東京地方裁判所 平成3年(ワ)8779号 判決 1992年6月09日
原告 三和交通株式会社
右代表者代表取締役 吉川永一
右訴訟代理人弁護士 木村晋介
同 飯田正剛
被告 国
右代表者法務大臣 田原隆
右指定代理人 渡邉和義
<ほか四名>
主文
1 被告は、原告に対し、金三三五八万六六〇六円を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
事実
第一当事者の求める裁判
一 請求の趣旨
1 被告は、原告に対し、金三三五八万六六〇六円並びに内金二八四二万一六五六円に対する平成元年二月二三日から右支払済みまで年五分の割合による金員及び内金五一六万四九五〇円に対する平成元年三月二一日から右支払済みまで同割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
二 請求の趣旨に対する答弁
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
3 担保を条件とする仮執行免脱の宣言
第二当事者の主張
一 請求の原因
1(被告の利得)
(一) 社会保険庁長官(担当者は八王子社会保険事務所担当官、以下「処分庁」という。)は、平成元年二月二二日、万葉交通株式会社(八王子市元本郷町三―六―五所在、昭和六三年一一月一一日変更前の旧商号「三和交通株式会社」、昭和六二年一一月四日変更前の旧商号「万葉交通株式会社」、昭和六二年四月二一日より以前の代表取締役関谷秀一、同日以後の代表取締役小栗義熙、以下「万葉交通」という。)の滞納に係る別紙徴収金目録一記載の徴収金の国税滞納処分の例による処分又は徴収として、小栗義熙と株式会社三井銀行(八王子支店扱い、現在は株式会社さくら銀行八王子駅前支店、以下「三井銀行八王子支店」という。)との間の昭和六二年五月二一日付当座勘定取引契約に基づく右小栗名義の同支店の当座預金(口座番号五四二〇一五八番、以下「小栗口座」という。)の残高二八四二万一六五六円につき、その支払請求権(以下「本件当座預金債権」という。)を差し押え、これを取り立てた(以下「本件滞納処分(一)」という。)。
(二) 処分庁は、平成元年三月二〇日、万葉交通の滞納に係る別紙徴収金目録二記載の徴収金の国税滞納処分の例による処分又は徴収として、八王子市《番地省略》所在の原告の事務所において、原告の担当者において保管中の原告の現金合計五一六万四九五〇円(以下「保管現金」という。)を差し押え、これを取り立てた(以下「本件滞納処分(二)」という。)。
(三) 本件当座預金債権に係る取立金及び保管現金は、本件滞納処分(一)及び(二)により、いずれも滞納者である万葉交通から前記滞納金を徴収したものとみなされ(国税徴収法五六条三項、六七条三項)、国庫に収納された。
2 (本件当座預金債権及び保管現金の帰属)
本件当座預金債権及び保管現金は、左記のとおり、いずれも原告に帰属するものである。
(一) 原告は、昭和六二年三月三〇日、万葉交通から、同会社の営業(東京都八王子市、日野市、多摩市、稲城市及び町田市を事業区域とする一般乗用旅客運送事業及びこれに付帯する車両三五台等)の全部を、代金合計二億五二〇〇万円で買い受ける契約を締結した。したがって、同日以降に右の事業経営(以下「本件営業」という。)に基づいて発生した債権債務は、原告に帰属することとなった。
(二) 原告は、右万葉交通からの一般乗用旅客運送事業の営業譲渡について、昭和六三年六月二九日、同会社とともに、関東運輸局長に対し、平成三年法律第八三号による改正前の道路運送法三九条(以下「道路運送法三九条」という。)に基づく認可を申請し、昭和六三年一一月一一日、右の認可を受けた(以下「三九条認可」という。)。原告は、同年一二月一〇日、万葉交通から同年一一月一一日に営業譲渡を受けたがその債務は承継しない旨の登記をした。
(三) 小栗義熙は、原告の子会社である三和交通有限会社の代表取締役や有限会社三和府中の取締役に就任していた者で、原告の指示によって万葉交通の代表取締役に就任したものである。
原告は、万葉交通と本件営業の譲渡契約を締結した以後、三九条認可を待たず同社から社員や車両等営業の主要部分を承継し、形式的には万葉交通の名義を使用しつつも実質的にはその営業を自ら行い、収入・支出を管理していた。右の営業を行うには当座勘定を設ける必要があったが、万葉交通は昭和六一年一一月二一日銀行取引停止処分を受けていて、その名義で口座を開くことはできなかった。また、三九条認可のある前であるから、原告の名義を使用することもはばかられた。そこで、原告は、小栗に依頼して同人の名義を借用し、原告のため当座勘定を開くこととしたのであって、小栗口座の開設に当たって出捐をしたのも原告であった。その通帳は、原告の社員である久保恒重らが保管し、その届出印章は小栗が保管していた。もとより、小栗が右口座を自らのものであると主張したことはないから、以上によれば、小栗口座は原告に帰属するものであることが明らかである。
(四) 仮に、三九条認可のあるまでは小栗口座が万葉交通に帰属していたとされるとしても、三九条認可によって、万葉交通と締結した営業権売買契約の効力が発生し、右契約によれば、その契約日から経営又は所有権に基づく一切の債権債務は原告に帰属することとされているから、小栗口座に係る実質的預金者としての地位も、右契約日以後は原告に移転し、小栗口座及びその当座預金債権は原告に帰属することになった。
更に、三九条許可前の小栗口座に預け入れられた金額が万葉交通に帰属するとされるとしても、それは本件滞納処分(一)の前にすべて払い出されていた。本件当座預金債権の内容は、すべて三九条認可以降の営業収入(タクシー売上金)を原告が預け入れたものであって、原告に帰属するものである。
(五) 保管現金は、本件滞納処分(二)の二、三日前の営業収入(タクシー売上金)そのものである。したがって、これが原告に帰属することは明らかである。
3(原告の損失)
原告は、本件滞納処分(一)及び(二)により、本件当座預金債権及び保管現金の金額に相当する損失を受け、被告は、法律上の原因なしに、原告の損失において右1記載の利得を受けた。
4(悪意)
処分庁は、本件滞納処分(一)及び(二)をした当時、本件当座預金債権及び保管現金が万葉交通ではなく原告に帰属するものであることを知っていた。
5(結論)
よって、原告は、民法七〇三条及び七〇四条に基づき、被告に対し、本件当座預金債権の取立金相当の不当利得金二八四二万一六五六円及びこれに対する本件滞納処分(一)の翌日である平成元年二月二三日から右支払済みまで民法所定年五分の割合による利息金並びに保管現金相当の不当利得金五一六万四九五〇円及びこれに対する本件滞納処分(二)の翌日である平成元年三月二一日から右支払済みまで同割合による利息金の支払を求める。
二 請求の原因に対する認否
1 請求原因1(被告の利得)の(一)及び(三)の事実は認める。同(二)のうち、処分庁が、平成元年三月二〇日、八王子市《番地省略》所在の事務所において、万葉交通の滞納に係る別紙徴収金目録二記載の徴収金の国税滞納処分の例による処分又は徴収として、同事務所の保管現金合計五一六万四九五〇円を差し押さえ、これを取り立てた事実は認めるが、右事務所が原告に帰属する点、保管現金が原告に帰属する点及び保管現金の保管者が原告の担当者であった点の主張は争う。
2 同2(本件当座預金債権及び保管現金の帰属)の(一)の事実は知らない。
同2の(二)の事実は認める。原告と万葉交通が申請した三九条認可は、原告と万葉交通が昭和六三年四月二日に締結した一般乗用旅客自動車運送事業の譲渡譲受契約に関するものである。昭和六二年三月三〇日の営業譲渡契約は、実際に締結されたものであるかどうか、その存在自体が極めて疑わしい。
3 同2の(三)のうち、小栗が原告の指示によって万葉交通の代表取締役に就任した事実及び万葉交通が昭和六一年一一月二一日に銀行取引停止処分を受けた事実は認めるが、その余の事実は否認する。
運輸大臣による三九条認可がなければ、事業譲渡に関する契約が締結されたとしても、譲受人は事業主たる地位や事業用財産を取得することができないのであるから、タクシー事業の営業主体は右認可があるまでは万葉交通にほかならない。そして、同会社の営業活動によって得られた収益が小栗口座に振込まれている以上は、小栗口座の預金債権は万葉交通に帰属することとなる。小栗口座の名義人が万葉交通の代表取締役であること、口座開設当時の万葉交通は当座勘定取引のできない状況にあったこと、小栗口座が万葉交通の債務支払のために三九条認可後も利用されていることなどに照らすと、小栗口座の開設目的は、万葉交通の営業活動から生じる債権債務の処理にあったと解すべきであるし、同口座は本件滞納処分(一)がされた当時においても依然万葉交通に帰属していたものというべきである。三井銀行八王子支店には万葉交通名義の普通預金口座が設けられており、この普通預金口座の資金は、万葉交通の営業収益によって形成されたものであって、ここから小栗口座に資金が振替えられている。したがって、実質的に見ても、小栗口座の預金は万葉交通に帰属するものである。
4 同2(四)の主張は争う。小栗口座は営業譲渡契約の対象外である。
5 同2(五)は争う。八王子市《番地省略》所在の事務所は、本件滞納処分(二)の当時、万葉交通の本店所在地であり、その代表取締役である小栗が執務していて、当時の商号も旧商号に復していたから、実質的にも外形的にも、万葉交通が従前通りの営業を継続しているとの外観を呈していた。しかも、本件滞納処分(二)には、万葉交通の代表取締役である小栗が立ち会ったのであるから、保管現金は万葉交通の所有であり、右処分は適法である。
6 同3(原告の損失)の主張は争う。
7 同4(悪意)の主張は争う。
三 抗弁
1(併存的債務引受)
(一) 小栗は、昭和六二年五月二六日、八王子社会保険事務所において、処分庁の担当官に対し、「原告から万葉の代表者として送られた以上、滞納金の支払については引き続き責任をもって支払う。」旨確約し、書面をもってこれを確認した。小栗は原告の重要な地位にあり、自ら原告の一員であると認識していた者であるから、そのような者が八王子社会保険事務所の担当官に対し社会保険料等の支払について責任を負う旨述べた以上、原告は万葉交通の滞納に係る本件徴収金債務を万葉交通とともに併存的に引き受けたものである。
(二) そうでないとしても、原告の担当者は、昭和六二年七月以前から、関東運輸局の担当官に対し、万葉交通の滞納に係る本件徴収金債務につき責任をもって対処する旨具体的に回答した。国の一機関である関東運輸局担当官に対して、原告が本件徴収金債務を責任をもって支払う旨述べた以上、原告は本件徴収金債務を万葉交通とともに併存的に引き受けたものである。
(三) 以上のとおり、原告は、被告国との関係においては、本件債務を万葉とともに併存的に引き受けたものと解すべきであるから、万葉交通の債務を原告が承継しない旨の登記による債務承継免除の効力は、信義則上万葉交通の滞納に係る本件徴収金債務については及ばないというべきである。
2(権利濫用及び信義則違反)
原告及び原告の重要な地位にある小栗の諸行為並びに外形上は万葉交通が保管現金を占有する状況にあったことなどを勘案すれば、本件当座預金債権及び保管現金に相当する額の返還を訴訟によって請求することは、本来原告が支払うべき万葉交通の債務を免れようとする極めて不当かつ不合理な目的を達成しようとすることにほかならず、原告がこのような目的を実現する手段として訴訟を利用することは、権利濫用に該当し、又は、被告国との関係において信義誠実の原則に違反し、許されないものというべきである。
四 抗弁に対する認否
争う。
第三証拠《省略》
理由
一 請求の原因1(一)の事実、同1(二)のうち、処分庁が、平成元年三月二〇日、八王子市元本郷町三―六―五所在の事務所において、万葉交通の滞納に係る別紙徴収金目録二記載の徴収金の国税滞納処分の例による処分又は徴収として、同事務所の保管現金合計五一六万四九五〇円を差し押えて取り立てた事実、同1(三)の事実、同2(二)の事実、同2(三)のうち、小栗が原告の指示によって万葉交通の代表取締役に就任した事実及び万葉交通が昭和六一年一一月二一日に銀行取引停止処分を受けた事実は、当事者間に争いがない。
二 本件営業の譲渡について
《証拠省略》によれば、原告は、昭和六二年三月三〇日万葉交通(当時の代表者は関谷秀一)から同社の本件営業を代金二億五二〇〇万円で譲り受ける契約を締結し、原告の関連会社である三和交通有限会社の代表取締役であった小栗義熙を派遣して、万葉交通の代表取締役に就任させるとともに、同人をして従来の万葉交通の営業を原告による支配に服させ、以後三九条認可が下りるまで、形式的には、万葉交通の名称を使用しつつ、実際には、原告の営業として従来の万葉交通の営業を行ったことが認められる。もっとも、右の営業譲渡は、道路運送法三九条による認可がなければ効力を生じないから、右認可までの従来の万葉交通の営業は、原告によるものではなく、従来の万葉交通による営業が継続されていたものと認めるほかはない。
しかしながら、小栗口座については、《証拠省略》によれば、同人は、これを原告のために開設する趣旨で、三井銀行八王子支店と当座勘定取引契約を締結したものであり、右口座には、三九条認可が下りるまでの間の万葉交通による営業の収入も預託されはしたが、右口座を支配していた小栗ないしその部下は、これが万葉交通のものであると認識したことはなく、終始原告のものであるとして、取引を継続してきたものであることが認められる。
そうであるとすれば、小栗口座は、その開設以来原告に帰属しているものというべきであって、三九条認可が下りるまでの間、そこに万葉交通の営業による収入等が振り込まれたことがあるからといって、右口座が万葉交通に帰属することとなるものではない。
そうすると、小栗口座の当座預金は、原告に帰属するものであり、そうである以上、その預金払戻請求権も原告に帰属するものといわざるを得ない。これを万葉交通に帰属するものとしてした本件滞納処分(一)による被告の利得は、原告の損失によって受けたものというべきである。
三 保管現金の帰属について
《証拠省略》によれば、本件滞納処分(二)の執行された場所には、原告が三九条認可を受けた当日にその八王子支店を設置しており、同所にあった従前の万葉交通の事務所を同支店にあてた事実、万葉交通が同日付で商号を従前の万葉交通株式会社に変更し、同年一二月一〇日に商号変更登記を済ませた事実が認められ、原告が実際には既に三九条認可を受ける以前から従来の万葉交通のタクシー営業を支配して自ら営業していたことは前記認定のとおりであるから、これらの事実に照らして考えると、右事務所内に保管されていた保管現金は、原告が八王子支店において占有していた原告所有の金銭であると認められる。そうすると、これを万葉交通のものであるとして執行した本件滞納処分(二)による被告の利得は、原告の損失によって受けたものというべきである。
被告は、本件滞納処分(二)を執行した場所が、実質的にも外形的にも、万葉交通が従前通りの営業を継続しているとの外観を呈していたとして、保管現金が万葉交通の所有に属すると認めた処分庁の判断は正当である旨主張するが、右の当時、三九条認可によって右事務所における営業が実質的にも形式的にも原告のものとなっていたことは前認定のとおりであるから、右主張はその前提において採用することができない。なお、万葉交通の商号は既に本件滞納処分(二)の前年である昭和六三年一一月一一日付で万葉交通株式会社に変更され、同年一二月一〇日にはその旨の商号変更登記がされていたことは前記のとおりであって、この事実及び弁論の全趣旨を総合すると、処分庁の担当官は、万葉交通の株式会社登記簿の記載内容を確認しないまま、従来の商号が類似していたことから、既に原告の八王子支店となっていた事務所が従来のまま万葉交通の事務所であると誤認していたものと推認することができる。したがって、保管現金が万葉交通の所有に属すると認めた処分庁の判断は、到底正当なものであると認めることができないものである。
五 抗弁について
被告は、原告において重要な地位にある小栗が、八王子社会保険事務所の担当官に対し、「原告から万葉の代表者として送られた以上、滞納金の支払について引き続き責任をもって支払う。」と述べたとして、原告が万葉交通の本件滞納に係る徴収金債務を併存的に引き受けたと主張する。しかし、そのような事実が認められたとしても、小栗の発言は、万葉交通の代表者としてのそれであって、原告の意思を表示したものとみる余地はなく、八王子社会保険事務所の担当官が、右発言をもって、原告が万葉交通の債務を引き受けたと承知するとは考えられないから、このような主張を採用することはできない。
被告は、原告の担当者が関東運輸局の担当者に対して、万葉交通の本件滞納に係る徴収金債務を併存的に引き受けたと主張する。しかし、《証拠省略》によれば、関東運輸局長は、東京法務局長の本件に関する照会に対し、社会保険料の支払については、運輸行政上は債務の帰属を譲渡人、譲受人のいずれにするか指示できる立場ではないとの認識をもっているため、原告によるその支払についても、口頭で要望したに留まったことが認められるのであって、この事実によれば、原告の担当者が、関東運輸局の担当官に被告が主張するような債務引受の意思を明確に示したとは直ちに信じ難く、成立に争いのない乙第七号証の記載も、小栗が万葉交通の代表者として支払を約束したものに過ぎず、原告がそのような約束をしたことを示す書面は提出されていないから、被告主張の事実があったことを認めることはできない。
また、被告は、原告が本件当座預金債権及び保管現金に相当する額の返還を訴訟によって請求することは、本来原告が支払うべき万葉交通の債務を免れようとする極めて不当かつ不合理な目的を達成しようとするものであるなどとして、権利濫用又は信義則違反に当たるから許されない旨主張する。この主張は、要するに万葉交通の債務を原告が支払うべきものであることを前提とするものであるが、原告が万葉交通からその営業の譲渡を受けたからといって、その債務をも承継しなければならないとする理由はなく、本件においては、その前提を肯定するに足りる主張及び証拠がないから、権利濫用又は信義則違反に関する被告の主張は、その余の点について検討するまでもなく失当といわざるを得ない。
六 付帯請求について
原告は、本件滞納処分(一)及び本件滞納処分(二)の当時、処分庁において、本件当座預金債権及び保管現金が万葉交通ではなく原告に帰属するものであることを知っていた旨主張するが、右主張の事実を認めるに足りる証拠はない。
七 結論
以上によれば、被告は、本件滞納処分(一)及び本件滞納処分(二)により、法律上の原因なしに、原告の損失において、本件当座預金債権及び保管現金に相当する利得を受けたものであるから、原告に対し、民法七〇三条に基づき、本件当座預金債権の取立金相当の不当利得金二八四二万一六五六円及び保管現金相当の不当利得金五一六万四九五〇円を支払うべき義務がある。
よって、原告の本件請求は、本件滞納処分(一)及び(二)による被告の利得の返還を求める限度で理由があるから認容し、その余は失当であるから棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九二条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 中込秀樹 裁判官 榮春彦 長屋文裕)
<以下省略>