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東京地方裁判所 平成4年(ワ)22558号 判決 1994年1月14日

原告

コンセプト ジェネレーションインターナショナル インク

右代表者代表取締役

伊藤節雄

右訴訟代理人弁護士

饗場元彦

増田要

右訴訟復代理人弁護士

中島克巳

川合伸子

被告

日本デザインネットワーク株式会社

右代表者代表取締役

青山洌

右訴訟代理人弁護士

重松彰一

二宮征治

牧野芳樹

主文

一  原告と被告との間のアメリカ合衆国ニューヨーク州第一審裁判所民事第九〇・二二八四五号事件につき、同裁判所が一九九二年一月二二日に言い渡した判決の「被告は原告に対し米貨17万5763.04ドル並びに一九八九年一〇月六日からの利息米貨3万7745.10ドル及び訴訟費用・支出金米貨977.50ドルの計米貨21万4485.64ドルの支払いをせよ」との部分及び右金員に対する一九九二年二月二六日から支払済みまで年九分の割合による金員の支払義務につき、原告が被告に対し強制執行することを許可する。

二  訴訟費用は、被告の負担とする。

三  この判決は仮に執行することができる。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

主文同旨

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  当事者

(一) 原告は、アメリカ合衆国ニューヨーク州法に準拠して設立された会社である。

(二) 被告は、日本の商法に準拠して設立された株式会社である。

2  原告は被告に対し、平成元年一〇月一三日、アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク郡第一審裁判所(以下「ニューヨーク地裁」という。)に原告被告間の日本の建築家及びインテリアコーディネーターを対象とするニューヨークでの見本市、セミナーへの参加を目的としたツアーの共同企画に関する契約(以下「本件契約」という。)につき、債務不履行、信任義務違反、欺罔的行為及び不法行為があったとして訴訟を提起し(以下「本件外国訴訟」という。)、同裁判所は、平成四年一月二二日、原告の主張を認める請求の趣旨第一項記載の内容の判決(以下「本件外国判決」という。)を言い渡し、本件外国判決は、同年二月二六日に確定した。

3  本件外国判決は、次のとおり、民事訴訟法二〇〇条の各号の要件をすべて満たしている。

(一) ニューヨーク地裁の裁判籍(同条一号)

国際裁判管轄権については、当該外国裁判所が我が国の国際民事訴訟法に照らし国際裁判管轄権を有すると積極的に認められることをいうが、その判断基準については、これを直接的に規定する法令及び国内法規は存せず、その他一般に承認された国際法上の原則が確立していないのであるから、当事者間の公平、裁判の適正、迅速を期するという理念により、条理に従って決するのが相当であり、被告住居所地、義務履行地及び不法行為地等の我が国の民事訴訟法上の国内裁判管轄の規定による裁判籍のいずれかが当該国内にあるときは、当該事件を当該国の裁判権に服させることが右条理に適うというべきである。

(1) 義務履行地管轄

我が国の民事訴訟法五条によれば、財産権上の訴えには義務履行地の特別裁判籍が認められているが、本件契約に基づく本来的債務として、被告は少なくとも日本からツアー客をニューヨーク州まで引率し、原告に引き渡さなければならず、履行地はニューヨーク州に存し、また、右債務が転化した損害賠償請求権は持参債務であるから、その履行地はニューヨーク州に存する。

(2) 不法行為地管轄

我が国の民事訴訟法一五条一項によれば、不法行為に関する訴えには行為地の特別裁判籍が認められており、行為地の認定は原告の請求原因とした事実によるとされているところ、原告は、被告がニューヨークにおいて訴外ヨシコ・U・エビハラと共謀の上、本件契約を一方的に破棄し、その結果、原告は、ニューヨークで手配した講演、見学等のキャンセルを余儀なくされ、予め支出負担した実費の回収ができなくなるとともに、ニューヨーク州内の建築設計、デザイン業界における営業上の信用を著しく殿損され多額の損害を被ったと主張するもので、被告の原告に対する不法行為地は、加害行為地及び損害発生地ともにニューヨーク州に存する。

(3) 主観的併合の関連裁判籍

我が国の民事訴訟法二一条、五九条前段によれば、共同被告の一方に対する訴えが事実上法律上同一の原因に基づくときは、他方に対する併合請求の関連裁判籍が認められている。被告は、前記(2)記載の訴外エビハラとの共同不法行為を理由として本件外国訴訟を提起された者であるが、訴外エビハラは、ニューヨーク市在住で同市内でギャラリーを経営し、被告を共同被告として提起された本件外国訴訟に応訴しており、ニューヨーク州に裁判籍が存すると認められるのであるから、被告についてもニューヨーク州の裁判籍が認められる。

(4) そして、右の理由のほか、以下のとおりの理由により、本件においては、ニューヨーク地裁の裁判管轄権を認めることが、当事者の公平、裁判の適正、迅速を期する上で条理に適う。

(ア) 被告がニューヨーク州において事業を行っているほか、本件契約の締結地、義務履行地、不法行為地及び損害発生地のいずれもニューヨーク州に存しており、本件においては、関係者の諸活動をはじめ一連の事実経過のほとんどがニューヨークを舞台としており、本件に関する主要な証拠は、明らかにニューヨークに偏在している。

(イ) 原告が、共同不法行為者について、個々別々に異なった国の裁判所に訴えることは、原告にとって多大な不利益となり、訴訟経済に反し、さらに判断が分れた場合の国際的な訴訟抵触の不合理性に較べれば、被告のニューヨーク州での応訴の負担は僅かである。

以上からすれば、本件においては、ニューヨーク地裁に国際裁判管轄が存するというべきである。

(二) 送達(同条二号)

本件外国訴訟の原訴状及び呼出状・答弁書催告状は、ニューヨーク州民事訴訟法三一一条に基づき送達権限を有する訴外リカルド・コロンが平成元年一〇月一四日、被告代表者代表取締役青山洌に対しニューヨーク市内のシェラトン・センターのロビーにて直接手交して送達した。

(三) 公序良俗に反しないこと(同条三号)

本件外国判決は、原告が実際に被った損害額につき被告にその支払いを命じたものであり、わが国の公の秩序又は善良な風俗に反するものではない。

(四) 相互保証(同条四号)について

ニューヨーク州においては、本件判決と同種類の外国金銭判決について「統一外国金銭判決承認法」が採択されており、同法を採択している州と我が国との間には相互保証があると推定されるべきであり、また、同法が金銭に関する外国判決を承認する要件は、我が国の民事訴訟法二〇〇条と重要な点において異ならない。

4  ニューヨーク州民事訴訟法五〇〇三条及び同五〇〇四条によれば、民事判決の確定日から、支払いを命じられた金額につき、年九分の利息が生じるとされている。

5  よって、原告は、本件外国判決に基づき被告に対して強制執行をするため、執行判決を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1(二)の事実は争わない。同1(一)及び2の各事実は知らない。同3の事実は否認する。

2  同3(三)については、本件判決の判決書では、被告自身が応訴したことはなく、また、被告が代理人を選任して訴訟遂行を委任したこともないのに、「両当事者が個々の代理人を立てて出廷し、争点が整理され、両当事者の証拠が提示され、個々の弁護士が弁論を行い、適法な審理を行った」とされており、本件判決は、被告の関知しないところで被告名義で選任された代理人を通じて原告の詐欺的手段により取得されたものである。また、本件判決の判決書については、原告の申立てにより、被告が欠席のまま審理され判決がなされた旨の更正決定がなされているが、右更正決定の送達等による被告への告知はなされておらず、かかる判決に執行力を与えることは、我が国の送達手続が厳正であることに照らし違法であり、我が国の公序良俗に違反する。

第三  証拠<省略>

理由

一請求原因1(二)の事実は、当事者間に争いがなく、同1(一)の事実は、<書証番号略>により、同2の事実は、<書証番号略>及び弁論の全趣旨によりそれぞれ認められる。

2 請求原因3(一)について

(一) 国際裁判管轄権を定める基準について

民事訴訟法二〇〇条一号に定める「外国裁判所の裁判権を否認せざること」とは、当該外国の裁判所が我が国の国際民事訴訟法の原則から見て、その事件につき国際裁判管轄権を有すると積極的に認められること(以下「間接的国際裁判管轄権」という。)をいい、その範囲は、我が国の裁判所が直接に渉外的訴えを受理した場合に、それにつき本案判決をなすに必要な国際裁判管轄権(以下「直接的国際裁判管轄権」という。)と表裏一体の関係にあると解するのが相当である。

ところで、国際裁判管轄権を定める基準については、我が国にはこれを直接に規定する成文法規もなく、拠るべき条約その他一般に承認された国際法上の原則も未だ確立しておらず、当事者間の公平、裁判の適正、迅速を期するという理念により条理に従って決定するのが相当であり、同様の理念に立つと考えられる我が国の民事訴訟法の国内の土地管轄に関する規定を右の理念に反しない限度で類推して決定するのが相当であると解される。

(二)  認定した事実

<書証番号略>及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実を認めることができる。

すなわち、被告は、昭和六三年ころから平成二年ころまでの間、日本のデザイン専門家向けのニューヨーク視察ツアーを複数回企画したこと、被告は、ニューヨーク在住の訴外海老原嘉子(以下「訴外海老原」という。)と事業協力関係を結び、その紹介により多くのアメリカの建築家、デザイナー及び写真家等と交流を持ち、被告の出版事業のための取材活動、編集を行っていること、そのため、被告代表者及び被告従業員は、頻繁にニューヨークを訪れて、右設計、デザイン事務所等の取引先各社と会合を持ち、建築写真及び情報等の提供を受けていること、被告は、右取引先会社を日本の顧客に紹介する仲介業務をしていること、本件契約の内容は、ニューヨークの国際デザインセンターで毎年一〇月に開催される数万人規模の国際インテリア製品新作発表会であるデザイナーズサタデー(以下「本件見本市」という。)等の視察ツアーを原告被告共同で主催するものであったこと、本件契約における被告の役割は、ツアーに参加する建築家やデザイナーを日本で集客した上、旅行会社への委託等ツアーの組織の準備、手配をしてツアー参加者をニューヨーク州まで引率し、さらに原告で共催するニューヨークでの本件見本市、建築物見学及び講演会等に被告代表者自ら同行して接客に当たるというものであったこと、右視察ツアーの企画から生じる利益は原告被告間で配分する取り決めであったこと、原告は、被告と訴外海老原の共同不法行為を理由として本件外国訴訟を提起し、訴外海老原はこれに応訴したこと、本件外国訴訟の請求原因は、被告がニューヨークにおいて訴外海老原と共謀の上、本件契約を一方的に破棄し、その結果原告はニューヨークで手配した講演、見学等のキャンセルを余儀なくされ、予め支出負担した実費の回収ができなくなるとともに、ニューヨーク州内の建築設計、デザイン業界における営業上の信用を著しく毀損され多額の損害を被ったとの内容であること、

以上の事実を認めることができ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

(三) 義務履行地管轄について

我が国の民事訴訟法五条によれば、財産権上の訴えには義務履行地の特別裁判籍が認められており、国際裁判管轄についても原則として義務履行地に管轄があるとするのが相当である。

そして、右認定によれば、本件契約の被告の債務の内容として、被告がツアー参加者をニューヨークまで引率して原告に引き渡し、その後の行動にも同行することが掲げられているのであるから、本件契約の被告の義務履行地はニューヨーク州に存したというべきであり、加えて、被告は、被告代表者を始め従業員の多くが頻繁に渡米して、種々の事業をニューヨークで行っており、本件外国訴訟の共同被告である訴外海老原がニューヨークで応訴しているというのであるから、義務履行地であるニューヨークに管轄を認めたとしても被告に過重な負担を課し、条理に反する結果となるということはできず、かえってニューヨークに管轄を認めないとすると、原告は被告に対する訴訟と訴外海老原に対する訴訟とを別個に遂行しなければならず、原告に対し過重な負担を課すことになるというべきである。

したがって、ニューヨーク州に本件外国訴訟の国際裁判管轄権があったと認めることができる。

(四) 不法行為地管轄

我が国の民事訴訟法一五条一項によれば、不法行為に関する訴えには行為地の特別裁判籍が認められており、その行為地の認定は原告の請求原因とした事実により決せられると解されているから、国際裁判管轄権についても、原則として当該訴訟において原告が請求原因として主張する不法行為の行為地に管轄があると考えるのが相当である。

そして、右認定によれば、原告は、本件外国訴訟の請求原因として、被告と訴外海老原の共同不法行為を主張し、その加害行為地及び損害発生地はともにニューヨーク州であるとしていることに加え、前記のとおり不法行為地であるニューヨークに管轄を認めたとしても被告に対し過重な負担を課し、条理に反する結果になるとはいえず、かえってニューヨークに管轄を認めないとすると原告に対し過重な負担を課すことになるというべきである。

したがって、ニューヨーク州に本件外国訴訟の国際裁判管轄権があったと認めることができる。

(五) 主観的併合の関連裁判籍

我が国の民事訴訟法二一条の関連裁判籍の規定が、主観的併合について適用されるかについては争いがあるが、共同被告に対する請求が同一の原因に基づいて発生した権利義務関係に関する場合には適用されると解されるので、共同不法行為を理由とする共同被告間には関連裁判籍の規定の適用があることになる。そうであるとすれば、国際裁判管轄権についても、共同不法行為を理由とする共同訴訟の共同被告間においては、原則として、関連裁判籍の考え方に従って、共同被告の一方に認めることのできる管轄地に共同被告の他方の管轄もあるとするのが相当である。

そして、右認定によれば、被告は訴外海老原との共同不法行為を理由として本件外国訴訟を提起されたが、訴外海老原は、ニューヨーク市在住で本件外国訴訟に応訴しており、加えて、前記のとおりニューヨークに被告の管轄を認めたとしても被告に過重な負担を課し、条理に反する結果となるということはできず、かえってニューヨークに管轄を認めないとすると、原告に対し過重な負担を課すことになるというべきである。

したがって、ニューヨーク州に本件外国訴訟の国際裁判管轄権があったと認めることができる。

(六) 以上より本件外国判決は、民事訴訟法二〇〇条一号の要件を満たしていると認めることができる。

3 請求原因3(二)について

<書証番号略>及び弁論の全趣旨によれば、本件外国訴訟の呼出状兼答弁書催告状及び訴状は、平成元年一〇月一四日、ニューヨーク州民事訴訟法三一一条に基づき送達権限を有する訴外リカルド・コロンにより、被告代表者代表取締役青山洌に対しニューヨークのシェラトン・センターのロビーにおいて直接交付することで送達されたことを認めることができる。

したがって、本件外国判決は、民事訴訟法二〇〇条二号の要件を満たしていると認めることができる。

4 請求原因3(三)について

(一)  <書証番号略>及び弁論の全趣旨によれば、本件外国訴訟は、平成元年一〇月一三日、契約違反又は詐欺等を理由とした損害賠償請求として米貨二五〇万ドル及び懲罰的損害賠償の請求として米貨一〇〇万ドルの各支払を求めて提起されたこと、同月一四日、右訴えにつき被告に対し呼出状兼答弁書催告状及び訴状が送達されたこと、右訴えにつき被告欠席のまま審理が行われ、平成四年一月二二日、被告に対し米貨17万5763.04ドル並びにこれに対する本件契約が被告により破棄された平成元年一〇月六日から判決までの利息米貨3万7745.10ドル及び訴訟費用・支出金米貨977.50ドルの支払いを命ずる本件外国判決が言渡されたことを認めることができる。

以上の事実からすると、本件外国判決は我が国の公序良俗に違反しておらず、民事訴訟法二〇〇条三号の要件を満たしていると認めることができる。

(二)  この点について、被告は、本件外国判決は、被告自身が応訴したことはなく、また、被告が代理人を選任して訴訟遂行を委任したこともないのに、被告の関知しないところで被告名義で選任された代理人を通じて原告の詐欺的手段により取得されたもので、我が国の公序良俗に違反すると主張し、詐欺的手法による判決取得の根拠として、本件外国判決の判決書に「両当事者が個々の代理人を立てて出廷し、争点が整理され、両当事者の証拠が提示され、個々の弁護士が弁論を行い、適法な審理を行った」旨の記載がなされていることをあげている。

そして、民事訴訟法二〇〇条三号の規定は、外国裁判所の判決の内容のほかその成立も我が国の公序良俗に反しないことを要するとしていると解すべきであるところ、詐欺により取得された判決が我が国の公序良俗に違反するとされる場合もありうると考えることができ、<書証番号略>によれば、本件外国判決の当初の判決書には「両当事者が個々の代理人を立てて出廷し、争点が整理され、両当事者の証拠が提示され、個々の弁護士が弁論を行い、適法な審理を行った」旨の記載があることを認めることができる。

しかし、<書証番号略>によれば、本件外国判決の判決書は、書記官が、「両当事者が個々の代理人を立てて出廷し、争点が整理され、両当事者の証拠が提示され、個々の弁護士が弁論を行い、適法な審理を行った」との定型文句が印刷されているニューヨーク州の統一判決書式を利用して作成したものであるところ、その作成当初は右定型文句が抹消されていなかったが、平成五年七月二一日、原告の申立てにより、裁判所の記録に基づいて書記官の過誤を理由として、書記官の権限により右定型文句が抹消されて、被告が欠席のまま審理され判決がなされたとの更正がなされていることを認めることができるのであり、右事実からすると、本件外国判決が、原告の詐欺的手段により取得されたとの事実を認めることはできない。よって、被告の右主張は理由がない。

(三)  また、被告は、本件外国判決の右更正の決定が被告に送達されていないことは、我が国の手続に照らして違法であり、かかる判決に執行力を与えることは我が国の公序良俗に反すると主張する。

<書証番号略>及び弁論の全趣旨によれば、本件外国判決の更正決定が被告に送達されていないことを認めることができるが、同時に本件外国判決は、ニューヨーク州の法律に従って適法に更正決定がなされて確定したものであることも認められるのであり、被告が主張するように右更正決定が被告に送達されなかったとしても、これを以て直ちに我が国の公序良俗に違反するということはできない。よって、被告の右主張は理由がない。

5 請求原因3(四)について

民事訴訟法二〇〇条四号にいう「相互の保証あること」とは、当該判決をした外国裁判所の属する国において、我が国の裁判所がしたこれと同種類の判決が同条各号所定の条件と重要な点で異ならない条件の下に効力を有するものとされていることをいうと解するのが相当である。

そして<書証番号略>によれば、ニューヨーク州民事訴訟法においては、外国判決の不承認事由として、

(一) 当該判決が、適正手続の要請に適合する公平な裁判所若しくは手続が行われないシステムの下で下された場合

(二) 当該外国裁判所が被告に対して人的管轄権を有しない場合

(三) 外国裁判所が当該事件につき管轄を有しない場合

(四) 外国裁判所の手続上の被告が防御するのに十分な時間を与えられていなかった場合

(五) 判決を詐欺的手段により得た場合

(六) 判決の基礎となる請求原因がニューヨーク州の公序良俗に反する場合

(七) 判決が他の終局かつ確定判決と抵触する場合

(八) 両当事者間に外国裁判所の手続以外の手続により当該紛争を解決する旨の合意がある場合

(九) 被告に対し人的送達がなされなかった故をもってのみ管轄が生じた場合には、外国裁判所が被告にとって事件審理の面から重大なる不便宜な裁判地である場合

が挙げられているが、右各不承認事由の内容は、我が国の民事訴訟法二〇〇条各号の条件と重要な点において異ならないと解するのが相当である。

よって、我が国とニューヨーク州とでは、外国判決の承認につき相互の保証があり、本件外国判決は民事訴訟法二〇〇条四号の要件を満たしていると認めることができる。

6 請求原因4について

<書証番号略>によれば、ニューヨーク州民事訴訟法では、民事判決の確定の日から年九分の割合の利息が生じるとされていることを認めることができ、右利息の定めは、我が国の公序良俗に反するものとはいえないと解するのが相当である。

二以上の次第で、本訴請求は理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を、仮執行の宣言につき同法一九六条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官星野雅紀 裁判官金子順一 裁判官増永謙一郎)

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