東京地方裁判所 平成18年(刑わ)1635号 判決 2006年10月31日
主文
被告人を懲役1年10月に処する。
訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,平成18年4月18日午前7時56分ころから同日午前8時3分ころまでの間,東京都世田谷区<以下省略>の小田急電鉄株式会社成城学園前駅から同区<以下省略>の同社下北沢駅に至るまでの間を走行中の電車内において,乗客であるA(当時17歳)に対し,その意に反して,パンティの中に左手を差し入れその陰部を手指でもてあそぶなどし,もって強いてわいせつな行為をしたものである。
(証拠の標目)省略
(事実認定の補足説明)
弁護人は,被告人は,本件犯行を行っておらず,無罪である旨主張し,被告人もこれに沿う供述をしているので,以下,判示事実を認定した理由を補足して説明する。
1 まず,関係証拠によると,以下の事実が認められる。
(1) 被告人は,通勤のため,本件当日(平成18年4月18日)午前7時34分ころ,小田急線鶴川駅から,綾瀬行き準急の前から5両目の車両に,被害者とされているAは,通学のため,同日午前7時44分ころ,読売ランド駅から,同車両に乗った。
Aが乗車してから,当日被告人らが降車した下北沢駅までの本件電車の停車駅は,順に,読売ランド,生田,向ヶ丘遊園,登戸,成城学園前,下北沢であった。
(2) 被告人とAは,遅くとも,本件電車が同日午前7時56分ころ成城学園前駅を発車して間もなくしてから,満員の上記車両の,進行方向に向かって左側の前から2番目のドア付近に,互いの左半身付近が接するような体勢で,向かい合うような形で立っていた。
(3) 当時,被告人は,濃紺の背広上下を着用し,その下に白地にブルーの縦縞のワイシャツを着て,ネクタイを締め,手荷物のバッグは,網棚の上に上げていた。被告人の身長は,約165cmで,指先を伸ばして腕を降ろしたとき,床面から指先までの距離は,約67cm(指先に力を入れずに自然に降ろすと約68.5cm)であった。
一方,Aは,ひだの大きいフレアスカートをはき,ブラウスの上にベスト,その上に更にジャケットを着るという制服姿で,右肩にバッグを提げていた。スカートの下には,ストッキング等をはかずにパンティをはき,また,スカートは膝上まで上げ,その上に,その下縁がパンティの上縁のゴムの部分の約5cm上に当たる付近に,ベルトをしていた。Aの身長は,約155cm(靴をはいた状態で約157ないし158.5cm)で,床からスカートの下縁までの距離は約58cm,床から股間までの距離は約68cmであった。
(4) Aは,本件電車が下北沢駅に着く直前,左手で被告人のネクタイをつかみ,「電車降りましょう。」と声を掛けた。これに対して,被告人は,声を荒げて,「何ですか。」などと言い,Aが,「あなた今痴漢をしたでしょう」と応じると,Aを離そうとして,右手でその左肩を押すなどした。電車は,間もなく,下北沢駅に止まり,2人は,開いたドアからホームの上に押し出された。Aは,その場にいた駅長のBに対し,被告人を指さし,「この人痴漢です。」と訴えた。そこで,Bが,被告人に,駅長室への同行を求めると,被告人は,「おれは関係ないんだ,急いでいるんだ。」などと怒気を含んだ声で言い,Bの制止を振り切って,車両に乗り込んだが,やがて,同人の説得に応じて下車し,駅長室に同行した。
2 A及び被告人の供述
(1) Aの供述
Aは,公判廷及び検察官調書中で,被告人から本件電車内で痴漢行為を受けたとして,次のように供述している。
「読売ランドから乗車した後,左側ドア付近に,進行方向と逆向きに立っていると,生田を発車して直ぐに,私の前に立っていた被告人が,私の頭越しに,かばんを網棚に載せた。その後,私と被告人は,互いの左半身がくっつくような位置関係にあった。向ヶ丘遊園を出てから,痴漢に遭い,まず,スカートの上から下腹部,次いで陰部を触られ,次に,スカートの中に手を入れられ,パンティの上から陰部を触られた。登戸に着く少し前に,その手は抜かれたが,同駅を出ると,さらに,パンティの前の部分の上から手を入れられ,成城学園前に着く直前まで,陰部を触られた。位置関係等から,犯人は被告人と思ったが,痴漢されているのを見るのがいやだったということもあり,確認はしていない。
成城学園前駅に着いてドアが開き,駅のホーム上に押し出された。被告人がまだいたらドアを変えようと思ったが,被告人を見失って迷っているうち,ドアが閉まりそうになったので,再び,同じドアから乗った。乗る直前に,被告人がいるのに気付いたが,後ろから押し込まれる感じで,また被告人と向かい合う形になった。私は,少しでも避けようと思って向きだけ変えた。そのため,被告人と私は,左半身同士ではなく,私の左肩が被告人の体の中心にくっつくような形になった。
成城学園前駅を出ると,今度は,スカートの中に手を入れられ,右の太ももを,外側から内側に向かってなで上げるような感じで触られた。私は,いったん外に出たのにまたするなんて許せない,捕まえたり,警察に行って説明できるようにするため,しっかり見ておかなければいけないと思い,その状況を確認した。
すると,スカートの右の部分がしわになり,腕にのっかったような感じで持ち上がって,そのすその部分から手首の少し上の部分が見えていたので,肘,肩と順番に見ていき,それが被告人の腕であることを確認した。当時,私の右前に立っている人が,ドアを向いて私に背を向けていたので,そこに少し空間があり,犯人の腕を見ることができた。
その後,その犯人は,パンティの右のわきから,手の甲が私の体に触る感じで手を入れ,指で陰部を触り,さらに,その手を抜いて,今度は,パンティの上の方から手を入れ,陰部を触ってきた。その間,被告人の位置は,従前の状態から少し変わり,再び,互いの左半身がくっつく状態になっていた。
私は,下北沢に着く直前,左手で被告人のネクタイをつかみ,「電車降りましょう。」と声を掛けた。同じころ,相手が私の体を触るのも止んだ。」
(2) 被告人の供述
被告人は,公判廷及び検察官調書中で,次のように供述している。
「網棚にかばんを置いたのは,登戸を出て成城学園前に着くまでの間であって,生田を出て直ぐではない。電車が成城学園前を出て,しばらくして,前に立っていた男性が,左の方につり革を1つずれたので,少し前に出て,その男性がそれまで持っていたつり革をつかんだとき,体の左側に向かい合って立っている女性(A)に気付いた。それまで,その女性がどこにいたのかは分からない。私は,左手がその女性の胸に当たりそうになったので,左肩の方に回したりしたが,そのような姿勢も続けられず,途中で下に降ろした。そうしていたところ,電車が下北沢に到着してドアが開こうとしたころ,その女性にネクタイをつかまれた。私は,その女性に痴漢行為はしていない。」
3 Aの供述の信用性について
(1) 被害状況,犯人確認状況に関するAの前記供述は,以下の事情に照らし,十分信用できる。
すなわち,
ア Aは,成城学園前駅に到着する直前,被告人のネクタイをつかんで,降車を求め,同駅に到着すると,直ちに,駅員に被告人から痴漢された旨告げ,その措置に委ねており,そこに何らかの不当な意図が介在することをうかがわせる事情は全く見当たらない。Aが,本件当日,本件電車内で痴漢行為に遭ったことに疑問の余地はない。
イ 被告人とAは,当日,同じ電車に乗り合わせただけの関係にすぎないから,被告人がやや強引に鞄を網棚に上げたことについて不快感を有していたとしても,同人が,ことさら被告人を痴漢に仕立て上げる理由はない。
ウ Aは,成城学園前以前の痴漢も被告人と思うが,確認していないので断定できないなど,分かる部分と分からない部分を明確に区別して述べており,その供述態度は,真しと認められる。
エ Aの前記供述は,例えば,成城学園前では,痴漢されているのを見るのがいやだったので,犯人がだれか確認しなかったが,同駅を出て,再び同様の行為をされたので,捕まえたり,警察に行って説明できるようにするため,しっかり見ておかなければいけないと思い,その状況を確認したと述べるなど,当時の心情も交えた具体的,迫真的なもので,その内容自体に,不自然・不合理な点はない。また,同供述によると,同人は,意識的に当時の状況を観察・把握していたというのであるから,犯行内容や犯行確認状況について,勘違いや記憶の混乱等が起こることも考えにくい。
こうした事情に照らすと,被害状況,犯人確認状況に関するAの前記供述は十分信用できる。
(2) これに対して,弁護人は,① 当時,本件車両内は混んでいた上,Aは,右肩にかばんを提げていたのであるから,スカートのすそから手が出ているのを見ることは不可能である,② Aの供述によれば,本件当時,その体の直ぐ前には,痴漢をしている犯人の左腕があったことになるのに,犯人確保のため,その腕をつかまず,被告人のネクタイをつかんだのは不自然である,③ Aの,犯人確認状況に関する供述は,捜査段階から不自然に変遷しているなどとして,Aの前記供述の信用性に疑問を呈している。
しかし,これらはいずれも理由がない。
すなわち,
ア ①の点について
確かに,当時,本件車両内は混んでおり,また,Aが右肩にかばんを提げていたことは,そのとおりであるが,Aの公判証言によると,当時,同人の右前には,ドアを向き,同人に背を向けて立っていた人がいたため,少し空間があったというのであり,また,かばんは,その体の右横にあれば,スカートの右すそ付近から左斜め上方に伸びている腕を見ることの妨げになるものではないと認められるから(写真撮影報告書(甲5)の添付写真1ないし3参照),Aが,当時,スカートのすそから手が出ているのを見ることが不可能であったとはいえない。なお,証人Cの公判供述,実況見分調書(甲7)によると,警察官らが,Aの供述に従って,当時の状況を再現したところ,スカートのすそから出ている腕を視認することができたというのであって,この実況見分の結果は,右肩にかばんを提げたところまでは再現していないなど,その正確性に全く問題がないわけではないが,少なくとも,Aの供述する状況で,スカートのすそから出ている手を確認することが不可能でないことを示す限度では,同人の供述の信用性を裏付けている。
イ ②の点について
Aは,右手はかばんの手提げ部分を持っていて,使えなかったから,犯人の手をつかむためには,左手を使うしかなかったところ,当時,左手は,犯人の体の真ん中辺りにあって,うまく右に移動させることができなかったし,手をつかんでも,動かして逃げられる可能性があると思ったことなどから,左手の直ぐ近くにあったネクタイをつかんだというのであるから(Aの公判証言,検察官調書(甲4,不同意部分を除く。)),同人が犯人確保のため被告人のネクタイをつかんだことには相応の理由があり,何ら不自然とはいえない。
ウ ③の点について
確かに,Aは,犯人確認の状況について,本件当日作成された警察官調書(弁7)中では,成城学園前を出た後,「私の目の前に立っていた男性が左腕を動かしたのを確認すると同時に,左手で私の右太ももを下からなで上げてきたので,この男が犯人だと分かったのです。」と,前記公判証言とは若干異なるようにも受け取れる供述をしている。しかし,同調書は,A自身が公判廷で客観的には被告人の行為であることが確認できないことを認めている成城学園前以前の痴漢行為も被告人の行為として記載されていることなどから見て,当時の状況を細かく分析することなく,大枠でとらえて作成されたものと推認される。そして,その後,捜査の進展により,具体的行為・状況により裏付けられたものであるかどうか分析的な事情聴取が行われた結果,上記のとおり,裏付けのあるものと,そうでないものとの仕分けが行われたものと推認できる。そうすると,この点に関する,Aの上記警察官調書と公判証言の違いは,そのような捜査の状況を反映しているに過ぎないもので,後者の方がより精緻・正確なものと見るのが相当であり,そこに不自然な変遷があるとはいえない。
したがって,弁護人の主張はいずれも理由がない。
4 被告人の犯人性について
Aの前記供述によれば,同人が本件車両内で痴漢の被害に遭ったことに疑問の余地はないところ,以下の事情に照らすと,その犯人は被告人と認められる。
すなわち,
(1) Aの前記供述によれば,同人が右太ももを触られているとき,スカートの右の部分がしわになり,腕にのっかったような感じで持ち上がり,そのすその部分から被告人の手首が見えていたところ,その後,スカートの中で,その手が動き,パンティの右のわき,次いで,パンティの上の方から差し入れられ,陰部を触られたのというのであるから,そのこと自体から,被告人が本件痴漢の犯人である可能性が非常に高い。
(2) 犯人の手を動きを見ても,犯人は,まず,右太ももをなで上げるようにして触り,次いで,手の甲がAの体に触る形で,パンティの右わきから手を入れてきたというのであるから,同人の左側から,手を伸ばしていたと見るのが自然である。仮に,犯人の手が右側から伸びてきていたとすると,右太ももをなでている手が,パンティの右わきから差し入れられるときは,手のひらが体に触る形になるものと思われる。そして,当時,Aの左側にいてそのようなことをすることが可能だったのは,同人の左前にいた被告人だけである。
(3) 関係証拠によると,成城学園前から下北沢までは約7分であるところ(捜査報告書(甲13)),Aの前記供述によると,被告人の左腕は,その多くの時間,まっすぐ下に降りていたのではなく,やや左に差し出されていたことになるが,満員電車の中とはいえ,何の理由もなく,そのような状態になるのは不自然であり,そのことも,被告人が痴漢行為を行っていたことを推認させる。
(4) 仮に,本件痴漢の犯人が,被告人以外の者であったとすると,Aの右前にいた者は,Aに背を向けていたというのであり,また,被告人とAは,互いに左半身がくっつき合うような位置関係にあったというのであるから,それは,Aの右横か後ろにいた者ということになるが,Aの公判証言によると,後ろにいたのは女子高校生だったというのであるから,その者が犯人である可能性は乏しく,また,右横か後ろにいた者が犯人とした場合,いずれにせよ,その手は右方向から差し出されることになるが,これが,本件犯人の手の動きとそぐわないことは前記のとおりである。
こうした事情を総合すると,被告人が本件痴漢の犯人であると合理的に推認できる。
被告人の,前記弁解は,上記諸事情に照らし,信用できない。
これに対して,弁護人は,被告人が,Aの供述するような痴漢行為をすることは不可能であるとして,次のように主張している。
① Aのスカートのすその床からの距離は約58cmであり,一方,被告人の指先から床までの距離は約67ないし68.5cmであるから,被告人がAのスカートの中に手を入れるためには,腰をかがめたり,膝を落としたりすることが必要であるが,Aはそのようなことはなかったと供述している。
② Aの床から股間までの距離は約68cmであり,一方,被告人の指先から床までの距離は前記のとおり約67ないし68.5cmであるから,Aと互いに左半身が重なるように立っていた被告人が,股間部よりさらに遠くになる,Aの右太ももの外側を触るためには,中腰になったり,体を左に傾けたりする必要があるところ,60歳と高齢の被告人にそのようなことができるはずがない。
③ 当時,本件車両内は混雑していたから,パンティの右わきから手を差し入れる余裕はない。
④ パンティの中に手を,上方から手のひらを上にして差し入れると,スカートが大きくめくれ上がるはずであるが,Aはそのようなことはなかったと供述している。パンティの上端を引き下げれば,スカートがめくり上げることなく,手を差し入れることができるが,Aは,パンティが引き下げられたこともなかったと供述している。
したがって,被告人が本件痴漢行為をすることは不可能である。
しかし,これらはいずれも理由がない。
すなわち,
ア ①について
指先から床までの距離が,スカートのすそから床までの距離より長くても,スカートをつまんでたくし上げるなどすれば,直立したままで,その中に手を入れることは容易である。Aは,そのようなことがあった旨の供述をしていないが,当時,本件車両が相当混み合っていたことに照らすと,同人に気付かれないように,スカートをたくし上げてその中に手を入れることは,さほど難しいことではないと考えられる。
イ ②について
Aの股間から床までの距離や,被告人の指先から床までの距離は,弁護人主張のとおりであるが,これを前提としても,被告人の指先は,そのままの体勢でも,指を伸ばせば,Aの股間より若干下にくる上,陰部や太ももというのは,股間の上下やや幅のある範囲を指すから,被告人は,中腰になるなど無理な体勢をとらなければ,Aの右太ももや陰部を触れないとはいえない。実況見分調書(甲19)によると,実際,指先から床までの距離が66.8cmという被告人とほぼ同様の者を被告人に見立てて実験した結果,Aの左腕が被告人の体の中心にきている状態で,左肩を大きく下げることなく,右太ももを触ることができたというのであるから,上記の距離関係から,直ちに弁護人のように決め付けることはできない。弁護人提出の写真撮影報告書(弁8)に添付された写真には,被告人が,Aと等身大に作ったというマネキン人形の陰部を触った際,右肩が大きく下がったり,前屈みになった姿が写っているが,可能な体勢の1つにすぎないというべきである。
ウ ③について
本件当時,本件車両の中が混み合っていたことはそのとおりであるが,その体勢から見て,パンティの右わきから手を差し入れるのに,さほどの空間を要するものとは考えられない。
エ ④について
写真撮影報告書(甲17),実況見分調書(甲19)とによると,Aが当時はいていたパンティは上下の幅がさほど広いものではなく,その上縁は,下腹部の比較的下の方にあったことが認められるから,スカートを大きくめくり上げることなく,パンティの上方から手をその中に差し入れることは可能と考えられる。実況見分調書(甲19)によると,指先から床までの距離が被告人とほぼ同様の者を被告人に見立てて実験した結果,Aと被告人の左半身が重なっている状態で,パンティの右わきからその中にいれていた指を抜いて,パンティの上部から入れ直しても,スカートは大きくめくれ上がることはなかったというのであるから,この点に関する弁護人の主張も,当を得たものではない。
したがって,弁護人の主張はいずれも理由がない。
5 結論
以上の次第であるから,被告人が本件犯行を行ったことは優に認められ,この認定に合理的疑いを差し挟む余地はない。
(法令の適用)
罰条 刑法176条前段
訴訟費用の負担 刑事訴訟法181条1項本文
(量刑の理由)
本件は,電車内の痴漢行為を内容とする強制わいせつの事案である。
被告人は,性的欲求の赴くまま本件を行ったものと認められ,動機に酌量の余地はなく,犯行態様は,満員の電車内で,通学途上の高校生の下着に手を差し入れ,手指で陰部をもてあそぶなどしたもので,卑劣・悪質であり,被害者の被った精神的苦痛は大きい。
被告人は,犯行を否認して,不合理な弁解を繰り返し,反省の態度は認められず,被害者に対して,何ら慰謝の措置も講じていない。被害者は,被告人の厳重処罰を希望している。
こうした事情に照らすと,被告人の刑責は重く,他方,被告人が61歳と比較的高齢で,これまで前科がなく,まじめな社会人として生活してきたことなど,被告人のために酌むべき事情を考慮しても,被告人に対しては,主文の実刑を科するのが相当である。
よって,主文のとおり判決する。
(求刑 懲役2年6月)