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東京地方裁判所 平成16年(ワ)21435号 判決 2006年1月17日

原告

有限会社 オカザキ

同代表者代表取締役

岡﨑秀雄

同訴訟代理人弁護士

渡辺正雄

被告

協同組合 エコアップえどがわ

同代表者代表理事

田口彰紀

同訴訟代理人弁護士

大西英敏

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は、原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

(1)  被告は、原告に対し、一四一七万七二二六円及び内金一二五七万四四七四円に対する平成一六年二月一日から、内金一六〇万二七五二円に対する平成一六年四月一日から各支払済みまで年五%の割合による金員を支払え。

(2)  訴訟費用は、被告の負担とする。

(3)  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

(1)  原告の請求を棄却する。

(2)  訴訟費用は、原告の負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

(1)  原告は、平成一二年一一月四日、被告に対し、その設立に当たり、出資金として三〇〇万円(一口一〇万円)を払い込んだ。

(2)  原告は、被告に対し、平成一五年五月二三日までに一二五七万四四七四円を期限の定めなく貸し付けた(以下「本件貸付金」という。)。

(3)  原告は、平成一五年一〇月三一日、被告に対し、定款一二条に基づいて被告から脱退する旨の通知をし、同年一一月六日、被告理事会においてこれが承認された。

(4)  原告は、平成一五年一〇月二五日、被告に対し、同月六日から九〇日以内に支払うよう要求した。

(5)  よって、原告は、被告に対し、上記消費賃貸借契約に基づき、一二五七万四四七四円及びこれに対する履行遅滞後である平成一六年二月一日から、被告からの脱退に基づき、出資金残金一六〇万二七五二円及びこれに対する履行遅滞後である同年四月一日から各支払済みに至るまで民法所定の年五%の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

請求原因事実(1)は、認める。

同(2)のうち、期限の定めがなかったことは否認し、その余は認める。

同(3)(4)は、認める。

三  抗弁

(1)  貸付金についての不確定期限の合意

被告は、平成一二年一二月一五日、原告を含む組合員との間で、被告の組合員からの借入金について、被告に利益が出た後に返済する旨の合意をした。

(2)  保証金分担分の貸付金についての期限の合意

本件貸付金のうち、原告が、被告が敷地賃貸借契約を締結した際の保証金分担分として貸し付けた五一七万五〇〇〇円については、被告は、平成一四年一月二四日ころ、原告との間で、一〇年間据置のうえ、一一年目から一〇年間で均等返還する旨の黙示の合意をした。

(3)  権利の濫用

原告の代表者は、被告の理事長であったが、かつて被告を脱退したことを理由にして貸付金の返還請求をした有限会社クリーンオフィス(代表者浜田守正、以下「クリーンオフィス」という。)に対し、上記(1)(2)と同様の主張をしていたものであり、また、原告は、被告理事会において、貸金請求をするとの申入れをしていなかった。これらの諸事情からすれば、原告の本件請求は、信義則に反し、権利の濫用である。

(4)  中小企業等協同組合法二二条による持分の払戻の停止

原告は、平成一六年三月三一日をもって脱退したものと扱われるので、被告に対し、別紙記載の賦課金(定款一六条に基づいて組合員に賦課される経費)六六二万〇二七一円及びこれに対する延滞金(年一五%)との合計七六一万六四五九円を支払う義務を負うが、これを支払わないから、中小企業等協同組合法二二条により、出資金の支払を拒絶する。

(5)  相殺

原告は、被告に対し、上記の賦課金及びこれに対する延滞金を支払う義務を負う。

被告は、平成一六年一一月二六日の本件口頭弁論期日において、原告の本件貸金請求権と被告の上記賦課金請求権とを対当額で相殺する旨の意思表示をした。

四  抗弁に対する原告の認否

(1)  抗弁(1)(2)(3)は、否認する。

クリーンオフィスは、被告に対し、貸付金の返還を請求して訴訟を提起したが、原告代表者は、その訴訟には全く関与していない。同訴訟は、被告の現在の代表者が、当時被告の専務理事として関与したものである。

(2)  同(4)は、否認ないし争う。

原告が平成一六年三月三一日までの賦課金を支払うべきであるとすれば、六六二万〇二七一円となるが、原告は、平成一五年一〇月三一日に全組合員(全理事)の同意を得て円満に脱退し、被告の行う事業から完全に離脱したから、同年一一月以降の賦課金を課されることはないというべきである。

(3)  同(5)のうち、被告が上記相殺の意思表示をしたことは認めるが、その余は、否認する。

五  原告の反論

(1)  定款の定め

被告の定款一四条は、被告が出資金の払戻を留保する権利を放棄しているから、被告は、出資金残金にかかる本件請求を拒絶することはできない。

(2)  権利の濫用

被告の理事会では、賦課金に対する延滞金の割合を三%から五%までにするという方向の意見が出ていたにもかかわらず、原告が本件訴訟を提起したことを理由に一五%と決定したのは、いわれのない見せしめを企図した懲罰的なものであり、権利の濫用であるから、認められるべきでない。

六  原告の反論に対する認否

原告の反論のうち、定款一四条が存在することは認めるが、その余は、否認ないし争う。

理由

一  本件の中心的争点について

請求原因事実は、同(2)のうちの消費貸借に期限の定めがないことを除き、当事者間に争いがない。

本件の中心的な争点は、被告の抗弁(1)(2)の期限の存否と、同(4)にかかる原告の支払うべき賦課金の額である。

これらを検討するために、まず、事実関係をみる。

二  事実関係

当事者間に争いのない事実《証拠省略》によれば、次の事実が認められ、これを覆すに足りる証拠はない。

(1)  三東運輸株式会社(以下「三東運輸」という。)、有限会社エフアンドイー(以下「エフアンドイー」という。)、原告、鉄甲金属株式会社(以下「鉄甲金属」という。)、クリーンオフィスは、資源回収の目的で協同組合を設立することを計画していたところ、東京都江戸川区との折衝を経て、まずは江戸川区立小・中学校の給食生ゴミのリサイクルを事業化し、将来は、江戸川区の資源回収事業を受託して利益を上げるという目的で、被告を設立する方向で計画が進められた。

上記五社は、被告設立の準備段階において、生ゴミ処理施設の建設費用などとして、一社当たり二〇〇〇万円程度の負担をすることなどを申し合わせた。

(2)  被告は、平成一二年一一月一六日、上記五社を組合員として設立され、原告代表者岡﨑秀雄(以下「岡﨑」という。)が被告理事長に選任された。

被告の定款一二条一項は、「組合員は、あらかじめ組合に通知したうえで、事業年度の終わりにおいて脱退することができる。」、二項は、「前項の通知は、事業年度の末日の九〇日前までに、その旨を記載した書面でしなければならない。」、一四条は、「組合員が脱退したときは、組合員の本組合に対する出資額(本組合の正味財産が出資の総額より減少したときは、当該出資額から当該減少額を各組合員の出資額に応じて減額した額)を限度として持分を払いもどすものとする。ただし、除名による場合は、その半額とする。」、一六条一項は、「本組合は、その行う事業の費用(使用料又は手数料をもってあてるべきものを除く。)にあてるため組合員に経費を賦課することができる。」、二二条は、「本組合は、組合員が使用料、手数料、経費及び過怠金の支払いその他本組合に対する債務を履行しないときは、履行の期限の到来した日の翌日から履行の日まで年利一五パーセントの割合で延滞金を徴収することができる。」と定められている。

(3)  被告設立前後の会合は、三束運輸の会議室、ファミリーレストランや岡﨑の自宅で行われたが、その後、岡﨑が自宅一階の貸室を被告事務所として提供することになった。

被告は、平成一六年二月、岡﨑に対し、上記部屋を明け渡した。

(4)  被告は、江戸川区内において、生ゴミ処理施設の建設に適した用地を探していたところ、平成一三年に、株式会社ジェイアール東日本都市開発総武支社(以下「ジェイアール東日本都市開発」という。)から江戸川区葛西地区の土地を利用できることになった。

被告は、平成一四年一月二四日、ジェイアール東日本都市開発との間で、施設物(高架下用地であるために施設物と記載されたものと理解できる。)を賃借する旨の賃貸借契約を締結し、あわせて、同賃貸借契約に基づく入居保証金二三〇〇万円を無利息で預託し、同入居保証金は、契約締結の日の翌日から一〇年間据え置かれ、ジェイアール東日本都市開発において一一年目から一〇年間、毎年三月末をもって、翌月二〇日までに均等割りでこれを返還する等の内容の契約を締結した。

(5)  上記五社は、平成一二年から、生ゴミ処理事業に必要な経費の負担について話し合っており、初期投資として各自の負担とするという意見もあったが、将来他の資源回収事業を江戸川区から受託できれば、大きな利益を上げる時が来る可能性があり、その時には、被告から返済してもらえるように被告に対する貸付金とするという意見が出た。

被告は、同年一二月一五日、第三回理事会を開き、その際、橋本税理士によって作成された金銭消費貸借契約書の文案が回覧された。なお、この文案では、無利息とされていた。

平成一三年八月二四日に開催された第四回理事会の議事録には、第二号議案の「JR高架下用地賃貸借契約交渉に関する報告」について、「理事福田川弘子が、組合設立を企画した際に話した初期投資一人二、〇〇〇万円がいよいよ必要となる。全員が承知のうえで組合を設立した訳であるから判っていると思うが、早めの資金準備が必要。もっとも貸付金返還は、組合が儲かり利益が出てからとの申し合わせであるため、早く儲けて返せるよう全員が智恵を出し合って努力することが肝要、と万全な資金準備を要求した」のに対し、理事全員が賛成し、了解した旨の記載がされている。しかし、理事福田川弘子は、同理事会に出席しておらず、上記発言をしたのは、同人の夫である福田川慎一であった。

平成一三年一一月八日に開催された第八回理事会の議事録には、専務理事森谷file_2.jpg(以下「森谷」という。)が生ゴミ処理施設建設に伴う必要経費について、ジェイアール東日本都市開発関係では、仮契約時に一一五〇万円、本契約時に一一五〇万円、保証金四八〇万円、賃貸料一か月分五〇万四〇〇〇円の支出があり、その他の関係でも支出が予定されていること、こうした必要経費については組合員から借り入れることが決まっていることなどを説明した後、議長から、「必要経費の組合員貸付負担については、江戸川区松江に仮施設契約の際及び平成一四年(誤記であり、平成一三年が正しい。)八月開催の理事会におき、組合に利益が生じた段階からの返済を申し合わせている。特に(株)ジェイアール東日本都市開発総武支社と取り交わした「入居保証金に関する契約書」条項は入居保証金返還につき一〇箇年間据え置き、一一年目から一〇箇年間均等割り、としていることも念頭に入れておいて貰いたい」と確認を含め貸付負担に対する条件説明を行い、全理事が説明を了承し、賛成した旨の記載がされている。

岡﨑は、被告理事長として、平成一二年度から平成一四年度までに開かれた理事会において、議長となっており、また、理事会の議事録について、通常総会の後、他の必要書類とともに、東京都経済局中小企業課に提出し、審査を受けた後、被告事務所(岡﨑の自宅)に保管していた。

(6)  平成一四年四月、クリーンオフィスが被告から脱退した。その後、有限会社エコクリーンTANAKA(以下「エコクリーン」という。代表者田中泰延)が、被告に加入した。

クリーンオフィスは、被告から脱退した後、貸付金の返還請求をした。これに対し、被告は、組合員との間で、同貸付金には、本件の抗弁(1)(2)と同様の期限の定めがあり、組合員の脱退後も効力を有する旨を確認の上、当時の代表者岡﨑が、それを主張した。

(7)  原告は、被告に加入したものの、深刻な経営難に陥り、平成一四年四月分以降の賦課金を滞納するようになった。そして、平成一五年九月二四日、原告の脱退予告書及び岡﨑の理事長辞任届が提出されたが、その後一旦これらは撤回され、同年一〇月三一日、被告に対し、原告の脱退予告書及び岡﨑の理事長辞任届が再度提出され、同年一一月六日、被告理事会が原告の脱退予告書を受理したが、岡﨑の理事長辞任届は撤回された。

(8)  被告の平成一六年度(同年四月一日から平成一七年三月三一日まで)の当期損失は、七〇五万五二一四円であり、同日現在の次期繰越損失は、一五九六万六八〇七円である。

三  抗弁(1)(2)について

(1)  二の認定事実のとおり、被告の事業を行うためには、組合員各自が初期費用として二〇〇〇万円の負担をする必要があったところ、岡﨑が議長となって理事会が開催され、前記内容の理事会議事録が作成されたこと、被告は、その事業が軌道にのるまでは債務超過が予想されたことなどの諸事情によれば、被告と原告との間には、平成一二年一二月一五日、原告の被告に対する貸付金について、被告に利益が出た後に返済する旨の合意が成立し、本件貸付金のうち、原告が、被告が前記の賃貸借契約を締結した際の保証金分担分として貸し付けた五一七万五〇〇〇円について、被告は、平成一四年一月二四日ころ、原告との間で、一〇年間据置のうえ、一一年目から一〇年間で均等返還する旨の合意をしたと認められ、原告及び被告が、貸主である原告からの催告があれば、相当期間経過後に弁済期が到来する(これが期限の定めがないという意味である。)という意思であったと認めることはできない。

第四回理事会議事録中、福田川弘子の発言として記載されている内容は、同人の発言でなく、真実は、夫慎一の発言であるが、そうであるからといって、原告と被告との合意の成立を左右するものではない。また、ジェイアール東日本都市開発と被告との契約内容が、当然に原告と被告との間の消費賃借契約の内容となるものではないが、本件貸付金のうち、ジェイアール東日本都市開発関係の保証金分担分として使用する金員の返済については、ジェイアール東日本都市開発からの返済条件を前提とすることが話し合われていたことからすれば、それに対応した返済期限が定められたと解するのが、合理的意思に合致するというべきである。

これに対し、甲三(原告代表者の陳述書)には、平成一二年度から平成一五年度までに開かれた理事会の議事録について、当時の森谷専務理事が作成し、その指示に基づいて岡﨑が理事長として押印したことはあるが、岡﨑においてその内容を見たことがなく、上記議事録に記載された合意が成立した事実はないとの陳述記載があり、原告代表者は、同趣旨を供述する。

しかし、二の認定事実のとおり、岡﨑は、被告理事長として、平成一二年度から平成一四年度までに開かれた理事会の議長を務めており、また、理事会の議事録について、通常総会の後、他の必要書類とともに、東京都経済局中小企業課に提出し、審査を受けた後、被告事務所(岡﨑の自宅)に保管していたほか、証拠(原告代表者)によれば、理事会で、各組合員からの被告の借入金のことが話し合われた際には、具体的な返済期限の話はなかったが、事業で利益が上がれば返済するという話がされており、原告代表者が反対したことはなかったことなどが認められ、これらの諸事情に照らせば、原告代表者の上記陳述記載及び供述を採用することはできない。

他に、上記認定を動かすに足りる証拠はない。

(2)  なお、本件貸付金は、出資金ではなく、第三者の被告に対する貸付金と同様の法理に従うのが相当であるから、上記の期限の合意は、原告が脱退した後も、被告の事業が継続する以上、有効であって、原告の自由な意思に基づく脱退により当然に期限が到来するということはできない。

このことは、前記認定事実のとおり、被告が、被告を脱退したクリーンオフィスから、その脱退後に貸付金の返済請求を受けた際、被告と組合員との間において確認されたことである。

《証拠省略》によれば、原告は、平成一六年一月一五日付けの書面により、被告に対し、本件貸付金は、出資金でないこと、本件貸付金のうち、「JRからの敷地賃貸借契約の際の組合からの保証金分担相当分として、当社が貴組合に貸し付けた金約五七五万円は、一〇年を経過した後に返還されることとなっているため、貴組合からの返済時期もそれと合わせざるを得ないでしょうが、それ以外の事業運営資金の貸付金約六二八万四四七四円に就いては、貴組合との間で返済期限は定めておらず、しかもその貸付金は、組合員脱退と直接の関係はありません。」との主張に基づいて和解案を提示し、その後、これを撤回したことが認められる。上記書面の和解案は、その後撤回されたとはいうものの、一つの重要な間接事実となるところ、これによれば、原告自身が、本件貸付金のうち、原告が、被告が前記の賃貸借契約を締結した際の保証金分担分として貸し付けた五一七万五〇〇〇円についての前記期限の合意について、原告が脱退した後にあっても配慮すべきものであることを認めているということができるし、本件貸付金のその他の部分については、組合員脱退によって期限が到来するという趣旨のものではないことを明らかにしているということができる。実際、原告は、本件訴訟において、原告の被告脱退により当然に本件貸付金の履行期限が到来したという主張はしていない。こうした諸事情に照らせば、上記期限の合意は、原告が被告の組合員であることを前提とするものではなく、原告の自由な意思に基づく脱退により当然に期限が到来するということはできないというべきである。

四  抗弁(4)について

被告の定款一二条一項には、被告の組合員が所定の手続に基づき自由脱退した場合には、当該事業年度の終わりにおいて脱退することができる旨が定められているから、原告が平成一五年一〇月三一日、被告に対し、定款一二条に基づいて被告から脱退する旨の通知をし、同年一一月六日、被告理事会においてこれが承認された場合であっても、原告は、平成一六年三月三一日をもって脱退と扱われるべきである。

甲三には、原告は、平成一五年一一月六日の理事会で円満脱退を承認してもらったので、被告の事業のために使用していた日野の箱車をエコクリーンに譲渡し、以後被告の事業から撤退したので、同年一一月以降の賦課金を支払う義務がない旨の陳述記載があり、原告代表者は、その旨供述する。

しかし、そのような事情があったからといって、被告が原告の賦課金支払債務を免除したということはできないから、原告代表者の上記陳述記載及び供述を採用することはできない。

そして、《証拠省略》によれば、被告は、別紙の賦課金欄記載の額の賦課金を定めたことが認められるから、原告は、別紙記載の賦課金六六二万〇二七一円及びこれに対する延滞金(年一五%)との合計七六一万六四五九円を支払う義務を負っており、被告が、原告からその支払を受けるまで、中小企業等協同組合法二二条により、出資金の支払を拒絶することができるというべきである。

原告は、被告の定款一四条により、被告が出資金の払戻を留保する権利を放棄しているから、出資金残金にかかる本件請求を拒絶することはできない旨主張するが、同規定を原告主張のとおりに解することはできず、同主張は、失当というべきである。

なお、証拠(原告代表者、被告代表者)によれば、理事会において、原告の遅滞した賦課金の延滞金の割合について、三%ないし五%にしてはどうかとの話合いがされたが、結論には至らなかったことが認められるが、このような事実があるからといって、本件請求において、定款二二条に基づいて、上記延滞金の割合を一五%としたことが権利濫用になるということはできない。

五  結語

よって、原告の本件請求は、いずれも理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 長秀之)

<以下省略>

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