東京地方裁判所 平成16年(ヨ)21072号 決定 2004年8月26日
債権者
X
上記代理人弁護士
杉浦幸彦
債務者
モルガン・スタンレー証券会社ことモルガン・スタンレー・ジャパン・リミテッド
上記日本における代表者
A
上記代理人弁護士
立石則文
同
中山慈夫
同
男澤才樹
同
菅原高志
同
寒川智美
主文
1 債務者は,債権者に対し,金85万円及び平成16年9月から平成17年7月までの間,毎月20日限り,金85万円を仮に支払え。
2 債権者のその余の申立てをいずれも却下する。
3 申立費用は債務者の負担とする。
事実及び理由の要旨
第1申立て
1 債権者が,債務者に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを仮に定める。
2 債務者は,債権者に対し,平成16年5月27日から本案判決確定に至るまで,毎月20日限り金184万3273円を仮に支払え。
第2事案の概要
本件は,債務者に雇用されていた債権者が,債務者の債権者に対する懲戒解雇は無効であるとして,債務者に対し,労働契約上の地位の保全及び賃金の仮払を求める事案である。
1 前提となる事実(争いがない。)
(1) 債務者は,有価証券の売買等を目的とする会社である。
(2) 債権者は,平成10年4月,債務者に雇用され,為替本部のエグゼクティブ・ディレクターとして,債務者の顧客である法人に対し,包括的長期為替予約を内容とする金融商品の販売等にプロフェッショナル社員として従事していた。
債権者の平成16年3月分及び4月分の給与は,1か月184万3273円であった(給与支給日は毎月20日)。
(3) 債務者の就業規則
7条 (社員の責任)
会社は,業務を極めて高い水準において行ってきた長い歴史と国際的名声を有する。社員は,常に,会社業務の高い水準の専門性と名声を保持するよう行動しなければならない。特に,社員は,本規則及びモルガンスタンレー行為規範を含む会社のあらゆる規則を遵守し,かつ上司からの指示と助言に従い,他の社員と協力して,定められた職務を迅速に全うしなければならない。
8条 (社員の行動)
社員は,会社の名声と利益を害する虞れのある行為を避けるべく,プロフェッショナルの意識を持たねばならない。
1 社員は,事前に許可を得た場合を除き,所定の職務を遂行する場合にのみ,会社の名称,肩書又は役職名を使用すべきである。
2 社員は,フルタイムベースで雇用される。社員が他に雇用され,又は他と業務上の関係を持つことを希望する場合には,会社の業務と利害が相反しないよう,モルガン・スタンレー行為規範の定める手続に従って,事前の許可を得なければならない。
41条 (懲戒)
会社は,社員が,本就業規則,業務方法書及びモルガン・スタンレー行為規範を含むその他の会社の諸規則に違反し,又は不正直な行動をなし,犯罪を犯し,会社の記録を偽造・変造し,故意に会社の財産を毀損し,秘密情報を不法に漏らし,又は会社の社員に期待される行動基準にもとって行動したときは,違反行為の程度に応じ次のとおり懲戒を行う。
(a) 書面での譴責
(b) 1回の額が前月基本給の1日分の半額を超え,減給の総額が前月基本給の総額の10分の1を超えない範囲内の減給
(c) 給与の支給される20日以内の出勤停止
(d) 給与の支給されない20日以内の出勤停止
(e) 懲戒解雇
2 会社は,懲戒処分に付する前に事情調査の必要があると認める場合は,対象社員に対し,自宅待機を命ずることができる(ただし,この場合,当該社員は,その間給与の支払を受ける。)。
(4) 債務者の行為規範
債務者の行為規範の参考和訳には以下の規定がある。なお,債務者の行為規範については,英語版原文が正式なもので,参考和訳に解釈上の疑義がある場合や,両者の間に相違がある場合には英語版が優先し,英語版に依拠する旨規定されている。
「 この行為規範において具体的に取り上げられていない事柄については,この行為規範の精神に基づいて,すなわち,最も高度の倫理性をもって,そして,当社の声価を守ることを目標として,行動してください。従業員は,取ろうとしている行動がすべての法令に合致しているかどうか,また,当社(もしくは自分)を困惑させる結果となる可能性がないかどうかを,考慮しなければなりません。そのため,実際の違法・不適切行為だけではなく,不適切と見える行為も控えなければなりません。あなたのとる行動はすべて最終的には公になるものと想定してください。そして,その場合に当社(そしてあなた)がどのような評価を受けるか,熟考してください。疑問に思ったときは行為を止め,再考してください。助言が必要な場合は,当社のシニア・マネジャー及び法務部までお問い合わせください。」(<証拠省略>)
「 訴訟,捜査,照会及び苦情に関する従業員の義務
訴訟,捜査,照会及び苦情の報告
次の場合には,直属の上司及び法務部に速やかに報告しなければなりません。
民事訴訟又は民事上の調停・仲裁の当事者となったとき(軽度の交通事故,人身損害,少額の損害賠償,家族法に関する事柄で,当社に関係しないものを除く)
上記の場合について,法務部に連絡する前はいかなる行動もとってはなりません。法務部への連絡を怠った場合は,解雇を含む処分が課されることがあります。」(<証拠省略>)
(5) 本件解雇
債務者は,平成16年4月26日,債権者に対し,同日をもって懲戒解雇する旨の意思表示をした(以下「本件解雇」という。)。
本件解雇の理由は,<1>債権者が,債務者に通知することなく平成16年4月1日日本公認会計士協会(以下「協会」という。)を相手として提訴された訴訟(以下「別件訴訟」という。)について,同月21日付け撤回指示にも従わず,訴訟を取り下げないことを明確にするなどの行動により,債務者との信頼関係を著しく損ない,債務者の秩序規律を乱したこと,<2>債権者が協会に対する当該訴訟について債務者設備を使用し顧客に喧伝し,債務者の信用を毀損したことが,就業規則7条,8条,41条及び従業員行為規範に違反するというものである。
2 主要な争点
本件の主要な争点は,債権者が別件訴訟の取下命令に従わないこと,債務者のメールアカウントを使用して別件訴訟を顧客に喧伝したことなどが就業規則ないし行為規範に違反するとしてなされた本件解雇が有効かという点である。
本件解雇に関し,債務者は,債権者が別件訴訟を提起し,債務者の取下命令に従わずにこれを継続することは,債務者がさらされる信用リスクを一顧だにしないものであり,債務者の業務に関係する訴訟について,法務部が債務者の信用・利益を保護できるように,法務部への事前の報告や連絡,法務部の指示に従うことを義務付けている行為規範に違反する上,就業規則7条,8条に違反すると主張している。また,債務者は,債権者が,債務者のメールアカウントを使用して,顧客・同業他社・マスメディア等多数に対し本件訴訟を知らせたことは,債務者の名声にいかなる悪影響を及ぼすかについて全く考慮しない重大な秩序・規律違反であり,就業規則7条,8条に違反する上,自らの行為が債務者を困惑させる結果となる可能性がないかを考慮するとともに,当該行為が公になった場合に債務者がどのような評価を受けるか熟慮することを定めた行為規範にも抵触すると主張している。
これに対し,債権者は,別件訴訟は,債権者個人の人格権及び経済的利益にかかる損害を回復するため,債務者の名前を出さずに債権者の費用をもって提起したものであって,私生活に関する行為にすぎず,かかる事項について債務者に職務上の指揮監督権はないし,行為規範によれば,債務者の従業員は,民事訴訟等の当事者となったときに直属の上司及び法務部に速やかに報告すればよいのであって,その後債務者の指示に従う必要もないと反論し,また,債権者は,仕事上及び個人的つきあいを通じて知り合った30ないし40人の知人に対し,別件訴訟の提起及びこれに関する債権者のホームページのアドレスを知らせたが,債務者は従業員の私的な電子メール使用を一切禁じているわけではないし,上記電子メールの受信者は既に債権者が債務者の従業員であることを知っており,電子メールの差出人のアドレスに債務者の名称が含まれていたとしても,別件訴訟の原告が債務者であると誤信し,債務者に損害が生じたとは考えられないと反論している。
第3理由の要旨
1 被保全権利の存在について
(1) 認定事実
ア 協会は,平成15年2月18日,リサーチ・センター審理情報[No.19]として,「包括的長期為替予約のヘッジ会計に関する監査上の留意点」(以下「留意点」という。)を発表した。
留意点は,1年以上の予定取引については,輸入見合いの長期の円建売契約がある場合を除き,原則として会計処理上は投機目的と考える必要があることなどを主な内容とするものであった(争いのない事実,<証拠省略>)。
イ 債権者は,週刊東洋経済2003年9月27日号に,留意点の不当性を主張する記事(以下「本件記事」という。)をBとともに寄稿した(争いのない事実,<証拠省略>)。
ウ 債権者は,平成15年10月6日,在日米国商工会議所エグゼクティブ・ディレクターに対し,本件記事,債権者の名刺(債務者名や債務者における債権者の肩書等が記載されたもの)とともに,留意点の不当性を訴える書面を送付した(争いのない事実)。
エ 債権者は,平成15年10月15日,協会に対し,留意点の撤回を求める内容証明郵便を送付した(争いのない事実)。
オ 債権者は,平成15年10月16日,a監査法人,b監査法人,c監査法人及びd監査法人に対し,本件記事等の資料とともに,留意点の不当性を訴える内容証明郵便を送付した(争いのない事実)。
カ 協会は,平成15年11月17日,債権者に対し,上記エの内容証明郵便に対する回答として,留意点は協会の業務の一環として発せられたもので,その内容は,既に公表済み,かつ適用されている会計基準と実務指針に関する監査上の留意点を同協会の会員向けに周知徹底を図ったものである旨の回答を送付した(争いのない事実)。
債権者は,平成15年11月19日,協会に対し,上記回答が形式的に過ぎるとして,留意点の撤回の求めに対し誠実な対応をするように求める内容証明郵便を送付した(争いのない事実)。
キ 債権者は,平成16年1月8日,東京弁護士会に対し,協会及び監査法人eをそれぞれ照会先とし,留意点に関する事柄を照会事項とする弁護士法23条の2に基づく照会申出を行った(争いのない事実)。
上記照会に対し,監査法人eは,平成16年2月19日,回答しかねるとの回答をし,協会は,同年3月3日,留意点を撤回する予定はないことなどを内容とする回答をした(争いのない事実)。
ク 債権者は,平成16年4月1日,協会に対し,留意点により債権者の営業活動が阻害され経済的損害及び精神的苦痛を受けたとして,慰謝料141万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める別件訴訟を提起した(争いのない事実)。
ケ 債権者は,平成16年4月1日,仕事上及び個人的つきあいを通じて知り合った顧客・知人・友人・マスメディア等67名に対し,債務者のメールアカウントを使用して,別件訴訟を提起した旨通知した(<証拠省略>,審尋の全趣旨)。
コ 債権者は,平成16年4月2日,公認会計士監査審査会に対し,別件訴訟提起を通知するとともに,同審査会が協会に対し厳正なる態度をとるよう求める内容証明郵便を送付した(争いのない事実)。
サ 債務者は,平成16年4月7日,債権者に対し,別件訴訟を提起する前に直属の上司又は法務部に相談することを怠ったとして,譴責処分をした(争いのない事実)。
シ 債務者は,平成16年4月21日,債権者に対し,同年4月27日までに別件訴訟を取り下げるよう求める業務命令を発した(争いのない事実)。
ス 債権者は,平成16年4月23日,債務者に対し,上記シの業務命令には従わない旨の通知をし,また,上記サの譴責処分の無効確認を求める訴訟を提起した(争いのない事実)。
(2) 判断
ア 債務者は,本件解雇の主たる理由として,債権者が債務者の事前承諾を得ることなく別件訴訟を提起し,さらに,債務者の業務命令である別件訴訟の取下命令に従わなかったことが就業規則及び行為規範に違反すると主張している。
この点,債務者は,行為規範において,従業員が民事訴訟等の当事者となったとき(軽度の交通事故・人身損害・少額の損害賠償・家族法に関する事柄で,債務者に関係しないものを除く。)には直属の上司及び法務部に速やかに報告すること,法務部に連絡する前は行動しないことを義務づけているが,かかる規定から直ちに,債権者が私的な訴訟を提起する際に債務者の事前承諾を得る義務があるとか,訴訟係属後に債務者の取下命令に従う義務があると解することはできない。
また,債権者は,債務者において,包括的長期為替予約を内容とする金融商品の販売等に従事していたところ,留意点は上記商品の会計処理に係わるものであるから,留意点の不当性を主張する別件訴訟は債務者の業務に関連するものということはできるが,他方,別件訴訟は,債権者が,個人として,協会を被告として提起した訴訟であり,職務遂行とは直接関係のない行為であるから,債務者の円滑な運営に支障を来すおそれがあるなど企業秩序の維持確保のために必要な範囲内でのみかかる行為を規制の対象にし,これを理由に懲戒を課することができるものと解される。
これを本件についてみると,別件訴訟の提起により債務者の企業秩序が乱されたとか債務者の信用が毀損されたとの疎明はない。また,債務者は留意点を肯定も否定もしておらず,単に債務者としては訴訟手続により決着を付けることは適当でないというにすぎないから,債権者が別件訴訟を提起し,個人的な立場で留意点の不当性を主張することが直ちに債務者の企業秩序を乱すおそれがあるとはいえない。さらに,債権者が債務者に所属していることが広く認知されていたとしても,債権者は別件訴訟が債務者の指示によるものであるとか,その承諾の下になされているなどと表明したことはなく,むしろ別件訴訟に至る一連の行為において債務者とは無関係に個人的に行っていることを表明していたのである(<証拠省略>)から,客観的にみて別件訴訟の提起により債務者の信用等が毀損されるおそれがあるともいえない。
以上によれば,別件訴訟の提起により債務者の企業秩序に影響が及ぶとはいえず,債権者が別件訴訟を提起したこと,さらに,債務者が命じた別件訴訟の取下命令に債権者が従わなかったことを理由として債権者を懲戒解雇することはできない。
イ 次に,債務者は,本件解雇の理由として,債権者が債務者のメールアカウントを使用して別件訴訟を顧客らに喧伝したことが就業規則ないし行為規範に違反すると主張している。
この点,上記認定したとおり,債権者は,債務者の情報通信システム施設を利用して別件訴訟を提起したことを仕事上及び個人的つきあいを通じて知り合った顧客・友人・知人・マスメディアらに周知したことが認められるところ,上記説示したとおり別件訴訟は債務者の業務に関連するとはいえ飽くまで債権者の個人的な訴訟であるから,かかる行為は,限られた私的目的を除いて業務以外の情報通信システムの利用を禁じた行為規範(<証拠省略>)に違反するものであり,債務者の懲戒権が及ぶ。
しかしながら,債権者は,上記電子メールにおいて,別件訴訟は債務者とは無関係に個人的になされたものであることを表明しており(<証拠省略>),そもそも上記電子メールの受信者は,もともと債権者が債務者の従業員であることを知っていたのであるから(審尋の全趣旨),第三者が接するのとは異なり,債務者のメールアカウントが使用されたことにより,通知の内容について債務者が承諾しているとか,債務者の指示によるものであるなどと認識するとはいえず,かかる行為によって債務者の信用等が毀損されたとか,そのおそれがあるということもできない。
そうすると,上記のような程度の業務以外の情報通信システムの利用に対する懲戒としては,解雇は重きに失するというほかない。
ウ さらに,債務者は,本件解雇の理由として,本件記事等の米国商工会議所エグゼクティブ・ディレクターへの送付,協会,監査法人及び公認会計士監査審査会への内容証明郵便の送付,協会及び監査法人を照会先とする弁護士法に基づく照会等が就業規則及び行為規範に違反する旨も主張するが,これらの債権者の私的行為が直接就業規則ないし行為規範に違反するとはいえないし,客観的にみてこれらの行為により債務者の円滑な運営に支障を来すおそれがあるなど企業秩序に影響を及ぼすともいえないから,これをもって懲戒解雇の理由とすることはできない。
なお,債権者は,本件記事の寄稿について,行為規範及び債務者の方針に反して事前に社内承認手続きを経ていなかったことは認められる(<証拠省略>,審尋の全趣旨)が,これだけを理由とする懲戒解雇もまた重きに失するというほかない。
エ 以上検討したところによれば,本件解雇は,客観的に合理的な理由がなく,社会通念上相当として是認することができないから,無効である。
2 保全の必要性について
疎明資料(<証拠省略>)及び審尋の全趣旨によれば,<1>債権者は,無職無収入の妻と2人暮らしであること,<2>生活費等とは別に住宅ローンの返済,マンションの管理費等で1か月45万2970円の支払があること,<3>平成16年度の住民税が437万0900円であること,<4>平成16年度の固定資産税が19万円余りであると見込まれること,<5>定期預金が343万2267円あることなどが一応認められ,これらの事実によれば賃金仮払の保全の必要性があると認められるが,債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるために必要な仮払金は月額85万円が相当と認められ,仮払期間については,将来の事情の変更,債務者の被る損害等を考慮すると,平成16年8月分から平成17年7月分までの範囲で必要性があると認めるのが相当である(平成16年8月分は支払期が経過した。)。
なお,疎明資料(<証拠省略>)によれば,債権者は債務者の従業員取引口座に株式を保有しており,その資産価値は少なくとも2000万円以上であることが認められるところ,これを換価することが直ちに証券取引法166条(内部者取引の禁止)等に違反するとの疎明はないが,債務者においては行為規範により従業員の証券取引が制限されていること(<証拠省略>)などにかんがみれば,これを直ちに換価して生活費等に当てることを債権者に強いることは困難であり,これをもって賃金仮払の必要性がないということはできない。
ところで,債権者は,債務者に対し,労働契約上の地位の保全も併せて申し立て,その理由として,本件解雇により職業経歴の蓄積の機会を奪われていること,債務者における給与は裁量業績賞与の割合が非常に大きいから直ちに原職に復帰する必要があること,本件解雇により債権者に対する顧客の信頼が失墜すること,住宅ローンについて従業員の地位を失うと期限の利益を失うおそれがあること,米国証券外務員資格を失うおそれがあることなどを主張している。しかしながら,米国証券外務員資格については,外務員等としての登録抹消後資格喪失までに2年間の猶予期間があることが認められ(<証拠省略>,審尋の全趣旨),その他の事由についてもおよそ賃金仮払以外に債権者に生ずる著しい損害又は危険を避けるために労働契約上の権利を有する地位を仮に定めるべき特段の事情とはいえないから,労働契約上の地位保全の必要性は認められない。
3 結論
以上の次第であって,本件申立ては,主文第1項の限度で理由があるから事案の性質に照らし債権者に担保を立てさせないでこれを認容することとし,その余の申立ては理由がないのでこれを却下することとして,主文のとおり決定する。
(裁判官 知野明)