東京地方裁判所 平成3年(特わ)2795号 判決 1992年5月28日
本籍
東京都江東区大島三丁目二六番
住居
東京都江東区亀戸六丁目二二番八-八〇二
会社役員
椿武
昭和一八年二月六日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、次のとおり判決する。
検察官 蝦名俊晴 出席
主文
被告人を懲役一年及び罰金三、〇〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(犯罪事実)
被告人は、東京都江東区亀戸六丁目二二番八-八〇二に居住し、東京都内等九か所において飲食業及び風俗業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上、
第一 昭和六一年分の実際総所得金額が二、四三七万八、七八七円であった(別紙1の修正貸借対照表参照)にもかかわらず、同六二年三月一六日、東京都江東区亀戸二丁目一七番八号所轄江東東税務署において、同税務署長に対し、同六一年分の総所得金額が一二三万三、七九〇円で、これに対する所得税額が一万五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(平成四年押第三六六号の1)を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額八四三万四、八〇〇円と右申告税額との差額八四二万四、三〇〇円(別紙2の脱税額計算書参照)を免れ
第二 昭和六二年分の実際総所得金額が一億八三九万六、一二三円であった(別紙3の修正貸借対照表参照)にもかかわらず、同六三年三月一四日、前記江東東税務署において、同税務署長に対し、同六二年分の所得金額が九六万六、六三九円で、これに対する所得税額が三万二、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(同押号の3)を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額五、六九一万五〇〇円と右申告税額との差額五、六八七万八、四〇〇円(別紙4の脱税額計算書参照)を免れ
第三 昭和六三年分の実際総所得金額が一億一、二四九万二三二円であった(別紙5の修正貸借対照表参照)にもかかわらず、平成元年三月一五日、前記江東東税務署において、同税務署長に対し、昭和六三年分の所得金額が六九五万四、六一七円で、これに対する所得税額が九八万八、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(同押号の5)を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額五、七五四万六、四〇〇円と右申告税額との差額五、六五五万八、二〇〇円(別紙6の脱税額計算書参照)を免れ
たものである。
(証拠)
判示全部の事実について
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書(一二通)
一 大澤猛(四通)、二上彰(四通)、北野英一、吉野幹勇、福永昌昭(二通)、椿美恵子の検察官に対する各供述調書
一 大蔵事務官作成の現金調査書、普通預金調査書、定期積立調査書、定期預金調査書、有価証券調査書、商品調査書、未収入金調査書、前払金調査書、過払税金調査書、貸付金調査書、保証金等調査書、建物附属設備調査書、車両調査書、器具備品調査書、事業主借勘定調査書、事業主貸勘定調査書、買掛金調査書、未払金調査書、預り金調査書、借入金調査書、雑所得調査書、申告所得金額調査書
一 大蔵事務官作成の領置てん末書
一 検察事務官作成の報告書
判示第一の事実について
一 押収してある所得税確定申告書(昭和六一年分)一袋(平成四年押第三六六号の1)及び所得税青色申告決算書(同年分)一袋(同押号の2)
判示第二、三の事実について
一 大蔵事務官作成の通知預金調査書
判示第二の事実について
一 押収してある所得税確定申告書(昭和六二年分)一袋(同押号の3)及び所得税青色申告決算書(同年分)一袋(同押号の4)
判示第三の事実について
一 大蔵事務官作成の譲渡所得調査書
一 押収してある所得税確定申告書(昭和六三年分)一袋(同押号の5)及び所得税青色申告決算書(同年分)一袋(同押号の6)
(適用法令)
罰条 判示各行為について
所得税法二三八条一項、二項(懲役刑と罰金刑を併科)
併合罪処理 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項
労役場留置 刑法一八条
執行猶予 刑法二五条一項
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 松浦繁)
別紙1
修正貸借対照表
<省略>
別紙2
脱税額計算書
<省略>
別紙3
修正貸借対照表
<省略>
別紙4
脱税額計算書
<省略>
別紙5
修正貸借対照表
<省略>
別紙6
脱税額計算書
<省略>