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東京地方裁判所 平成4年(特わ)1076号 判決 1992年11月10日

本店の所在地

東京都新宿区歌舞伎町一丁目一七番一三号

有限会社

スプリング

(右代表取締役 岩渕則夫)

本籍

東京都新宿区大久保一丁目一七番

住居

埼玉県比企郡滑川町大字月輪一〇〇二番地四〇

会社役員

片野三郎

昭和二年一一月三日生

本籍

宮城県登米郡石越町南郷字芦倉一〇一番地

住居

東京都新宿区歌舞伎町二丁目一九番一一号シャロームマンション六〇二号

会社役員

岩渕則夫

昭和二〇年九月八日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官蝦名俊晴、弁護人刀根国郎(被告会社有限会社スプリング、被告人岩渕則夫)、同正野建樹(被告人片野三郎)各出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社有限会社スプリングを罰金一八〇〇万円に、被告人片野三郎、同岩渕則夫をそれぞれ懲役一〇月に処する。

被告人片野三郎、同岩渕則夫に対し、この裁判の確定した日から三年間それぞれの刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社有限会社スプリング(以下、被告会社という)は、東京都新宿区歌舞伎町一丁目一七番一三号に本店を置き、風俗関連営業(個室付劇場)の経営等を目的とする資本金一七〇〇万円の有限会社であり、被告人片野三郎及び同岩渕則夫は、いずれも被告会社の代表取締役として、被告会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人片野三郎及び同岩渕則夫の両名は、共謀のうえ被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和六一年七月一日から同六二年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三三五六万四八三三円(別紙一の1修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、同六二年六月三〇日、東京都新宿区北新宿一丁目一九番三号所轄淀橋税務署(名称の変更により、昭和六二年七月一日から新宿税務署)において、同税務署長に対し、その欠損金額が一六二万四一一九円で、納付すべき法人税はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一三一三万六八〇〇円(別紙二の1脱税額計算書のとおり)を免れ

第二  昭和六二年五月一日から同六三年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五〇二〇万一五二七円(別紙一の2修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、昭和六三年六月二九日、前記新宿税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が零で、納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額二〇一二万四四〇〇円(別紙二の2脱税額計算書のとおり)を免れ

第三  昭和六三年五月一日から平成元年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が九三三五万二四六〇円(別紙一の3修正損益計算書のとおり)であったのにかかわらず、平成元年六月二三日、前記新宿税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四二万七〇九一円で、これに対する法人税額が一二万八一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額三八二四万七八〇〇円と右申告税額との差額三八一一万九七〇〇円(別紙二の3脱税額計算書のとおり)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人片野三郎、同岩渕則夫の当公判廷における各供述

一  被告人片野三郎(検乙一、二)、同岩渕則夫(検乙三、四)の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の売上高調査書(検甲一)

一  大蔵事務官作成の給与手当調査書(検甲二)

一  大蔵事務官作成の雑給調査書(検甲三)

一  大蔵事務官作成の福利厚生費調査書(検甲四)

一  大蔵事務官作成の通信費調査書(検甲六)

一  大蔵事務官作成の修繕費調査書(検甲八)

一  大蔵事務官作成のスカウト費調査書(検甲一〇)

一  大蔵事務官作成の広告費調査書(検甲一一)

一  大蔵事務官作成の印刷費調査書(検甲一二)

一  大蔵事務官作成の雑費調査書(検甲一三)

一  大蔵事務官作成の雑収入調査書(検甲一四)

一  大蔵事務官作成の受取利息調査書(検甲一五)

一  大蔵事務官作成の領置てん末書(検甲二一)

一  検察事務官作成の捜査報告書(検甲一九)

一  登記官作成の登記簿謄本(検乙五)

一  登記官作成の各閉鎖登記簿謄本(検乙六、七)

判示第一、第三の各事項につき

一  大蔵事務官作成の賃借料調査書(検甲七)

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の水道光熱費調査書(検甲九)

一  大蔵事務官作成の申告欠損金調査書(検甲一八)

一  押収してある法人税確定申告書(六二/四期)一袋(平成四年押第一〇一四号の1)

判示第二、第三の各事実につき

一  大蔵事務官作成の旅費交通費調査書(検甲五)

一  大蔵事務官作成の事業税認定損調査書(検甲一六)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の欠損金の当期控除額調査書(検甲一七)

一  押収してある法人税確定申告書(六三/四期)一袋(前同押号の2)

判示第三の事実につき

一  押収してある法人税確定申告書(元/四期)一袋(前同押号の3)

(法令の適用)

被告人片野三郎、同岩渕則夫両名の判示各所為は、いずれも刑法六〇条、法人税法一五九条一項に、被告人両名の判示各所為は、いずれも被告会社の業務に関してなされたものであるから被告会社につきいずれも同法一六四条一項、一五九条一項に該当するところ、被告人両名につき各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、被告会社につきいずれも情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人両名につきいずれも同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をし、被告社会につき同法四八条二項により各罪所定の罰金を合算し、被告人両名につきいずれも加重した各刑期の、被告会社につき合算した金額の各範囲内で被告人両名のいずれも懲役一〇月に、被告会社を罰金一八〇〇万円にそれぞれ処し、被告人両名に対し、情状により同法二五条一項をそれぞれ適用してこの裁判の確定した日から三年間右各刑の執行を猶予する。

よって、主文のとおり判決する。

(求刑・被告会社に対し罰金二〇〇〇万円、被告人両名に対し各懲役一〇月)

(裁判官 伊藤正髙)

別紙一-1 修正損益計算書

<省略>

別紙一-2 修正損益計算書

<省略>

別紙一-3 修正損益計算書

<省略>

別紙二-1

脱税額計算書

<省略>

別紙二-2

脱税額計算書

<省略>

別紙二-3

脱税額計算書

<省略>

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