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東京地方裁判所 平成9年(ワ)27663号 判決 1998年6月04日

原告

株式会社東京めいらく

右代表者代表取締役

日比孝吉

右訴訟代理人弁護士

青木達典

被告

株式会社エルビー

右代表者代表取締役

河原明

右訴訟代理人弁護士

安達一彦

上寺輝雄

被告

チゝヤス乳業株式会社

右代表者代表取締役

野村尊敬

右訴訟代理人弁護士

梶谷玄

井上裕明

被告

明治乳業株式会社

右代表者代表取締役

中山悠

右訴訟代理人弁護士

米津稜威雄

長嶋憲一

増田充俊

被告

株式会社コンフェクションわたなべ

右代表者代表取締役

渡辺兼美

右訴訟代理人弁護士

高橋久善

渡邊真也

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

一  原告の請求

東京地方裁判所が同庁平成九年(日)第四〇号配当手続事件につき作成した平成九年一二月一六日付配当表による各配当額を、それぞれ別紙配当目録記載の配当額と変更する。

二  争いのない事実

東京地方裁判所は、原告及び被告らを債権者、オオゼキ株式会社(オオゼキという。)を債務者、丸正チェーン商事株式会社(丸正という。)を第三債務者として丸正が供託した九八〇一万〇七五〇円(但、租税滞納分による差押の金額を差引いた残額)及び供託利息一九万六〇二〇円の合計金九八二〇万六七七〇円について、平成九年(日)第四〇号事件として、平成九年一二月一六日付で別紙配当表記載のとおりの配当表を作成し(本件配当事件という。)、原告は右の配当期日において右配当表に対し異議を申し立てた。

三  原告の主張及び当裁判所の判断

1  異議の理由

原告はオオゼキに対し平成八年九月二日から同年一〇月三一日までに一六三七万八八七二円相当の商品を同代金で売り渡し、オオゼキは丸正の各店舗に対し右商品を転売、納品したが、丸正が供託した供託金のうち一四三八万八八九三円はオオゼキの丸正に対する右商品の転売により発生した債権についてなされたものであるから、原告は、動産売買先取特権に基づく物上代位権により、右一四三八万八八九三円について優先弁済権を有する。

2  動産売買先取特権に基づく物上代位権を有する債権者は、債権差押事件について優先弁済権を受けるためには、その配当要求の終期までに担保権の存在を証する文書を執行裁判所に提出して先取特権に基づく配当要求をなす必要があるというべきところ、原告が本件配当事件において配当要求の終期までに執行裁判所に対し先取特権の存在を証する文書を提出して配当要求をなしたことを認めるに足りる証拠はない。

3  また、原告は以下のとおり主張する。すなわち、原告は、1項記載の事実に基づき、オオゼキに対して有する売掛代金の債権一六三七万八八七二円を被保全債権としてオオゼキの丸正に対する本件配当事件の供託がなされた債権を仮差押えし、その後、本件配当事件の配当要求の終期までに、1項記載の事実に基づき、原告のオオゼキに対する売掛代金債権のうち一四三八万八八九三円を被担保債権とする動産売買先取得権に基づく物上代位権の行使として、オオゼキが丸正に対して有する本件配当事件の供託がなされた債権のうち一四三八万八八九三円について、本件配当事件の執行裁判所に対し、動産売買先取特権に基づく物上代転権の行使として債権差押命令並びに点付命令を申し立て、右申立事件において先取特権の存在を証する文書を提出した旨を主張する。

確かに、動産売買先取特権に基づく物上代位権を有する債権者は、その配当要求の終期までに、担保権の存在を証する文書を提出して先取特権に基づく配当要求をなすほかに、これに準ずる先取特権行使の申し出をした場合も、前記配当要求をなしたという要件を充たすものというべきである。そして、物上代位の目的たる債権について仮差押えした後に、動産売買先取特権に基づく物上代位権の行使として債権差押命令並びに転付命令を申し立てた場合については、右申立事件において先取特権の存在を証する文書を提出しただけでは他の債権者がなした債権差押事件において先取特権に基づく配当要求をなしたことに準ずるというには足りず、物上代位権の行使としての債権差押命令が発令され、これが他の債権者がなした債権差押事件の配当要求の終期までに第三債務者に送達されることが必要というべきである。

しかるところ、証拠[丙一、二、二三ないし二六]によれば、原告は前記1項記載の事実を主張して動産売買先取特権に基づく物上代位権の行使として債権差押命令並びに転付命令を申し立てたが却下され、執行抗告も棄却されたことが認められる。したがって、第三債務者である丸正に対し右申立に基づく債権差押命令が送達されることはなかったから、原告において、本件配当事件について、配当要求に準ずる先取特権の行使の申出がなされたものということもできない。

4  以上のとおりであるから、その余の点を判断するまでもなく原告の請求は理由がないから棄却することとする。

(裁判官田中寿生)

別紙配当目録<省略>

別紙配当表<省略>

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