東京地方裁判所 平成16年(行ウ)121号 判決 2004年3月26日
原告 甲
被告 国税庁長官
寺澤辰麿
主文
一 本件訴えを却下する。
二 訴訟費用は、原告の負担とする
事実及び理由
第一 請求の趣旨及び請求の原因
本件訴えの請求の趣旨及び請求の原因は、別紙(「訴状」と題する書面の写し)記載のとおりであり、要するに、税理士法34条は、申告書を提出した者について、帳簿書類の調査をする場合には、あらかじめその者に日時場所を通知する旨規定しているにもかかわらず、税務署は、税理士にのみこの通知を行い、調査対象企業に通知をせず、かかる法令を遵守していないなどと主張して、各税務署を統轄する被告に対し、税理士法34条の遵守義務違反の確認を求めるというものである。
第二 当裁判所の判断
一 本件は、原告が、被告に対し、税理士法34条を遵守していないことの確認を求める確認の訴えである。
1 確認の訴えにおいて、確認の対象となるのは、権利・法律関係又は証書の真否であって、法律関係の個々の要素や前提問題の確認は、それらが法律関係に何らかの意義を有していても確認の対象とすることは許されない。
本件において、原告は、被告が、各税務署に対して税理士法34条の遵守を徹底させていないことの確認を抽象的に求めているにすぎないのであって、原告被告間の権利・法律関係に直接影響を及ぼすものと解することはできない。
したがって、本件訴えは、確認の対象を誤ったものである。
2 また、確認の訴えにおいては、確認判決を得ることによって、当事者間の法的争訟を有効適切に解決することができる場合でない限り、確認の利益を欠くものとして、不適法である。
本件において、原告が、被告の税理士法不遵守という確認判決を得たとしても、これによって、原告被告間の法的争訟に直接影響を及ぼすものではないから、確認の利益を欠くというべきである。また、このように解しても、原告は、被告が、税理士法34条を遵守していないために何らかの損害を被ったというのであれば、損害賠償を請求すれば足りるのであって、原告の保護に欠けるということにはならない。
したがって、本件訴えは、確認の利益を欠くものであり、この点においても、不適法といわざるを得ない。
二 よって、本件訴えは、その余の点について判断するまでもなく、不適法な訴えであって、その不備を補正することができないことが明らかであるから、民事訴訟法140条により、これを却下することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 菅野博之 裁判官 内野俊夫 裁判官 本村洋平)
別紙
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1 税理士法第34条には税務署が税務調査を実施する場合には調査対象企業に対し調査の日時場所を通知すべしと定めてあるが税務署は調査にあたり税理士のみにこの通知を行ない調査対象企業には一切通知していないのが現状であるので各税務署を統轄している被告は同法の順守義務違反を認めるべし。
2 訴訟費用は、被告 の負担とする。
file_5.jpgtOAR OF RURATE EROS,請求の原因
1 原告が勤務している東京都内の某企業の税務調査が平成15年4月16日17日と同年5月20日の延べ2日半にわたり実施されたが税務署は同企業の関与税理士には調査の日時場所を通知したが同企業に対しては一切その通知は無かった。又この調査にあたり同企業が特に要請をしなかったのに同税理士の事務所職員1名がこの調査に立ち合い、後日、同税理士から同企業に対して75,000円也の可成り高額な請求をして来た。同企業はこの請求に対する支払いを拒否したので同企業に金銭的な損害は無かった。
同企業がこの請求に対する支払いを拒んだ理由はこの請求が同税理士との顧問契約に基づくものではない上に、この調査に対する対応は90%以上を原告が行ない同職員はほとんど黙って座っている丈であった。この調査に対する対応を原告一人でほとんど受け持ったという事実は、この調査にあたった税務署の担当者も認めて居り、実際に原告は同職員に対し幾度かもう帰ってもよろしいと伝えてもいた。
ところがこの様なことが原因と成ったのか同税理士と感情的な痼が残った様で、同企業の平成16年2月末日迄に申告すべき平成15年度の決算申告があわやその申告期限を過ぎそうになり原告が同税理士に強く迫った結果どうにか期限内に申告を済ますことが出来た。
この様な事態が発生したのは被告が各税務署に対し同法の規定を順守するよう徹底させないがためで、税務署が税務調査を実施する際に調査の日時場所の通知を税理士のみに行い調査対象企業には一切この通知をしないので、この事により税理士が税務申告・税務調査の立ち合い等の税務行為を行うことが当然であり且つ必要であるという雰囲気を税務署が企業側に植え付けようとの作為が窺える。
又、同税務調査を終了するにあたり同調査担当者は同企業の経営者に面接する必要性を強く主張し、同経営者に面接しなければこの調査は終了しないとまで言い切った。ところが同企業の営業拠点は茨城県の水戸市内にあり同経営者は彼の地に常駐して営業活動を行っている。
同企業はごく小規模な企業なので経営者自から販売活動を行わざるを得ず経営者は日々多忙を極めている。特に同税務調査が行われた時期は重要な販売活動の時期であったので税務署の担当者と会う時間をつくることがなかなか困難であった。
どうにか税務署の担当者との面接が実現したのは前半の調査(平成15年4月16日~17日)から約1ヶ月後の平成15年5月20日であった。当日も14時から16時迄の約2時間の面接を終えた後、同経営者はその足で直ちに現地に戻り営業活動に携わった。
税務署が斯くの如くに税務署側の都合を主張するのであれば尚更のこと税務署は税務調査の日時場所を直接調査対象企業に通知し当該企業と都合を打ち合わせるべきである。
販売チャンスを逸したならばそれは企業の損害のみならず結果として税金を納めることすら出来ないのであるから税務調査より販売活動の方がはるかに重要かつ優先されるべきことと考えられるが故。
原告は税務署による同法違反に抗議するため同税務調査の終了後何度となく税務署と東京国税局に出向いている。税務署も東京国税局も同法違反を認めて居り原告に対して口頭で何度も謝罪はしたがその後一向に改善の跡が見えない。と云うのは同企業の関与税理士事務所の話では税務署による税務調査の通知方法は現在も税理士のみに対して通知され調査対象企業には通知されないケースがほとんどだと吐露している。同法違反は全国の税務署で恒常的に行なわれているものと推察することが出来る。上述した通り、同法違反による同税務調査の結果同企業には金銭的な損害は無かったものと云えようがその他諸々の不利益は蒙った訳で、税務署による同法違反が継続する限り今後、同企業にもどの様な損害が発生するや予測することが出来ない。
全国の他の企業に於いても企業側が気が付かぬ内に何等かの損害が発生しているものと推測出来る。以上の観点から被告は、税務行政に対する監督不行き届きの謗りをまぬがれない。
税理士法第34条では税務署が税務調査を実施する場合は前以って調査対象企業に対しその日時場所を通知すべしと厳然と定められているにも拘らず税務署は同法の定めを順守していないという事実は歴然としているのであるから被告は同法違反を認めるべきである。
以上