東京地方裁判所 昭和24年(レ)90号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔事実と判断〕本件事案は複雑であるが標題に関し必要な限りで要約すると、被控訴人は従来本件土地に賃借権を有し建物を所有していたが、その家屋は戦災で焼失した。その後地主が死亡して二子が共同相続し、本件士地は右二子の共有に帰したが、二子とも未成年者でかつ親権者が欠けていたに拘らず、一子についてのみ後見人が選任されたにすぎなかつた(他の一子は養子であつたが、その実母が右の後見人に就任したので、二子の法定代理人があるものと当事者は考えていたようである)。そして被控訴人は昭和二三年八月三日右後見人に対し本件土地の一部について臨時処理法二条の規定による賃借の申出をし、更に同年九月三日右後見人との間で右申出にかかる部分の土地について新たに賃貸借契約を結んだ。現に控訴人が本件土地を占有しているので、被控訴人は右賃借権保全のため、土地所有権者に代位して、控訴人に対し家屋収去土地明渡を求めたのが本件訴訟である。
判決は、右賃借申出の効力について、次のように判示している。即ち「おもうに、土地共有者のうち一人が処理法二条による賃借権設定の申出を受領する行為は、その行為自体は相手方ある単独行為にすぎないが、右申出を受けた日から三週間以内に拒絶の意思を表示しないときは、その期間満了のときその申出を承諾したものとみなされ、法律上当然に賃貸借契約が成立し、したがつて共有物に変更を生ずるのであり、また処理法二条三項の、土地所有者が建物所有の目的で自ら使用することを必要とする場合その他正当な事由があるのであるか否かについては、共有者各人毎に考慮さるべき事柄であることから考えると、右賃借権設定の申出は土地共有者全員に対してなすべきであつて、共有者の一人だけに対してした場合、右申出は無効であると解するのが相当である。」