大判例

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東京地方裁判所 平成4年(特わ)1966号 判決

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、次のとおり判決する。

検察官 鈴木亨 出席

弁護人 中村了太 出席

主文

被告会社株式会社佐藤組を罰金三五〇〇万円に、被告人佐藤明照を懲役一年二月にそれぞれ処する。

被告人佐藤明照に対しこの裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告会社株式会社佐藤組は、東京都立川市錦町二丁目七番一五号に本店を置き、コンクリート解体及び斫り工事の請負等を目的とする資本金二〇〇〇万円(平成二年七月二九日以前は一八〇〇万円、昭和六三年六月二八日以前は一六〇〇万円)の株式会社であり、被告人佐藤明照は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人佐藤は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空外注費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  昭和六三年五月一日から平成元年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が九八四三万九八四二円(別紙1の(1)の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、同年六月二九日、東京都立川市高松町二丁目二六番一二号所轄立川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三五二四万〇七四〇円であり、これに対する法人税額が一四〇九万八八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成四年押第一四三四号の1)を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額四〇三六万三四〇〇円と右申告税額との差額二六二六万四六〇〇円(別紙2の(1)の脱税額計算書参照)を免れ

第二  平成元年五月一日から平成二年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億五〇四七万九三三九円(別紙1の(2)の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、同年六月二八日、前記立川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億三二五九万〇二五三円であり、これに対する法人税額が五三七八万〇八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の2)を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額九九〇六万七九〇〇円と右申告税額との差額四五二八万七一〇〇円(別紙2の(2)の脱税額計算書参照)を免れ

第三  平成二年五月一日から平成三年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億七三五七万三一八四円(別紙1の(3)の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、同年六月二八日、前記立川税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億二三三二万三四三六円であり、これに対する法人税額が四七二五万八九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の3)を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額の一億〇二〇五万三五〇〇円と右申告税額との差額五四七九万四六〇〇円(別紙2の(3)の脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠)

判示全部の事実について

一  被告人佐藤明照の当公判廷における供述

一  被告人佐藤明照の検察官に対する各供述調書(平成四年一〇月六日付《本文四丁のもの》を除く八通)

一  田邊勇(四通)、石井完良、一ノ宮巌、雨宮茂雄、笈川宗秋、木原勝、小俣定一、石井節雄の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の外注費調査書、減価償却費(工事原価)調査書、賞与手当調査書、交際費調査書、受取利息調査書、雑収入調査書、事業税認定損調査書、損金不算入道府県民税利子割調査書、役員賞与の損金不算入額調査書、交際費等の損金不算入額調査書

一  大蔵事務官作成の領置てん末書

一  登記官作成の登記簿謄本

判示第一の事実について

一  押収してある法人税確定申告書(平成元年四月期)一袋(平成四年押第一四三四号の1)

判示第二の事実について

一  検察事務官作成の外注費の金額異動についてと題する捜査報告書

一  押収してある法人税確定申告書(平成二年四月期)一袋(前同押号の2)

判示第三の事実について

一  被告人佐藤明照の検察官に対する供述調書(平成四年一〇月六日付《本文四丁のもの》)

一  大蔵事務官作成の福利厚生費調査書、修繕費調査書、減価償却費(販売費)調査書

一  検察事務官作成の交通費の金額について、雑収入の金額について、事業税認定損の金額についてと各題する捜査報告書

一  押収してある法人税確定申告書(平成三年四月期)一袋(前同押号の3)

(適用法令)

罰条 判示第一ないし三の各事実について

被告会社関係

法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項(情状による)

被告人佐藤関係

法人税法一五九条一項(いずれについても、懲役刑選択)

併合罪加重 被告会社関係 刑法四五条前段、四八条二項

被告人佐藤関係 刑法四五条前段、四七条本文

一〇条

刑の執行猶予 被告人佐藤関係 刑法二五条一項

訴訟費用関係 刑事訴訟法一八一条一項但書

(量刑理由)

脱税額は、三年度分で一億二六三四万円に上り、ほ脱率は、三年通算で約五二パーセントであり、脱税の方法は、計画的かつ巧妙に架空の外注費を計上するなどしていたもので、悪質であり、脱税の動機も取引先関係者との交際費捻出のためというもので、特に酌むべきものではなく、しかも被告会社及び被告人佐藤においては、本件のかなり以前から継続的に本件と同じ態様の脱税を行ってきており、本件はいわば常習的な脱税の一部であることが認められ、犯情は甚だ悪い。しかし、本件発覚後本税や附帯税、地方税などの納付に脱税によって蓄えた資金のほとんどを出資し、それらを完納していること、被告会社及び被告人佐藤は本件脱税の発覚により有形無形の社会的制裁をすでに被っていること、被告人佐藤も脱税したことを深く反省していることなどの有利な事情が認められ、その他の諸般の情状を考慮して、主文のとおり量刑した。

(求刑 被告会社・罰金四〇〇〇万円、被告人佐藤・懲役一年六月)

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 松浦繁)

別紙1

(1) 修正損益計算書

<省略>

別紙1

(2) 修正損益計算書

<省略>

別紙<1>

修正工事原価報告書

<省略>

別紙<2>

修正工事原価報告書

<省略>

別紙1

(3) 修正損益計算書

<省略>

別紙<3>

修正工事原価報告書

<省略>

別紙2

(1) 脱税額計算書

<省略>

別紙2

(2) 脱税額計算書

<省略>

別紙2

(3) 脱税額計算書

<省略>

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