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東京地方裁判所 平成4年(ヲ)2471号 決定 1992年9月22日

当事者 別紙当事者目録記載のとおり

主文

1  買受人が代金を納付するまでの間、別紙物件目録記載の建物に対する相手方らの占有を解いて、東京地方裁判所執行官に保管を命ずる。

2  執行官は、その保管にかかることを公示するため、適当な方法をとらなければならない。

理由

1本件は、基本事件について、主文掲記の売却のための保全処分(民事執行法五五条二項)を求めるものである。

2記録によれば、以下の事実が認められる。

(1)  申立人は、別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)を占有する相手方らに対して、売却のための保全命令を申し立て(当庁平成四年ヲ第二二二六号)、裁判所は、相手方らは所有者株式会社センチュリーワールド(以下「所有者会社」という。)の意思に基づき専ら執行妨害を目的として本件建物を占有し、所有者会社の占有補助者として不動産の価格を著しく減少する行為をするものであると認定して、相手方らに対し、平成四年七月二三日付けにて、決定送達後一〇日以内に本件建物から退去することを命ずる売却のための保全処分(民事執行法五五条一項)を発令した。

(2)  同決定は、同年八月三日相手方日本ジャスパー株式会社(以下「相手方日本ジャスパー」という。)に対して、同年九月四日相手方株式会社オックスに対して、それぞれ送達された。

(3)  しかしながら、相手方らは、前記退去命令の送達後一〇日がすぎても、本件建物から退去せず、同命令に従わない。

すなわち、退去命令発令後の経過は、以下のとおりである。

前記退去命令が相手方日本ジャスパーに送達された直後、相手方ら代理人芦田直衛弁護士(以下「相手方ら代理人弁護士」という。)から、申立人代理人弁護士に対し、同年八月四日付け依頼書によって、「同年九月一〇日限り任意に退去するので同日まで猶予願いたい」旨の退去猶予の依頼がされた。そこで、申立人代理人弁護士は、相手方ら代理人弁護士に対して、前同日限り退去することに同意する旨の同意書を送付した。ところが、同年八月二一日、再度、相手方ら代理人弁護士から、「相手方日本ジャスパーが無条件で退去することはできないと主張しており、約束が守れなくなった」旨の電話連絡があり、相手方らにおいて退去する意思のないことが明確になった。そして、同月三〇日には、本件建物に掲げられていた相手方らの表札がはずされて石井の表札が掲げられたが、その後も、相手方らが占有を続けた。

3以上のとおりであって、本件建物の執行官保管(民事執行法一八八条、五五条二項)を求める本件申立ては理由があるから、申立人に相手方らのためそれぞれ金一五万円の担保を立てさせた上、主文のとおり決定する。

(裁判官杉原麗)

別紙当事者目録

申立人 ファーストファイナンス株式会社

右代表者代表取締役 白熊衛

申立人代理人弁護士 小沢征行

同 秋山泰夫

同 藤平克彦

同 香月裕爾

同 香川明久

相手方 株式会社オックス

右代表者代表取締役 的場泰美

相手方 日本ジャスパー株式会社

右代表者代表取締役 前田誠二郎

別紙物件目録

1番館

所在 東京都大田区久が原二丁目三〇三番地一

家屋番号 三〇三番一

種類 居宅

構造 鉄筋コンクリート造陸屋根地下一階付二階建

床面積 一階73.89平方メートル

二階67.17平方メートル

地下一階19.39平方メートル

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