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東京地方裁判所 平成9年(ワ)11391号 判決 2000年2月16日

原告

野田食菌工業株式会社

右代表者代表取締役

【A】

右訴訟代理人弁護士

水野晃

野口政幹

西本恭彦

鈴木祐一

右補佐人弁理士

【B】

被告

株式会社アミノアップ化学

右代表者代表取締役

【C】

被告

大和薬品株式会社

右代表者代表取締役

【D】

右両名訴訟代理人弁護士

八幡義博

右両名補佐人弁理士

【E】

被告大和薬品株式会社訴訟代理人弁護士

安田有三

小南明也

被告大和薬品株式会社補佐人弁理士

【F】

【G】

【H】

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は、原告の負担とする。

事実及び理由

第一請求

一  被告株式会社アミノアップ化学は、別紙目録(一)記載の健康食品を製造、販売、頒布してはならない。

二  被告株式会社アミノアップ化学は、別紙目録(一)記載の健康食品を廃棄せよ。

三  被告株式会社アミノアップ化学は、別紙目録(三)記載の製造方法による健康食品を製造してはならない。

四  被告株式会社アミノアップ化学は、原告に対し、金一億円及びこれに対する平成九年七月一五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

五  被告大和薬品株式会社は、別紙目録(二)記載の健康食品を製造、販売、頒布してはならない。

六  被告大和薬品株式会社は、別紙目録(二)記載の健康食品を廃棄せよ。

七  被告大和薬品株式会社は、原告に対し、金一六〇〇万円及びこれに対する平成九年七月一二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

本件は、後記の各特許権を有している原告が、①別紙目録(一)記載の健康食品(以下「被告食品(一)」という。)を製造、販売等し、かつ、②同目録(三)記載の製造方法(以下「被告製造方法」という。)を用いて健康食品を製造した被告株式会社アミノアップ化学(以下「被告アミノアップ化学」という。)の行為、及び、③同目録(二)記載の健康食品(以下「被告食品(二)」という。)を製造、販売等した被告大和薬品株式会社(以下「被告大和薬品」という。)の行為が、各特許権を侵害するとして、被告らに対し、各特許権に基づき、差止め等及び損害賠償を請求した事案である。

一  前提となる事実(証拠を示した事実を除き、当事者間に争いはない。)

1  原告の有する特許権

原告は、以下の特許権を有している。

(一)(1) 発明の名称 抗ウイルス剤及びその製造方法

(2) 登録番号 特許第一四二七三八九号

(3) 出願日 昭和五三年一二月二九日

(4) 登録日 昭和六三年二月二五日

(5) 特許請求の範囲

【第一項】

担子菌の菌糸体培養物より得られる多糖及びゼアチン関連物質を主とするサイトカイニン系活性物質の複合体を有効成分とする抗ウイルス剤(以下右発明を「第一発明A」という。)

【第二項】

固体培地又は液体培地にて担子菌に属する菌糸を培養する工程と、前記工程により得られた菌糸体培養物に水系溶媒を加え有効成分を抽出する工程と、この抽出液を濾過する工程とからなる抗ウイルス剤の製造方法(以下右発明を「第一発明B」という。)

なお、第一発明については、【I】が特許権を有していたが、平成三年五月二二日に【J】が相続(登録は平成五年六月二八日)し、次いで原告が【J】から譲り受け、平成九年九月二二日その旨の移転登録がされた(甲三)。

(二)(1) 発明の名称 抗動物ウイルス剤

(2) 登録番号 特許第一二六三六三七号

(3) 出願日 昭和五五年一二月二四日

(4) 登録日 昭和六〇年五月一六日

(5) 特許請求の範囲

【第一項】

禾本科植物から得られ多糖および水溶性リグニンを有効成分とする抗動物ウイルス剤(以下右発明を「第二発明」といい、これに係る特許権を「第二特許権」という。)

2  構成要件の分説

(一) 第一発明A

(1) 担子菌の菌糸体培養物より得られる

(2) 多糖及びゼアチン関連物質を主とするサイトカイニン系活性物質の複合体を有効成分とする

(3) 抗ウイルス剤

(二) 第一発明B

(1) 固体培地又は液体培地にて

(2) 担子菌に属する菌糸を培養する工程と、

(3) 前記工程により得られた菌糸体培養物に

(4) 水系溶媒を加え有効成分を抽出する工程と、

(5) この抽出液を濾過する工程とからなる

(6) 抗ウイルス剤の製造方法

(三) 第二発明

(1) 禾本科植物から得られ

(2) 多糖および水溶性リグニンを有効成分とする

(3) 抗動物ウイルス剤

3  被告食品及び被告製造方法の構成

(一) 被告食品(一)の構成

(1) 担子菌を、マルツエキス、酵母エキスからなる液体培地で培養し、担子菌を含有する右培養液に、米糠エキスを加え、培養液中の酵素により酵素反応をさせた生成物から得られるものであって、

(2) 多糖類、蛋白質、脂質、ビタミン及びミネラルを組成成分として含有し、

(3) 免疫賦活作用及び抗腫瘍作用を有する、粉末状又は成形された健康食品

(二) 被告食品(二)の構成

(1) ヘミセルロースを含有する米糠由来の原料に、担子菌が生産する酵素を作用させて得られる、

(2) アラビノキシラン等の多糖類を含有する生成物に賦形剤を加え粉末とした

(3) 健康食品

(三) 被告製造方法の構成

(1) 担子菌を、マルツエキス、酵母エキスからなる液体培地でタンク培養し、

(2) 担子菌を含有する右培養液に、米糠エキスを加え、培養液中の酵素により酵素反応を行わせた後、

(3) タンク内容物(生成物)を遠心分離機にかけて固形状部分を沈殿分離させて液体部分を取り出し、その液体を濃縮して賦形剤を加えフリーズドライ加工した後、粉末化又は成形する、

(4) 多糖類、蛋白質、脂質、ビタミン及びミネラルを組成成分として含有し、免疫賦活作用及び抗腫瘍作用を有する健康食品の製造方法

4  被告らの行為

被告アミノアップ化学は、被告食品(一)(商品名「イムノゴールド」については平成二年ころ以降、商品名「イムノエース」については平成九年三月以降)を製造、販売している。

被告大和薬品は、被告食品(二)(商品名「レンチンゴールド」については平成八年三月ころまで、商品名「レンチンプラス一〇〇〇」については同年四月ころ以降)を製造、販売している。

二  争点

1  被告食品(一)と第一発明Aとの対比

(原告の主張)

被告食品(一)は第一発明Aの構成要件をすべて充足する。

(一) 構成要件(2)について

被告食品(一)は、以下のとおりの理由から、サイトカイニン系活性物質を含有するので、第一発明Aの構成要件(2)を充足する。

原告がこのように推測した根拠は、以下のとおりである。

すなわち、被告アミノアップ化学は、以前、サイトカイニンを原料とする植物生長剤「アミノアップ」を製造・販売していたが、これを健康食品としたものが「イムノゴールド」ないし「イムノエース」であるから、右健康食品には、当然サイトカイニン系活性物質が含有されているはずである。また、原告は、以前被告アミノアップ化学の前身である「北海道飼料研究所」に対し、原料を供給していたが、この原料は、サイトカイニン系物質を含有していたので、同被告が右原料を参考に被告食品(一)を開発したのであれば、当然に、被告食品(一)には、サイトカイニン系活性物質が含まれているはずである。さらに、原告は、従前、同被告に対して椎茸菌糸体抽出製品を販売していたが、同製品は、特公昭五五ー三四七六九号「農園芸作物ウイルスの抑制方法」に記載された技術に基づくもので、サイトカイニン系物質を含有するものであり、同製品が、原告の行った多数の特許出願によって、健康食品として有用であることが既にその当時から知られていたことからすると、同被告は原告から購入した右製品に基づいて被告食品(一)を製造していたと推認できる。

分析の結果(乙五ないし七)においては、サイトカイニン系活性物質が含まれていないとしているが、右分析は、検体の製造年月日が不明である点、実験方法(抽出方法)が一般的でない点、及び分析チャートが欠如している点等において、疑問がある。

(二) 構成要件(3)について

被告食品(一)は「抗ウイルス剤」に該当するから、第一発明Aの構成要件(3)を充足する。

第一発明における「抗ウイルス剤」は、狭義の「殺ウイルス化学物質」でなく、広義の「免疫賦活作用によりウイルスの増殖を阻止する物質」と解釈すべきである(最新の医学大辞典による。)。

他方、被告アミノアップ化学は、その商品のパッケージ、商品説明書及び雑誌記事等に、被告食品(一)は、抗ウイルス作用を有する食品であると表示していたのであるから、被告食品(一)が、抗ウイルス作用を持つ、広義の抗ウイルス剤であることは明らかである。

(被告アミノアップ化学の反論)

(一) 構成要件(2)について

否認する。被告食品(一)は、サイトカイニン系活性物質を含有しない。

分析結果(乙五ないし七)によると、被告食品(一)はサイトカイニン系活性物質を含まないことを示している。乙五ないし七の分析は、食品衛生法第一四条一項に基づく厚生大臣の指定検査機関である財団法人日本食品分析センターが、第一発明に係る明細書に記載された方法に準じて実施した分析であり、分析結果は十分信頼に値する。

(二) 構成要件(3)について

否認する。

第一発明に係る明細書には、「抗ウイルス剤」と記載され、「抗ウイルス作用」と記載されていない。また、特許発明の構成要件中における用語は、出願当時の意味を基礎として解釈されるべきであり、出願後、時を経て変更された最新の意味で解釈されるべきではない。本件出願当時の「化学大辞典」によると、第一発明にいう「抗ウイルス剤」とは、ウイルス感染による疾病を治療する化学療法剤(ウイルスを直接攻撃する化学剤)を意味し、免疫反応を利用する製剤は含まれないというべきである。

他方、被告食品(一)は、確かに、免疫賦活作用及び抗腫瘍作用を有し、この免疫賦活作用により人の免疫力が増強されてウイルスからの悪影響を受けにくくなる作用を「抗ウイルス作用」ということがあるが、右作用があるからといって抗ウイルス剤に該当するということはできない。

被告食品(一)の商品のパッケージ、商品説明書及び雑誌記事等において、被告食品(一)は、抗ウイルス剤であると表示されていたとしても、被告食品(一)が抗ウイルス剤であることの根拠にはならない。

2  被告食品(一)と第二発明との対比

(原告の主張)

被告食品(一)は、第二発明の構成要件をすべて充足する。

(一) 構成要件(1)について

被告食品(一)は、「禾本科植物」を原料としているので、第二発明の構成要件(1)を充足する。

すなわち、第二発明の構成要件(1)にいう「禾本科」は、稲科の植物、すなわち主要な穀物すべてを含む単子植物の一科であり、稲、米糠等を含む。被告食品(一)は、米糠エキス又は米糠由来の原料を用いており、禾本科植物である米糠から得られたものであるから、禾本科植物を原料としている。

また、被告食品(一)は、AHCC(穀類をはじめとする植物体に数種類の酵素を働かせて得られた「植物性多糖類」で、活性ヘミセルロースを主成分とするもの)を有効成分とするものであるから、被告食品(一)がヘミセルロースを含有することは明らかである。ところで、米糠は、ヘミセルロースを含有する。別紙目録(一)に記載された原料のうち、ヘミセルロースを有効成分とするに十分な量を含む原料は米糠しかない。よって、被告食品(一)が禾本科植物である米糠を原料としていることは疑いがない。

さらに、右の事実は、被告食品(一)のパッケージ、パンフレット、各種文献における被告食品(一)の紹介記事中に、右の趣旨を窺わせる記載が複数存在することからも裏付けられる。

(二) 構成要件(2)について

被告食品(一)は、「水溶性リグニン」を含有するので、第二発明の構成要件(2)を充足する。

被告食品(一)のパッケージあるいは商品説明パンフレットには、「リグニン」を含有する旨が明確に記載してある。そして、被告食品(一)を製造する工程に、液部を取り出す工程があることから、右リグニンが水溶性リグニンであることは明らかである。

また、原告が、第二発明に係る明細書に記載された分析方法(アセチルブロマイド改良法)を用いて、被告食品(一)を分析したところ(甲一六)、リグニンの含有が裏付けられた。

「日本食品分析センターの分析試験成績書」(乙一三ないし一八)は、被告食品(一)にリグニンが含有されていないとするが、右分析は、第二発明に係る明細書記載のリグニン検出に一般に用いられているMAULE反応によるものでなく、SouthgateやVan Soestらの方法によるものであり、いずれも濃度の高い硫酸で処理した後の不溶性成分をリグニンとして定量するものであるから、採用できない。

(三) 構成要件(3)について

被告食品(一)は、抗動物ウイルス剤であるから、第二発明の構成要件(3)を充足する。

第二発明における「抗動物ウイルス剤」は、狭義の「殺ウイルス化学物質」でなく、広義の「免疫賦活作用によりウイルスの増殖を阻止する物質」と解釈すべきである(最新の医学大辞典による。)。

他方、被告アミノアップ化学は、その商品のパッケージ、商品説明書及び雑誌記事等に、被告食品(一)は、抗ウイルス作用を有する食品であると表示していたのであるから、被告食品(一)が、抗ウイルス作用を持つ、広義の抗ウイルス剤であることは明らかである。

(被告アミノアップ化学の反論)

(一) 構成要件(1)について

否認する。

被告食品(一)は、担子菌(茸)を液体培地で培養し、この培養液に別途あらかじめ米糠から抽出した米糠エキス(米糠そのものではない。)を加え酵素反応させた生成物から得られるもので、主材(主原料)は担子菌(茸)である。担子菌(茸)は禾本科植物ではない。

被告食品(一)の主成分であるAHCCは、原告が指摘するとおりのものであるが、「穀類をはじめとする植物体」を用いるとの記載があるように、穀類「その他の植物」を用いるという意味であって、植物としての担子菌を用いる場合もこれに含まれる。

ヘミセルロースは禾本科植物に特有なものではなく、担子菌にも含まれている。AHCCのヘミセルロースは、担子菌によるものであって、米糠によるものではない。ヘミセルロースを含んでいるから原料として米糠を用いているということにはならない。

商品のパッケージ、パンフレット、各種文献における被告食品(一)の紹介記事は、禾本科植物が被告食品(一)の原料であることの根拠にならない。

(二) 構成要件(2)について

否認する。

被告食品(一)は、「水溶性リグニン」を含有しない。

被告食品(一)のパッケージあるいは商品説明パンフレットには、リグニンが含まれている旨の記載があるが、右は事実に反する誤った記載であるから、水溶性リグニンを含有していることの根拠にならない。

原告が実施した分析(甲一六)は、アセチルブロマイド法によるものでるが、右分析方法は、木材(あるいは、草木、豆科植物)に含まれているリグニンの量の測定法であり、リグニン以外の物質を種々含む被告食品(一)にリグニンが含まれているか否かを定性的に分析することができる方法ではない。

また、「TAPPI公式分析法T222om-83」及び「TAPPI有用試験法1985b」による分析試験(甲二一及び三四)についても、「クラーソンリグニン」及び「酸可溶性リグニン」の含有が明らかになったのみで、水溶性リグニンの含有が明らかになったものではないし、右方法も基本的には、木材及びパルプ中のリグニン定量を目的とする分析法であって、水溶性リグニンを含有しているか否かの判断には親しまない。

かえって、分析結果(乙一三ないし一八、丙三)を総合すると、被告食品(一)からは、リグニンが検出されなかったことが実証されている。確かに右の分析方法は、SouthgateやVan Soestらの方法によるもので、第二発明に係る明細書に記載されたMAULE反応によるものではない。しかし、MAULE反応は、木材が対象であり、その木材が広葉樹材か針葉樹材であるかの判別手段に過ぎず、広くある物質にリグニンが含有されているか、ある物質がリグニンか否かを判別する手法ではないから、右方法による必要はない。

(三) 構成要件(3)について

否認する。1(二)の被告アミノアップ化学の反論と同じである。

3  被告食品(二)と第二発明との対比

(原告の主張)

被告食品(二)は、第二発明の構成要件をすべて充足する。

(一) 構成要件(1)について

2(一)の原告の主張と同じである。被告食品(二)は、禾本科植物を原料としているから、構成要件(1)を充足する。

(二) 構成要件(2)について

2(二)の原告の主張と同じである。被告食品(二)は水溶性リグニンを含有するので、構成要件(2)を充足する。

(三) 構成要件(3)について

2(三)の原告の主張と同じである。被告食品(二)は抗動物ウイルス剤であるから、構成要件(3)を充足する。

(被告大和薬品の反論)

(一) 構成要件(1)について

否認する。

第二発明に係る明細書中の「発明の詳細な説明」欄に「禾本科植物に属する植物中に含有されている多糖及び水溶性リグニンを抽出する」と記載されていることに照らすと、「禾本科植物」は「リグニン」が多く含まれている部分、すなわち、葉、茎、根等の固い部分のみを指すものと限定解釈されるべきである。これに対して、被告食品(二)に使用される米糠は、葉、茎、根等の固い部分ではないから、禾本科植物を原料とするものではない。

(二) 構成要件(2)について

否認する。

被告食品(二)は、水溶性リグニンを含有しない。

第二発明に係る明細書の「発明の詳細な説明」欄(二欄一九ないし二二行、同二六ないし二九行、三欄一一ないし二一行)の記載を斟酌すると、「水溶性リグニン」は、禾本科植物から抽出された水溶性リグニンを指すというべきである。これに対して、被告食品(二)は禾本科植物から得られる水溶性リグニンを使用していない。

原告主張に係る分析(甲一六)は、「リグニン」の検出結果に過ぎず、「水溶性リグニン」の含有が実証された訳ではない。

被告大和薬品提出の分析結果(丙二)によると、被告食品(二)からは、リグニンが検出されなかったことが実証されている。

(三) 構成要件(3)について

否認する。

第二発明に係る明細書の「発明の詳細な説明」欄(三欄五行以下)には、「ウイルスの核酸合成を阻止しているか、あるいは免疫系に働きウイルスを抗原として認識する能力を高める作用機序を有している」との記載があり、これを斟酌すると、「抗動物ウイルス剤」とは動物ウイルス自体に働きかけることを前提としており、免疫活性化自体を目的とするものを含まない。したがって、被告食品(二)は、「抗動物ウイルス剤」には該当しない。なお、広告宣伝物に記載があるだけでは、「抗動物ウイルス剤」に当たるとはいえない。

4  被告製造方法と第一発明Bとの対比

(原告の主張)

被告製造方法は、第一発明Bの構成要件をすべて充足する。

(一) 構成要件(4)について

被告製造方法には、菌糸を培養する工程において、菌糸体培養物に水系溶媒を加える抽出工程があるので、被告製造方法は、第一発明Bの構成要件(4)を充足する。

構成要件(4)における「抽出」は、有効成分を水系溶媒、具体的には水中に溶出させることと理解すべきである。例えば、第一発明に係る明細書の「発明の詳細な説明」四欄三七行以下には、「本発明の特徴とするところは、上記単子菌類に属する菌糸体を固体培地あるいは液体培地により培養したる後、菌糸体と培地とを分離することなく、これら菌糸体と培地との混合物から、つまり、菌糸体の代謝産物及び菌糸体に含有されている有効成分を抽出するものである」と記載されているように、右工程の目的は、有効成分を水中に溶出させることである。したがって、液体培養を行った場合に、その培養液を有効成分抽出のための水系溶媒として用いることが構成要件(4)の抽出工程に当たることは明らかである。

そして、被告アミノアップ化学は、菌糸体を大型タンク内で培養した上、抽出加工しているのであるから、水系溶媒を加えて有効成分を抽出するという工程と同様の工程を経ているといえる。

液体培地中の水に有効成分を溶出させることと、液体培地中の水にさらに水を加えて有効成分を溶出させることとでは、作用効果の面で何ら相違はなく、液体培地中の水を利用している点で構成上の相違はない。

(二) 構成要件(5)について

被告製造方法は、構成要件(5)を充足する。

すなわち、被告大和薬品が販売していた「レンチンゴールド」の商品パッケージに記載されている製法特許によれば、同被告は、「培養終了後、菌体と培養濾液を減圧濃縮する」方法により右製品を製造していたものと推認される。したがって、菌糸体培養物から抽出した有効成分を含有する抽出液を濾過する工程を経由したものといえる。

(三) 均等について

仮に、被告製造方法の構成(3)が、構成要件(5)を充足しないとしても、被告製造方法における「タンク内容物(生成物)を遠心分離機にかけて固形状部分を沈殿分離させて液体部分を取り出」すという方法は、「抽出液を濾過する工程」(第一発明Bの構成要件(5))と均等であるといえる。

すなわち、第一発明Bにおける本質的部分は、その菌と培養方法にあり、「濾過する工程」は、酵素反応させて有効成分を溶出させた液中から菌体等の不溶成分を除去して、有効成分が溶出した液体成分を得るだけの工程であり、第一発明Bの非本質的部分である。

「濾過」と「遠心分離」は、酵素反応させて有効成分を溶出させた液中から菌体等の不溶成分を除去して、有効成分が溶出した液体成分のみを得るという目的において同一であり、固・液分離の手段としての作用効果は同じであり、置換は可能である。

「濾過」と「遠心分離」の両手段とも、固・液分離手段として、この種の技術分野において昔から行われていた常套手段であり、当業者が本件のような健康食品を製造するに際し、両手段を置換することは容易に考えうることであり、置換は容易である。

第一発明Bは、特に「遠心分離」を意識的に除外していない。

以上のとおり、第一発明Bにおける「濾過する工程」は、被告製造方法における「遠心分離」と、固・液分離手段として均等である。

(被告アミノアップ化学の反論)

(一) 構成要件(4)について

否認する。

被告製造方法において、液体培地で培養した培養物に水系溶媒を加えて有効成分を抽出するという工程はない。

第一発明Bの明細書の「特許請求の範囲」には、菌糸の培養については、「固体培地または液体培地にて担子菌に属する菌糸を培養する工程」と記載され、固体培地を用いる培養とともに液体培地すなわち培養液を用いる培養(液体培養)をも挙げている。したがって、菌糸培養工程が液体培養の場合であっても、右工程により得られた菌糸体培養物に水系溶媒を加える工程を必須のものとしており、液体培地の培養液と、有効成分を抽出するための水系溶媒とは異なる工程における別個のものとして捉えている。実際にも、液体培地である培養液と、溶媒抽出で用いる水系溶媒とは、その目的、作用、効果は全く異なる別個のものといえる。液体培地の場合にその培養液を水系溶媒として代替するという記載はない。

(二) 構成要件(5)について

否認する。

被告アミノアップ化学は、「レンチンゴールド」を製造するに当たり、4(二)において原告が主張する製法特許を用いていない。被告製造方法は、酵素反応を行わせた後のタンク内容物を遠心分離機にかけて固形状部分を沈殿分離させて液体部分を取り出す方法であるから、濾過する工程を経由しない。

(三) 均等について

否認する。

第一発明Bにおける工程には、菌糸の培養工程と、水系溶媒を加えて有効成分を抽出する工程と、抽出液を濾過する工程の三つの工程があり、濾過する工程はそのうちの一つである。抗ウイルス剤を製造する方法の中で、濾過する工程は、他の二つの工程と同じように重要な工程であるから、濾過する工程が非本質的部分であるとはいえない。

「濾過」と「遠心分離」は固・液分離手段として一部重なる部分もあるが、分離の原理が根本的に異なり、その作用効果も異なるから、置換可能とはいえない。

第一発明Bの「抽出液を濾過する工程」を、「抽出液を遠心分離する工程」に置き換えた製造方法は、第一発明出願時既に公知であった。被告製造方法の遠心分離に置換した技術は、第一発明の出願時の公知技術と同一または当業者がこれから容易に推考できたものである。

5  損害額

(原告の主張)

被告アミノアップ化学の得た利益は、平成六年度が約二億三五〇〇万円、同七年度が約一億六二〇〇万円、同八年度が約一億九三七〇万円であり、そのうち少なくとも半額はAHCC関連商品の利益である。

被告大和薬品の得た利益は、平成六年度が約四〇〇万円、同七年度が約一二〇〇万円であり、そのうち少なくとも半額はAHCC関連商品の利益である。

被告らは、被告食品(一)、(二)の販売により、少なくとも、右と同額の利益を得たところ、同額をもって原告の受けた損害額というべきである。原告はこのうち、被告アミノアップ化学に対しては、その一部である一億円を、被告大和薬品に対しては、全額である一六〇〇万円を、それぞれ損害として請求する。

(被告らの反論)

原告の主張は争う。

第三争点に対する判断

一  争点1(被告食品(一)と第一発明Aとの対比)について

1  構成要件(2)について

被告食品(一)には、以下のとおり、「サイトカイニン系活性物質」が含まれないことが明らかである。

(一) 試験報告書(乙五ないし七)は、財団法人日本食品分析センターが実施したAHCC-FD(lot.s9802)、及びこれを主材とする被告アミノアップ化学の製品、「イムノエース」「イムノゴールドS」「イムノゴールドSS」「イムノゴールドC顆粒(一九九八年一月)」「イムノゴールドC(一九九五年一一月)」についての、液体クロマトグラフィー質量分析計による、サイトカイニン系活性物質(ゼアチン、ジヒドロゼアチン、ゼアチンリボサイド、イソペンテニルアデノシン、イソペンテニルアデニン)の分析試験の結果であるが、右のいずれの中からも、右各物質は検出されなかったとの結果が報告されており、右試験結果によれば、AHCC及びこれを主材とするイムノゴールド、イムノエース等の被告食品(一)にはサイトカイニン系活性物質が含まれていないことが明らかである。

右試験について、原告は、①本訴提起以前の被告製品(一)を検体として使用しているか明らかでない、②分析チャートがなく、結論を確認できないなどの点で疑問がある旨主張する。しかし、①については、本訴提起の前後を通じて同被告が被告製品(一)の組成成分や製法を変更したことを窺わせる証拠はないこと、②については、第三者機関である公的団体(食品衛生法等に基づく指定検査機関である財団法人日本食品分析センター)が実施した試験結果であり、分析チャートが添付されていないことが直ちに信憑性を左右するものとはいえないことなどから、原告の指摘は採用の限りでない。

(二) この点について、試験成績書(甲三五、三七)は、原告が実施した、被告大和薬品の製品「レンチンプラス一〇〇〇」及び株式会社笙嘉の製品「AHCCマイクロカプセル」についての、薄層クロマトグラフィー分析(TLC)によるサイトカイニン系活性物質の分析試験結果であるが、原告は、いずれの製品においても、サイトカイニン系活性物質であるゼアチンあるいはゼアチンリボシドに相当するスポットが認められたと主張する。

しかし、(実験で用いられている試料が被告アミノアップ化学の製品でないことはさておき)、甲三五の試験成績書中の展開溶媒(Ⅰ)、(Ⅱ)、(Ⅲ)の写真によれば、(1)「レンチンプラス一〇〇〇」については、ゼアチン、ゼアチンリボシドと同じ高さにスポットは存在しない、(2)「AHCCマイクロカプセル」については、展開溶媒(Ⅰ)、(Ⅱ)において、ゼアチンリボシドと同じ高さに、展開溶媒(Ⅲ)において、ゼアチンと同じ高さにスポットがあるように見えるがいずれも明瞭なスポットではなく、それ以外にゼアチン、ゼアチンリボシドに相当すると思われるスポットは一切見当たらないことが明らかである。薄層クロマトグラフィー(TLC)では、同じ物質が含まれているのであれば、どの展開溶媒を用いても同じ高さにスポットが生じるはずであるので、右試験により、「レンチンプラス一〇〇〇」、「AHCCマイクロカプセル」のいずれについてもゼアチン、ゼアチンリボシドが含まれているとすることは誤りであるといえる。なお、第一発明に係る明細書の「発明の詳細な説明」欄(五欄三九行目以下)において、サイトカイニン系活性物質の同定方法として、n-ブタノールによる抽出後、Dowex50-X4(陽イオン交換樹脂)による精製が行われ、SephadexLH-20カラムクロマトによる分離、ガスクロマトグラフィによる同定が行われ、さらに生物検定による活性の有無も確認されたと記載されているのと対比すると、原告の実施した試験方法(甲三五)は、n-ブタノールによる抽出操作を二回繰り返したものを、そのまま薄層クロマトグラフィー(TLC)による展開の試料として用いたもので、右方法とも異なることから、到底採用の限りではない。

その他、前記認定を覆すに足りる証拠はない。

以上によれば、被告食品(一)にサイトカイニン系活性物質が含まれているとはいえず、被告食品(一)は、第一発明Aの構成要件(2)を充足しない。

2  構成要件(3)について

被告食品(一)は、以下のとおり、「抗ウイルス剤」に該当しないので、第一発明Aの構成要件(3)を充足しない。

(一) まず、構成要件(3)における「抗ウイルス剤」の意義について検討する。

第一発明に係る明細書の「発明の詳細な説明」欄(三欄四二行ないし四欄一行)には、①抗ウイルス効果について「抗ウイルス物質が組織蛋白に接触し、蛋白質の変性をおこし、発病を誘起する前にウイルスを捕そくし、又不活性化する作用があると考えられる。」と記載されていること、②〔実施例1〕には、「抗ウイルス効果」の実験〔実験例1〕として、豚の腎臓細胞を宿主細胞として増殖させたインフルエンザウイルスA2型に、第一発明Aの抗ウイルス剤を加えたところ、高いウイルス抑制効果が確認された旨の記載があるが、右実験で使用された腎臓細胞には免疫をつかさどる細胞等はなく、免疫作用が認められないこと、③第一発明の出願に関するものではないが、原告は、特願平一ー五八五二二号「免疫活性化剤及びその製造法」の発明についての拒絶理由通知に対する意見書において、「抗ウイルス剤」には、免疫活性化剤や免疫反応を利用する製剤は含まないとの認識を有している旨記載していること、及び④第一発明出願当時(昭和五三年一二月二九日)における化学分野の一般的な意義(乙一一)等を総合すると、「抗ウイルス剤」は、ウイルスや腫瘍に対して、直接的に作用し、攻撃する、いわゆるウイルス感染による疾病を治療する化学療法剤を意味するものであって、免疫反応を利用する製剤は含まないと解するのが相当である。

(二) 他方、本件全証拠によるも、被告食品(一)には、ウイルスを直接攻撃する作用があることを認めるに足りる証拠はない。被告食品(一)は、せいぜい、免疫賦活作用(及び抗腫瘍作用)を有する健康食品である(争いはない。)

確かに、甲一一ないし一三、一五、一七ないし一九号証によれば、被告らが被告食品(一)について、抗ウイルス作用を有する商品であると宣伝していたことが認められるが、そのような宣伝方法が用いられたからといって、右認定を左右するものとはいえない。

よって、被告食品(一)は、第一発明Aの構成要件(3)を充足しない。

二  争点2(被告食品(一)と第二発明との対比)について

構成要件(2)についてについて検討する。本件全証拠によるも、被告食品(一)に、「水溶性リグニン」が含まれていることを認めることはできない。

1  まず、構成要件(2)における「水溶性リグニン」の意義について検討する。

「リグニン」自体は、本来水不溶性であること、第二発明に係る明細書中には、「水溶性リグニン」がいかなるものかについて記載がないことに照らすと、構成要件(2)における「水溶性リグニン」は、いかなる物質を指しているのか、また、その内容、性質がどのようなものであるか、さらに、どのような方法により測定が可能であるのかについては、必ずしも明らかではない。同明細書の「発明の詳細な説明」欄において、フェノール硫酸反応及びMAULE反応によって水溶性ポリフェノール(水溶性リグニン)を確認した旨の記載があるが、右記載についても、水溶性ポリフェノールを確認した趣旨か水溶性リグニンを確認した趣旨かすら明らかでない。

以上のとおり、内容、性質及び存否の確認方法が明確に示されていない「水溶性リグニン」に関して、被告食品(一)に含まれているか否かについて、分析試験により明らかにすることは意味がないといわざるを得ないが、一応、原告の実施した分析結果を検討する。

2  分析結果報告書(甲一六)は、原告が実施した、被告アミノアップ化学の製品「イムノゴールドS」、及び被告大和薬品の製品「レンチンプラス一〇〇〇」についての、アセチルブロマイド改良法によるリグニンの含有の分析試験結果であるが、原告は、右分析試験結果を根拠として、いずれの製品にも、リグニンが含有されている旨主張する。

しかし、右分析結果によって、被告食品(一)に「水溶性リグニン」が存在することを認めることはできない。すなわち、①第二発明において原料とするものは、禾本科植物であって、木材やパルプではないこと、②他方、右アセチルブロマイド改良法は、木材及び木材パルプにおけるリグニン定量のための分析方法であり、樹皮、葉部又は木本以外の植物(食品や飼料作物など)中のリグニンの定量のための分析方法ではないこと(甲三三、乙二三、三一、三二)、③被告食品(一)は、多糖類、蛋白質、脂質、ビタミン、ミネラル及び賦形剤を含有すること等の事実に照らすならば、木材やパルプ等の「リグニン」を分析する原告の実施した方法によって「リグニン」ないし「水溶性リグニン」を分析することができないことはいうまでもない。

また、試験成績表(甲二一、三四)は、農林水産省森林総合研究所が実施した、椎菌原末細粒、被告大和薬品の製品「レンチンプラス一〇〇〇」及び「AHCCマイクロカプセルSHOUKA CORPORATION 06057」についての、TAPPI公式分析法T222om-83及びTAPPI有用試験法1985bに準拠した方法による、クラーソンリグニン及び酸可溶性リグニンの定量分析の結果であるが、原告は、右分析結果を根拠として、いずれの製品にも、リグニンが含有する旨主張する(もっとも、クラーソンリグニン及び酸可溶性リグニンの合計量がリグニンの含有量とされている。)。

しかし、右分析結果によっても、被告食品(一)に「水溶性リグニン」が存在することを認めることはできない。すなわち、①試験成績表(丙三)は、農林水産省森林総合研究所が被告大和製薬の依頼によって追試した、同被告の製品「レンチンプラス一〇〇〇」についての、同様の方法による水溶性リグニンの分析結果であるが、これによれば、「リグニン」は含有されているが、リグニンは本来水不溶性であるので、試料中のリグニン様物質を測定したものであると注記されていること、②「TAPPI公式分析法T222om-83」は、木材、パルプに含有される酸不溶性リグニンの、「TAPPI有用試験法1985b」は木材、パルプに含有される酸可溶性リグニンの定量分析方法であって、水溶性リグニンの分析方法とはいえないこと(乙二九、三〇)に照らせば、試験成績表(甲二一、三四)により、被告食品(一)に水溶性リグニンが含まれていることを結論付けることは到底できない。

なお、甲七ないし一一号証によれば、被告食品(一)にリグニンを含有することが記載されているが、右記載によって、前記の判断を左右するものとはいえない。

三  争点3(被告食品(二)と第二発明との対比)について

二と同一の理由により、被告食品(二)は、第二発明の構成要件(2)を充足しない。

四  争点4(被告製造方法と第一発明Bとの対比)について

1  まず、第一発明に係る明細書(甲二の一)の「特許請求の範囲」第二項の記載によると、その記載のみからは、いかなる有効成分を抽出して、抗ウイルス剤の製造に用いるのかは明らかでない。

しかし、右明細書の「発明の詳細な説明」の一欄一一行ないし一六行には、「この発明は、椎茸など担子菌類に属する菌糸体培養物から抽出した多糖及びゼアチン関連物質を主とするサイトカイニン系活性物質の複合体を有効成分とし、かつ特定のフラクションに分画せずそのまま製剤化するようにした抗ウイルス剤及びその製造方法に関するものである。」と記載され、また、〔実施例1〕及び〔実施例2〕においても、多糖及びサイトカイニン系活性物質を分離、同定する工程が記載され、さらに、原告は、不明確な記載を明確にする趣旨であるとして、「特許請求の範囲」につき、「固体培地又は液体培地にて担子菌に属する菌糸を培養する工程と、前記工程により得られた菌糸体と培地との混合物に水系溶媒を加え、多糖及びゼアチン関連物質を主とするサイトカイニン系活性物質の複合体からなる有効成分を抽出する工程と、この抽出液を濾過する工程とからなる抗ウイルス剤の製造方法」に訂正する旨請求していることが認められる(甲二七)。右経緯を斟酌すると、第一発明Bは、第一発明Aの「担子菌の菌糸体培養物より得られる多糖及びゼアチン関連物質を主とするサイトカイニン系活性物質の複合体を有効成分とする抗ウイルス剤」の製造方法に関するものであると解するのが相当である。

2  右1を前提に、被告製造方法と第一発明Bとを対比する。

被告製造方法は、被告食品(一)の製造方法であることは原告と被告アミノアップ化学との間で争いがない。被告食品(一)が、第一発明Aの構成要件を充足しないことは、前記一で詳細に述べたとおりである。したがって、その余の点を判断するまでもなく、被告食品(一)の製造方法である被告製造方法が、第一発明Aの製造方法である第一発明Bの構成要件を充足する余地はない。

五  結論

以上のとおりであるから、原告の請求はいずれも理由がない。よって、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 飯村敏明 裁判官 八木貴美子 裁判官 石村智)

<以下省略>

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