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東京地方裁判所 平成3年(特わ)2043号 判決 1992年3月24日

本籍

千葉市本町三丁目一番地の一三

住居

同市本町三丁目一番一二号

不動産業

竹内和夫

昭和三年一〇月一〇日生

本店所在地

東京都豊島区東池袋四丁目二三番一二号

(実質上の所在地 東京都豊島区東池袋一丁目一二番二号)

畑野不動産株式会社

右代表者代表取締役

畑野松三郎

本籍

東京都杉並区高円寺南四丁目八九五番地

住居

埼玉県入間郡三芳町大字上富字下饒一〇七九番地

会社役員

畑野松三郎

大正七年七月二三日生

右竹内和夫に対する所得税法違反、畑野不動産株式会社に対する法人税法違反、畑野松三郎に対する法人税法違反各被告事件について、当裁判所は、検察官立澤正人、弁護人田代則春(畑野不動産株式会社、畑野松三郎関係)、角田雅彦(竹内和夫関係)各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人竹内和夫を懲役二年及び罰金六〇〇〇万円に、被告会社畑野不動産株式会社を罰金五五〇〇万円に、被告人畑野松三郎を懲役二年にそれぞれ処する。

被告人竹内和夫においてその罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から被告人竹内和夫に対し、三年間右懲役刑の執行を猶予し、被告人畑野松三郎に対し、三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

第一  被告人竹内和夫は、千葉市本町三丁目一番一二号に居住し、同市都町二丁目六番二四号に事務所を置いて「北斗不動産」の屋号で不動産の売買及び売買仲介業を営むものであるが、自己の所得税を免れようと企て、不動産の売買及び売買仲介を他社名義で行って売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上、昭和六二年分の実際総所得金額が一三三二万一二二六円、分離課税による土地の譲渡等にかかる事業所得金額が三億七六八八万二二四八円(別紙一の1修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、同六三年二月二四日、同市新宿二丁目六番一号所轄千葉東税務署において、同税務署長に対し、同六二年分の総所得金額は一六三万三七八九円で、これに対する所得税額が二万二〇〇〇円であり、分離課税による土地の譲渡等にかかる事業所得金額は無い旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額二億四八五六万一三〇〇円と右申告税額との差額二億四八五三万九三〇〇円(別紙二の1脱税額計算書のとおり)を免れた

第二  被告会社畑野不動産株式会社(以下、被告会社という)は、東京都豊島区東池袋四丁目二三番一二号(実質上の所在地東京都豊島区東池袋一丁目一二番二号)に本店を置き、不動産の売買及び管理等を目的とする資本金一〇〇〇万円(平成三年三月一五日以前は三〇億円、平成二年七月二〇日以前は五〇万円)の株式会社であり、被告人畑野松三郎は、被告会社の取締役(平成元年六月二九日以降は代表取締役)として被告会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人畑野松三郎は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、固定資産の売却収入の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上、昭和六二年四月一日から同六三年三月三一日までの事業年度における被告会社のの実際所得金額が三億〇七五二万七五五三円、課税土地譲渡利益金額が一一億二二四〇万四〇〇〇円(別紙一の2修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、確定申告書提出期限の延長処分による申告書提出期限の延長処分による申告書提出期限内である同六三年六月二九日、東京都豊島区西池袋三丁目三三番二二号所轄豊島税務署において、同税務署長に対し、その欠損金額が二七七万五二〇六円、課税土地譲渡利益金額が六億七二九〇万五〇〇〇円で、これに対する法人税額が一億三一八七万七四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額三億四九九七万八六〇〇円と右申告税額との差額二億一八一〇万一二〇〇円(別紙二の2脱税額計算書のとおり)を免れたものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人竹内和夫の当公判廷における供述

一  被告人竹内和夫の検察官に対する供述調書(三通。検乙六、八、九)

一  被告人畑野松三郎の検察官に対する供述調書(検乙二)

一  疋津平八郎、渡邉勝征、渡部茂雄、香取守の検察官に対する各供述調書

判示第一の事実につき

一  被告人竹内和夫の検察官に対する供述調書(二通。検乙五、七)

一  大蔵事務官作成の売上調査書(検甲一一)

一  検察事務官作成の捜査報告書《売上の金額について》(検甲一二)

一  検察事務官作成の捜査報告書《仕入金額について》(検甲一三)

一  大蔵事務官作成の水道光熱費調査書(検甲一四)

一  検察事務官作成の捜査報告書《水道光熱費の金額について》(検甲一五)

一  大蔵事務官作成の旅費交通費調査書(検甲一六)

一  検察事務官作成の捜査報告書《旅費交通費の金額について》(検甲一七)

一  大蔵事務官作成の通信費調査書(検甲一八)

一  検察事務官作成の捜査報告書(検甲一九)

一  検察事務官作成の捜査報告書《通信費の金額について》(検甲二〇)

一  大蔵事務官作成の接待交際費調査書(検甲二一)

一  検察事務官作成の捜査報告書《接待交際費の金額について》(検甲二二)

一  大蔵事務官作成の修繕費調査書(検甲二三)

一  検察事務官作成の捜査報告書《修繕費の金額について》(検甲二四)

一  大蔵事務官作成の減価償却費調査書(検甲二五)

一  検察事務官作成の捜査報告書《減価償却費の金額について》(検甲二六)

一  大蔵事務官作成の利子割引料調査書(検甲二七)

一  検察事務官作成の捜査報告書《利子割引料の金額について》(検甲二八)

一  大蔵事務官作成の支払利息調査書(検甲二九)

一  検察事務官作成の捜査報告書《支払利息の金額について》(検甲三〇)

一  大蔵事務官作成の地代家賃調査書(検甲三一)

一  検察事務官作成の捜査報告書《地代家賃の金額について》(検甲三二)

一  検察事務官作成の捜査報告書《仲介手数料》(検甲三三)

一  大蔵事務官作成の雑費調査書(検甲三四)

一  検察事務官作成の捜査報告書《雑費の金額について》(検甲三五)

一  大蔵事務官作成の青色申告控除額調査書(検甲三六)

一  大蔵事務官作成の領置てん末書(謄本・検甲三八)

一  押収してある所得税確定申告書一袋(平成三年押第一三一五号の2)

判示第二の事実につき

一  被告人畑野松三郎の当公判廷における供述

一  被告人畑野松三郎の検察官に対する供述調書(三通。検乙一、三、四)

一  大蔵事務官作成の支払手数料調査書(検甲一)

一  大蔵事務官作成の固定資産売却益調査書(検甲二)

一  検察事務官作成の捜査報告書(検甲三)

一  大蔵事務官作成の繰越欠損金の登記控除額調査書(検甲四)

一  大蔵事務官作成の有価証券売却益調査書(検甲五)

一  大蔵事務官作成の口座管理料調査書(検甲六)

一  検察事務官作成の捜査報告書《短期所有土地等の譲渡等に係わる譲渡利益金額》(検甲七)

一  大蔵事務官作成の領置てん末書(検甲九)

一  押収してある法人税確定申告書一袋(前同押号の3)

(法令の適用)

被告人竹内和夫の判示行為は、所得税法二三八条一項に該当するところ、所定刑中懲役刑と罰金刑とを併科し、情状により同条二項を適用し、その所定の刑期及び金額の範囲内で被告人竹内和夫を懲役二年及び罰金六〇〇〇万円に処し、刑法一八条により、右罰金を完納することができないときは金二〇万円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置することとし、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右懲役刑を猶予することとする。

被告人畑野松三郎の判示行為は、法人税法一五九条一項に該当するところ、所定刑中懲役刑を選択し、その所定の刑期の範囲内で被告人畑野松三郎を懲役二年に処し、情状により刑法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右刑を猶予することとする。

被告人畑野松三郎の判示行為は、被告会社の業務に関してなされたものであるから被告会社につき法人税法一六四条一項、一五九条一項に該当するところ、情状により同条二項を適用し、その所定の罰金額の範囲内で被告会社を罰金五五〇〇万円に処することとする。

(求刑・竹内和夫に対し懲役二年及び罰金八〇〇〇万円、被告会社に対し罰金七〇〇〇万円畑野松三郎に対し懲役二年)

(裁判官 伊藤正髙)

別紙一-1

修正損益計算書

<省略>

別紙一-2

修正損益計算書

<省略>

別紙二-1

ほ脱税額計算書

<省略>

別紙二-2

脱税額計算書

<省略>

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