東京地方裁判所 平成16年(ワ)7766号 判決 2005年2月17日
主文
1 被告は、原告財団法人偕成会に対し、金2679万1499円及びこれに対する平成16年4月16日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。
2 被告は、原告財団法人遠山記念館に対し、金2679万1499円及びこれに対する平成16年4月16日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
主文同旨
第2 事案の概要
1 事案の要旨
本件は、原告らが、「原告らは、購入した株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモの株券を被告名義のまま名義書換えをせずに保有していた実質株主であるところ、原告らの知らないうちに株式分割がなされ、被告がこれに基づいて株券を取得した。そこで、被告がこれらを売却した売却益について不当利得に基づく返還を求める。」と主張して、不当利得の返還を請求した事案である。
被告は、原告らがこれらの株券を取得していた事実を争うとともに、失念株の取扱いについて定める日本証券業協会統一慣習規則第2号第3条が適用されるなどとして、これを全面的に争っている。
2 前提事実
(1) 当事者
原告財団法人偕成会(以下「原告偕成会」という。)は社会福祉事業の助成を行うとともに学術及び芸術の振興を図ることを目的とする財団法人であり、原告財団法人遠山記念館(以下「原告遠山記念館」という。)は遠山記念館の維持管理等を目的とする財団法人である。
被告は、生命保険業等を目的とする株式会社である。
(争いのない事実、弁論の全趣旨)
(2) 本件元株券の存在
株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ(以下「ドコモ」という。)は、別紙1(株券目録)1(1)及び(2)記載の各株券58枚(以下、併せて「本件元株券」という。また、本件元株券の表章する株式を「本件元株式」という。)を発行していたところ、平成14年3月31日の時点で、本件元株券の名義は、組織変更前の被告(千代田生命保険相互会社)の名義であった。
(争いのない事実)
(3) 株式分割と本件新株券の発行
ドコモは、平成14年1月25日開催の取締役会において、同年3月31日を基準日として普通株式1株を5株に分割する旨の株式分割の決議をし、同年5月15日、これを実施した。
これにより、被告は、本件元株式にかかる分割株式(以下「本件新株式」という。)を表章する株券として、別紙1(株券目録)2記載の各株券(以下「本件新株券」という。)を取得した。
(争いのない事実、甲4)
(4) 本件新株券の売却
被告は、平成14年11月8日、本件新株券を別紙2(株式売却目録)記載のとおり売却し、合計5350万2409円を取得した。
(争いのない事実)
(5) 本件新株式にかかる利益配当
本件新株式について、中間配当・期末配当がなされ、被告は、これにより合計1万4670円を取得した。
(争いのない事実)
(6) 被告の原告らに対する一部弁済
被告は、原告らに対し、失念株の取扱いについて定める日本証券業協会統一慣習規則2号(その内容は別紙3(本件統一慣習規則)のとおり。以下「本件統一慣習規則」という。)に基づく処理であるとして、各6105円を支払った。
(争いのない事実)
3 争点
(1) 本件元株式が原告らに帰属していたか
(2) 本件新株券の処理に関する本件統一慣習規則の効力
(3) 不当利得返還請求の成立する範囲
4 争点(1)(本件元株式の帰属)に関する当事者の主張
(1) 原告ら
原告らは、平成12年2月15日、それぞれ、日興證券株式会社(以下「日興証券」という。)を介して、次の転換社債(以下「本件EB債」という。)を取得した。
名称 ユーロ円他社株式転換特約付社債
発行地 ユーロ市場
海外発行日 平成12年2月28日
券面額 1億円
利率 年率5.0パーセント
海外利払日 平成12年5月25日
転換価格 337万1200円
転換対象銘柄 NTTドコモ
海外償還期限 平成12年5月25日
償還金額 計算日(平成12年5月18日)のドコモ株式の東証株価最終価格が転換価格以上の場合、券面額100%の現金償還、転換価格未満の場合、ドコモ株式29株及び差額(223万5200円)の現金償還
ところで、平成12年5月18日のドコモ株式の株価が転換価格以下であったため、原告らは、それぞれ、本件EB債の償還として、本件元株式を取得したのである。
(2) 被告
原告らが本件元株式を取得した事実を否認する。本件元株式を取得したのは日興コーディアル證券株式会社(以下「日興コーディアル証券」という。)である。
日興コーディアル証券は、本件元株式について名義書替を失念していたが、失念株に関する本件統一規則の適用を免れるため、原告らが取得したとの虚偽の主張をしているのである。
5 争点(2)(本件統一慣習規則の効力)について
(1) 被告
仮に本件元株式が原告らに帰属していたとしても、失念株に関する本件統一慣習規則は適用又は類推適用され、若しくは事実たる慣習としての効力を有する。
よって、原告らは、被告に対して本件新株式ないし本件新株券にかかる不当利得返還請求権を取得することはない。
(2) 原告ら
争う。本件統一慣習規則は、あくまでも証券取引業者間の定めに過ぎず、被告と原告らとの間の権利・義務関係を定めるものではない。
6 争点(3)(不当利得返還の成立する範囲)について
(1) 原告ら
被告が本来原告らに帰属していた本件新株式を売却して得た売却代金全額が「法律上の原因なくして得た利益」であり、「現存利益」であることは明らかである。
原告らの損失を本件新株式の口頭弁論終結時の時価であると捉えることは昭和38年12月24日の最高裁判決と抵触する。
(2) 被告
ア 本件新株式について不当利得が成立するとしても、株式が特定物ないし非代替物ではあり得ず、常時幾らでも調達可能な投資対象である以上、本件においても、原告らが喪失したとする232株を市場において調達し、これを引き渡すことが本来の解決方法である。
イ 被告が本件新株券232株を売却した時点では、原告らは、これを売却することなど全く認識していなかったのであり、当然に当時の価格による損失があったなどということはできない。
第3 争点に対する判断
1 客観的事実
顕著な事実、争いのない事実、証拠及び弁論の全趣旨を総合すると、本件紛争にかかる客観的事実として、別紙4(事情経過表)記載の各事実を認めることができる(事実認定に供した具体的な証拠等は略記した。)。
2 本件紛争の経緯
前記の客観的事実に、顕著な事実、争いのない事実、証拠及び弁論の全趣旨を総合すると、本件紛争について次の各事実を認めることができる(事実認定に供した具体的な証拠等は各項の末尾に掲げた。)。
(1) 原告らの本件EB債購入
原告らは、平成12年2月28日発行の本件EB債を、それぞれ額面1億円ずつ購入した。
本件EB債は、同月29日、原告らの取引先である日興証券において、原告らの顧客口座簿に入庫記帳された。
(甲6、12、13、14の1から4、15の1から4、乙6、13)
(2) 本件元株式による本件EB債の償還
平成12年5月25日、本件EB債の償還期限が到来したが、当時、ドコモ株式が本件EB債の転換価格を下回っていたため、原告らは、各自、本件EB債の償還として、本件元株式各29株と現金223万5200円を受領した。
本件元株式は、同年5月25日付けで、原告らの取引先である日興証券の顧客口座簿に入庫記帳されるとともに、株式会社証券保管振替機構(以下「保管振替機構」という。)の日興証券の口座簿にも入庫記帳された。
(甲6、12、13、弁論の全趣旨)
(3) 本件元株券の発行
保管振替機構は、平成12年10月11日、日興証券の請求を受けて、名義人が千代田生命保険相互会社である本件元株券合計58枚を日興証券に交付した。
同月31日、日興証券は、本件元株券を、それぞれ原告らに交付した。
(甲1の1・2、15の3、乙7、8、11、12)
(4) 株式分割と本件新株券の発行
ドコモは、平成14年5月15日、普通株式1株を5株に分割する旨の株式分割を実施し、同日頃、被告に対して、本件元株式にかかる分割分として本件新株券合計232枚を送付した。
(争いのない事実、甲4)
(5) 本件新株式の売却
被告は、平成14年11月8日、本件新株式を別紙2(株式売却目録)記載のとおり売却し、経費を除いて合計5350万2409円を取得した。
(争いのない事実)
(6) 本件新株式にかかる利益配当
本件新株式については、次のとおりの配当がなされ、被告は、これにより合計1万4670円を取得した。
平成13年3月(期末) 2万3200円(税引後・58株分)
平成13年9月(中間) 2万3200円(税引後・58株分)
平成14年3月(期末) 4万6400円(税引後・58株分)
平成15年3月(期末) 2万6970円(税引後・58株分)
平成15年9月(中間) 2万6970円(税引後・58株分)
(争いのない事実)
(7) その後の経緯
原告らは、平成15年10月10日ころ、本件元株式についてドコモに名義書き換えを請求するとともに、日興證券を介して、被告に対し、増加株式の返還と配当の返還を求めたが、被告が本件統一慣習規則の適用を主張してこれを拒否したため、平成16年4月7日に本件訴訟を提起した。
(顕著な事実、甲2、弁論の全趣旨)
3 争点(1)(本件元株式の帰属)について
(1) 原告らは、本件元株式が原告らに帰属していた旨主張する。これに対し、被告は、日興コーディアル証券が原告らに対して本件元株式にかかる本件元株券を売り渡した旨の売渡証明書の作成日付が平成15年10月31日であることなどを根拠に、本件元株式を取得していたのは日興コーディアル証券であり、原告らではないとして、これを争っている。
(2) そこで検討するに、後掲の各証拠によれば、次の各客観的事実を認めることができる。
ア 原告偕成会は、平成12年7月5日、厚生大臣宛てに事業報告書を提出した。同報告書には、同年3月31日現在の原告偕成会の当時の財産の一部として、「ニッコウBKルクセンブルグ 100,013,889」との記載がある。
原告偕成会は、その後の平成13年7月11日、文部科学大臣宛てに事業報告書を提出した。同報告書は、同年3月31日現在の原告偕成会の当時の財産の一部として、「NTT ドコモ 100,000,000」との記載がある。
(甲14の1から4、15の1から4、乙13)
イ 原告遠山記念館は、平成12年7月19日、埼玉県教育委員会に財産目録を提出した。同目録には、同年3月31日現在の財産の一部として、「ユーロ円他社株式転換特約付社債 200,000,000」の記載がある。
原告遠山記念館は、その後の平成13年7月13日、埼玉県教育委員会に財産目録を提出した。同目録には、同年3月31日現在の財産の一部として、「NTT ドコモ 29 97,764,800」の記載がある。
(乙6、7)
(3) これらの客観的事実に、証拠(甲6、12、13)を併せれば、原告らが平成12年2月28日に本件EB債を購入し、同年5月25日に、その償還として、本件元株式を取得した事実は、十分にこれを認めることができる。
被告の反論は、前記の各客観的事実と矛盾しており、かかる認定を左右するに足らない。
4 争点(2)(本件統一慣習規則の効力)について
被告は、本件統一慣習規則が原告らと被告との間においても適用又は類推適用され、若しくは事実たる慣習として法的効力を有している旨主張し、原告らはこれを争う。
しかし、本件統一慣習規則自体が、その第1条において、「この規則は、会員が自己名義の株式を他の会員に譲渡したのち、当該株式に対する利益の配当、交付金若しくは清算金等の交付又は新株式若しくはその他の株式の割当て(以下「権利」という。)を受けた場合において、その取得した配当金、交付金若しくは清算金等(以下「配当金等」という。)又は割当てられた新株式若しくはその他の株式(以下「新株式等」という。)を当該株式の名義書換えを失念した譲受人である会員(以下「譲受会員」という。)に返還するための処理を円滑にすることを目的とする。」と規定して、日本証券業協会の会員間において適用されるものであることを明示している以上、これを適用したり類推適用することができないことは明らかである。
また、確かに、本件統一慣習規則が会員と会員を通じた取引を行った非会員との間でも事実たる慣習ないし商慣習法として適用されることを肯定する裁判例や学説があるものの、反対の趣旨の裁判例や学説も少なくないことに照らし、本件統一慣習規則が会員と会員を通じた取引を行った非会員との間でも適用される旨の事実たる慣習が成立していることを認めるに足りる証拠はないというほかない。
よって、この点の被告の主張は理由がない。
5 争点(3)(不当利得返還請求の成立する範囲)について
(1) 前記に認定したとおり、被告は、本件元株式の株式分割の際にその名義株主であったことから、本件新株式を取得し、これを表章する本件新株券232枚を取得したこと、本件新株式に関する利益配当として合計1万4670円を取得したことを認めることができる。
そうすると、被告は、本件新株券や本件新株式やこれに基づく利益配当を原告らとの関係では法律上の原因なくして、原告らの損失のもとに利得したこととなるから、これを原告らに返還すべき義務を負う。
(2) ところで、原告らは、被告が本件新株券を別紙2(株式売却目録)記載のとおり売却し、合計5350万2409円の売却利益を得たことをもって、同売却益全額について不当利得が成立する旨主張し、被告はこれを争うので、この点について検討する。
この点、原告らは、本件新株券の所有権に基づいて本件新株券の返還請求権を行使しているのではなく、本件紛争の一連の経緯に基づいて不当利得返還請求権を行使していることは明らかであるところ、一般に、不当利得が成立するためには、原告において、原告の損失、被告の利得、利得と損失との間の因果関係及びこれらについて法律上の原因がないことの各事実を主張し、立証する必要がある。
この点、原告らの主張によれば、被告が本件新株券全部を売却したことで、合計5350万2409円の利得を得たこと、これについて法律上の原因のないことは、証拠上、これを認定することができる。
しかし、株式は、市場における投資の対象として大量に繰り返し取引されることを本質とし、通常、株券自体の個性に着目して取引されることはないいわゆる代替物であって、様々な事情からその時価は常に大きく上下する具体的な可能性を有し、実際に常に変動しているものであり、しかも、市場における調達がいつでも可能なものであるから、被告が本件新株券全部を売却して売却代金を得たからといって、その売却代金全額をもって、常に原告の損失があったと即断することはできないというべきである。
むしろ、前記の株式の属性に照らせば、いわゆる株式分割による失念株が発生した場合、利得者が利得したのはあくまでも一定数の株式であり、損失者が被った損失は一定数の株式であると捉えるべきであって、その株式の分割時の時価や売却時の時価、さらには口頭弁論終結時の時価ではないというべきである。
もっとも、原告が不当利得返還請求権の行使の態様として、一定数の株式の返還に代えて、これと同価値の金銭の損失を被ったと主張してその価額の返還を求めることも妨げられる理由はないものの、その際の損失は、原則として、被告が当該一定数の株式を調達して返還する際の価格、すなわち、口頭弁論終結時の時価であると解するのが相当である。
なお、かかる原則を貫くと、例えば口頭弁論終結時の株価が分割時に比して著しく高騰している場合には被告にとって極めて不利となるのではないかとの批判があるが、一方で、被告が利得した一定数の株式について具体的な株券の発行を受けないままこれを保持し続けている場合や、株券の発行を受けたもののこれをそのまま保持している場合には、口頭弁論終結時の時価を原告の損失と捉えたとしても、被告が具体的に同額を利得していると認められるのであるからこれを返還すべきは当然であり、他方で、被告が利得した一定数の株式について具体的に株券の発行を受け、かつ、当該株券を売却して具体的に売却益を得たことの立証があった場合や、具体的な株券の発行を受けてはいないものの、保管振替機関の口座簿の記載等からこれを全て売却したことが明らかな場合には、一定数の株式の利得が金銭的には当該売却益に留まることが例外的に明らかとなったといえ、不当利得は、その売却益の額を限度として成立するものというべきである。
(3) これを本件についてみると、原告らの損失は、原則として、各自、ドコモ株式116株であり、これと同価値の金銭の返還を求めるとすれば、それは、口頭弁論終結時における時価によるものというべきである。
そして、証拠(甲6、乙7、8)によれば、ドコモ株は、平成12年5月25日の本件EB債の償還時点においては、1株当り337万1200円程度(29株で9776万4800円、分割後の1株に換算すれば1株当り67万4240円程度)であったものが、被告が売却した平成14年11月8日時点で平均23万1099円と約3分の1となったことを認めることができるものの、それ以降の値動きについては、当裁判所の求釈明にもかかわらず、当事者双方がこれに応じなかったため、不明である。
かかる立証経過に鑑みれば、原告らの損失は、ドコモ株1株につき23万1099円であると認めるほかない。
(4) 以上をもとにすれば、原告らの損失は、各自2680万7484円となる。
なお、前記のとおり、被告が本件新株式を取得したことによって得た配当金については、全額、不当利得が成立するものと認めることができる。
6 結論
よって、原告らの請求は全て理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条に従い、なお仮執行宣言については相当でないからこれを付さないこととして、主文のとおり判決する。
(別紙1)株券目録
1(1)券種 1株券
名義人 千代田生命保険相互会社
記番号 <省略>ないし<省略>(8枚)
<省略>ないし<省略>(21枚)
(2)券種 1株券
名義人 千代田生命保険相互会社
記番号 <省略>ないし<省略>(28枚)
<省略>
2 券種 1株券
名義人 千代田生命保険相互会社
番号 <省略>ないし<省略>(232枚)
以上
(別紙2)株式売却目録
<省略>
(別紙3)本件統一慣習規則
株式の名義書換失念の場合における権利の処理に関する規則(昭和50.6.20)
-統一慣習規則第2号-
(目的)
第1条 この規則は、会員が自己名義の株式を他の会員に譲渡したのち、当該株式に対する利益の配当、交付金若しくは清算金等の交付又は新株式若しくはその他の株式の割当て(以下「権利」という。)を受けた場合において、その取得した配当金、交付金若しくは清算金等(以下「配当金等」という。)又は割当てられた新株式若しくはその他の株式(以下「新株式等」という。)を当該株式の名義書換えを失念した譲受人である会員(以下「譲受会員」という。)に返還するための処理を円滑にすることを目的とする。
(配当金、新株式等の返還)
第2条 会員は、自己名義の株式を譲渡したのち、当該株式に対する配当金等の交付又は新株式等の割当てを受けた場合において、当該株式の譲受会員から当該配当金等又は新株式等の返還の請求を受けたときは、当該譲受会員に対し、その請求の日又は当該配当金等若しくは新株式等の取得の日から7日以内(休業日を除く。)に、この規則の定めるところにより返還するものとする。
2 譲受会員は、前項の規定による返還請求を行う場合には、当該株式の譲渡人である会員(以下「譲渡会員」という。)に対し、返還請求書、当該権利の確定日に当該株式を所有していたことを証する書面及び返還を受けることに対して責任を負う旨を明示した書面を提出するものとする。
3 譲渡会員は、第1項により配当金等を返還する場合には、譲受会員から別表による金銭の支払いを受けるものとする。
4 譲渡会員は、第1項により新株式等を返還する場合には、譲受会員から当該新株式等に対する払込金額その他の必要経費及び別表による金銭の支払いを受けて当該新株式等を返還するものとする。ただし、返還の請求を受けた新株式等が単元未満株式、取引単位未満等の場合には、当該新株式等の時価を基準として金銭でこれを返還することができる。
5 前項ただし書の新株式等の時価は、返還日前日の証券取引所における最終値段又は店頭売買の値段若しくは気配とする。ただし、その値段又は気配がない場合は、譲渡会員と譲受会員との協議によりこれを決定する。
6 譲渡会員は、第1項により譲受会員から新株式等の返還の請求を受けたとき、当該新株式等を処分していた場合には、その処分値段を基準として第4項に準じて金銭でこれを返還することができる。
(返還請求の期限)
第3条 譲受会員が前条により返還の請求できる期限は、当該権利を確定するための名義書換取扱最終日の翌日から起算して6か月とする。
(有償払込新株式等の返還の特例)
第4条 有償払込の新株式等について、当該新株式等に対する払込みを行った譲渡会員は、払込後返還の請求が行われるまでの間に、当該新株式等の証券取引所における最低値段又は店頭売買の値段若しくは気配が払込金額を下ることのあったものについては、当該新株式等の返還の請求が行われた場合においても、第2条の規定にかかわらず、その返還に応じないことができる。ただし、当該新株式等の申込最終日までに払込金額に第2条第2項に定める書類を添付して返還の請求が行われた場合には、この限りでない。
以上
(別紙4)事情経過表
12.2.28 本件EB債の海外発行日(甲6)
12.5.18 本件EB債の計算日(甲6)
12.5.25 本件EB債の海外償還期限(甲6)
日興証券の原告偕成会口座にドコモ株29株振替の記載(甲12)
日興証券の原告遠山記念館口座にドコモ株29株振替の記載(甲13)
12.7.5 原告偕成会、厚生大臣に事業報告書提出(甲14、乙13)
*「ニッコウBKルクセンブルグ100,013,889」の記載
12.7.19 原告遠山記念館、埼玉県教育委員会に財産目録提出(乙6)
*「ユーロ円他社株式転換特約付社債200,000,000」の記載
12.10.9 千代田生命につき保全管理命令(乙4)
12.10.11 保振、日興コーディアル証券に本件旧株券58株を交付(認、甲1-2、-2)
12.10.13 千代田生命につき会社更生手続開始決定(乙5)
12.10.31 日興コーディアル証券、29株を原告遠山記念館に売渡(乙11)
日興コーディアル証券、29株を原告偕成会に売渡(乙12)
13.7.11 原告偕成会、文部科学大臣に事業報告書提出(甲15-1、-3)
*「NTT ドコモ100,000,000」の記載
13.7.13 原告遠山記念館、埼玉県教育委員会に財産目録提出(乙7)
*「NTT ドコモ 29 97,764,800」の記載
14.3.31 ドコモ株分割基準日(甲4)
14.5.15 被告管財人宛て、ドコモから株式分割の通知(甲4)
14.5.15頃 ドコモから被告管財人宛て232枚の株券送付(甲4)
14.7.29 原告遠山記念館、埼玉県教育委員会宛て事業報告提出(乙8)
*「NTT ドコモ29 97,764,800」の記載
14.11.8 被告、分割取得の株式を売却(甲4)
15.10.8 日興コーディアル証券、保振に交付証明願い(甲1-1)
15.10.10 原告ら、本件元株券について名義書換(弁論の全趣旨)
15.10.31 日興コーディアル証券、売渡証明書作成(乙11、12)
15.11.10 被告、日興コーディアル証券A宛て通知書(甲2)
*統一慣習規則により株券の返還はできない旨ほか
16.4.7 本件訴訟提起(顕著な事実)
以上