東京地方裁判所 昭和24年(ヨ)2836号 判決
申請人 伊藤正吉 外四名
被申請人 山口寛治 外十三名
一、主 文
申請人等の本件仮処分申請はこれを却下する。
訴訟費用は申請人等の連帯責任とする。
二、申請の趣旨
申請人等代理人は「本案判決確定に至るまで、被申請人山口寛治は全逓労働組合の中央執行委員長の、被申請人高原晋一及び同村山永喜は同組合の副執行委員長の、被申請人浜武司は同組合の書記長の、被申請人福田静男は同組合の財政局長の、その余の被申請人等は同組合の中央執行委員の各職務を執行してはならない、右職務停止期間中裁判所の選任する代行者をして右各職務を執行せしめる。被申請人等は右各代行者の職務執行を妨害してはならない。被申請人福田静男は同組合の会計に関する帳簿その他の書類及び物件一切をその代行者に引渡さなければならない」との判決を求める。
三、事 実
その申請の理由として、申請人等は全逓信労働組合(以下全逓労組と略称する)の組合員で会計監査の任にあり、被申請人等はもと同じく組合員で且つ、被申請人山口はその中央執行委員長、同高原及び村山はその副執行委員長、その他の被申請人等はその中央執行委員であつたが、被申請人等は昭和二十四年八月十二日附を以て行政機関職員定員法に基き、郵政省または電気通信省よりそれぞれ解雇せられ逓信従業員たる身分を失つた。しかして右全逓労組の組合規約第五条には「この組合は逓信従業員ならびに次の者で組織する。但し管理者の地位にあるものを除く。(1)組合および本人の意に反して従業員の身分を剥奪されたもの、(2)組合員であつたもので犧牲者扶助規程の適用を受けているもの」とあり、同第四十五条には「組合員の資格は逓信従業員の身分を得た時に始まり、失つた時に終る但し逓信従業員でないものの加入脱退は中央執行委員会の承認を受けなければならない。」とあり、更に同第四十二条は役員は組合員の中から選任する旨を規定しているから、被申請人等は逓信従業員たる身分を失うと同時に、組合員及び組合役員たる資格をも失つたものである。しかるに被申請人山口は依然組合の中央執行委員長の地位にありとして昭和二十四年十月下旬組合の第八囘全国大会を東京に招集し、同大会においては被申請人山口を中央執行委員長に同高原及び村山を副執行委員長に、同浜を書記長に同福田を財政局長に、その余の被申請人等を中央執行委員にそれぞれ選任する旨の決議をなし、爾来被申請人等はそれぞれ組合役員としての職務を執行している。しかし右全国大会は招集権限のない被申請人山口が招集したものであり、出席した代議員も前記行政整理の際に解雇されて組合員の資格を失つたものが多数を占めているから右決議は無効であつて被申請人等は組合の役員たる資格を有しないものというべきである。
そこで申請人等は組合及び被申請人等に対し被申請人等の組合役員資格不存在確認の訴を提起しようとしてその準備中であるが、被申請人等は昭和二十四年九月十七日会計監査たる申請人等の会計監査の申入を拒絶し、組合財産の不正処分をなすおそれがあるから、すみやかに適法な全国大会を招集して役員の選任、組合財産の処置等を決定しなければならない緊急の必要があり、本案判決の確定を待つていては組合員全員のため著しい損害を生ずることが明らかであるから、被申請人等の組合役員としての職務の執行停止代行者選任等の仮処分命令を求めるため本件申請に及ぶ次第である。と述べ、
被申請人等の本案前の抗弁に対し、
(1) 抗弁(二)の(イ)について、
申請人等は全逓労組を脱退したことはない。申請人等はただ全逓労組の運営その他運動方針等につき申請人等と意見を異にする反対派組合員等と別行動を取つたまでに過ぎない。しかも申請人等は昭和二十四年十月熱海市において開かれた全逓労組の第八囘全国大会においては役員に選任されている。なお右全国大会においては組合の名称を全逓信従業員組合と改称し、その後組合は右名称で人事院に登録を了したが、申請人等はいわゆる第二組合を結成したものではなく、終始全逓労組の組合員として組合内部において行動してきたものであり、右全国大会の開催及び人事院への登録等は組合の全国大会の招集権者である中央執行委員長を欠く現在における非常手段として将来適法な全国大会において追認を受ける意図の下になされたに過ぎない。
次に仮りに全逓信従業員組合(以下全逓従組と略称する)と全逓労組とを別個の団体と観念し得るとすればそれは全逓労組が昭和二十四年九月一日までに人事院に登録をしなかつたため人事院規則一四――二7項により法人格を喪失し清算法人となつたものとの想定に立つてはじめて成り立ち得ることであり、この場合においては全逓労組はもはや清算の目的の範囲内においてのみ存続するに過ぎないから、申請人等が同時に右両組合の組合員たる資格を兼ねてもなんら矛盾なく、従つて申請人等が全逓従組を結成したことによつて清算法人たる全逓労組の組合員たる地位を当然に失うことはあり得ない。しかるに被申請人等は全逓労組が清算法人であるにも拘らず清算手続以外の活動をしており、清算手続をなす意思がないのであるから、仮りに被申請人等がその主張するように前記解雇によつて組合員たる資格を失わないとしても、申請人等はその清算手続を遂行するため、全逓労組が清算法人であることの確認を求める訴を本案として本件仮処分を申請する必要がある。
(2) 同(二)の(ロ)について
被申請人等の主張する除名の決議は無効である。すなわち被申請人等がその主張するよう全国大会において申請人等を除名したとしても、右大会は前述のような瑕疵があり適法に成立したものでないからその決議は無効である。
(3) 同(二)の(ハ)について
申請人等は会計監査の任期が満了しても未だ適法に選任された後任者がないから依然組合の会計監査としての権限を有するものである。
(4) 同(三)について
被申請人等は本件仮処分申請の相手方としての当事者適格を有するものである。なんとなれば仮処分の相手方は仮処分の必要性によつて定まるものであり、たとい本案訴訟が固有必要的共同訴訟の場合であつてもその被告全部を被申請人とする必要はないからであつて、本件の如き場合においては被申請人等のみを相手方としても仮処分の目的を達し得るのであるから、組合を被申請人に加える必要はない。また仮処分の効力が第三者に及ぶのはその性質上当然であるから本件仮処分が組合を拘束することは組合を被申請人に加えなければならない理由とはならない。
と述べ、
被申請人等の本案に関する主張に対し、仮りに昭和二十三年政令第二百一号違反事件に連坐して従業員たる身分を失つた組合員が特別に再加入等の手続を経ないで、そのまま組合員として取扱われている事実があつたとしても、それは当時組合員の加入脱退が放漫に行われていた結果であつても少くとも当該事案としては中央執行委員会の默示の承認があつたものと解すべきであるから、右事実は組合員が解雇されても当然には組合員たる資格を失わないという規約解釈の根拠たり得るものではないと述べた。
(疎明省略)
被申請人等代理人は主文第一項同旨の判決を求め、
本案前の抗弁として
(一) 仮処分の裁判は形成的な効果を有し多分に行政処分的色彩を有するから、労働組合内部の運営に関して仮処分をなすことは国家が司法機関の名において労働組合の自主的な運営に干渉し、その自主的な発展を阻害し、以て勤労者の団結権を侵害することになる故憲法第二十八条に違反し許されない。
(二) 申請人等は本件仮処分申請について当事者適格を有しない。すなわち、(イ)申請人等はもと、全逓労組の組合員で且つ会計監査であつたが昭和二十四年九月二十日組合より脱退し、同年十月二十四日別に全逓従組を結成し、同年十一月十二日人事院にその登録を了し、現に全逓従組の役員に就任しているものである。(ロ)仮りに右脱退の事実が認められないとしても申請人等は被申請人等の開催した第八囘全国大会の決議により同年十月二十八日除名され現在全逓労組とはなんら関係のないものである。(ハ)また仮りに右除名の効力が認められないとしても、申請人等が会計監査に選任されたのは昭和二十三年十一月中であつて組合規約第四十二条第一号によれば役員の任期は一年であるから、その任期は既に満了し申請人等は現在会計監査としての権限を有しないものである。従つて申請人等が仮りに組合員であるとしても、単なる組合員では被申請人等及び組合に対して被申請人等の組合役員資格不存在確認を求める法律上の利益を有しないから本件申請の申請人たり得ないものである。
(三) 被申請人等のみでは本件申請の相手方としての当事者適格がない。すなわち本件申請の本案訴訟は被申請人等の組合役員資格不存在確認を求めるにあるのであるから組合及び被申請人等を被告とする固有必要的共同訴訟であり、且つ本件仮処分は当然組合をも拘束するものであるから、本件申請には組合をも被申請人に加えるべきであるに拘らずこれを欠き被申請人等のみを相手方とした本件申請は失当である。
と述べ、
右本案前の抗弁(二)の(イ)に対する申請人等の主張中全逓労組が清算法人になつたとの点は、組合は法人格を失うことにより当然解散するものではないから失当であると述べ、
本案の答弁として、
申請人等主張の事実中組合規約第五条及び第四十五条の文言が申請人等主張の如くであること、同第四十二条に申請人等主張のような趣旨の規定が存すること、被申請人等が全逓労組の組合員で且つもと申請人等主張のような組合役員であり、昭和二十四年八月の行政整理に際し申請人等主張のような解雇の通知を受け、更に同年十月下旬被申請人等が開催した第八囘全国大会において夫々申請人等主張のような役員に選任され、その職務を執行中であること、及び申請人等よりその主張のような会計監査の申入があり、被申請人等がこれを拒否したことは認めるが、仮処分の必要に関する申請人等主張の事実は否認する。組合規約第五条及び第四十五条は昭和二十三年六月の第五囘全国大会で旧規約第二条及び第三十四条がそれぞれ改正されたものであるが、その改正草案第五条第一号には「組合が雇用するもの」とあり、これに対応して第四十五条但書が出来たのであつて、右草案第五条第一号が右大会において削除された結果第四十五条但書も当然削除さるべきであつたのにそのまま削除されずに通過したのに過ぎないのである。従つて、右但書は現在無意味な規定であり、実際の運用においても、昭和二十三年政令第二百一号に違反して逓信従業員の身分を失つたものも当然組合員として取扱われ、中央執行委員会の承認を得て再加入する手続はとられなかつたのであつて、右各条文は本人及び組合の意思に反して従業員の身分を失つたものは組合員の資格を失わない旨を規定した趣旨であるから被申請人等が解雇されたとしても組合及び被申請人等がその解雇を承認しない限り被申請人等は依然組合員たる資格を失わないというべきである。仮りに右条文の趣旨が申請人等主張のように解さるべきものであるとしても、被申請人等はいずれも解雇の辞令の受領を拒否し且つその通告につき何等特別の公示方法も行われていないから右解雇の意思表示は未だ効力を発生していない。仮りに右通告の効力があるとしても右解雇は組合を弱体化する為めに被申請人等が組合役員であることを理由として行われたものであるから、国家公務員法第九十八条第三項に牴触し無効である。従つて被申請人等は依然組合員であり、前記第八囘全国大会は中央執行委員長たる被申請人山口が招集したものであるから、適法に成立したものであつてその決議には何等欠くるところはない。と述べた。
(疎明省略)
四、理 由
(一) 全逓労組の法人格の喪失
全逓労組は旧労働組合法第十六条の規定に基き法人格を取得した労働組合であつたが、昭和二十四年九月一日までに人事院に登録しなかつたため人事院規則一四―二7項により同日以後法人たる地位を失つたことについては当事者間に争がない。
(二) 全逓労組の法人格の喪失の意義
右法人格の喪失が全逓労組の性格上にいかなる変化をもたらすかの点について次に考察する。一体労働組合乃至職員組合は法人格の有無にかかわりなく一の社団として組合活動の主体たることについては何人にも疑なく、この組合活動の主体性にこそ組合存立の第一義が認められるのであつて、その財産的活動の部面は組合活動に附随する従属的な一面に過ぎない。かく考えるとき、組合の法人格の取得ということは、単に財産法上における権利主体の面を明確ならしめる意味をもつだけであつて、組合の本質的な要請に基くものではないといい得る。従つて、組合が法人格を失うも組合活動の主体性を失わない限り、組合の存続には消長なきものといわなければならない。ただこの場合法人格の消滅により少くとも財産関係の面においては権利主体たる地位を喪失したのであるから、組合財産の清算を遂げ、権利義務の帰属を対外的に明確ならしめる必要があるのではないかとの疑問も生ずるが、実質的な権利主体の存する限り、敢て清算をなす必要はないというべきであろう。なんとなれば、法人格なき社団においては、その代表者が社団との信託関係において対外関係に立つとはいえ、あくまでも社団自体が実質的には権利義務の主体たるものであつて、しかもこれらの社団は訴訟当事者適格を有する点に鑑みれば、組合の実体的同一性の認められる限り、法人格ある組合より法人格なき組合へ財産的権利義務の移行を認めても、さして組合債権者その他の第三者の利益を害するものとは考えられないからである。このことは逆に法人格なき社団が法人格を取得した場合に、なんら特別の行為を要せず、前者の権利義務がそのまま後者に引継がれるものと一般に解せられるのとその軌を異にすべきではないともいい得るであろう。殊に組合活動は財産的活動を目的とするものでないとはいえ、組合活動には組合財産の使用処分を伴うのが常であるから、たとい一時的にもせよ組合財産の使用処分を禁ずることはそれ自体組合活動を制肘するものとして許されないものと解すべきである。
次に本件の場合を人事院の登録取消のあつた場合と同様に取扱うべきか否かの点について考えてみる。国家公務員法第九十八条第七項によれば、法人たる組合その他の職員団体には民法及び非訟事件手続法中民法第三十四条所定の非営利法人に関する規定がすべて準用せられ、また人事院規則一四―二6項は「法人となろうとする職員団体が登録されたときは民法第三十四条に規定する許可を得たものとする」と規定し、同規則一四―三6項は「登録が取り消されたときはその職員団体の法人設立の許可の取消しがあつたものとする」と規定しているから、一旦登録を受けて法人となつた組合その他の職員団体はその登録を取消されたときは民法第六十八条第四号の準用により当然解散となり清算に入るものと解するの外はないが、本件の場合は右と異り、登録しなかつたことに基く法人格の喪失であり、この場合の効果については人事院規則中にもなんらの規定を見出し得ないから、これを右登録取消の場合と同一に論ずるわけにはいかない。
以上論断したるところを要約すれば、全逓労組は昭和二十四年九月一日までに人事院に登録しなかつたため同日以後法人格を失い、これとともに国家公務員法第九十八条第二項所定の交渉権をもち得ない組合になつたとはいえ、依然その職員団体たるの性格には変更なく、また権利能力なき社団として引続き組合財産の主体たるものと解すべきである。
(三) 全逓労組と全逓従組との関係
各成立に争のない乙第二、三号証、同第六号証、同第十乃至十三号証、同第二十六号証、同第二十八、二十九号証、当裁判所において各真正に成立したものと認める乙第二十四号証、同第三十一、三十二号証、甲第八号証の各記載及び被申請人浜武司本人訊問の結果並びに証人久保等の証言を綜合すれば一応次の事実が疏明せられる。すなわち全逓労組は国鉄労働組合と並んで終戦後におけるわが国労働組合の中で最も活溌な運動を展開してきたが、昭和二十三年八月下旬頃、組合内部に全逓再建同盟と称する反共派グループが結成せられ、従来の全逓労組の運営その他運動方針に対し批判的態度を採つてきたところ、昭和二十四年八月いわゆる定員法に基く行政整理により被申請人等を含む中央執行委員の大半が解雇せられるや、右再建同盟派はこれを契機としてにわかに勢力を得、強力に反対派と相拮抗するに至り、同年九月十三日より上諏訪において開かれた第九囘中央委員会においては紛争の末、百八十余名の中央委員中右再建同盟派に属する七十余名が退場し、爾来再建同盟派は正統派全逓信労働組合と称し、本部を東京都台東区浅草郵便局内に置き法内組合の組織を目指して、下部組織に対し反対派と絶縁して自己の傘下に集るように働きかけてきたが、遂に同年十月二十二日より四日間に亘り、熱海市において第八囘全国大会の名称の下に大会を開き、全逓信労働組合の名称を全逓信従業員組合と改称する旨の決議をなし、中央執行委員長以下各役員を選任し、従来の全逓労組とは異る運動方針の下に全然別個の行動を取り、同年十一月十二日には人事院に対し法内組合としての登録を了し、所属組合員より組合費を徴収し、また昭和二十五年一月以降用紙割当委員会より用紙の割当を受けて、機関紙「正統派全逓新聞」を発行していること、下部組織においても、それぞれ全逓労組及び全逓従組の各支部として所属分野を分明ならしめているものが多いこと及び申請人等は終始再建同盟派と行動を共にし来り、現に全逓従組の所属組合員であつて、前記熱海大会においてはその役員に選任されたものであることが認められる。
以上認定の事実に照せば全逓従組は全逓労組とは全く別個の団体を形成するに至つたものと解するのが相当であり、しかも両組合が右認定のように相対立抗争する団体である以上同時に両組合の組合員たる資格を兼ねることは不可能であるから、申請人等一派の者は前記熱海大会における全逓従組の結成を契機として全逓労組よりの脱退を表明したものと解するのが至当である。申請人等は、被申請人等が解雇され組合員たる資格を失つたことにより全逓労組は適法な全国大会招集権者を欠くに至つた結果、申請人等は将来適法な全国大会において追認を受ける意図の下に非常措置として熱海大会の開催、人事院への登録を行つたものであり、終始全逓労組の組合員として行動したものであつて決して別個の組合を結成したものではないと抗争するけれども、別個の組合なりや否やは社会的実在として別個と観念し得るや否やの観点から決せらるべきものであつて、当事者の主観的意図はその決定要素となるものではないのみならず、申請人等があくまでも全逓労組の組合員たる地位を保有することを欲するならば、まず規約の不備を難ずる前に組合全体として自主的になんらかの方法により統一全国大会開催の途を見出し、しかる上においてその態度を決定するよう努力を惜むべきではなく、またいかなる方法を以てしても到底組合の自主的解決を望み得ない場合にはそれこそ非常措置として裁判による権利関係の確定を待つべきであるに拘らず、かかる方途に出でず自己の見解を固執して別行動に出たことは早計のそしりを免れないのみでなく、申請人等の主観的意図いかんをも疑わしめるものである。
(四) 結語
敍上説示の如く全逓従組は全逓労組から分裂した全く別個の組合であり、従つて申請人等は全逓従組の所属組合員として全逓労組の役員たる被申請人等の資格を争うべきなんらの法律上の利益を有しないことが明らかであるから、申請人等の本件仮処分申請は爾余の争点の判断を俟つまでもなく、既にこの点において失当としてこれを却下すべきものである。(もつとも組合分裂の場合に組合財産の帰属をいかにすべきかは一考の余地ある問題ではあるが、組合が社団たる以上現行法の建前の下においては当然には脱退者に組合財産の分割請求権はないものと解するの外はない。)
よつて訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九十五条、第八十九条、第九十三条第一項但書を適用して主文の通り判決する。
(裁判官 古山広 田島重徳 室伏壮一郎)