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東京地方裁判所 平成9年(特わ)3528号

主文

被告人株式会社エス・ビー・エスを罰金三三〇〇万円に、被告人佐口廣生を懲役一年六月に処する。

被告人佐口廣生に対し、この裁判が確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社エス・ビー・エス(以下「被告会社」という)は、東京都品川区南品川二丁目二番五号(平成九年六月一日以前は、東京都品川区小山六丁目一番六号)に本店を置き、化粧品等販売及びエステティックサロンの経営を目的とする資本金一〇〇〇万円(平成八年三月一八日以前は七五〇万円、平成七年九月二九日以前は三〇〇万円)の株式会社、被告人佐口廣生(以下「被告人」という)は、被告会社の代表取締役として、被告会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  平成四年八月一日から平成五年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が七四四六万〇九八四円(別紙1の1の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成五年九月二九日、東京都品川区中延一丁目一番五号所轄荏原税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一四六万五四五四円で、これに対する法人税額が四〇万六四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成一〇年押第二一七号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額二七一五万八七〇〇円と右申告税額との差額二六七五万二三〇〇円(別紙2のほ脱税額計算書参照)を免れた

第二  平成五年八月一日から平成六年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億〇四五三万五一二五円(別紙1の2の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成六年九月二七日、前記荏原税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四四八万二九二〇円で、これに対する法人税額が一二三万九二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額三八四二万四八〇〇円と右申告税額との差額三七一八万五六〇〇円(別紙2のほ脱税額計算書参照)を免れた

第三  平成六年八月一日から平成七年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億八七九六万九九九六円(別紙1の3の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成七年九月二六日、前記荏原税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三九六万七九九五円で、これに対する法人税額が一一〇万四五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の3)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額六九七二万二一〇〇円と右申告税額との差額六八六一万七六〇〇円(別紙2のほ脱税額計算書参照)を免れた

ものである。

(証拠の標目)

括弧内の甲乙の番号は証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す。

判示事実について

1  被告人の公判供述、検察官調書七通(乙二ないし六、八、九)及び大蔵事務官に対する質問てん末書(乙一三)

2  被告人作成の申述書(乙一二)

3  検察事務官作成の捜査報告書(売上高)(甲一)

4  大蔵事務官作成の給料手当調査書(甲三)、福利厚生費調査書(甲六)、旅費交通費調査書(甲七)、荷造運賃費調査書(甲一〇)、広告宣伝費調査書(甲一一)、交際費調査書(甲一二)、水道光熱費調査書(甲一三)、租税公課調査書(甲一五)、支払手数料調査書(甲一六)、諸会費調査書(甲一七)、賃借料調査書(甲一八)、保険料調査書(甲一九)、事務用品費調査書(甲二一)、地代家賃調査書(甲二二)、雑費調査書(甲二四)、受取利息調査書(甲二六)、及び損金の額に算入した道府県民税利子割調査書(甲二八)

5  大蔵事務官作成の領置てん末書(甲三五)

6  東京法務局品川出張所登記官作成の商業登記簿謄本(乙一〇)

判示第一、第二の事実について

1  大蔵事務官作成の賞与調査書(甲四)

判示第一、第三の事実について

1  大蔵事務官作成の通信費調査書(甲八)

判示第一の事実について

1  大蔵事務官作成の仕入高調査書(甲二)、販売手数料調査書(甲九)、保証金償却調査書(甲二三)、及び雑収入調査書(甲二七)

2  押収してある法人税確定申告書一袋(平成一〇年押第二一七号の1)

判示第二、第三の事実について

1  被告人の検察官調書(乙七)

2  検察事務官作成の捜査報告書(事業税認定損)(甲三〇)

3  大蔵事務官作成の修繕費調査書(甲二〇)、営業権収入調査書(甲二五)、及び事業税認定損調査書(甲三一)

判示第二の事実について

1  押収してある法人税確定申告書一袋(同押号の2)

判示第三の事実について

1  大蔵事務官作成の雑給調査書(甲五)、消耗品費調査書(甲一四)及び交際費等の損金不算入額調査書(甲二九)

2  押収してある法人税確定申告書一袋(同押号の3)

(法令の適用)

罰条

被告会社につき 判示各事実につき、いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項(情状による)

被告人につき 判示各所為につき、いずれも法人税法一五九条一項

刑種の選択

被告人につき いずれも懲役刑

併合罪の処理

被告会社につき 刑法四五条前段、四八条二項

被告人につき 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重)

刑の執行猶予

被告人につき 刑法二五条一項

※ なお、右の刑法四五条等の適用は、平成七年法律第九一号附則二条二項、三項によるものである。

(量刑の理由)

本件は被告人が経営する化粧品等販売及びエステティックサロンの経営を目的とする被告会社が三事業年度にわたり合計一億三二〇〇万円あまりの法人税を免れた事案である。ほ脱額は少なくなく、ほ脱率も平均約九八パーセントと高率である。その手口は、被告会社の直営店舗を別の独立した事業主体であるかのごとく装って売上除外するなどして所得を秘匿するというものであり、また、本件により留保された簿外資金の一部は、被告人が過去に別会社を倒産させた際の借金や被告会社の幹部の個人的な借金の返済資金、被告人の実家の居宅新築費、被告人の長女の結婚準備金等の私的な用途に充てられており、犯行態様悪質である。本件の動機につき、被告人は、顧客と係争があった場合の前受金の払戻し等に備えるなど被告会社維持のための資金を蓄えることも目的であった旨供述しているが、これも格別斟酌するに値しないものである。これらの点からすると、被告人及び被告会社の刑事責任は到底軽視できるものではない。

しかし、被告会社は、その後修正申告の上本税その他を完納済みである上、顧問税理士による税務指導を受けるなど経営健全化のための方策がとられており、被告人は、本件犯行を認め反省の態度を示しており、被告人及び被告会社にいずれも前科がないことなど、被告人及び被告会社のために酌むべき事情も存するので、以上の諸事情を総合考慮し、主文の刑が相当と判断した(求刑 被告会社・罰金四〇〇〇万円、被告人・懲役一年六月)。

(検察官東弘、私選弁護人伊礼勇吉、同山田勝一郎各出席)

(裁判官 保坂直樹)

別紙1の1

修正損益計算書

自 平成4年8月1日

至 平成5年7月31日

株式会社エス・ビー・エス

<省略>

別紙1の2

修正損益計算書

自 平成5年8月1日

至 平成6年7月31日

株式会社エス・ビー・エス

<省略>

別紙1の3

修正損益計算書

自 平成6年8月1日

至 平成7年7月31日

株式会社エス・ビー・エス

<省略>

別紙2

ほ脱税額計算書

自 平成4年8月1日

至 平成5年7月31日

株式会社エス・ビー・エス

<省略>

ほ脱税額計算書

自 平成5年8月1日

至 平成6年7月31日

株式会社エス・ビー・エス

<省略>

ほ脱税額計算書

自 平成6年8月1日

至 平成7年7月31日

株式会社エス・ビー・エス

<省略>

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