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東京地方裁判所 平成9年(ワ)27979号 判決 1998年12月09日

原告

松本まり子

被告

正田孝明

ほか一名

主文

一  被告らは、原告に対し、各自金八九万二二九四円及びこれに対する平成六年九月六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用は、一〇分の一を被告らの負担とし、その余を原告の負担とする。

四  この判決は、第一項について、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

被告らは、原告に対し、各自金一〇一五万八一五四円及びこれに対する平成六年九月六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

本件は、優先道路である広路と、一時停止標識が設置された狭路が交差する信号機の設置されていない交差点において、広路を直進してきた自動二輪車が、狭路を進行してきて停止した原動機付自転車に衝突した交通事故について、原動機付自転車の運転者が、自動二輪車の運転者に対しては民法七〇九条に基づき、その保有者に対しては、自賠法三条に基づき、損害賠償を求めた事案である。

一  前提となる事実

1  事故の発生

次の交通事故(以下「本件事故」という。)が発生した(争いがない)。

(一) 発生日時 平成六年九月六日午後六時四五分ころ

(二) 事故現場 埼玉県深谷市大字桜ケ丘二〇七番地先交差点

(三) 加害車両 被告正田が保有し、被告深町が運転していた自家用自動二輪車(熊谷も二七九四)

(四) 被害車両 原告が運転していた原動機付自転車(深谷市あ二〇七一)

(五) 事故態様 直進してきた加害車両が、左方から一時停止線を超えて停止していた被害車両の右側面に衝突した(被害車両が停止した位置及び衝突地点に争いがある。)。

2  原告の入通院の経過

原告(昭和一六年七月一〇日生、甲一)は、本件事故により、左脛腓骨骨折、左外傷性腓骨神経麻痺、頸椎捻挫の傷害を負い(争いがない)、次のとおり入通院した(甲三の1・2、四、弁論の全趣旨)。

(一) 医療法人桜ケ丘病院

入院 平成六年九月六日から平成七年二月一三日(合計一六一日)

通院 平成七年三月七日から平成七年四月二八日(実日数三日)

(二) 皆成病院

通院 平成七年二月一七日から平成八年九月四日(実日数二四八日)

3  責任原因

(一) 被告深町は、加害車両を運転するに際して過失があり(過失の内容については、争いがある。)、民法七〇九条により、原告の後記損害を賠償する責任がある。

(二) 被告正田は、加害車両を保有し、自己のため運行の用に供していたのであるから、自賠法三条により、原告の後記損害を賠償する責任がある。

4  損害のてん補

原告は、自賠責保険から三四四万円(争いがない)、労災保険から休業補償給付として一五一万五七六五円の支払を受けた(弁論の全趣旨)。

二  争点

1  被告深町の責任原因及び原告の過失相殺

(一) 原告の主張

被害車両は、加害車両の走行車線より手前で停止していたところ、加害車両が急ブレーキをかけながら、被害車両に衝突してきた。被告深町は、加害車両を運転するに際し、前方を注視して運転する注意義務があるのに、これを怠り、被害車両を発見して急ブレーキをかけ、本件事故を発生させた過失がある。

仮に、被害車両が加害車両の走行車線に入って停止していたとしても、被告深町は、速度制限を超過する速度で、かつ、約二七メートル手前まで接近して初めて被害車両を発見した。そして、衝突回避が容易であったにもかかわらず、停止していた被害車両が再発進して通過するものと軽卒に判断し、漫然と直進を続けて被害車両と衝突した過失がある。したがって、被告深町の過失は極めて重大である。

(二) 被告の反論

加害車両の速度は、時速四〇キロメートルから五〇キロメートルであり、速度制限をせいぜい一〇キロメートル超過したにすぎない。被告深町に前方不注視があったことは否定できないが、より大きく手前で原告を発見することは不可能であった。仮に、大きく手前で原告を発見することができたとしても、むしろ、速やかに移動して進路を開けなかった原告の過失の方が重大である。さらに、被害車両の左側には通過する余地が残っておらず、右側も、被害車両が直ちに発進する可能性を考えると、通過することは不可能であったといえる。このような事情に照らすと、原告と被告深町の本件事故に寄与した過失割合は、原告が八割、被告深町が二割とするのが相当である。

2  各損害額

第三争点に対する判断

一  被告深町の責任原因及び原告の過失相殺(争点1)

1  前提となる事実及び証拠(甲六、七、乙一~三、五、原告本人、被告深町本人)によれば、本件事故の態様について、次の事実が認められる。

(一) 事故現場は、国道一七号線方面(北東方向)から秩父川本方面(南西方向)に走る中央線の引かれた平坦なアスファルト舗装道路(以下「本件広路」という。)に、上柴町方面(東南方向)への中央線のない平坦なアスファルト舗装道路(以下「本件狭路」という。)と、萱場方面(北西方面)への道路がそれぞれ交わる変形交差点である。萱場方面の道路は、本件狭路よりもやや西側で本件広路と交わっており、信号機は設置されていない。本件広路は、事故現場から北東方向へ約八〇キロメートルの地点までは直線道路であるが、そこからは北方向へカーブしている。

本件広路は、車道の幅員が九メートルで、両側に幅員一・五メートルの路側帯があり、車両通行部分との間に白線(以下「本件白線」という。)が引かれ、最高速度が時速四〇キロメートルに制限されている。路側帯の南側には、幅員二メートルの植え込みがあり、さらにその外側に幅員二メートルの歩道があって、その外側線に沿って高さ一・五メートルの金網フェンスが設置されている。本件狭路は、車道の幅員が約五メートル前後であり、この金網フェンスを本件狭路上に延長した付近には一時停止線が引かれている。本件狭路から本件広路への入口左側植え込み付近には一時停止標識が設置されている。

本件狭路から本件広路に出る際、植え込みが存在するために右方の見通しは悪い。本件広路は、直線部分になると、前方の見通しは良い。

(二) 被告深町は、平成六年九月六日午後六時四五分ころ、加害車両(排気量四〇〇CC)を運転し、ライトを点灯させた上、本件広路を時速五〇キロメートルほどで国道一七号線方面から事故現場の方向へカーブを曲がった。他方、原告は、被害車両(排気量五〇CC)をライトを点灯させて運転し、本件狭路を上柴町方面から進行して本件広路を横断しようとした。原告は、本件狭路の一時停止線に従って一時停止し、徐行速度で左右を確認しながら本件交差点に進入したが、数十メートル(少なくとも約三〇メートルよりは先の地点であるが、約八〇メートルまではない。)先の右方から進行して来る加害車両を発見したため、被害車両全体が、加害車両が進行して来る車線上に入った状態で停止した。

被告深町は、約三〇メートルに接近した地点で、停止している被害車両を発見したが、被害車両が動き出すと、かえって衝突してしまうおそれがあると考え、エンジンブレーキをかけただけでそのまま進行した。ところが、一〇メートル弱の距離まで接近しても被害車両が動く気配がなかったため、急ブレーキをかけてハンドルを左に切った。しかし、若干左に寄っていったもののスリップして直進し、被害車両の右側面に衝突した。その結果、被害車両は、その場で左側に転倒し、加害車両も、そのまま右側に倒れた。

2(一)  この認定事実に対し、原告本人は、次のとおり主張する。即ち、本件狭路の一時停止線で右方を確認したが、見通しが悪かったので、少し進んでもう一度停止した。ところが、ここも見通しが悪く、さらに進んで右方を確認したところ、加害車両を発見したので、本件白線の延長線内に停止した。加害車両は、ここで停止していた被害車両に衝突した。

しかし、次の理由により、原告本人の供述は採用できない。

まず、原告本人の供述によれば、加害車両は、被害車両が走行車線上に進入していないのに、わざわざ急ブレーキをかけて走行車線外の被害車両の方に向かっていったことになるが、これが不自然であることは否定できない。もっとも、走行車線の手前で停止している被害車両を、交差点内に進入しようとしていると誤解したとすれば、急ブレーキをかけることも考えられないではない。しかし、直前で初めて被害車両を発見したのであればともかく、被告深町は、急ブレーキをかける前に被害車両に気づいてエンジンブレーキをかけているのであるから(直前で急ブレーキをかけたにもかかわらず、被害車両がその場で倒れたにとどまったのは、原告本人も自認しており、そうとすれば、急ブレーキをかけた時点で加害車両の速度が落ちてきていたと認めることができる。このことは、被害車両に気づいて、まず、エンジンブレーキをかけた旨の被告深町本人の供述を裏付けるものである。)、減速して直前まで接近していながら、走行車線の手前で停止している被害車両を、交差点に進入しようとしているものと誤解するとはまず考えにくい。

また、原告本人の供述内容は、一時停止線の場所が、見通しが悪いとの理由で少し進行しながら、再び見通しが悪い場所で停止したというもので、これ自体不自然である。

さらに、原告は、本件事故後まもなくである平成六年九月一八日、被告正田が契約していた東京海上火災保険株式会社が調査を依頼した株式会社審調社の調査に対し、一時停止線の所で左右を確認し、走行車両がなかったので交差点に進入したところ、ものすごい速度で走行してくる加害車両を発見して停止したとして、最終的に停止するまで一度しか停止していない旨の説明をしており(乙一)、原告本人の供述は、停止の回数という重要な点でこの説明とも合致していない。もっとも、原告は、平成七年四月、原告が調査を依頼した株式会社トゥルージジャパンの調査に対しては、最終的に停止するまでに二度停止したと説明しているものの、二度目に停止したときには右方を確認し、走行車両はなかったと説明しており(乙二)、やはり、原告本人の供述内容と異なっている。原告本人は、このトゥルージジャパンの調査の前に、原告が契約していた保険会社が調査会社に調査を依頼したが、この結果を知らないとも供述している。しかし、この結果を知らずして、わざわざ自らトゥルージジャパンに調査を依頼するとは考えにくく、そうだとすれば、むしろ、原告が契約していた保険会社の調査結果も、原告本人の供述内容とは異なる内容であった可能性が高いと推測できる。

加えて、事故現場の手前付近に加害車両のものと思われるスリップ痕が残存していたが(乙一、二、五、原告本人、被告深町本人)、原告が依頼したトゥルージジャパンの調査結果においても、それは、被告深町の走行車線内に残存していたとされている。(乙二)。

このように、原告本人の供述内容は、看過できない不自然な部分がある上、調査会社による事故後の調査結果や現場に残存した客観的痕跡に合致しないなどの疑問が多く、採用できない(停止回数や停止位置において、原告本人の供述に沿うトゥルージジャパンの調査結果における原告の説明も同様に採用できない。)。

(二)  被告深町本人は、一の(二)の認定に沿う供述をしているところ、原告は、この供述につき、被告深町は、衝突地点は、本件狭路の中央の延長上よりも国道一七号線寄り(北東寄り)の地点であると説明しているが、原告は、逆方向にやや寄った萱場方面への道路へ直進する予定であったのであるから、衝突地点がそのような北東寄りの地点になるはずがなく、被告深町本人の供述及びそれに沿う証拠(甲七と、乙一及び乙二の深町説明部分、乙五)は全体として信用できないかのように主張する。

たしかに、衝突地点について、被告深町本人は一貫して、そのように説明しており(甲七、乙一、二、五、被告深町本人)、原告の予定進路についても、それに沿う証拠(乙二、原告本人)もある。しかし、原告本人が、萱場方面への道路へ直進する予定であったか否かは、必ずしも断定できない(被告深町本人は、被害車両のウインカーが出ていなかったことを自認しており、このことは、原告が直進する予定であったことを裏付ける有力な事情である。しかし、被告深町は、原告を見舞った際、原告から、どちらに行こうかと迷っていたと聞いたとも供述しており、その可能性も捨てきれない。)。のみならず、真実の衝突地点が、秩父川本方面寄り(南西寄り)の地点であったとしても、国道一七号線方面から進行してきた被告深町にとっては、若干の前後差の問題であるから、被害車両が停車していたのが被告深町の走行車線上であったか否かの問題とは異なり、その程度の相異があったからといって、先のとおりの問題点のある原告本人の供述及びそれに沿う証拠の内容と比較すれば、当然に信用性に問題があるとまではいえない。

(三)  さらに、原告は、事故現場の約八〇メートル先に加害車両を発見したと供述するが、それほど先の地点に発見したのであれば、被害車両は、むしろ、横断してしまう可能性が高いと思われるから、ただちに採用できない。

3  1で認定した事実によれば、被告深町は、若干の速度違反に加えて前方注視を怠ったため、夜間とはいえ、見通しが良いにもかかわらず、約三〇メートルに接近するまで被害車両を発見できなかった。また、原告車両がそのまま進行するものと安易に考え、漫然とエンジンブレーキをかけてそのまま進行したため、ブレーキをかけるなどの適切な対応が遅れた。これらの点に過失があるということができる。

他方、原告も、右方の安全の確認を十分行うことなく、交差点に進入し、加害車両に気づくと同時に走行車線上に停止し、加害車両の進行を妨害した過失があるということができる。

これらの過失の内容、事故の態様、車両の大きさの差異による危険の程度の相異などの事情を総合すると(被害車両が明らかに先入し、出会い頭に衝突していないので、本件広路が道路交通法上の優先道路であることを、ことさらに重視するのは相当でないが、さりとて、この点を無視することはできず、原告が、走行車線を妨害する形で停止し、かつ、そのままの状態でいたことは、重大な過失といわざるを得ない。他方、被害車両が先入していたゆえに、これを発見して回避行動を行うことはそれほど困難であったとはいえないにもかかわらず、その発見が遅れた上、発見後も、漫然とエンジンブレーキをかけたのみで適切な回避行動を怠ったために衝突を回避できなくなったとの点で、被告深町の過失も、相当程度に重視せざるを得ない。)、本件事故に寄与した原告と被告深町の過失割合は、原告が五五パーセント、被告深町が四五パーセントとするのが相当である。

二  損害額(争点2)

1  入院雑費(請求額二〇万九三〇〇円) 二〇万九三〇〇円

原告は、桜ケ丘病院に合計一六一日入院したから、入院雑費としては、一日あたり一三〇〇円の一六一日分で、二〇万九三〇〇円を相当と認める。

2  付添看護料(請求額八〇万一三一四円) 認められない

本件全証拠によっても、誰が、どの程度の期間にわたって付添看護したのか、また、桜ケ丘病院が完全看護か否か、完全看護であったとした場合、医師から付添の指示があったか否かのいずれかについても、これを認めるに足りる証拠がない。

3  休業損害(請求額五三三万五一〇四円) 四七三万五九三五円

前提となる事実、証拠(甲五の1・2、六、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実を認めることができる。

原告は、本件事故当時五三歳であり、主婦業をするとともに、株式会社新堀新聞店で、原動機付自転車に乗って新聞購読料の集金をしており、本件事故直前の平成六年六月から八月までの三か月間に、平均して七万八一五三円の収入を得ていた。原告は、本件事故により、平成六年九月六日から平成八年四月一九日までの五九二日間、新堀新聞店を欠勤し、同年四月二〇日から復職した。

この認定事実によれば、原告は、平成六年賃金センサス女子労働者・産業計・企業規模計・学歴計の全年齢平均収入である年間三二四万四四〇〇円に相当する労働をしていたものということができる。そして、原告が主張する平成六年九月六日から平成八年四月一九日まで五九二日間の休業期間のうち、入院期間が一六一日ある上、平成八年九月四日までの実通院日数が二五一日あることからして実通院日数も相当日数に上るものと推定できること、後記のとおり、最終的に自賠法施行令二条別表第一二級一二号に該当する後遺障害が残存したこと、原告の労働には主婦業が含まれていることを併せて考えると、右の五九二日間については、平均して九〇パーセントの限度で労働能力に制約を受けたと判断するのが相当である。これを前提に原告の休業損害を算定すると、四七三万五九三五円(一円未満切り捨て)となる。

3,244,400×0.9×592/365=4,735,935

4  逸失利益(請求額二六六万八二〇一円) 二六二万八二三〇円

証拠(甲四、六、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、他覚症状として、左下肢全体の筋萎縮、左膝関節の軽度外反変形(約一五度)、若干の可動域制限(健側と比較して、屈曲において五度、伸展において一〇度)、左膝部の手術痕(約二〇センチメートルほどの半円と五センチメートルほどの直線)が残存するとともに、左膝の痛みなどの自覚症状も残存し、平成八年九月四日に症状固定の診断を受けた。これにより、原告は、左膝を動かすたびに痛みを伴い、膝から下が突っ張ったような感じになることがあって、早く歩いたり、重い物を持ったり、足を踏ん張ったりすることができない。また、勤務する新堀新聞店においても、現在では、徒歩や自転車で近所の集金を行うのみで、他には事務を手伝っている。原告のこの後遺障害は、自動車保険料率算定会調査事務所において、自賠法施行令二条別表第一二級一二号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」に該当するとの認定を受けた。

この認定事業に、原告が主婦業も行っていることを併せて考えると、原告は、本件事故により、症状固定時である五五歳から六二歳までの七年間にわたって一四パーセントの限度で労働能力を喪失したと認めるのが相当である。

したがって、原告が主張する年間三二四万四四〇〇円(平成八年賃金センサス女子労働者・産業計・企業規模計・学歴計の全年齢平均収入である年間三三五万一五〇〇円を上回らない額)を基礎収入とし、ライプニッツ方式(係数五・七八六三)により中間利息を控除すると、二六二万八二三〇円(一円未満切り捨て)となる。

3,244,400×0.14×5.7863=2,628,230

5  慰謝料(請求額五二〇万円) 五二〇万円

原告の負傷内容、入通院の経過、後遺障害の内容及び程度などの一切の事情を総合すると、原告の慰謝料としては、五二〇万円を相当と認める。

6  過失相殺及び損害のてん補

1ないし5の損害総額一二七七万三四六五円(なお、治療費がすべて労災から支払われていることを、原告は自認するが、被告は、具体的な金額を主張しないので、これは加えない。)から、原告の過失割合である五五パーセントに相当する金額を減ずると、原告の過失相殺後の金額は、五七四万八〇五九円となる。

この金額から、原告が支払を受けた四九五万五七六五円を控除すると、原告の損害残額は、七九万二二九四円となる。

7  弁護士費用(請求額九〇万円) 一〇万円

審理の経過、認容額などの事情に照らすと、本件事故と相当因果関係のある弁護士費用としては、一〇万円を相当と認める。

第四結論

以上によれば、原告の請求は、不法行為に基づく損害金として八九万二二九四円及びこれに対する平成六年九月六日(不法行為の日)から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。

(裁判官 山崎秀尚)

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