東京地方裁判所 平成5年(行ウ)99号 判決 1994年8月31日
原告
大同興業株式会社
右代表者代表取締役
中川正雄
原告
株式会社プランナーズ
右代表者代表取締役
根来昭
右両名訴訟代理人弁護士
白波瀬文夫
被告
特許庁長官
高島章
右指定代理人
小濱浩庸
外三名
主文
一 被告が、原告らの平成二年特許願第一五〇五一九号について、原告らの平成二年七月一八日付け手続補正書に対し、平成二年九月一八日付けでした不受理処分は無効であることを確認する。
二 被告が、原告らの平成二年特許願第一五〇五一九号の出願に対し、平成三年七月二五日付けでした出願無効処分を取り消す。
三 訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第一 請求
主文同旨
第二 事案の概要
本件は、原告らが手続補正書の不受理処分の無効確認と出願無効処分の取消を求めている事案である。
一 争いのない事実
1 原告らは、平成二年六月八日、被告に対し、代理人弁理士菅原弘志(以下「原告ら代理人」という。)により、平成二年特許願第一五〇五一九号の共同出願(以下「本件出願」という。)をした。
2 原告ら代理人は、本件出願の出願当初の願書(以下「本件願書」という。)に、原告株式会社プランナーズ(以下「原告プランナーズ」という。)の代表者を「宮内美智子」と記載し、また、原告プランナーズの委任状を添付しなかったが、本件願書中の「添付書類の目録」欄に「委任状 一部追完」と記載した。
3 原告ら代理人は、被告に対し、自発補正として、平成二年七月一八日付け手続補正書(以下「本件補正書」という。)、並びに、その添付書類として、原告プランナーズの代表者を「根来昭」と補正した訂正願書(以下「本件訂正願書」という。)及び代表者を「根来昭」とした原告プランナーズの委任状(以下「本件委任状」という。)を提出した(以下「本件補正」という。)。
4 被告は、平成二年八月二八日ころ、原告ら代理人に対し、原告プランナーズの代理権を証する書面の提出を命ずる手続補正指令書を送付した(以下「本件補正命令」という。)。
5 被告は、平成二年九月一八日付けで、原告らに対し、「訂正願書の差し出しの趣旨不明。委任状における委任者の法人代表者名が願書のものと相違する。願書の誤記を訂正するのであれば、理由書及び事実を証する書面(登記簿謄本等)の提出が必要である。」という理由で、本件補正書とその添付書類である本件訂正願書及び本件委任状について不受理処分(以下「本件不受理処分」という。)をした。
6 被告は、平成三年七月二五日付けで、原告らに対し、特許法一七条二項の規定により指定された期間内に補正がなかったことを理由として、本件出願について出願無効の処分(以下「本件無効処分」という。)をし、同年九月三日ころ、原告ら代理人に対し、本件無効処分の通知を送付した。
7 原告らは、本件不受理処分があってから本件無効処分があるまでの間に、被告に対し手続補正書を提出していない。
8 原告らは、平成三年一一月五日、被告に対し、本件無効処分について行政不服審査法に基づく異議申立てをしたが、被告は、同五年一月二七日付けで右異議申立てを棄却する旨の決定をした。
二 争点
1 本件不受理処分は無効か(重大かつ明白な瑕疵があるか)。
(一) 原告らの主張
(1) 不受理処分は、申請が申請として成立するために法によって要求される本質的要件を備えておらず、しかもその瑕疵が補正によって治癒され得ないものである場合に、補正の機会を与えることなく却下する意味で行う処分であるから、瑕疵が補正によって治癒され得ないような場合にのみ許されるものである。
被告が本件不受理処分の理由として挙げる「訂正願書の差し出しの趣旨不明」「委任状における委任者の法人代表者名が願書のものと相違」「理由書及び事実を証する書面(登記簿謄本等)の提出が必要」は、仮にそのとおりの不備があったとしても、いずれも手続補正書の補正により、容易に解消するものである。
したがって、被告は、本件補正書の補正を命ずれば足りたのであり、それをせずになされた本件不受理処分は、不受理処分のための前記要件が存在しないのになされたものであるから、重大かつ明白な瑕疵があり、無効である。
(2) 本件補正書並びにそれに添付した本件訂正願書及び本件委任状は、以下のとおり、いずれも適法なものであり、これらを不受理とした本件不受理処分は、重大かつ明白な瑕疵がある。
ア 被告は、本件不受理処分の理由として、「訂正願書の差し出しの趣旨不明」と「理由書及び事実を証する書面(登記簿謄本等)の提出が必要」とを主張するが、本件願書と本件訂正願書とを対比すれば、両者の相違点が原告プランナーズの代表者の氏名であることは、一見して明瞭である。また、原告プランナーズは、その代表者の氏名を本件訂正願書にあるのと同じ「根来昭」として本件委任状を提出しているのであるから、本件訂正願書において、その代表者の氏名を「根来昭」に補正しようとしたものであることは明らかである。
そして、「理由書」については、特許庁がその工業所有権方式審査便覧において「願書の出願人の表示を更正する場合、手続補正書に理由書の添付を要する」と定めているとしても、それは、特許法や特許法施行規則で要求されているものではなく、せいぜい理由書で説明しないと趣旨が判明しない場合に要求される措置と理解すべきであり、本件補正書のように代表者の記載を更正するものであることが明瞭である場合にまで、理由書の添付を要求する実質的必要性はない。
なお、特許法施行規則一一条は、手続補正書の様式について規定しており、願書の補正は、様式一四により行なうこととされているところ、本件補正書は、補正の内容の欄に、右様式一四備考4で要求するとおり、「別紙のとおり」と記載し、補正した本件訂正願書を添付しているのであるから、適法である。
イ 被告は、本件不受理処分の理由として、「委任状における委任者の法人代表者名が願書のものと相違する」ことを主張するが、本件委任状の原告プランナーズの代表者名「根来昭」は、本件訂正願書の原告プランナーズの代表者名「根来昭」と一致している。原告らは、願書の代表者名を実体に合致するよう補正し、その代表者名と一致する代表者による委任状を提出しているのであるから、常識に合致する処理をしているのである。
ウ 被告は、本件不受理処分の通知に、「願書の誤記を訂正するのであれば、事実を証する書面(登記簿謄本等)の提出が必要」と記載している。しかし、特許出願については、法人登記簿謄本等の添付は要求されていない。これは、願書に記載された法人が存在するか否か、記載された代表者に代表権があるかといった点について間違った記載をすれば不利益を受けることになる出願人の自己審査を期待し、被告自らはこの点についての審査を放棄することとしたものである。そうすると、願書における出願人の表示の補正についても、新たに訂正願書を提出するのであるから、出願人の自己審査に期待し、法人登記簿謄本等の提出を求めないのが首尾一貫し、補正の場合にのみ、特許権を巡る混乱、紛争や特許無効の可能性を云々して、これを要求することは、首尾一貫しない。
また、被告は、出願人の表示の訂正について、訂正前の出願人と訂正後の出願人の同一性を積極的に立証する必要があるとし、そのために理由書、登記簿謄本等の提出を要求しているようであるが、本件の場合、出願人の表示は変更されず、代表者の表示の変更のみであるから、出願人の同一性の変更のおそれはない。
さらに、特許庁が工業所有権方式審査便覧において、法人の出願人の表示を更正する補正について登記簿謄本等の提出を要求しているとしても、これはあくまでも内部準則にすぎず、法令上、出願人の表示を更正する補正に当たり登記簿謄本等の提出を要求する規定はないから、登記簿謄本等の不提出は、不受理処分の理由となり得ない。
(二) 被告の主張
(1) 特許出願は、特許権を得ようとする者が、被告に対し、その発明について特許を求める意思を客観的に表示する行為であるが、特許出願が受理されると、出願の日を基準として出願の地位が定まる(特許法三九条)等様々な法律上の効果が生じるので、出願人が誰かについては、客観的に特定されることが必要である。そのため、特許出願人は、特許出願に当たって、その氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人については代表者の氏名を願書に記載しなければならないのである(同法三六条一項一号)。
(2) 特許法は、特許出願人が誰かについて、願書に記載があることを要求するのみであり、出願人は、当該出願人たる法人が実在するか否か、法人代表者が真実代表権限を有しているか否か等について、これを証明する書類等を提出する必要はない。これは、特許出願における出願主体に関する審査を形式的審査にとどめることによって、迅速かつ円滑な審査事務処理を実現することを目的とするものと考えることができる。
しかし、出願主体に係る記載について、例えば、願書の記載内容が明瞭でない場合や願書の記載内容と手続補正書の記載内容との間に食い違いが存する場合等、提出された書類の記載からして、客観的に出願主体を確定することができないような場合には、被告は、誰が真実の出願人なのか、誰に真実代表権が帰属するのかについて、必要な限度で審査を行うことができると解すべきであり、他方、出願人は、被告に対し、これらの事実について、積極的に明らかにしていかなければならないというべきである。なぜなら、出願主体や権限の所在等が記載上不明確であるにもかかわらず、単に、出願主体や代表者が記載されているから形式的要件は具備しているとして、そのまま特許手続を進めた場合には、将来特許権を帰属させるに当たって混乱又は紛争が生じたり、特許出願が無効に帰したりする可能性もあり、せっかくそれまで積み重ねてきた特許手続が無駄になることにもなりかねず、かえって適確な出願処理ができなくなるからである。
(3) 本件では、原告らは、本件願書を補正するものとして、本件補正書並びにこれに添付された本件訂正願書及び本件委任状を提出したものの、本件願書には原告プランナーズの代表者として「宮内美智子」が記載されているのに対し、本件補正書には原告プランナーズの代表者として「根来昭」と記載されており、このような代表者氏名の記載の食い違いからすれば、果たしていずれが原告プランナーズの真実の代表者であるのか、本件出願又は本件補正が真実の代表者によって適法に行われているのかどうか、「根来昭」によって作成された本件委任状が原告プランナーズの真実の代理権を証明するものであるのかどうか、なぜ原告プランナーズの代表者の氏名に食い違いがあったのか(誤記だったのか変更があったのか)等について、提出された書類からは、客観的に確定することはできないといわざるをえない。
被告によって受理された願書とこれを補正しようとする手続補正書とで、通常一致すべき代表者氏名が一致しない以上、出願人は、かかる異常な状態に関して理由書等で十分な説明を尽くすとともに、これを裏付ける資料(法人登記簿謄本、抄本等)を添付しなければならないと解するのが合理的である。
(4) 特許庁は、特許庁編の工業所有権方式審査便覧の「補正―1出願人の表示の訂正について(四法共通)」で補正の手続を公表し、その中で、補正に必要な添付書類についても、例えば次のように明らかにしている。
ア 出願時に委任状の提出がない場合であって、しかも願書に記載された法人の代表者の氏名の一部に誤記があった場合には、真正な代表者の氏名を記載した訂正願書、理由書、真正な代表者の氏名が確認できる書面(登記簿謄本等)及び委任状を添付した手続補正書を提出して補正することができる。
イ 出願時に委任状の提出がない場合であって、しかも願書に記載された代表者が出願前に変更されていた場合には、真正な代表者の氏名を記載した訂正願書、理由書、願書に記載した代表者には出願時に代表権限がなく補正しようとする代表者に代表権限があることを確認できる書面(登記簿謄本等)及び委任状を添付した手続補正書を提出して補正することができる。
ところが、原告らは、右のような書面を添付することなく、本件補正書を提出するにすぎなかったのであるから、本件願書は適正に補正されたものということはできず、被告がこのような本件補正書を受理しなかったことは適法である。
(5) 原告らは、本件補正書に対して、更に補正命令を発すべきである旨主張するが、被告がそのような補正命令をしなければならない法的根拠はなく、原告らの右主張は失当である。
2 本件無効処分は違法か。
(一) 原告らの主張
本件無効処分は、特許法一七条二項の規定により指定された期間内に補正がなかったことを理由としてなされているが、本件不受理処分は無効であり、その結果本件願書について手続の補正がなされたことになるから、補正命令を受けた者が補正をしないときという同法一八条の要件を欠き、本件無効処分は違法である。
なお、原告ら代理人の補助者は、本件出願について本件補正命令を受けた後の平成二年九月四日、特許庁に架電し、係官に本件補正書を提出したことを説明したところ、同係官は、本件補正命令は放置するように告げたものであり、その後に本件補正書を不受理処分にし、本件無効処分をすることは、信義に反するものである。
(二) 被告の主張
被告は、原告らが、本件補正書が不受理となり、改めて本件補正命令に係る事項について手続補正書を提出しなければならなかったのに、これを提出しなかったため、本件無効処分をしたのであり、本件無効処分は適法である。なお、原告らは、本件不受理処分(平成二年一〇月九日発送)後に更に手続の補正をすることは可能であったはずであるのに、本件無効処分(同三年七月二五日付け)を受けるまでの長期間にわたり、手続補正書提出の手続を取らなかったものである。
なお、仮に被告の係官が原告ら代理人の補助者からの電話に対し「手続補正命令はそのままでよい」といった趣旨のことを答えたことがあるとしても、「一般に、手続補正命令の送達と手続補正書の提出とが行き違いになる場合があり、この場合改めて手続補正書を提出する必要はない。きちんと補正されていれば、それで足りるので、手続補正命令はそのままにされたい」というような抽象的な教示を行ったにすぎない。
第三 争点に対する判断
一 争点1(本件不受理処分は無効か)について
1 手続補正書の不受理処分について
手続補正書の不受理処分は、手続補正書に形式的瑕疵があることを理由にこれを却下する処分であり、補正命令に対し、手続補正書が全く提出されなかったのと同一の状態を作り出すものであって、そのもととなる出願が出願無効処分に付される結果を惹起する等出願人に重大な不利益を与える処分であり、かつ、現行法上明文の根拠がなくなされているものであるから、このような不受理処分が認められるのは、手続補正書が法によって要求される本質的要件を備えておらず、かつ、その瑕疵が補正によって治癒され得ない場合にのみ許されるものと解すべきである。
2 本件不受理処分について
(一) 前記第二、一の事実及び後記括弧内の各証拠によれば、次の事実が認められる。
(1) 原告らは、平成二年六月八日、本件出願をしたが、本件願書には、共同出願人の一人である原告プランナーズの委任状の添付がなく、委任状を一部追完する旨が記載されていた。
(2) 原告ら代理人は、平成二年七月一八日付けで、被告に対し、自発補正として、本件補正書並びにその添付書類として本件訂正願書及び本件委任状を提出した。本件補正書は、補正の対象を「願書及び代理権を証する書面」、補正の内容を「別紙のとおり」としているところ(甲一の2、乙八の9)、本件補正書の添付書類である本件訂正願書は、本件願書と比べ、請求項の数を「2」から「1」に、原告プランナーズの代表者の氏名を「宮内美智子」から「根来昭」にそれぞれ訂正しているだけで、他は同じ記載となっていて、また、本件補正書で追完された本件委任状における原告プランナーズの代表者名は、「根来昭」と記載されている。
(3) 被告は、平成二年一〇月九日ころ、本件不受理処分をしたが、本件不受理処分は、本件補正書及びその添付書類について、①「訂正願書の差し出しの趣旨不明」、②「委任状における委任者の法人代表者名が願書のものと相違する」、③「願書の誤記を訂正するのであれば、理由書及び事実を証する書面(登記簿謄本等)の提出が必要である」という理由でなされている。
(二) 本件不受理処分の瑕疵について
本件不受理処分の前記①の理由については、本件補正書が前記(一)(2)のとおり本件願書を本件訂正願書のとおり訂正し、かつ、本件委任状を追完するものであることは、客観的にみても明らかであり、また、本件願書と本件訂正願書とを比較すれば原告プランナーズの代表者名が訂正されていることが判明するものであるから、本件訂正願書については、その差し出しの趣旨が不明であるということはできない。また、前記②の理由についても、本件委任状の委任者の法人の代表者名は、本件訂正願書に記載された法人の代表者名と合致しているのであるから、本件不受理処分の理由となりえないことも明らかである。次に前記③の理由については、確かに法人の代表者名の誤記がある場合には、特許庁の工業所有権方式審査便覧にも記載されているとおり(乙七)、誤記の理由等を説明した理由書及び法人の登記簿謄本等を添付する方が補正の趣旨をより明瞭にするものであるといえるが、しかし、右理由書及び法人の登記簿謄本等については、法令によりその提出が要求されているものではなく、また仮に、右理由書及び法人の登記簿謄本の提出を求めうると解する余地があるとしても、再度の補正命令によりその提出を命じることは容易であり、なによりも、本件補正書に右の書類が添付されていなかったことが、本件補正書が法によって要求される本質的要件を備えておらず、かつ、その瑕疵が補正によって治癒され得ない場合に当たらないことは明らかである。したがって、被告が本件補正書について前記の各理由により本件不受理処分をなしたことは、不受理処分の要件を欠くことが明らかであるのにこれをなしたものであって、本件不受理処分は、重大かつ明白な瑕疵を有するものであり、無効であるといわざるをえない。
なお、被告が大量の出願関係の書類を迅速に処理するためには、手続補正書について軽微な方式違反がある場合でも補正命令ではなく不受理処分をする必要があるとの意見もある(証人朝倉)が、一般に手続補正書を不受理処分にしたうえで、出願人に新たに手続補正書を再提出させるとの手続と比較して、手続補正書を受理したうえで更に方式違反を訂正すべき旨の補正命令を発し、新たな手続補正書を再提出させるとの手続を取ることは、被告としては不受理処分の代わりに補正命令を発するとの手続を取るだけであるから、被告に過重な負担が生じるということも考えにくいのである。したがって、被告が大量の出願関係書類を処理するとの理由から手続補正書に軽微な方式の瑕疵がある場合についてまで不受理処分をなすことを正当化することは困難であり、本件不受理処分は、前記の理由により無効といわざるを得ない。
二 争点2(本件無効処分は違法か)について
1 前記第二、一の事実及び後記括弧内の証拠によれば、次の事実が認められる。
(一) 原告らの本件願書には、共同出願人である原告プランナーズの委任状の添付がなく、委任状を一部追完する旨が記載されており、また、原告プランナーズの代表者は「宮内美智子」と記載されていた。
(二) 被告は、平成二年八月二八日ころ、原告プランナーズの代理権を証する書面の提出を命じた本件補正命令を発したが、原告らは、その前に平成二年七月一八日付けで自発補正として本件補正書並びに本件訂正願書及び本件委任状を提出しており、本件願書において、原告プランナーズの代表者を「宮内美智子」と記載したのは誤りであり、正しくは「根来昭」であったために(乙八の3)、本件訂正願書において、原告代表者の氏名を「根来昭」とし、同人名義で原告プランナーズの委任状を追完した。
2 本件無効処分は、本件補正命令に対して、原告らから特許法一七条二項の規定により指定された期間内に補正がなかったことを理由としてなされたものであるところ、原告らは、前記1(二)のとおり、原告プランナーズの代理権を証する書面である本件委任状を本件補正書の添付書類として本件訂正願書とともに提出していたものであり、かつ、本件不受理処分は前記一認定のとおり無効であるから、本件補正命令に対応する補正はなされていたものであるということができ、したがって、本件補正命令に対し、特許法一七条二項の規定により指定された期間内に補正がなかったことを理由としてなされた本件無効処分が違法であることは明らかである。
三 結論
以上によれば、原告らの請求はいずれも理由がある。
(裁判長裁判官設樂隆一 裁判官橋本英史 裁判官長谷川恭弘)