東京地方裁判所 昭和24年(ワ)3744号 判決
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(事實と判斷)
賃借人が個人企業を会社組織による企業に変更した場合、これを以て転貸と目すべきかどうかは問題であるが、本件判決はこの問題を消極に解し、その理由として、「個人企業が会社組織による企業に変つても実質的に建物の使用状態が変らなければ、賃貸人と賃借人間の信頼関係が破壞されたとは言い得ず、従つて会社が建物を使用しても独立の占有を取得したことにはならない」と述べている。
すなわち、
「(×××の証拠)を綜合すると、被告Aは始め個人として本件建物に於て印刷用纎維資材その他の販売業を営み、併せて日本印刷文化協会の荷扱所としての業務に携つて来たものであるが、昭和二三年五月中個人よりも法人組織による経営が税金の負担に軽減を来すことを知り親戚知人の氏名を借りて株主とし一応形式の上では株式会社B商会を設立し、その代表取締役となつたが、自らその一切の実権を掌握し会社の営業内容もまた本件建物の使用状態も、A個人経営当時と何等変化のなかつたことが認められる。而してかかる会社といへども法律上に於ては明に個人とは別個独立の人格者ではあるけれども、経済上から見れば個人企業と選ぶところなく、とくに別個のものとは考えないのが一般社会通念であろう。抑々民法第六一二条は賃貸借が個人的要求に基き、賃貸人と賃借人との信頼関係を維持する為設けられた規定であり、本件の樣に建物の使用状態その他に於ても何等異ることのない場合これが為この信頼関係を破るものとは考えられないから、報告会社は被告Aを離れて独立の占有者とは言えず、これをもつて被告Aから被告会社に転貸が為されたものと解することは出來まい。」