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東京地方裁判所 平成3年(特わ)2041号 判決 1992年3月26日

本店所在地

東京都新宿区高田馬場四丁目三二番六号

株式会社

リベラル中村

右代表者代表取締役

中村茂樹

本籍

東京都新宿区下落合四丁目九番

住居

同都同区下落合四丁目九番二八号

会社役員

中村茂樹

昭和九年五月一三日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官立澤正人、弁護人系光家各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社株式会社リベラル中村を罰金六三〇〇万円に、被告人中村茂樹を懲役一年六月にそれぞれ処する。

被告人中村茂樹に対し、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社株式会社リベラル中村(以下、被告会社という)は、東京都新宿区高田馬場四丁目三二番六号に本店を置き、婦人服の製造及び販売などを目的とする資本金六〇〇〇万円の株式会社であり、被告人中村茂樹は、被告会社の代表取締役として被告会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人中村茂樹は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  昭和六一年八月一日から同六二年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が九億三〇一九万五一三二円(別紙一の1修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、同六二年九月二九日、東京都新宿区北新宿一丁目一九番三号所轄新宿税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六億七四二七万七二三八円で、これに対する法人税額が二億六四八六万二六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額の三億七二三四万〇四〇〇円と右申告税額との差額一億〇七四七万七八〇〇円(別紙二の1脱税額計算書のとおり)を免れ

第二  昭和六二年八月一日から同六三年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が九億四七三〇万五八八三円(別紙一の2修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、同六三年九月三〇日、前記新宿税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七億五〇二〇万六三一五円で、これに対する法人税額が二億九二一七万四四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額三億七四九五万〇七〇〇円と右申告税額との差額八二七七万六三〇〇円(別紙二の2脱税額計算書のとおり)を免れ

第三  昭和六三年八月一日から平成元年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一〇億七一三三万六〇八八円(別紙一の3修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、同元年九月三〇日、前記新宿税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が九億三四一五万二〇七二円で、これに対する法人税額が三億七四八五万九六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額四億三二四七万四三〇〇円と右申告税額との差額五七六一万四七〇〇円(別紙二の3脱税額計算書のとおり)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人中村茂樹の当公判廷における供述

一  被告人中村茂樹の検察官に対する各供述調書

一  籔崎秀雄、中村紀昭、真砂郁也の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の商品売上高調査書(検甲一)

一  大蔵事務官作成の期首商品棚卸高調査書(検甲二)

一  大蔵事務官作成の期末商品棚卸高調査書(検甲三)

一  大蔵事務官作成の通信費調査書(検甲五)

一  大蔵事務官作成の交際費調査書(検甲六)

一  大蔵事務官作成の水道光熱費調査書(検甲七)

一  大蔵事務官作成の支払手数料調査書(検甲八)

一  大蔵事務官作成の受取利息調査書(検甲九)

一  大蔵事務官作成の有価証券売却益調査書(検甲一一)

一  大蔵事務官作成の事業税認定損調査書(検甲一二)

一  大蔵事務官作成の交際費の損金不算入額調査書(検甲一四)

一  大蔵事務官作成の領置てん末書(検甲二〇)

一  登記官作成の登記簿謄本(検乙五)

一  登記官作成の閉鎖登記簿謄本(検乙六)

判示第一の事実につき

一  検察事務官作成の捜査報告書(検甲二四)

一  押収してある法人税確定申告書(六二・七期)一袋(平成三年押第一二六六号の1)

判示第二、第三の各事実につき

一  大蔵事務官作成の雑収入調査書(検甲一〇)

一  大蔵事務官作成の損金の額に算入した道府県民税利子割調査書(検甲一三)

判示第二の事実につき

一  押収してある法人税確定申告書(六三・七期)一袋(前同押号の2)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の出張旅費調査書(検甲四)

一  大蔵事務官作成の棚卸商品認定損調査書(検甲一五)

一  押収してある法人税確定申告書(元・七期)一袋(前同押号の3)

(法令の適用)

被告人中村茂樹の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に、被告人中村茂樹の判示各所為は、いずれも被告会社の業務に関してなされたものであるから被告会社につきいずれも同法一六四条一項、一五九条一項に該当するところ、被告人中村茂樹につき各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、被告会社に対し、いずれも情状により同法一五九条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人中村茂樹につき同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をし、被告会社につき同法四八条二項により各罪所定の罰金を合算し、被告人中村茂樹に対し、加重した刑期の、被告会社に対し、合算した金額の各範囲内で被告人中村茂樹を懲役一年六月に、被告会社を罰金六三〇〇万円にそれぞれ処し、被告人中村茂樹に対し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

よって、主文のとおり判決する。

(求刑・被告会社に対し罰金七〇〇〇万円、被告人中村茂樹に対し懲役一年六月)

(裁判官 伊藤正髙)

別紙一の1

修正損益計算書

自 昭和61年8月1日

至 昭和62年7月31日

<省略>

<省略>

別紙一の2

修正損益計算書

自 昭和62年8月1日

至 昭和63年7月31日

<省略>

別紙一の3

修正損益計算書

自 昭和63年8月1日

至 平成元年7月31日

<省略>

<省略>

別紙二の1

脱税額計算書

自 昭和61年8月1日

至 昭和62年7月31日

<省略>

別紙二の2

脱税額計算書

自 昭和62年8月1日

至 昭和63年7月31日

<省略>

別紙二の3

脱税額計算書

自 昭和63年8月1日

至 平成元年7月31日

<省略>

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