大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。
官報全文検索 KANPO.ORG
月額980円・今日から使える・メール通知機能・弁護士に必須
AD

東京地方裁判所 平成3年(特わ)2734号 判決 1992年3月27日

本店所在地

東京都大田区大森西三丁目三二番一七-一〇〇四号

株式会社

第一工業

(右代表者代表取締役 楠田)

本籍

同区羽田二丁目六番地の一一

住居

同区大森西三丁目三二番一七-一〇〇四号

フラットフォーレスト

会社役員

楠田

昭和二二年六月七日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官北原一夫出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社第一工業を罰金三五〇〇万円に、被告人楠田を懲役一年六月にそれぞれ処する。

被告人楠田に対し、この裁判確定の日から四年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社第一工業(以下、被告会社という)は、東京都大田区大森西三丁目三二番一七-一〇〇四号(平成元年一一月六日以前は、同区大森北六丁目三二番七-三〇二号)に本店を置き、建築請負、建築機械等のリース業等を目的とする資本金一〇〇〇万円(平成二年一二月二一日以前は、五〇〇万円)の株式会社であり、被告人楠田(以下、被告人という)は、被告会社の代表取締役として、同会社の業務全般を統括している者であるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上や雑収入のそれぞれ一部を除外し、架空の外注工事費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  昭和六二年八月一日から同六三年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が八六三六万五四三〇円であった(別紙1修正損益計算書参照)のにかかわらず、昭和六三年九月三〇日、東京都大田区中央七丁目四番一八号所在の所轄大森税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一一三一万六一八五円で、これに対する法人税額が三七五万五六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成四年押第二七五号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額三五二七万六一〇〇円と右申告税額との差額三一五二万五〇〇円(別紙4<1>脱税額計算書参照)を免れ

第二  昭和六三年八月一日から平成元年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億四四九六万九四九三円であった(別紙2修正損益計算書参照)のにかかわらず、平成元年九月三〇日、前記大森税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二〇八一万五九八八円で、これに対する法人税額が七六四万三二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同押号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額五九七七万四八〇〇円と右申告税額との差額五二一三万一六〇〇円(別紙4<1>脱税額計算書参照)を免れ

第三  平成元年八月一日から同二年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億六七九一万三九二六円であった(別紙3修正損益計算書参照)のにかかわらず、平成二年一〇月一日、前記大森税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四七六八万九五八円で、これに対する法人税額が一七九七万五八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(前同押号の3)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額六六〇六万六六〇〇円と右申告税額との差額四八〇九万八〇〇円(別紙4<3>脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する各供述調書(七通)

一  館岡きよ子、中嶋千恵の検察官に対する各供述調書

一  収税官吏作成の外注工事費調査書、給料手当調査書、福利厚生費調査書、旅費交通費調査書、接待交際費調査書、保険料調査書、支払手数料調査書、受取利息調査書、雑収入調査書、有価証券売買益調査書、交際費損金不算入額調査書、利益処分特別償却積立金認容調査書、事業税認定損調査書

一  登記官作成の被告会社の商業登記簿謄本

一  収税官吏作成の領置てん末書

判示第一及び第三の事実について

一  収税官吏作成の通信費調査書

一  検察事務官作成の捜査報告書(副題が「雑収入の金額について」のもの)

判示第二及び第三の事実について

一  収税官吏作成の売上髙調査書、運賃調査書、租税公課調査書、消耗品費調査書、修繕費調査書、地代家賃調査書、特別償却積立戻調査書、損金の額に算入した道府県民税利子割調査書

一  検察事務官作成の捜査報告書三通(副題が「消耗品費の金額について」、「地代家賃の金額について」、「事業税認定損の金額について」のもの)

判示第一の事実について

一  検察事務官作成の捜査報告書二通(副題が「保険料の金額について」〔昭和六三年七月期に関するもの〕、「有価証券売買益の金額について」のもの)

一  押収してある被告会社の昭和六三年七月期の法人税確定申告書一袋(平成四年押第二七五号の1)

判示第二の事実について

一  収税官吏作成の退職金調査書、雑費調査書、支払利息調査書

一  検察事務官作成の捜査報告書(副題が「保険料の金額について」〔平成元年七月期に関するもの〕)

一  押収してある被告会社の平成元年七月期の法人税確定申告書一袋(平成四年押第二七五号の2)

判示第三の事実について

一  収税官吏作成の諸会費調査書、貸倒引当金超過額調査書

一  検察事務官作成の捜査報告書三通(副題が「通信費の金額について」、「通信費の金額について2」、「消耗品費の金額について2」のもの)

一  押収してある被告会社の平成二年七月期の法人税確定申告書一袋(平成四年押第二七五号の3)

(法令の適用)

罰条 被告会社

判示各所為につき、いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項

被告人

判示各所為につき、いずれも法人税法一五九条一項

刑種の選択 被告人

各懲役刑を選択

併合罪の処理 被告会社

刑法四五条前段、四八条二項

被告人

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の罪の刑に加重)

刑の執行猶予 被告人

刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 西田眞基)

別紙1

修正損益計算書

<省略>

別紙(1)

修正工事原価報告書

<省略>

別紙2

修正損益計算書

<省略>

別紙(2)

修正工事原価報告書

<省略>

別紙3

修正損益計算書

<省略>

別紙(3)

修正工事原価報告書

<省略>

別紙4

脱税額計算書

会社名株式会社第一工業

<1>自 昭和62年8月1日

至 昭和63年7月31日

<省略>

<2>自 昭和62年8月1日

至 平成元年7月31日

<省略>

脱税額計算書

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例