、出向社員であるから、原告が給料を支払っていたのである。したがって、丁の給料賃金は、原告の必要経費というべきである。
(2) 戊、C及びDは、原告の営む事業に従事しているから、同人らの給料賃金は、原告の必要経費として算入されるべきである。
第三 争点に関する当裁判所の判断
一 争点1(貸倒損失の取扱い)について
1 前記前提事実に加え、証拠(甲1の1ないし3、2の1ないし3、3ないし9、乙1ないし12、原告本人)及び弁論の全趣旨を総合すると、以下の事実を認めることができる。なお、甲第8及び第9号証並びに原告本人の供述中、以下の認定事実に反する部分は、他の証拠に反するか、又は的確な裏付けを欠くので、採用することができない。
(一) 原告の経歴、A相談室の業務等
(1) 原告は、昭和36年に山口県内の高等学校を卒業後上京し、製作所や物産会社に勤務した。原告は、昭和42年に金融会社を設立し、利益を上げていたが、毎日の帳簿の作成、細かい利息計算等に嫌気がさし、金融業を廃業した。その後、原告は、不動産業や製作所、飲食業等を営む各会社を設立し、利益を上げていた。
(2) 原告は、会社経営が順調に進展することに伴って、様々な人から経営のノウハウ等について相談を受けるようになり、昭和49年ころ、A相談室という屋号で経営コンサルタント業を営むようになった。
原告は、当初、助言、指導だけを行っていたが、次第に、経営に行き詰まった会社等のうち原告が再建の見込みがあると判断した会社等について、原告自身が顧客会社の役員、顧問あるいは代理人となって、直接顧客会社の債権者、取引先、関係官庁等と折衝するようになつた。原告は、その折衝の過程で暴力団関係者と交渉することや、原告個人及び原告が経営する会社の資金を顧客会社に投入することもあった。それだけに無事顧客会社が再建することができた場合には、多額の報酬、顧問料を得ることができた。
もっとも、原告が、資金を投入して関与した会社がすべて再建することができたわけではなく、回収されなかった資金の額も、多大なものに上った。
(3) 原告は、金融業は性に合わないと考えており、貸金業を営むつもりはない。
原告は、貸付けに当たって、約束手形や小切手を受領するものの、契約書を作成することも、貸付けの記録をすることもなければ、帳簿の備付けや、債務者ごとの貸付金額、受け払い金額の記載の保存も一切していない。また、利息の約定をすることはなく、返済の日時についても基本的に決めていない。原告は、貸付けのための宣伝広告は全くしておらず、貸付先は、一般多数人というわけではなく、原告自身の何らかの関係者がほとんどである。
(二) 本件各貸付け
(1) 原告は、知人の紹介で知り合った乙から、平成9年8月ころ、I株式会社の株式を購入するので6000万円を融資してほしい旨依頼された。そこで、原告は、乙に対し、毎月100万円ずつ返済する約定で、利息の定めなく、6000万円を現金で貸し付けた。原告は、乙が経営するJ株式会社が振り出し、乙が裏書をした額面100万円の約束手形20枚を受領した。なお、原告は、乙との間で、I株式会社の株式が値上がりして利益が上がった場合には、共同で事業を行う旨約束していた。
その後、原告は、乙から、4100万円の弁済を受けたが、残金1900万円については、J株式会社が、平成10年6月2日に手形不渡り事故を起こして倒産し、乙が所在不明になったため、回収が困難になってしまった。なお、上記約束手形は、J株式会社が同月5日に銀行取引停止処分を受けたため、銀行から返却された。
(2) 原告は、知人の紹介で知り合った丙から、平成9年秋ころ、特許訴訟等のための費用として4000万円の融資を依頼された。そこで、原告は、丙から、担保として丙が経営していたK株式会社が振り出し、丙が裏書をした額面2000万円の約束手形2通を受領して、4000万円を利息の定めなく融資した。原告は、丙との間で、特許訴訟において良い結果が生じた場合には、原告がK株式会社の顧問に就任する旨約束していた。
しかし、K株式会社は、平成11年春ころに倒産し、丙も所在不明になったため、上記4000万円については、回収が困難になった。
なお、原告は上記約束手形について求償のため銀行等への取立を依頼していない。
(3) 原告は、平成9年11月20日、知人からBを紹介され、Bの社長であるQから、L銀行から融資を受けるまでのつなぎ資金として3200万円を貸してほしい旨依頼された。原告は、担保としてBが振り出した約束手形3通(額面合計1400万円)及びQが社長をしているM株式会社が振り出した小切手3通(額面合計1800万円)を受領するのと引換えに3200万円を利息の定めなく、貸し付けた。原告は、Bが銀行からの融資を受けた後に同社と顧問契約を締結する旨約束していた。
しかし、Bは、L銀行から融資を受けることができなかった。Bは、平成11年1月12日に破産し、破産管財人が平成12年に主な資産であるホテルの建物及びその敷地である土地を売却したが、多額の債務超過の状況にある。原告は、仙台地方裁判所から、平成12年夏ころ、B及びM株式会社が破産した旨の通知を受けた。
2 被告の主位的主張について
(一) 被告は、本件各貸付けの事実自体が認められない旨主張するが、前記認定事実に反するから、採用することができない。
なお、被告は、元金の返済について、貸付先の事業が軌道に乗ったら返済するというにすぎず、金員交付に当たり、返還の合意があったとは認められないから、これを貸付けと評価することはできない旨主張する。確かに、前記認定事実のとおり、原告は、各貸付けに当たって、契約書を作成することも、貸付けの記録をすることもなければ、帳簿の備付け、債務者ごとの貸付金額、受け払い金額の記載の保存も一切しておらず、返済の日時についても基本的に決めていないのであるから、貸付けに係る事実関係はあいまいであり、返還の合意がなかったのではないかと疑うことも十分可能である。
しかしながら、本件各貸付けは、いずれも高額であるから、通常、返還の合意がないとは考え難いことに加え、前記認定事実からすると、原告の貸付先は、一般の顧客ではなく、原告自身あるいは原告と親しい者との信頼関係に基づいた者であると推認することができるから、契約書等の書類を作成していなかったり、返済の日時を具体的年月日をもって定めていなかったとしても、必ずしも不合理ということはできない。その他、返還合意がなかったことをうかがわせる証拠はないので、前記のとおり、証拠(甲8、原告本人)により、期限があいまいではあるが、返還の合意自体は、存在したものと認めるのが相当である。
(二) したがって、被告の主位的主張は、いずれも採用することができない。
3 被告の予備的主張について
(一) 事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう(所得税法27条1項)。そして、所得税法施行令63条12号は、対価を得て継続的に行なう事業を掲げている。
したがって、本件において、本件各貸付けに係る貸倒損失の額を事業所得の計算上、必要経費に算入するためには、その前提として、原告が行った貸付行為が、所得税法27条1項にいう「事業」の一環としてされたものである必要がある。
(二)(1)まず、原告の行っている貸付けが、それ自体独立して、所得税法27条1項にいう「事業」に当たるか否かを検討する。
事業所得を生ずべき「事業」とは、対価を得て継続的に行う事業である。金銭の貸付行為が所得税法上の事業に該当するか否かは、社会通念に照らして、その営利性、継続性及び独立性の有無によって判断すべきものと解するのが相当であり、具体的には、その貸付口数、貸付金額、貸付けの頻度、利率、貸付けの相手方、担保権の設定の有無、貸付資金の調達方法、貸付けのための広告宣伝の状況、人的及び物的設備の有無、規模その他諸般の状況を社会通念に照らして総合勘案して判定するのが相当である。
(2) これを本件についてみると、前記認定事実によると、本件各貸付けはいずれも利息の約定をしていないのであるから、本件各貸付け自体をもってしては、何ら利益を生み出すものではなく、営利性を認めることはできない。また、前記認定事実によると、原告は、貸付けのための宣伝広告は全くしておらず、貸付先は、一般多数人ではなく、本件各貸付けの相手方も、いずれも原告と個人的関係のある者であるから、幅広く利益を追求して企業活動をしているわけでもない。さらに、前記認定事実によると、原告は、本件各貸付けの貸付先から、約束手形ないし小切手を受領しているものの、貸付金が高額であることからすれば、通常、不動産担保等債権の回収確保のため事前に十分な措置を講ずるはずであるにもかかわらず、そのようなことをせず、その結果、貸付金の大部分につき回収が困難な状況に陥っている。そして、原告は、主観的にも、貸金業を独立の事業とするつもりはないというのである。
また、前記認定事実によると、原告が、資金投入して関与した会社がすべて再建することができたわけでもなく、回収されなかった金額も多額に上る反面、顧客会社が再建することができた場合には多額の報酬、顧問料を得ることができるというのである。そうすると、原告の貸付行為は、実質的には、将来、顧客会社等と自己にとって有利な顧問契約等を締結することができることを期待して行われた、投資的、更にいえば投機的な資金援助であると評価するのが相当である。
以上を考慮すると、本件各貸付けは、貸金業として独立して見てみると、社会通念に照らし、営利性、継続性及び独立性の観点からして、所得税法上の事業には該当しないというべきである。
なお、原告は、貸金業者として東京都に登録した理由については、以前、税務署の職員から、貸金業者として登録すれば、貸付金に係る貸倒損失の額を事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができる旨の指導を受けたからである旨主張する。しかし、これを認めるに足りる的確な証拠はないから、原告の上記主張は、採用することができない。
(三)(1) ところで、前記認定事実によると、原告の行っている経営コンサルタント業が所得税法27条1項にいう「事業」に当たることは明らかである。したがって、次に、原告の貸付行為が、原告の行う事業である経営コンサルタント業の業務の遂行と密接な関係があり、その貸倒れが事業所得を生ずる経営コンサルタント業の業務に関連又は付随する業務の必要経費に該当するのであれば、やはり、必要経費として控除が認められるので、この観点からの検討をすることとする。
(2) ある支出が所得税法37条1項の必要経費として総所得金額から控除され得るためには、客観的に見てそれが当該事業の業務と直接関係を持ち、かつ業務の遂行上通常必要な支出であることを要し、その判断は、単に事業主の主観的判断のみによるのではなく、当該事業の業務内容等個別具体的な諸事情に即し社会通念に従って実質的に行われるべきである。
(3) 本件においては、前記認定事実によると、原告は、①経営の行き詰まった会社等のうち原告が再建の見込みがあると判断した会社等について、原告自身が顧客会社の役員、顧問あるいは代理人となって、直接顧客会社の債権者、取引先、関係官庁等と折衝するとともに、その投資のための資金も投入し、あるいは、②将来性のある事業に資金を投入し、③それによって、そのような会社の顧問、役員等として高額の報酬を得たり、あるいはその事業に自らも参画することを企図していたものであり、④本件各貸付けも、これらのうち、いずれかの類型の資金援助であったと認めることができる。しかし、仮に、本件各貸付けが①の類型のものであったとしても、経営の行き詰まった会社等に対し、助言、指導等の経営コンサルタントや、代理、折衝等まで行っている者が、通常、そのために多額の貸付けを行わなければならないわけでもないし、実際に、経営コンサルタント等が、通常、自ら顧客への資金援助をしているわけではないことは公知の事実である。
また、本件各貸付けが前記②の類型であったとすると、そのような将来性のある事業への自らの参画を企図して行う資金援助が継続的な経営コンサルタント業務と直接の関係があり、その業務に必要なものであるということができないことは明らかである。
そうすると、社会通念に照らして判断すると、本件各貸付けが原告の行う経営コンサルタント業と直接関係を持っているとか、その業務の遂行上通常必要な支出であるということはできない。
(4) 原告は、被告が原告のコンサルタント業が功を奏し、多額の収入を得た場合には、それを事業所得とみなして高額の所得税を課しているにもかかわらず、原告のコンサルタント業が功を奏さず、投入資金を回収することができなかった場合には、それを事業所得の計算上必要経費として認めないというのでは、余りにも課税の衡平性を欠く旨主張する。
確かに、原告の行っている経営コンサルタント業は、通常の経営コンサルタント業を超えた部分があり、顧客会社の役員として得た収入はもちろん、そうでなくとも高額の収入については、そもそも経営コンサルタント業によるものではなく、給与所得、又は給与所得ではないが、労務の報酬ないし融資の謝礼としての雑所得に該当する疑いもある。
しかし、いずれにせよ、本件で問題となっているのは、回収が困難となった貸付金を事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができるか否かということであって、原告のいう経営コンサルタント業によって得た所得の所得区分いかんとは関係のないことであり、しかも、原告の上記所得が給与所得又は雑所得であるならば、そもそも、本件における貸倒れの必要経費への算入の前提を欠くことになる。したがって、原告の上記主張は失当である。
(5) 以上検討したところによると、仮に本件各貸付けが回収不能であったとしても、その損失は、経営コンサルタント業による事業所得の必要経費には該当しないというべきである。
4 以上のとおり、乙に係る貸倒損失分1900万円、丙に係る貸倒損失分4000万円、Bに係る貸倒損失分3200万円は、その余の点について判断するまでもなく、事業所得の計算上、必要経費に算入することはできない。
二 争点2(利子割引料の取扱い)について
既に判示したところからすると、本件各貸付けは、独立のものとして、所得税法27条1項にいう「事業」に該当するということはできず、また、原告の行う事業である経営コンサルタント業と直接に関係し、そのために通常必要なものということもできない。
したがって、本件各貸付けのために借り入れた資金の利子割引料も、事業所得の計算上、必要経費に算入することはできない。
三 争点3(給料賃金の取扱い)について
1 証拠及び弁論の全趣旨を総合すると、丁の勤務状況等について以下の事実を認めることができる。
(一) A相談室には、給料賃金に係る支払規定等は存在せず、従業員が原告の指示を受けて給料賃金を支給していた。
(二) 丁は、原告の子である。
丁は、原告の下で業務に従事していたが、平成10年以後、原告の指示で株式会社Pに出向した。丁は、同年9月、同社の代表取締役に就任し、専らその事務所においてコンピューターゲームソフトの制作に従事しており、A相談室では勤務していない。
原告は、丁に対し、出向社員であることを理由に給料を支払っていた。
2 上記認定事実を前提に検討すると、丁は、専ら株式会社Pにおいて勤務しており、A相談室における勤務の実態はないのであるから、丁に対する給料賃金をA相談室の事業所得の計算上、その必要経費に算入することはできない。
なお、戊、C及びDの給料賃金については、本件各裁決において、これを必要経費に算入することが認められ、そのため本件各更正処分等の一部が既に取り消されている(甲第6号証により認められる。)。したがって、この点について、当裁判所は判断しない。
四 小括
前記前提事実に弁論の全趣旨を総合すると、本件各決定及び本件各裁決によって一部取り消された後の本件各更正処分等は、①乙、丙及びBに係る貸倒損失の額、②上記3名に対する貸付けのための借入金に係る利子割引料の額、③丁に係る給料賃金の額を、事業所得の計算上、必要経費に算入せずに税額を計算したものであること、④上記計算の基となった算出根拠、計算過程等については、被告の主張のとおりであって、原告の平成10年ないし平成12年分の所得税の課税総所得金額及び納付すべき税額並びに過少申告加算税の額は、本件各決定及び本件各裁決による一部取消し後の本件各更正処分における課税総所得金額及び納付すべき税額並びに各過少申告加算税賦課決定における過少申告加算税の額と同額か、あるいはこれらを上回ることが認められる。
そうすると、本件各更正処分等は、いずれも適法である。
五 結論
よって、原告の請求はいずれも理由がないから、これらを棄却することとし、訴訟費用の負担について、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 菅野博之 裁判官 市原義孝 裁判官 本村洋平)
別表1
課税処分等の経緯(平成10年分)
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別表2
課税処分等の経緯(平成11年分)
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別表3
課税処分等の経緯(平成12年分)
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別表4
被告が主張する納付すべき税額の計算根拠(主位的主張)
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別表5
被告が主張する納付すべき税額の計算根拠(予備的主張)
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別表6
事業所得の内訳(平成10年分)
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別表7
事業所得の内訳(平成11年分)
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別表8
事業所得の内訳(平成12年分)
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別表9
原告の主張する給料賃金
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別表10
雑所得に加算する収入金額
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別表11
利子割引料
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