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東京地方裁判所 昭和24年(ワ)2791号 判決

原告 藤岡茂太郎 外一名

被告 日本海事工業株式会社

一、主  文

原告等の請求中昭和二十四年五月十六日の被告会社定時株主総会における右総会を同年六月八日午後一時に延期する旨の決議の取消を求める部分を却下する。

原告等のその余の請求を棄却する。

訴訟費用は原告等の負担とする。

二、事  実

原告等訴訟代理人は、「昭和二十四年五月十六日被告会社の定時株主総会においてなされた右総会を同年六月八日午後一時に延期する旨の決議は、これを取消す。同年六月八日被告会社の定時株主総会においてなされた営業報告、財産目録、貸借対照表、損益計算書及び損失金処分案を承認可決する旨の決議並びに取締役兼代表取締役に清水省三を取締役に吉川等及び田中末男を、監査役に清水修吉を各選任する旨の決議はこれを取り消す。訴訟費用は、被告の負担とする。」旨の判決を求め、その請求の原因として、

「被告会社は、海難救助沈没船引揚及び解体等を目的として昭和十八年六月二十五日設立せられた資本金十九万五千円、一株の金額五十円、半額拂込の株式会社であり、原告藤岡は、被告会社の九百五十株の、原告田村は同じく五百株の株主である。

被告会社定時株主総会は、昭和二十四年五月十六日午後一時被告会社の肩書所在地で開かれ、この総会で、総会の会日を同年六月八日午後一時に延期する旨の決議がなされた。しかして、右会日延期の決議に基き同年六月八日午後一時右の場所で開かれた被告会社の定時株主総会で、被告会社第六期営業報告、財産目録、貸借対照表、損益計算書及び損失金処分案を承認可決する旨の決議及び取締役兼代表取締役に清水省三を、取締役に吉川等、田中末男を、監査役に清水修吉を各選任する旨の決議がなされた。しかしながら、右五月十六日の総会招集通知は、同月三日に発せられたもので、右会日との間に法定の期間を存しない違法の通知である。かりに右の通知が同月二日に発せられたものとしても、同じく違法である。從つて右五月十六日の総会における会日延期の決議は取り消さるべきであり、またこの延期の決議に基いて開かれた前記六月八日の総会の決議もまた、当然その総会招集手続に瑕疵あるものとして取り消さるべきである。そこで請求の趣旨記載の判決を求めるため、本訴に及ぶ。」と陳述し、

被告主張の事実中被告会社が昭和二十四年五月十七日全株主に対し総会の会日が同年六月八日午後一時に延期せられた旨の通知を発したことは認めると述べた。<立証省略>

被告訴訟代理人は、「原告等の請求を棄却する。」との判決を求め、

「原告等主張の事実中、被告会社が原告等主張通りの株式会社であり、原告等がその主張通りの株主であること、昭和二十四年五月十六日午後一時及び同年六月八日午後一時に、いずれも、被告会社定時株主総会が開かれ、それぞれ原告等主張のような総会の決議がなされたことは、これを認めるが、その余の事実は否認する。右五月十六日の総会の招集通知は、同月二日に発せられたものである。かりに右招集通知の発せられた日と右五月十六日の会日との間に法定の期間がないとしても、右五月十六日の総会において、会日延期の決議がなされたので、被告会社は翌十七日、右の延期せられた新会日である同年六月八日午後一時の期日の通知を改めて全株主に発したから、この通知は前記の五月二日に発した通知と相俟つて、右六月八日の総会についての適法な招集通知となるものというべきであるから、右六月八日の総会は、何等瑕疵のないものである。」と述べた。<立証省略>

三、理  由

被告会社が原告等主張通りの株式会社であり、原告等がいずれもその主張のような株主であること、昭和二十四年五月十六日午後一時に開かれた被告会社定時株主総会で、総会の会日を同年六月八日午後一時に延期する旨の決議がなされ、この決議に基いて右の延期せられた会日に開かれた定時株主総会で、原告等主張のような内容の取締役監査役選任及びその他に対する決議がなされたことは、当事者間に爭いのないところである。

そこで先づ右五月十六日の総会の決議の取消を求める原告等の請求について考えるに、商法第二百四十八條第一項によれば、株主総会決議取消の訴は、決議の日から一ケ月内に提起せられることを要するに拘らず、本訴において原告が追加の申立として準備書面を以て右取消の申立をしたのは昭和二十五年四月二十一日であることが本件記録上明らかであるから、本訴請求中右決議の取消を求める部分は訴提起に必要な期間の遵守を欠き、不適法として、これを却下すべきである。

次に、原告等は右五月十六日の総会招集通知は、同月三日に発せられたもので、右会日との間に法定の期間を欠く違法の通知であると主張し、被告は右通知は同月二日に発せられたものであるとして爭うけれども、かりに右通知が被告主張の日に発せられたとしても、同月二日は同月十六日の会日より十三日前であつて右両日の間隔は、なお法定の二週間に満たないから、右招集手続は、法令に違反するものといわねばならない。しかして、右六月八日の総会は、右五月十六日の総会の決議に基いて開かれた、いわゆる延会であり、右五月十六日の総会と同一の総会と認むべきものであるから、右招集手続の瑕疵は当然右六月八日の総会における前記決議の取消原因となりうべきものというべきである。しかしながら、被告会社が同年五月十七日、全株主に対し右五月十六日の総会の決議により、同総会の会日が同年六月八日午後一時に延期せられた旨の通知を発したことは、当事者間に爭いのないところであつて、この通知はさきに全株主に対し通知した右五月十六日の会日を変更し、六月八日午後一時とする旨の通知と認められないことはなく、しかも後の通知の発せられた右五月十七日と右六月八日の総会の会日との間には、法定の二週間の期間があるのであるから、後の通知は前の通知と相俟つて、右六月八日の総会についての適法な招集通知となるものというべきである。してみると、右六月八日の総会は何等その招集手続に瑕疵のないものであるから、その手続が違法であることを原因として右総会の決議の取消を求める原告の本訴請求は理由がなく、失当として棄却すべきである。

そこで、訴訟費用の負担について、民事訴訟法第八十九條及び第九十三條第一項本文を適用して主文の通り判決する。

(裁判官 小川善吉 中田秀慧 村上悦雄)

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