大判例

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東京地方裁判所 昭和25年(ワ)3000号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

(事實と判斷)

原告(賃貸人)より被告(賃借人)に対する家屋明渡請求訴訟において、原告は被告との賃貸借は一時使用の目的のものであつたと主張する。次に掲げる本件判決は、賃貸借が一時使用のためになされたかどうかを判定する一基準を示したものとして、注目すべきものがある。

「借家法第八条に所謂一時的使用のための賃貸借とは借家人が他に新築中の家屋が竣工するまで一時借用するとか、或は出張、療治等の理由で相当長期に滯在を余儀なくされたために借りるとか一時借用することの理由が專ら借家人の側の事情に存する場合を普通とし其の理由が賃貸人に於て之を自己の用途に供する等專ら賃貸人の側の事情に存する場合には其の用途に供する時期と其の実行の見込が客観的にも明白に看取せられ且つ充分に其のことを賃借人に諒知徹底せしめた場合に限られるものと解するを相当とするところ、本件の場合に於ては×××の証言等を綜合すれば被告会社は昭和一五年四月より本件建物に於て服地類販売の業を営んでいたが、企業整備のため一時これを休業し戦爭の激化するに及んで一応従來の賃貸借契約を合意解除したものの、終戦後は再び旧場所に復し差当つては雑貨類の販売に従事して地歩を固めやがて自由となるべき服地類の販売に備えることを企図して、原告に旧建物借用のことを懇望してその快諾を得、期間の定めなく再び賃借したものとして之に添う設備をなして開店以て今日に至つたものであることが認められ、其の間被告側の事情には何等本件賃借建物部分を一時の使用に限らなければならない事情と認められるものがなく、更に又原告側の事情にしても×××の証言によれば当時は空爆直後の荒廃と混乱とから將來の見通しもつかず原告会社としても本件建物を従前通り貸室にするか又は自己の用途に使用するか全然見当がつかず、ただ漠然と將來自分の方で使うかも知れないがその時は返して貰うと言う意味を述べたに過ぎないもので、近い將來之を自己に於て使用する確定的な意図ないし見通しもなかつたことが認められるから、結局本件賃貸借契約は借家法第八条に所謂一時的使用の為の賃貸借には該当せず、期間の定めのない賃貸借と解するを相当としよう」

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