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東京地方裁判所 平成16年(行ウ)338号 判決 2005年6月29日

原告 有限会社A

上記代表者取締役 甲

上記訴訟代理人弁護士 木下貴司

同 國政直子

同 高木浩二

同 布川博良

被告 国

上記代表者法務大臣 南野知惠子

上記指定代理人 藤澤裕介

同 若月健

同 梶谷尚史

同 坂井一雄

同 宮前仁

主文

1  原告の請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第1請求

被告は、原告に対し、1058万円及びうち678万1900円に対する平成14年11月8日から、うち379万8100円に対する平成15年11月6日から、それぞれ支払済みまで年7.3パーセントの割合による金員を支払え。

第2事案の概要

本件は、平成10年6月1日から平成11年5月31日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)の法人税について、杉並税務署長から平成14年1月31日付けで更正処分及び重加算税賦課決定処分を受けてこれを納付した原告が、前記各処分には重大な信義則違反があり、また課税要件の根幹に瑕疵があるため無効である旨主張して、被告に対し、不当利得に基づき、①前記更正処分(ただし、異議決定による取消後)における差引合計税額と修正申告において計上された税額との差額、②上記差額に係る延滞税、及び③前記重加算税賦課決定処分に係る重加算税の各返還、並びに上記①ないし③に対する国税通則法58条所定の還付加算金の各支払を求めた誤納金返還請求の事案である。

1  関係法令等の定め

(1)  法人税法における役員の意義

法人税法(平成14年法律第45号による改正前のもの。以下同じ。)2条15号は、法人税法における役員とは、法人の取締役、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者のうち政令で定めるものをいう旨定め、法人税法施行令7条1号は、政令で定める者として、法人の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限る。)以外の者でその法人の経営に従事しているものを挙げている。

(2)  過大な役員報酬等の損金不算入

法人税法34条2項は、内国法人が、事実を隠ぺいし、又は仮装して経理をすることによりその役員に対して支給する報酬の額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に計上しない旨定め、同条3項は、上記「報酬」とは、役員に対する給与(債務の免除による利益その他の経済的な利益を含む。)のうち、賞与及び退職給与以外のものをいう旨定めている。

なお、法人税基本通達9-2-10(債務の免除による利益その他の経済的な利益)の(7)は、役員等に対して金銭を無償又は通常の利率よりも低い利率で貸付けをした場合における通常取得すべき利率により計算した利息の額と実際徴収した利息の額との差額に相当する金額のように、法人の行為により実質的にその役員等に対して給与を支給したと同様の経済的効果をもたらすものは、法人税法34条3項に規定する「債務の免除による利益その他の経済的な利益」に該当すると定め、同通達9-2-16(経済的な利益についての報酬と賞与との区分)の(2)は、同通達9-2-10の(7)に掲げる金額は、報酬となると定めている。

(3)  重加算税

国税通則法68条1項は、同法65条1項の規定に該当する期限内申告書が提出された場合において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に100分の35の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課す旨定めている。

2  前提となる事実

以下の事実は、当事者間に争いがないか又は弁論の全趣旨により容易に認めることができる。

(1)  原告は、パチンコ等の遊技場を経営する有限会社であり、乙(以下「乙」という。)は、原告の実質的経営者としてその経営に従事していた。

(2)  原告は、平成11年8月2日、杉並税務署長に対し、本件事業年度の法人税について、別表「確定申告」欄記載のとおり確定申告をした。

(3)  原告は、平成12年4月27日以後、東京国税局査察部(以下「査察部」という。)の調査を受け、平成7年6月1日から平成11年5月31日まで計4年にわたる事業年度につき、売上除外等を理由とする合計3億4911万8465円の所得金額の申告漏れを指摘され、本件事業年度については、1億6257万9200円の所得金額の申告漏れを指摘された。査察部は、乙に対し、平成12年6月25日、所得金額及び税額を記載した一覧表に基づき、修正申告を行う意思があるかどうか確認したところ、乙は修正申告を行う旨回答した。査察部は、原告の顧問税理士である丙(以下「丙税理士」という。)に対し、所得金額及び税額を記載した一覧表を交付した。

(4)  原告は、平成13年6月28日、上記一覧表に従い、杉並税務署長に対し、本件事業年度の法人税について、別表「修正申告」欄記載のとおり修正申告をした。

(5)  査察部は、原告に示した一覧表の増加所得金額のうち、本件事業年度の法人税に関する部分には、損金に算入されない役員報酬の額の加算漏れがあることに気付き、平成13年7月27日、丙税理士に対し、その旨を説明し、その後も修正申告の再提出するか否かの意思を確認した。しかし、原告は、上記内容の修正申告は行わなかった。

(6)  杉並税務署長は、平成14年1月15日、確定申告において計上された納税額と修正申告において計上された納税額との差額を対象として、別表「重加算税賦課決定」欄記載のとおり、重加算税賦課決定処分をした。

(7)  杉並税務署長は、平成14年1月31日、本件事業年度の法人税について、別表「更正処分等」欄記載のとおり、納付すべき税額を1億0568万4300円などとする更正処分をした。この根拠は、次のとおりである。

ア 平成7年6月1日から平成11年5月31日までの事業年度に係る増加所得の原因は売上除外であり、これら簿外資金の大部分は乙に対し貸し付けられたものと認定できる。

イ 乙の有する財産の増加額から処分可能所得を差し引いた金額をもって、上記簿外資金の中から乙の資産形成に充てられた金額(以下「乙勘定」という。)とし、平成9年6月1日から平成10年5月31日までの事業年度末現在の乙勘定残高2億7311万4041円と本件事業年度末現在の同勘定残高3億1666万2737円との平均残高2億9488万8389円をもって、本件事業年度における乙に対する貸付金(以下「本件貸付金」という。)の金額とする。

ウ 本件貸付金に10パーセントの利率を課した金額である2948万8838円を、本件事業年度中に発生した本件貸付金に係る利息(以下「本件認定利息」という。)とし、本件認定利息は本件事業年度における所得の計算上益金に算入される。

エ 乙は、「法人の使用人以外の者でその法人の経営に従事しているもの」に該当し、法人税法上原告の役員とみなされるところ、原告は、乙より本件認定利息に相当する金員を徴収すべきであったにもかかわらず、これを徴収していない。したがって、原告は、乙に対し「債務の免除による利益その他の経済的利益」を与えているといえ、本件認定利息に相当する金員は乙に対する報酬(以下「本件役員報酬」という。)となる。

オ 本件役員報酬は、本来、本件事業年度における所得の計算上損金の額に算入されるべきものであるが、売上除外により捻出した資金を原資とした貸付金に係る利息相当額であるから、法人税法34条2項に該当し、所得の計算上損金の額に算入されない。その結果、本件認定利息相当額である2948万8838円が本件事業年度における所得金額に加算される。

(8)  また、杉並税務署長は、本件認定利息は、売上除外により取得した簿外資金を原資とした貸付金に係る貸付利息であり、売上除外と貸付利息との間には不正経理の連動性が存在するので、原告は本件認定利息を益金の額に算入していないことにつき、事実を隠ぺいして所得金額を過少に申告したと認定した。そして、原告の上記行為は国税通則法68条1項に該当するとして、原告に対し、本件更正処分と本件修正申告との間の納税額の差額678万円(ただし、1万円未満は切り捨て。)を重加対象税額として、これに35パーセントを乗じた237万3000円の重加算税を課す賦課決定処分をした。

(9)  原告は、平成14年1月31日付けの上記(7)及び(8)の各処分について、平成14年3月28日、杉並税務署長に対し異議申立てをしたところ、杉並税務署長は、同年6月27日、別表「異議決定」欄記載のとおり、更正処分の一部を取り消し、重加算税賦課決定処分に対する異議申立てを棄却し、同年7月29日、これを原告に通知した(以下、異議決定を経た後の上記(7)の更正処分を「本件更正処分」、上記(8)の重加算税賦課決定処分を「本件賦課処分」といい、これらを合わせて「本件各処分」という。)。

原告は、本件各処分について、同年8月29日、国税不服審判所長に対し、審査請求をしたところ、国税不服審判所長は、平成15年8月28日、審査請求を棄却した。

(10)  原告は、平成14年11月7日、被告に対し、本件更正処分における差引合計税額1億0568万0000円と本件修正申告において計上された税額9889万8100円との差額678万1900円を納付し、平成15年11月5日、上記差額に係る延滞税142万5100円及び本件賦課処分に係る重加算税237万3000円をそれぞれ納付(合計379万8100円)した。

3  本件の争点及び当事者の主張の要旨

本件の争点は、本件各処分に重大明白な信義則違反があるか(争点1)、本件更正処分に法人税法34条2項の適用の誤りがあり、無効であるか否か(争点2)、本件賦課処分に国税通則法68条1項の適用の誤りがあり、無効であるか否か(争点3)である。

そして、争点に関する当事者の主張の要旨は、以下のとおりである。

(1)  争点1(本件各処分と信義則違反の有無)について

ア 原告の主張

原告は、査察部から、平成13年6月ころ、2度にわたり、平成7年6月1日から平成11年5月31日までの事業年度に係る増加所得金額と増加法人税額の総額が記載された文書の交付を受け、この文書に基づき修正申告をするよう指導された。原告は、この文書には増加所得の発生根拠やその処理勘定についての記載が一切存在しなかったため、査察部に対し、修正申告書作成の前提となる増加所得金額の具体的な会計処理について回答を求めた。しかし、査察部は、増加所得に対応する収益勘定(増加所得の発生根拠)を「別口利益」として修正申告書に記載するよう回答したものの、その処理勘定の種類を明らかにしなかった。また、原告は、査察部に対し、平成7年6月1日以降の増加所得の累積総額について貸付金として認定され、更なる増加所得要因として同貸付金に係る認定利息を課される可能性の有無について再度確認したところ、査察部は、課税庁が上記文書に記載されている増加所得金額以上に増加所得を認定することはない旨明確に回答した。

このように、原告は、査察部から修正申告における増加所得額の上限を示した書面を交付され、課税庁側に対し上記書面の信頼性について確認した上で、課税庁側の回答を信頼せざるを得ない状況の中で、課税庁側の指導に従って修正申告をした。

それにもかかわらず、杉並税務署長は、修正申告の内容と異なる更正処分及び賦課決定処分をしたから、課税庁の指導内容と異なる本件各処分に重大な信義則違反が存することは明白である。

イ 被告の主張

(ア) 原告に関する租税ほ脱被疑事件の調査に当たった査察部は、乙に対し、調査時における調査所得金額を提示し、修正申告意思を確認したにすぎず、一覧表もそのために交付されたものであるから、これらの行為が税務官庁における公的見解の表示に当たらないことは明らかである。原告は、査察部から、課税庁が一覧表に記載されている増加所得金額以上に増加所得を認定することはないとの明確な回答を得たと主張するが、そもそも、租税ほ脱被疑事件の調査を担当する査察部が、課税庁の見解を代弁して権限外の正式回答を行うことはできないし、また、査察部がその後原告に再度の修正申告を慫慂したのは、本件認定利息相当額について法人税法34条2項が適用されることに気付かなかったためであり、原告からその点について確認を受け、認定利息を課される可能性を再三問われたのに、あえて一覧表記載以上の増加所得の認定はしないなどと答えることはあり得ない。しかも、原告の主張を前提とすれば、一覧表には増加税額の発生根拠が記載されておらず、査察部からは増加所得に対応する収益勘定すら明らかにされなかったというのであるから、貸付金であることを前提とする問答がされること自体、極めて不自然である。

このように、本件において、租税法律関係における信義則適用の要件である、信頼の対象となる租税官庁の公的見解の表示がなかったことは明らかであるから、信義則が適用されることはない。

(イ) 本件においては、後述するとおり、本件役員報酬が法人税法34条2項の適用によって損金算入されないことが明らかであるから、本件更正処分は租税法規に適合する課税処分である。そして、納税者が公的見解の表示を信頼して納税したが、その後正しい税法解釈に基づく課税処分が行われた場合、納税者が経済的不利益を受けたかどうかは、当該表示を信頼しなければ行わなかった経済的活動を行ったことに伴う経済的損害を指すと解すべきであるが、原告は本件更正処分及び本件賦課処分により修正申告以上に納税させられたことをもって経済的不利益であると主張しているにすぎないから、本件各処分による原告の納税が、信義則を適用する際に考慮しなければならない経済的不利益に当たらないことはいうまでもない。

(ウ) 以上のとおり、本件各処分について、これを無効とするような信義則違反がないことは明らかである。

(2)  争点2(本件更正処分と法人税法34条2項違反の有無)について

ア 原告の主張

法人税法34条2項は、役員報酬支給に至る経過において事実を隠ぺいし、又は仮装して経理した事実が存在する場合に同報酬の損金算入を否定する規定であるから、同規定にいう「事実を隠ぺいし、又は仮装して経理」は、役員報酬の支給との間に連動性を有する不正経理のことを意味し、役員報酬の支給と無関係な不正経理を含まないことは明らかである。

本件においては、売上除外行為と役員報酬の認定との間には、売上除外行為を原資とする乙に対する貸付金の認定、同貸付金に係る利息の認定という処理が介在しており、しかもこれらは事実の隠ぺいや仮装経理ではなく、課税庁の一方的判断により発生するものであること、貸付金の額は、売上除外行為ではなく、乙の個人資産を基に算定されていることからすれば、売上除外行為と役員報酬の認定との間に連動性は存在しないというほかない。したがって、役員報酬の支給と無関係な売上除外行為をもって法人税法34条2項を適用することは、課税要件の根幹に瑕疵があり、本件更正処分は無効である。

イ 被告の主張

原告の本件事業年度の所得については、売上除外による増加所得が認められ、これら簿外資金の大部分は、乙に対する貸付金(本件貸付金)と認められる。そして、同貸付金に係る利息相当額(本件認定利息)は、原告が受けるべき経済的利益であって、一定の割合により定期的に発生し、乙に対し供与されるものであるから、同人に対する役員報酬(本件役員報酬)と認められる。したがって、本件役員報酬は、平成10年法律第24号による改正後の法人税法34条2項に規定する「内国法人が、事実を隠ぺいし、又は仮装して経理をすることによりその役員に対して支給する報酬」に該当し、原告の当該事業年度の所得金額の計算上、損金に算入しないことになる。そうすると、上記改正法施行後に発生する本件事業年度の本件役員報酬については、同事業年度の損金に算入されないから、原告には同額の増加所得が認められるものであるが、同増加所得部分について原告が修正申告していない以上、本件更正処分を行うことは当然である。

原告は、法人税法34条2項にいう「事実を隠ぺいし、又は仮装して経理」は、役員報酬の支給との間に連動性を有する不正経理を意味するから、役員報酬の支給と無関係な売上除外行為をもってこれに当たるとすることはできないと主張する。

しかしながら、本件役員報酬は、売上除外に係る簿外資金を原資とする本件貸付金について生じた経済的利益の供与であり、そのため帳簿上現れることがない役員報酬であることから、売上除外という隠ぺい行為と密接に関連し、これに連動するものであることは当然であって、原告主張のように売上除外と役員報酬(本件認定利息相当額)の支給とを無関係とすることは極めて不自然かつ不合理であって、およそ理由がない。したがって、本件役員報酬は法人税法34条2項により損金の額に算入されないから、本件更正処分は適法であり、その内容に法令の解釈適用の誤りはない。

なお、仮に原告の主張する瑕疵があったとしても、同瑕疵はせいぜい取消原因にとどまり、およそ重大かつ明白な瑕疵に該当しないことは明らかである。

(3)  争点3(本件賦課処分と国税通則法68条1項違反の有無)について

ア 原告の主張

本件賦課処分は、修正申告の納税額と本件更正処分の納税額の差額を対象とするものであるが、この差額が生じた原因は、本件更正処分において本件認定利息相当額の益金計上と本件役員報酬の損金不算入という会計処理をした結果であるから、本件において国税通則法68条1項の「その国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実」とは、本件認定利息相当額の益金算入と本件役員報酬の損金不算入の基礎となるべき事実を意味することは明白である。しかし、売上除外行為は、本件認定利息相当額の益金算入及び本件役員報酬の損金不算入とは全く連動性がないから、売上除外行為を本件認定利息相当額の益金算入と本件役員報酬の損金不算入の基礎となるべき事実についての仮装隠ぺい行為と捉えることはできない。

しかも、売上除外行為によって直接隠ぺいされた所得については、平成14年1月15日、既に別途重加算税の賦課決定処分が課せられており、売上除外行為の仮装隠ぺい性については、同賦課決定によってすでに評価され尽くしているにもかかわらず、売上除外行為の仮装隠ぺい性を根拠として本件賦課処分を行うのは、納税者の予測可能性の維持という課税の基本原則を全く無視した不当、不合理な処分であることは明白である。

したがって、本件賦課処分は、課税要件の根幹に瑕疵があり無効である。

イ 被告の主張

本件役員報酬は、原告が売上除外を行って乙に対し簿外で貸し付けていた本件貸付金に関する利息相当額であるから、売上除外を行う不正経理に連動して生じるものである。本件役員報酬については、法人税法34条2項が適用され、損金算入が許されないところ、売上除外が事実を隠ぺいする行為であることは明白であるから、これに連動する本件役員報酬の所得加算を行わなかったことが、国税通則法68条1項の規定する「事実の全部又は一部を隠ぺい」することに該当することは明らかであり、同条項を適用して重加算税を賦課した本件賦課処分は妥当である。

原告は、売上除外行為をもって本件認定利息相当額の益金算入と本件役員報酬の損金不算入の基礎となるべき事実についての仮装隠ぺい行為と捉えることはできないから、国税通則法68条1項に反し、売上除外行為の仮装隠ぺい性については、重加算税賦課決定処分によってすでに評価され尽くしているから、これを根拠とする本件賦課処分は課税要件の基本原則を無視した不当、不合理なものと主張する。

しかしながら、売上除外行為による不正経理が本件役員報酬と連動していることは、前述したとおりであるから、本件賦課処分が売上除外行為を根拠とすることには全く問題がなく、原告の主張には理由がない。

なお、仮に原告の主張する瑕疵があったとしても、同瑕疵はせいぜい取消原因にとどまり、およそ重大かつ明白な瑕疵に該当しないことは明らかである。

第3争点に対する判断

1  本件各処分の無効原因について

本件においては、本件各処分が無効であるかどうかが問題となっているわけであるが、その前提として、どのような場合に本件各処分が無効となるのかという点についても当事者間に争いがある。すなわち、原告は、最高裁判所第一小法廷昭和48年4月26日判決(民集27巻3号629頁)等を引用して、本件各処分には、その根幹部分に瑕疵があるから当然無効になると主張するのに対し、被告は、これを争い、本件各処分が無効であるかどうかは、一般的な無効事由の存否、すなわち、本件各処分に重大かつ明白な瑕疵があるかどうかという観点から判断すべきであると主張している。そこで、まずこの点に関する当裁判所の考え方を示しておく。

一般に、行政処分が無効となるのは、当該行政処分に重大かつ明白な瑕疵がある場合に限られるものと解されており、課税処分においても、その無効性を判断するに当たり、重大かつ明白な瑕疵があるかどうかという観点から検討をしている最高裁判決は少なくない(例えば、最高裁判所第三小法廷昭和36年3月7日判決、訟務月報7巻9号1842頁、最高裁判所第二小法廷昭和37年2月23日判決、訟務月報8巻4号710頁、最高裁判所第三小法廷平成16年7月13日判決、判例時報1874号58頁等)。

これに対し、上記の最高裁判所昭和48年判決は、第三者Aが、当該事件の原告Xに無断で第三者の土地を同原告名義にした上、これを転売した結果、同原告に対して譲渡所得課税がされたという事案において、「原告らとしては、いわば全く不知の間に第三者がほしいままにした登記操作によって、突如として譲渡所得による課税処分を受けたことになるわけであり、かかる原告らに瑕疵ある課税処分の不可争的効果による不利益を甘受させることは、たとえば、原告らが上記のような各登記の経由過程について完全に無関係とはいえず、事後において明示または黙示的にこれを容認していたとか、または右の表見的権利関係に基づいてなんらかの特別の利益を得ていた等の、特段の事情がない限り、原告らに対して著しく酷であるといわなければならない。」とした上、このような場合は、なんら責められるべき事情のない原告らに前記処分による不利益を甘受させることが著しく不当と認められるような例外的事情のある場合に該当し、この点を看過した過誤による瑕疵は、課税処分を当然無効とする旨を判示したものである。また、最高裁判所第三小法廷平成9年11月11日判決(集民186号85頁)は、公課が禁じられている雇用対策上の職業転換給付金を課税標準として賦課された国民健康保険税の課税処分には、根幹的瑕疵が存するから当然無効となる旨を判示している。このように、課税処分に根幹的な瑕疵があることを理由として当該課税処分が無効とされた事案は、客観的にはおよそ所得が生じる余地がないにもかかわらず、この点を誤認して課税処分がされた場合であるとか、法律上課税が許されない所得に対して課税処分がされたといった極めて例外的な事案であって、単なる課税要件事実の誤認には止まらず、課税処分をすることがおよそ許されないような根本的瑕疵があったことが問題とされていたことが明らかである。

以上の点に照らしてみると、課税処分が、根幹的な瑕疵が存するものとして当然に無効となるのは、上記のような例外的な場合に限られるのであって、それ以外の場合には、通常の行政処分の場合と同様に、重大かつ明白な瑕疵の存することが認められて初めて当該課税処分が無効になるものと解すべきところ、本件において原告が問題としている瑕疵は、信義則違反や課税要件事実の認定に関する誤りに止まるのであって、仮にその主張事実が認められたとしても、それが本件各処分の根幹的な瑕疵に当たるものとは到底いうことができない。したがって、以下においては、本件各処分に重大かつ明白な瑕疵があるかどうかという観点から、原告の無効主張の当否について検討することにする。

2  争点1(本件各処分と信義則違反の有無)について

(1)  証拠(甲3ないし8(枝番の証拠を含む。)、乙7)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実を認めることができる(一部争いのない事実を含む。)。

ア 原告は、平成12年4月27日以後、査察部の調査を受けていたところ、原告に関する租税ほ脱被疑事件につき、査察部と東京地検との合同捜査が行われ、平成13年6月5日、原告の実質的経営者である乙が逮捕された。

イ 上記被疑事件を担当していた査察部の丁統括査察官及び戊査察官は、同月25日、東京拘置所において、乙に対し、「増加所得金額・法人税額一覧表」(甲7の1。以下「本件一覧表1」という。)に基づき、原告及び関連法人各社の増加所得及び増加税額を口頭で説明した上、原告及び関連法人各社について修正申告を行う意思があるか否か確認した。これに対し、乙は、修正申告を行う、具体的には弁護士を通じて行う旨回答した。そして、乙の弁護士は、前同日、戊査察官に対し、修正申告の手続は税理士が行う旨連絡した。

ウ その後、同月28日までの間に、原告の顧問税理士である丙税理士が2度にわたり東京国税局を訪問した。戊査察官らは、査察部調べ室において、丙税理士に対し、本件一覧表1を交付した。丙税理士は、戊査察官らに対し、修正申告において別表4(所得の金額の計算に関する明細書)はどのように記載したらよいかと尋ねたところ、戊査察官らは「別口利益」と記載すればよい旨回答した。

戊査察官らは、本件一覧表1には修正申告書の作成に必要となる「留保所得金額」が記載されていなかったため、本件一覧表1の「申告法人税額」欄を削除し、新たに、「留保所得金額」欄を設けた同名の一覧表(甲7の2。以下「本件一覧表2」といい、本件一覧表1と併せて「本件一覧表」ということがある。)を作成し、丙税理士が2度目に査察部を訪れたときに、同税理士に手渡した。

エ 原告は、同月28日、本件一覧表に記載されたとおりの所得金額を計上し、杉並税務署長に対し、所得金額を2億6717万3568円、納付すべき税額を9889万8100円とする修正申告書を提出した。

オ 戊査察官らが丙税理士に提示した本件一覧表の増加所得金額については、いずれも、過大な役員報酬等の損金不算入に関する法人税法34条2項の規定が適用されておらず、本件事業年度の法人税に関する部分には、損金に算入されない役員報酬の額(本件役員報酬)の加算漏れがあった。そこで、これに気づいた戊査察官らは、平成13年7月27日、査察部において、丙税理士に対しその旨を説明するとともに、その後も数度にわたり、原告に対し、丙税理士を通じて、修正申告を再提出する意思があるか否かを確認した。しかし、原告は提出意思がない旨の回答をし、その後も上記内容の修正申告を行っていない。

カ 東京地方裁判所は、原告及び乙に対する法人税法違反被告事件(東京地方裁判所平成13年特(わ)第2663号)について、乙が法人税を免れようとして原告の売上金を一部除外する方法によりその所得を隠匿した上で、簿外資金を乙が株式の取得等のために流用している事実を認定し、同年12月28日、原告及び乙に対し有罪の判決をした。

(2)  原告は、本件各処分には重大な信義則違反がある旨主張するところ、法律による行政の原理、特に租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、同法理の適用については慎重を期すべきことが要請されているというべきである。したがって、信義則の適用により本件各処分が違法、無効となるのは、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお、本件各処分に係る課税を免れさせて納税者である原告の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に限られ、このような特別の事情が存するかどうかを判断するに当たっては、少なくとも、税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を示したことにより、納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ、後にその表示に反する課税処分が行われ、そのために納税者が経済的不利益を受けることになったものであるかどうか、また、納税者が税務官庁のその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由がないかどうかという観点からの検討が不可欠になるものと解すべきである(最高裁判所第三小法廷昭和62年10月30日判決・集民152号93頁参照)。

(3)  そこで、以下、上記特別の事情が存するか否かについて検討すると、原告は、丙税理士が査察部担当者と面会した際、増加所得の額等が記載されていたが、その根拠が記載されていない本件一覧表の交付を受け、これに基づき申告するよう指導された上、課税庁が本件一覧表記載の増加所得金額以上に増加所得を認定することはない旨の回答を得たため、原告はこの回答を信頼して本件一覧表に記載された所得金額を計上して修正申告したものである旨主張し、本件修正申告等を担当した丙税理士の陳述書(甲8)には同旨の供述記載が存するところ、査察官が丙税理士に対し原告に係る増加所得金額等が記載された本件一覧表を前後2回にわたって2通交付したこと、本件一覧表には増加所得金額の内訳や明細が記載されていなかったこと、丙税理士が戊査察官らに対し修正申告において別表4はどのように記載したらよいかと尋ねたところ、戊査察官らは「別口利益」と記載すればよい旨回答したことはいずれも前記認定のとおりである。

しかしながら、前記認定の事実に証拠(乙7)及び弁論の全趣旨を総合すれば、戊査察官ら査察部担当者が丙税理士と面会したのは、同査察官らが担当していた原告及び乙に対する法人税法違反事件に係る捜査の一環として、原告の売上除外行為に基づく増加所得額や増加税額等を確認するとともに、原告が修正申告に応じるか否かの意思を確認することが目的であったと認められ、査察官によるこうした確認行為等が権限を有する課税庁による調査とその趣旨や目的を異にすることは明らかであるから、査察部担当者が原告に対し本件一覧表に記載された増加所得額を申告すれば足りる旨保証するなどという事態は通常考えられないというべきである。のみならず、前記認定の事実によれば、戊査察官らが2度にわたって丙税理士と面会した際には、同査察官らは乙に対する役員報酬(本件役員報酬)が損金に算入されないことを失念していたのであるから、同査察官らが丙税理士と面会した際に、本件役員報酬の点を念頭に置いて、本件一覧表に記載された増加所得額がこれ以上増加することはないなどと回答することもあり得ないといわざるを得ない。したがって、丙税理士の前記供述記載及びこれに基づく原告の主張はいずれも採用の限りではなく、本件においては、信義則適用の要件である、原告が信頼の対象となる公的見解に基づいて行動したという点自体が認められないといわざるを得ない。

このことに、修正申告も納税申告の一種であって、原告としては、納付すべき租税の納税額等を改めて計算し、自己の納税義務の内容を具体的に確認した上、その結果を課税庁に申告することが前提とされているところ、丙税理士は、修正申告書を提出した後、戊査察官ら査察部担当者から、本件役員報酬が損金に算入されないという取扱いやその根拠等について改めて説明を受け、その旨の修正申告をする意思があるかを数度にわたり確認されたのであるから、その時点において、再び修正申告をするか否かを判断する機会があり、しかも税務の専門家である丙税理士においてこうした検討を行うことは容易であったと認められることや、本件において、原告は、本来負担すべき租税の負担を超えた特別な経済的不利益を受けたとも認められないこと(なお、重加算税の点は、後に検討する。)等を考慮すれば、原告について、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしても、本件各処分に係る課税を免れさせることが正義にかなうものとは到底認め難く、原告の主張は理由がない。

3  争点2(本件更正処分と法人税法34条2項違反の有無)について

原告は、本件においては、売上除外行為と役員報酬の認定との間に連動性は存在しないから、役員報酬の支給と無関係な売上除外行為をもって法人税法34条第2項を適用することは、法令の適用を明らかに誤ったものであり、本件更正処分は無効である旨主張する。

そこで検討すると、本件更正処分の根拠は、前記前提となる事実記載のとおり、大要、①原告が売上除外行為により作出した簿外資金の大部分は乙に対し貸し付けられたものと認定する、②乙の有する財産の増加額から処分可能所得を差し引いた金額をもって、原告の乙に対する貸付金(本件貸付金)と認定する、③本件貸付金に10パーセントの利率を乗じた金額を本件事業年度中に発生した本件貸付金に係る利息(本件認定利息)とし、本件事業年度における所得の計算上益金の額に算入する、④乙は法人税法原告の役員とみなされるところ、原告は乙から本件認定利息に相当する金員を徴収していないから、本件認定利息相当額を乙に対する報酬(本件役員報酬)と認定する、⑤本件役員報酬は売上除外により捻出した資金を原資とした貸付金に係る利息相当額であるから、法人税法34条2項により、所得の計算上損金の額に算入しないというものである。

そして、前記認定の事実に証拠(甲4、甲6、甲8、乙7)及び弁論の全趣旨を総合すれば、原告は、本件事業年度の所得について、法人税を免れるため、売上金を一部除外する方法によりその所得を隠匿した上、原告の実質的所有者である乙に対し、上記売上除外行為によって生じた簿外資金の一部を株式取得のための資金として流用させたことが認められ、これを左右するに足りる証拠はない。確かに、本件証拠上、原告が乙に対し簿外資金を流用させた具体的な方法を直接認めるに足りる証拠はなく、原告から乙に対する貸付の認定が、同簿外資金が乙に移転した法律上の原因として想定される唯一の方法とまで認めることはできない(例えば、乙が同簿外資金を原告から不法に領得したという認定もあり得ないではない。)。しかしながら、乙は原告の実質的な経営者であること、原告代表者が乙による簿外資金の流用に対し何らかの異を唱えた形跡も見当たらないことなどに照らせば、同簿外資金については、それが原告から乙に流用された都度、原告と乙との間において同資金相当額を無利息・無期限で貸し付けるとの合意が少なくとも黙示的に成立していたとの認定は是認し得ないものではなく、課税庁によるこのような課税要件事実の認定に重大かつ明白な誤りがあるということはできない。

したがって、同貸付に係る本件認定利息は、乙に対する無償の資産譲渡に該当するものとして、本件事業年度の益金に算入すべきところ(法人税法22条2項)、これを実質的にみれば、原告の実質的な経営者であり、法人税法にいう「役員」に該当する乙(同法2条15号、同法施行令7条1項)に対して、利息相当額の経済的利益を与えたものであって、本件認定利息は、給与の支給と同様の経済的効果をもたらす「報酬」に該当すると解することには十分な合理性があるものといえる(法人税基本通達9-2-10、同9-2-16の(2)参照)。それゆえ、同報酬額相当額は、通常であれば、本件事業年度の損金に算入すべきものである。

しかるに、同報酬額相当額は、原告が売上除外行為という隠ぺい行為によって捻出した資金がその原資とされていることに加え、原告は、上記貸付行為やこれによる認定利息相当額の経済的利益を乙に付与した行為を何ら帳簿に計上することなく、その事実を隠ぺいしたものであることを考慮すると、法人税法34条2項の適用により、同報酬相当額は本件事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しないこととした課税庁の認定判断に著しい誤りがあるとまで認めるに足りず、本件更正処分に重大かつ明白な誤りがあるということはできない。原告の主張は理由がない。

4  争点3(本件賦課処分と国税通則法68条1項違反の有無)について

(1)  原告は、原告がした売上除外行為が、本件認定利息相当額の益金算入及び本件役員報酬の損金不算入とは全く連動性がないことを根拠として、売上除外行為を、本件認定利息の益金算入と本件役員報酬の損金不算入の基礎となるべき事実についての仮装隠ぺい行為と捉えることはできず、本件賦課処分には国税通則法68条1項の適用の誤りがある旨主張する。

しかしながら、前記認定の事実によれば、原告が、売上除外行為によって本来益金として計上されるべき簿外資金を不正に作出するという隠ぺい行為を行ったことは明らかであるところ、原告の売上除外行為により作出された原告の簿外資金の一部が乙の資産形成の原資として利用されたという関係を肯認できることは前判示のとおりであるから、結局のところ、本件認定利息及び本件役員報酬も、売上除外行為という原告の不正経理によって生じたものであり、原告の売上除外行為との間に不正経理の連動性がないとはいえない。のみならず、上記認定のとおり、原告は、上記貸付行為やこれによる認定利息相当額の経済的利益を乙に付与した行為を何ら帳簿に計上しなかったという事実の隠ぺいをも行っているのであるから、被告が原告の売上除外行為のみならず、本件認定利息相当額を益金の額に算入していないことについても隠ぺい行為があった旨認定し、本件認定利息相当額について重加算税を課した本件賦課処分に重大かつ明白な瑕疵があるということは困難であるといわざるを得ない。

したがって、原告の前記主張は理由がない。

(2)  また、原告は、売上除外行為によって直接隠ぺいされた所得については、平成14年1月15日、既に重加算税の賦課処分が課せられており、売上除外行為の仮装隠ぺい性については、同賦課処分によってすでに評価され尽くしているにもかかわらず、売上除外行為の仮装隠ぺい性を根拠として本件賦課処分を行うのは、納税者の予測可能性の維持という課税の基本原則を全く無視した不合理な処分である旨主張する。

しかしながら、上記認定判断のとおり、本件で問題とされている原告の仮装隠ぺい行為は、これを分析すると、①本来、原告の売上として計上しなければならないはずの金員の一部を除外したという側面と、②売上除外に係る資金を乙に無利息で貸し付け、経済的利益(本件役員報酬)を与えていたにもかかわらず、これを帳簿上明らかにしなかったという側面の2つの側面を有するものであって、これらは経済的にも異なる行為と評価されるべきものであるところ、杉並税務署長が平成14年1月15日付けでした重加算税の賦課処分は、上記①の側面に着目したものであるのに対し、本件賦課処分は、上記②の側面に着目したものであって、両者は、その対象及び根拠を異にする別個の処分というべきであるから、これを二重課税であると評価するのは相当ではない。また、本件賦課処分がその対象としている本件役員報酬は、当初、査察官らから問題にされていなったことは前判示のとおりであるけれども、この査察官らの対応を、本件役員報酬の不計上を理由に不利益な処分をすることはないという公的見解の表明と評価することはできないことは既に指摘したとおりであるし、本件賦課処分は、当初申告において②の点について仮装隠ぺい行為を行ったことを理由とするものであって、査察官らによる修正申告勧奨を信じた結果、本件賦課処分を受けたものでもないのであるから、本件賦課処分について信義則違反等の事由を認めることもできないところである。

したがって、原告の前記主張は理由がない。

5  小括

以上検討したところによれば、本件各処分を無効ならしめるような事情は認められない。

第4結論

よって、原告の本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担の点について行訴法7条、民訴法61条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 鶴岡稔彦 裁判官 清野正彦 裁判官 進藤壮一郎)

別表

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