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東京地方裁判所 平成3年(特わ)1859号 判決 1992年3月04日

本籍

東京都葛飾区宝町一丁目五番

住居

同区立石七丁目一三番一号

会社役員

村上弘美

昭和二九年八月二九日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官野口元郎出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金三六〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、東京都葛飾区宝町一丁目五番二-四〇六号に当時居住し、同都文京区本郷六丁目二六番一〇号本郷ニューハウジング七〇一号室において、「ホースファミリークラブ」等の名称を使用して競馬情報提供業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  昭和六三年分の実際総所得金額が一億七七四万一七一三円であった(別紙1修正損益計算書参照)のにかかわらず、平成元年三月三日、同都葛飾区立石六丁目一番三号所轄葛飾税務署において、同税務署長に対し、昭和六三年分の総所得金額が四四九万一八一二円で、これに対する所得税額が三二万九六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(平成三年押第一一二三号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、昭和六三年分の正規の所得税額五四九三万八八〇〇円と右申告税額との差額五四六〇万九二〇〇円(別紙3<1>脱税額計算書参照)を免れ

第二  平成元年分の実際総所得金額が一億九六五四万七七八七円であった(別紙2修正損益計算書参照)のにかかわらず、平成二年三月一五日、前記葛飾税務署において、同税務署長に対し、平成元年分の総所得金額が三〇八万八四五円の損失であるので、同年分の所得税額は零である旨の虚偽の所得税確定申告書(前同押号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、平成元年分の正規の所得税額九三六二万三五〇〇円(別紙3<2>脱税額計算書参照)を免れた

ものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する各供述調書(三通)

一  林義明の検察官に対する供述調書

一  井本昭、石橋昭順、高山幸雄、鈴木竹雄(二通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の売上調査書、水道光熱費調査書、旅費交通費調査書、通信費調査書、広告宣伝費調査書、接待交際費調査書、損害保険料調査書、消耗品費調査書、福利厚生費調査書、給料賃金調査書、歩合報酬調査書、地代家賃調査書、外注加工費調査書、名簿代調査書、雑費調査書

一  大蔵事務官作成の領置てん末書

一  東京都葛飾区長作成の戸籍謄本(戸籍附票写し添付)

判示第一の事実について

一  検察事務官作成の平成四年一月二四日付各捜査報告書(副題がそれぞれ「水道光熱費の金額について」、「消耗品費の金額について」のもの二通)

一  押収してある昭和六三年分の所得税の確定申告書一袋(平成三年押第一一二三号の1)、昭和六三年分収支内訳書(同押号の3)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の租税公課調査書、減価償却費調査書、事務用品費調査書、新聞図書費調査書、所得控除額調査書

一  葛飾税務署長山口英三作成の青色申告承認の取消決定に関する証明書

一  検察事務官作成の平成四年一月二四日付各捜査報告書(副題がそれぞれ「通信費の金額について1」、「通信費の金額について2」、「広告宣伝費の金額について」、「給料・賃金の金額について」、「地代家賃の金額について」のもの五通)

一  押収してある平成元年分の所得税の確定申告書一袋(前同押号の2)、同年分所得税青色申告決算書(同押号の4)

なお、前掲関係各証拠によれば、平成元年分の通信費の実際額は、八三万九一一三円となるので、同年分の実際総所得金額を訴因変更後の同金額よりも九〇円少額に認定した。

(法令の適用)

罰条 判示第一及び第二の各所為につき、いずれも所得税法二三八条一、二項

刑種の選択 いずれも懲役刑と罰金刑の併科

併合罪の処理 刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪の刑に加重)、罰金刑につき同法四八条二項

労役場留置 刑法一八条

刑の執行猶予 懲役刑につき刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 西田眞基)

別紙1

修正損益計算書

自 昭和63年1月1日

至 昭和63年12月31日

<省略>

別紙2

修正損益計算書

自 昭和元年1月1日

至 昭和元年12月31日

<省略>

別紙3<1>

<省略>

別紙3<2>

<省略>

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