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東京地方裁判所 昭和25年(ヨ)2261号 決定

申請人 横山健泰

被申請人 株式会社大阪屋

一、保証 無保証

二、主  文

被申請人が昭和二十五年六月十六日申請人に対してなした解雇の意思表示は、その効力を停止する。

三、理  由

当裁判所の判断の要旨は、次のとおりである。

一  被申請人は、書籍、雑誌の販売取次を業とする会社であり、申請人は昭和二十五年一月十六日右會社に臨時雇として雇入れられ、同年四月十六日本雇となり、運輸係(後に運輸課)に勤務していたが、同年六月十六日被申請人会社は、申請人を解雇する旨の意思表示をなした。

二  被申請人の主張する解雇理由は、申請人に遅刻が多く、作業能率が低位であつて、他の従業員との協力一致を阻害するという点にある。

三  しかしながら、当裁判所の一応認定した本件解雇の決定的な原因は、次のとおりである。

(一)  申請人は、もと全日本金属労働組合に書記として勤務していたが、離職したので、その姉の夫藤井正敏の紹介で被申請人会社に入社した。その際申請人は、藤井から、被申請人会社の事業が軌道に乘るまではあまり組合活動をしないように注意をうけた。

(二)  しかるに、被申請人会社には、労働組合が未だ結成されておらなかつたので、従業員の保護に欠けるところがあると考えた申請人は、被申請人会社の従業員篠宮、佐藤、深山、鷲見等と協議して労働組合結成の準備として、全日本印刷出版労働組合千代田支部、同日配分会等と連絡をとりながら、組合結成のビラの撒布などを行つた。

(三)  ところが、同年六月十四日申請人は、前記藤井正敏から、右組合結成運動のことについて注意をうけ、「組合結成の準備活動をやめるか、会社を辞めるか、いずれかにせよ。」と勧告されたが、これを拒否したところ、その翌々日、前記のように、本件解雇が行われた。而して、右勧告が、被申請人会社役員の意図に基くものであることは、これを認めるに難くない。

(四)  すなわち、本件解雇の決定的な原因は、申請人が前記のように労働組合結成のための準備活動をなしたことに在る。

四  従つてたとい被申請人会社において、申請人の遅刻その他の責を併せ問う意図があつたとしても、それは本件解雇が不当労働行為たることを妨げるものではない。

五  解雇が無効であるにもかかわらず、被解雇者として扱われることは、労働者にとつて囘復すべからざる損害であるから、主文の通り決定するしだいである。

(裁判官 柳川真佐夫 中島一郎 高島良一)

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