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東京地方裁判所 平成6年(ワ)11052号 判決 1997年10月28日

原告

彦根範夫

右訴訟代理人弁護士

保田眞紀子

右訴訟復代理人弁護士

新谷謙一

被告

株式会社イージーゴー

右代表者代表取締役

菅谷覚

被告

菅谷覚

右両名訴訟代理人弁護士

木島昇一郎

堀裕一

主文

一  被告株式会社イージーゴーは原告に対し、一八九〇万円及びこれに対する平成五年一二月二二日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。

二  被告株式会社イージーゴーは、平成五年一二月二二日以降、原告と締結した別紙一の契約に基づく原告の著作物の管理権限がないことを確認する。

三  被告らは原告に対し、別紙二5(二)(三)及び同8(一)(二)(ただし(二)は一二点)記載の絵画を引き渡せ。

四  原告の被告らに対するその余の請求をいずれも棄却する。

五  訴訟費用は、これを三分し、その二を原告の、その余を被告らの負担とする。

六  この判決は、第一項及び第三項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一  請求

一  被告株式会社イージーゴーは原告に対し、七八八一万四三七八円及びこれに対する平成五年一二月二一日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。

二  (主位的請求)

主文二項と同旨

(予備的請求)

被告株式会社イージーゴーは、平成六年七月一日以降、原告と締結した別紙一契約に基づく著作物の管理権限がないことを確認する。

三  被告らは原告に対し、別紙二記載の絵画を引き渡せ。

第二  事案の概要

一  本件は、原告が被告会社イージーゴー(以下被告会社という)に対し、当事者間の著作物管理契約(別紙一)が終了したとして被告会社が右著作物の管理権限のないことの確認と右契約に基づき被告会社が第三者から受領した金員の支払を求め、さらに、被告らに対し、被告らが原告所有の絵画を占有しているとして右絵画の引渡を請求した事案である。

二  争いのない事実等(括弧内は認定に用いた証拠等である)

1  原告は「ひこねのりお」の名でアニメーション・イラスト等を制作する作家である。

2  被告会社はアニメキャラクター制作、商品化許諾・ライセンス許諾等を業とする会社であり、平成三年六月一日、株式会社リラックスツウの商号で設立され、平成五年一一月二一日に現商号に変更された。

被告菅谷覚(以下被告菅谷という)は、被告会社の代表取締役である。

3  原告は被告会社との間で、平成三年七月一日ころ、別紙一記載のとおりの著作物管理契約(以下本件契約という)を締結した。

なお、本件契約は、平成四年七月一日及び平成五年七月一日に自動的に更新された。

4  原告は被告会社に対し、平成五年一二月二一日到達の書面をもって本件契約を解除する旨通知するとともに、契約期間中に被告会社が第三者から受領した金員の返還を求めた(甲一一の一及び二)。

5  原告は被告に対し、平成六年三月九日到達の書面をもって本件契約を更新しない旨の意思表示をした。

6  被告会社は本件契約に基づき原告の著作物の管理権限がある旨主張している。

三  争点

1  原告の著作物の使用に関し被告会社が第三者から受領した契約金等の最終的受領権者は原告か被告か。

2  本件契約は原告の右意思表示により終了したか。

3  本件絵画の所有権者は原告か被告か。

四  争点に関する当事者の主張

1  原告の著作物の使用に関する契約金の最終的受領権者は原告か被告か。

(原告)

被告は別表一及び二記載のとおり、原告の著作物の使用許諾等に関し、他の会社と契約をして契約金及び作画料を取得しているが、本件契約によれば、右契約金等は原告が取得すべきものであり、被告の管理費用は多くともその三割を上回らない。

よって、被告会社は原告に対し、右取得額の合計である一億二一一六万一〇〇五円及び作画料二四一五万五二五〇円の合計一億四五三一万六二五五円の七割相当額から受領済みの二二九〇万七〇〇〇円を控除した残額七八八一万四三七八円及びこれに対する請求時から支払済みまで商事法定利率である年六分の割合による遅延損害金の支払義務がある。

(被告会社)

本件契約は、本件契約後の原告の創作にかかる著作物(別表一番号8及び9記載のキャラクター、以下本件契約後著作物という)に関してのみ適用され、それより前の著作物(以下本件契約前著作物という)についての契約金はすべて被告が取得する旨の約定があり、原告に対しては契約金の多寡に関わらず安定した収入を得させ、かつ、社会保険加入等のため、顧問料名下に月々の一定の金額と一定のボーナスを支払うことになっていた。

「本件契約後著作物」に関する契約金については、清算の上返還する義務があることは認めるが、原告は、当面被告会社の運営資金として運用することを承諾しており、現時点での返還義務はない。

2  本件契約は終了したか。

(原告)

被告会社は、原告の著作物に関する契約内容等につき原告に全く報告をしなかったが、これは本件契約七条に違反し債務不履行にあたる。

また、本件契約は委任契約であるのでいつでも解約できる。

さらに、原告は本件契約一三条に基づき更新拒絶の権利がある。

よって、前記原告の各意思表示により、本件契約は終了した。

(被告会社)

原告の主張は否認ないし争う。

3  本件絵画の所有権者は原告か被告か。

(原告)

本件絵画の所有権は、本件契約により著作物管理のため、被告会社に一旦移転したとしても、本件契約の終了に基づき原告に所有権が復帰するものである。

(被告ら)

右は否認ないし争う。

被告会社は本件契約により本件絵画の所有権を取得している。

第三  当裁判所の判断

一  証拠(甲一、二、一〇、一四、一七ないし二一、乙一ないし九、原告本人、被告菅谷覚、証人飯島澄雄、同小口敦、同石原裕一)及び弁論の全趣旨を総合すれば、以下の事実が認められ、右認定を覆すに足る的確な証拠はない。

1  原告は株式会社シーエムランド(以下ランドという)との間で、昭和五一年六月八日に、原告の創造したアニメーションキャラクター等の創造物(以下著作物という)に関する契約を締結したが、右契約中には、原告が著作物の処分権をランドに移譲し、ランドが使用収益を行い、第三者に対し著作物の使用を許諾した場合には使用料を原告に支払う旨の、また、原告が制作した原画の所有権はランドに帰属する旨の約定がある。

右契約は、一定の期間における著作物の管理契約であることが明らかであるところ、原告の著作物に関する権利の被告への移譲の対価について全く定められておらず、予定されてもいないこと、著作物の使用収益に関しては原告の「承諾」が必要であり、使用料を原告に支払わなければならないこと、証人飯島は右契約が著作物の管理の委託である旨明確に証言していること等の事実にかんがみると、原告の著作物に関する権利はランドに帰属するものの、それは右管理の手段としての契約存続中に限ってのものであって、契約終了後は原告に復帰するものと認めるのが相当である。

なお、この点につき、証人飯島は、原告の著作物の経済的著作権は被告会社に帰属する旨の証言をするが、右は、管理契約が終了した場合、権利の帰属関係に変動がないとする趣旨とは解されない。

2  右契約は、昭和五九年二月二九日に合意解除され、原告は、ランドの企画部門を独立させた株式会社シーエムエル(以下エルという、役員構成等はランドと変わらない)との間で改めて著作物制作顧問契約書を取り交わしたが、これは従前の原告とランド間の契約と異なる内容を持つわけではなく、原告の著作物の使用の対価の支払方法につき変更を加えたものである。

すなわち、エルは、当時、定期的に作画を求めている顧客との間で、作画料とは別の契約金制度を導入し、これにより、作画作家のためのパンフレット類の作成、専属の営業担当者の配備など広告宣伝費用の増加を図らせ、作画作家を広範囲にプロモートしようとし、また、原告に対し、仕事量や契約金の多寡に関わらず、安定的収入を得さしめ、また、社会保険を適用させる等のために、顧問料名下に原告に月々の一定額及びボーナスを支払うことにしたものである(経理上は給与)。

なお、エルでの原告担当者は被告菅谷覚(以下被告菅谷という)であった。

3  エルは原告に対し、平成三年六月ころ、右契約が終了するまでの間、顧問料名下の支払(経理上は給与)のほか、一切、契約金等著作物の使用料(明治製菓株式会社分については除く)を支払っていないし、原告は契約中及び契約終了にあたってもエルに対し、これを請求したこともない(原告の供述によれば、原告は、そもそもこれを請求できないものだと認識していたことが窺える)。

4  エルは、被告会社との間で、エルが既に顧客との間で原告の著作物の使用許諾に関し締結していた契約の承継について交渉していたが、右契約金の分配については、平成四年五月、契約の残存期間等を中心にこれをエルと被告会社の取得割合を四対六とすることで合意した。

なお、乙二の「コスモミニベア契約料」等の金員は、その金額から見ても(契約金の丁度六〇パーセント)、原告とエルとの契約存続中における使用料の清算、すなわち、右期間中のエルの管理料や経費を除いてこれを原告に返済すべき額を確定したものではないことは明らかである。

5  ランドの顧問弁護士であった飯島澄雄弁護士は平成三年六月ころ、被告菅谷から依頼を受け、本件契約書(甲一)を作成したが、飯島弁護士は、右契約四条以下は「本件契約締結後著作物」に関し適用されることを念頭においていた。また、飯島弁護士は「本件契約前著作物」に関しては、原告とエルの間で締結されていた著作物制作顧問契約と同一内容の契約によって原告と被告会社間が規律されると考えていたところ(顧問料等の額については増額)、原告もそれを当然の前提としていた。なお、本件契約締結の際には、他に原告と被告会社との間で原告の著作物に関する契約書は交わされなかった。

6  原告は、被告会社と本件契約を締結したことによりエルとの著作物管理契約によって成立した顧客とのキャラクター使用契約は被告会社に移行した旨認識していた。

7  原告は本件契約後、被告会社に対し前記解除等の意思表示をするまでの約二年間、契約金の未払分を支払うよう請求したことはない。

8  エルは、平成四年一月一〇日までには、原告との著作物に関する契約により占有していた原画を原告に返却した。

二  争点一(原告の著作物の使用に関し被告会社が第三者から受領した契約金等の最終的受領権者は原告か被告か)について

1 前記認定の事実によれば、別紙一記載の契約書は、四条以下の条文等については「本件契約後著作物」にのみ適用する趣旨で作成されたものの、顧問料を始めとしたエルと原告間の従前の契約内容と同趣旨の条項及び右契約内容と相反しない条項については、原告が著作物をいつ創造したかを問わず、性質上可能な限り、右著作物に関して適用されると解するのが右契約書を交わす際の当事者の合理的意思であったと認められ、右認定に反する的確な証拠はない。

そして、原告とエルとの契約内容は前記認定のとおりであるから、顧問料のほか、原告には、「本件契約前著作物」の使用許諾の対価たる金員の請求権があるとは認められないところ、原告と被告会社間の契約内容も右と同一と解すべきであるから、原告には被告会社に対する右契約金の請求権はないというべきである。

2  この点に関し、原告は、一方において、エルとの契約においては、契約終了時に契約金についての清算(管理料等を控除して返還すること)が予定されていた、あるいは調整金が交付されることになっていた旨主張し、他方において、エルの代表者たる高杉が原告の親友であったために、契約金を請求しなかったが、このような関係にない被告会社に対しては同様の便宜を図るはずはない旨主張する。

しかしながら、右の「清算を予定していたこと」と「親友だから請求しなかった」旨の各主張は必ずしも整合するとはいえない上、前記一3及び4認定のとおり、原告がエルとの契約終了の際に、明治製菓以外の顧客からの契約料について右の意味での清算は一切行われていないばかりか、かえって、乙六及び七によれば、エルは右契約金は契約期間に応じて当然にエルが取得できる旨認識していたことが窺え、また、前記によれば、原告自身も、右金員を請求し得ないものだと認識していたことが窺える。また、原告自身、原告とエルの契約と原告と被告会社との契約内容は基本的には同一であることを認める供述をしているところ、原告がエルとの契約を終了し、被告会社と本件契約をした際、被告会社に対し、契約金(明治製菓を除く)は従前と異なり自分が貰うことになる旨を被告会社に明示した事実は認められない。そして、乙八、原告本人によれば、本件契約当時は原告と被告菅谷との間に信頼関係があったことが認められ、以上の事実に前記使用料分配の交渉経緯及び結果等を併せ考えると、原告の前記主張は到底採用できないというべきである。

もっとも、乙四には、「彦根さんへの契約料の支払いは彦根さん六〇パーセント」との記載があり、右相当分は被告会社が取得することを前提としていないようにも解せられる余地があるが、乙三、五及び六の記載内容との整合性にかんがみると、右金員はエルとの契約が一旦終了すると構成した場合に、原告に返還される筋合いであることを表現したに過ぎないものと認められる。

また、原告は、被告菅谷から、「エルとの清算金及び顧客からの契約金を新会社のために使わせてほしい、上手に返して行く」と頼まれたので応じたと主張し、原告もこれに沿う供述をするが、前記認定のとおり、原告は契約期間中右金員を全く被告会社に請求していないことや、右供述内容も「被告菅谷が清算金を運転資金として使わせてほしいといったので応じた」というものであって果たして返還約束がなされたかも曖昧であり、これらによれば右供述は採用できない。

さらに、原告は、そもそも原告請求にかかる契約金が被告会社に入っているのを知らなかった旨主張する。

しかしながら、前掲各証拠によれば、原告は本件契約当時は、売れっ子のアニメ作家であって明治製菓の「カールおじさん」やサントリー株式会社の「ペンギン」等の有名キャラクターを次々と世に出し、これらにより契約金を取得できることを熟知していたものと認められ、エル及び被告会社との契約中に多数の作画の依頼を受け、キャラクターを作出しながら、これらに関して契約料が一切入っていないと認識していたとは到底考えられず、右供述は採用できない。

3  以上によれば、原告の被告会社に対する契約金の請求の内、「本件契約前著作物」(別表一の内8および9を除いたもの)についてはそもそも原告に請求権はないことが認められる。

しかし、「本件契約後著作物」の契約金(別紙8及び9)については、被告の管理料相当分を除いた部分につき、原告に請求権が認められるところ、証人小口の証言及び甲一五並びに弁論の全趣旨によれば、右管理料については契約金額の三割を上回らないことが認められるから、原告は被告会社に対し、右契約金の七割相当額である一八九〇万円及びこれに対する請求の日の翌日である平成五年一二月二一日から支払済みまで商事法定利率である年六分の割合による遅延損害金の請求権がある。

なお、被告会社は、右契約金は当時、原告により、被告会社の運営資金として使用してもよい旨承諾されていたと主張するが、仮に、右事実が認められたとしても、前掲各証拠によれば、本件において、原告が、本件契約の終了を前提として請求した場合にもなお、被告会社が右金員を返還しなくてもよい旨当事者が合意していたとは到底認められないから、被告会社は、本件契約の更新拒絶に伴う原告の請求により、右金員の返還義務を負うものと解すべきである。

4  なお、乙一、原告本人及び弁論の全趣旨によれば、「本件契約前著作物」にかかる作画料については、その九〇パーセントを原告が取得できることが認められるところ、原告が作画料として被告会社から受領したと主張する二二九〇万七〇〇〇円は、被告会社が顧客から受領している二四一五万五二五〇円の九〇パーセントを超えているから、もはや作画料の請求はできないことが明らかである。

三  争点2(本件契約は原告の右意思表示により終了したか)について

原告本人及び被告菅谷並びに弁論の全趣旨を総合すれば、被告会社は、顧客との間の著作物の使用に関する契約内容につき、事前、かつ、十分に原告に知らしめていたとは認められないから、被告会社の右行為は本件契約七条に違反するものと認められる。

そうすると、原告から被告会社に対し、解除の意思表示のあった平成五年一二月二一日をもって本件契約は終了したものと認められ、被告会社は、翌日以降、本件契約に基づく原告の著作物(創作時期を問わない)の管理権限を喪失したというべきである。

なお、前記争いのない事実等5によれば、原告は本件契約一三条の要件を満たしているから、少なくとも被告会社が平成五年七月一日以降、本件契約に基づき原告の著作物(原告の創作時期を問わない)の管理権限がないのは明らかである。

四  争点3(本件絵画の所有権者は原告か被告か)について

「本件契約前著作物」に関する作画の所有権については、乙一の内容のとおり、被告会社が、エルから引き継いだ作画につきその所有権を取得したものと認められる。

しかしながら、右作画の所有権を著作物の管理者たる被告会社が有するのは、前記一1認定のとおり、著作物の管理の方法として原告が右の処分権をランド等に移譲する形式をとったのと同様、法形式上のものであって、右著作物管理契約が効力を失えば、管理委託者たる原告に著作物に関する権利が復活するのと同じく作画の所有権も原告に復帰するというべきである。前記一8の事実及び証人石原の証言はこれに沿うものであり、右認定を覆すに足る証拠はない。

ところで、被告会社及び被告菅谷が占有している絵画(同人の被告会社代表者としての占有は個人としての占有の面もあると認められる)は、主文三記載のものであって、その余の絵画につき、被告らが占有していることについてはこれを認めるに足る証拠がない。

よって、被告らは主文三記載の範囲で原告に対し、絵画の引渡義務を負う。

五  以上によれば、原告の請求は主文記載の限度で理由があり、その余は理由がないからいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官齋藤繁道)

別紙二、別表一、二<省略>

別紙一

著作物制作顧問および著作物管理契約書

ひこねのりお(彦根範夫)(以下“甲”という)と株式会社リラックスツゥ(以下“乙”という)とは以下の通り契約を締結する。

第1条

乙は乙の取扱う広告宣伝物企画のためのあらゆる著作物の制作に関して甲の助言・協力を得るべく甲を乙の著作物制作顧問に指名し、甲はこれを受諾する。

第2条

甲は乙の要請に従い口頭または文書にて乙に対し助言または協力を行うものとする。

第3条

乙は甲に対し顧問料として月額四〇万円を毎月二五日限り甲の指定する銀行口座に振込み支払う。

第4条

甲は本契約締結後の自己の創作にかかる著作物の第三者への商業的利用に関する使用許諾およびその著作物のネーミングならびにそれらに基づく商標権(出願権を含む)の商品化およびそれらの使用許諾業務を乙に委託し、乙は以下の条件にてこれを受諾する。

第5条

乙は自己の費用負担と責任において甲の著作物の商業的利用についてプロモーションおよび管理を行う。

第6条

甲は乙が甲のために甲に代って甲の著作物の商業的利用希望者(以下“顧客”という)との交渉、契約締結、取次、請求および回収の権限を有することを認める。

第7条

乙が甲のために顧客との間に甲の著作物の商業的利用についての契約をしようとする場合、乙は甲に対しあらかじめ契約条件を知らせ甲の承認を得なければならない。

第8条

乙は必要に応じ甲に対し作画を依頼することができる。その作画料はその都度甲および乙の協議にて決定する。

第9条

甲の著作物の使用に関する著作権表示については甲および乙の協議にて決定する。

第10条

乙は必要に応じて甲の著作物自体またはそのネーミングについて乙の名義で、かつ乙の費用負担にて商標出願をなし商標権を取得することができる。

第11条

甲の著作物の商業的利用に閲し第三者より異議が申し立てられた場合、甲および乙は協力して処理解決する。

第12条

第三者が甲の著作物に関する著作権を侵害し、または侵害するおそれがある場合、甲および乙は協力して処理解決する。

第13条

本契約の有効期間は平成三年七月一日から一年間とする。但し終了の三か月前までに更新しない旨の書面による意思表示のない限り、さらに一年間更新されるものとし、爾後も同様とする。

第14条

本契約に定めのない事項または各条項の疑義については甲乙相互に誠意をもって協議して決定し解決する。

本契約成立の証として本書二通を作成し、甲乙各一通を保有する。

平成三年七月一日

(甲) ひこねのりお(彦根範夫)

(乙) 株式会社リラックスツゥ

代表取締役 菅谷覚

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