東京地方裁判所 平成5年(特わ)2561号 判決 1994年6月10日
本籍
東京都港区白金台五丁目五番
住居
東京都港区白金台五丁目五番七号 ガーデンコート白金台五〇一号
会社役員
岡眞
昭和一八年九月二〇日生
主文
被告人を懲役二年及び罰金五〇〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判が確定した日から三年間、右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、東京都港区白金台五丁目五番七号ガーデンコート白金台五〇一号(平成三年一二月一九日以前は、同区南麻布二丁目一番一一号アパートメント・ザ・オハラ五〇一号)に居住し、同区浜松町一丁目二〇番五号ヴィラローザ浜松町五〇七号及び六〇三号ほか三か所において、「プレジデントクラブ」等の名称で個室マッサージ店四店を営むとともに、昭和六三年一二月末日までは、右のほか、同区南青山五丁目一番二五日メゾン・ド・ラミア八〇二号において、「フレッシュドール」の名称で個室マッサージ店を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上を除外し、右各店の収支を明らかにするリスト表等を破棄し、かつ、売上金を他人名義による貸付金とするなどしてその所得を秘匿した上、
第一 昭和六三年分の実際総所得金額が一億四三一四万八六三四円(別紙1所得金額総括表参照)であったにもかかわらず、右所得税の納期限である平成元年三月一五日までに、東京都港区西麻布三丁目三番五号所轄麻布税務署長に対し、所得税確定申告書を提出しないで右期限を徒過させ、もって不正の行為により、右年分の所得税額七四六七万二九〇〇円(別紙4ほ脱税額計算書参照)を免れ、
第二 平成元年分の実際総所得金額が一億六六〇三万二八六五円(別紙2所得金額総括表参照)であったにもかかわらず、平成二年三月一五日、前記麻布税務署において、同税務署長に対し、平成元年分の総所得金額が四三〇万五〇〇〇円で、これに対する所得税額は源泉徴収税額を控除すると四四万四三九〇円の還付を受けることとなる旨の虚偽の所得税確定申告書を提出して右期限を徒過させ、もって不正の行為により、右年分の正規の所得税額七七五〇万七一〇〇円と右申告税額との合計額七七九五万一四〇〇円(別紙5ほ脱税額計算書参照)を免れ、
第三 平成二年分の実際総所得金額が一億六九九〇万九一八四円(別紙3所得金額総括表参照)であったにもかかわらず、右所得税の納期限である平成三年三月一五日までに、前記麻布税務署長に対し、所得税確定申告書を提出しないで右期限を徒過させ、もって不正の行為により、右年分の所得税額七九七〇万四四〇〇円(別紙6ほ脱税額計算書参照)を免れ
たものである。
(証拠)
判示全部の事実について
・被告人の公判供述
・被告人の検察官調書六通
・売上金額調査書、給料賃金調査書、コンパニオン指名賞金調査書、地代家賃調査書、広告宣伝費調査書、水道光熱費調査書、クリーニンク代調査書、通信費調査書、福利厚生費調査書、消耗品費調査書、図書費調査書、接待交際費調査書、コンパニオンスカウト料調査書、減価償却費調査書、雑費調査書及び所得控除額調査書
・渡邊一雄、荻田勝年、三園丈夫、森山恵子及び竹内敏幸の各検察官調書
・報告書(甲四二、四三)
判示第一及び第二の各事実について
・保険料調査書及び利益分配金調査書
判示第一及び第三の各事実について
・給与収入調査書及び源泉徴収税額調査書
第二及び第三の各事実について
・修繕費調査書及び営業権償却費調査書
判示第一の事実について
・貸付金利息調査書
判示第二の事実について
・報告書(甲一〇)
・所得税確定申告書一袋
判示第三の事実について
・報告書(甲四)、譲渡収入金額調査書及び取得費調査書
(法令の適用)
罰条 判示各所為についていずれも所得税法二三八条一項(ただし、罰金刑の寡額につき、刑法六条、一〇条、平成三年法律第三一号による改正前の罰金等臨時措置法二条一項)、二項(情状による)
刑種の選択 いずれも懲役刑と罰金刑を併科
併合罪加重 刑法四五条前段
懲役刑につき 刑法四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に加重)
罰金刑につき 刑法四八条二項(各罪の罰金額を合算)
労役場留置 刑法一八条
刑の執行猶予
懲役刑につき 刑法二五条一項
(検察官 長島裕、弁護人 和田衛 各出席)
(求刑 懲役二年・罰金七〇〇〇万円)
(裁判官 堀内満)
別紙1 所得金額総括表
<省略>
修正損益計算書
<省略>
別紙2 所得金額総括表
<省略>
修正損益計算書
<省略>
別紙3 所得金額総括表
<省略>
修正損益計算書
<省略>
別紙4 ほ脱税額計算書
<省略>
別紙5 ほ脱税額計算書
<省略>
別紙6 ほ脱税額計算書
<省略>