東京地方裁判所 平成2年(特わ)928号 判決 1990年10月18日
本店所在地
東京都台東区上野七丁目八番一八号川崎ビル
トウヨウニッソー工芸株式会社
(右代表者の代表取締役 梶川博幸)
本籍
東京都台東区浅草七丁目六五番地
住居
同都北区西ヶ原三丁目二二番一一号
会社相談役
川崎國博
昭和二〇年九月二〇日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官渡辺咲子出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人トウヨウニッソー工芸株式会社を罰金三四〇〇万円に、被告人川崎國博を懲役一年にそれぞれ処する。
被告人川崎國博に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人トウヨウニッソー工芸株式会社(以下、被告会社という。)は、東京都台東区上野一丁目八番一八号川崎ビルに本店を置き、内外装飾に関する企画宣伝業務等を目的とする資本金三〇〇〇万円(平成二年四月二日以前は二五〇〇万円)の株式会社であり、被告人川崎國博(以下、被告人という。)は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、架空仕入・架空外注加工費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上
第一 昭和六一年五月一日から同六二年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が八八七八万九八六九円であつた(別紙1修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年六月三〇日、東京都台東区東上野五丁目五番一五号所轄下谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一三八六万六六三九円で、これに対する法人税額が四七〇万七四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成二年押第六九三号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額三六一七万五一〇〇円と右申告税額との差額三一四六万七七〇〇円(別紙2脱税額計算書参照)を免れ
第二 昭和六二年五月一日から同六三年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億三二五六万五九四五円あつた(別紙3修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年六月三〇日、前記下谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二二四二万七一六円で、これに対する法人税額が八二九万七五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同押号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額五四五五万八四〇〇円と右申告税額との差額四六二六万九〇〇円(別紙4脱税額計算書参照)を免れ
第三 昭和六三年五月一日から平成元年四月三〇日までの事業年度における被告会社実際所得金額が一億二九五五万三二二四円あつた(別紙5修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年六月三〇日、前記下谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二五三九万八一四四円で、これに対する法人税額が九五二万七八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同押号の3)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額五三二七万二九〇〇円と右申告税額との差額四三七四万五一〇〇円(別紙6脱税額計算書参照)を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書四通
一 収税官吏作成の次の調査書
1 売上高調査書
2 製品仕入高調査書
3 外注加工費調査書
4 謝礼金調査書
5 賞与調査書
6 報奨金調査書
7 交際接待費調査書
8 交際費損金不算入額調査書
9 受取利息調査書
10 雑費調査書
11 事業税認定損調査書
一 検察官作成の捜査報告書(謝礼金の金額に関するもの)
一 検察事務官作成の次の標題の捜査報告書
1 貸倒引当金の取扱いについて
2 交際費損金不算入額について
一 収税官吏作成の領置てん末書
一 登記官作成の商業登記簿謄本
判示第一の事実につき
一 検察事務官作成の「製品仕入高調査書の補充説明について」と題する捜査報告書
一 押収してある法人税確定申告書(昭和六二年四月期分)一袋(平成二年押第六九三号の1)
判示第二、第三の事実につき
一 収税官吏作成の事務用品費調査書
一 検察事務官作成の次の標題の捜査報告書
1 売上高調査書の補充説明について
2 外注加工費調査書の補充説明について
3 事務用品費調査書の金額異動について
4 未納事業税の取扱いについて
判示第二の事実につき
一 検察事務官作成の「接待交際費調査書の金額異動について」と題する捜査報告書
一 押収してある法人税確定申告書(昭和六三年四月期分)一袋(前同押号の2)
判示第三の事実につき
一 収税官吏作成の損金不算入住民税利子割調査書
一 検察事務官作成の次の標題の捜査報告書
1 役員賞与の取扱いについて
2 事業税認定損調査書の金額異動について
一 押収してある法人税確定申告書(平成元年四月期分)一袋(前同押号の3)
(法令の適用)
罰条
被告会社 いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一、二項
被告人 いずれも法人税法一五九条一項
刑種の選択
被告人 懲役刑を選択
併合罪の処理
被告会社 刑法四五条前段、四八条二項
被告人 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪の刑に加重)
刑の執行猶予
被告人 刑法二五条一項
(求刑 被告会社につき罰金四〇〇〇万円、被告人につき懲役一年)
よつて、主文のとおり判決する。
(裁判官 西田眞基)
別紙1
修正損益計算書
自 昭和61年5月1日
至 昭和62年4月30日
トウヨウニッソー工芸株式会社
<省略>
別紙2
脱税額計算書
自 昭和61年5月1日
至 昭和62年4月30日
トウヨウニッソー工芸株式会社
<省略>
別紙3
修正損益計算書
自 昭和62年5月1日
至 昭和63年4月30日
トウヨウニッソー工芸株式会社
<省略>
別紙4
脱税額計算書
自 昭和62年5月1日
至 昭和63年4月30日
トウヨウニッソー工芸株式会社
<省略>
別紙5
修正損益計算書
自 昭和63年5月1日
至 平成元年4月30日
トウヨウニッソー工芸株式会社
<省略>
別紙6
脱税額計算書
自 昭和63年5月1日
至 平成元年4月30日
トウヨウニッソー工芸株式会社
<省略>