東京地方裁判所 昭和25年(ワ)3134号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
(事實と判斷)
原告(罹災建物が滅失した當時におけるその建物の借主)は被告(右建物の滅失後その敷地に最初に建物を築造したもの)に対し罹災都市借地借家臨時処理法第一四条に基き賃借の申出をしたが、被告はこれを拒絶した。これに関し、「右建物(建坪一一坪二合五勺の木造木羽葺平家)には被告の実兄が居住し、被告は居住せず、他面原告は建坪四坪余の木造バラックに原告夫婦と子供一人で居住している。従つて被告の右拒絶の意思表示は、正当の理由を欠き、無効である」との原告の主張に対して、判決は次の如き理由で、これを排斥している。
「元来、罹災都市借地借家臨時処理法第一四条の規定は、貸家として建築される家屋を予想して規定されたものであり、その拡張解釈は愼重を要するところであるから、前段認定のように相当の事情によつて居宅を必要とする実兄のために建築するものであり(原告の實兄が本件家屋を必要とするというのは、同人は終戰後中支より復員し、郷里の新潟縣に歸つていたが、新潟縣には適當な職業もないので東京都内に居宅を建築し、同都で就職しようとして本件家屋に居住しているという事情を言うのである、筆者註)、その必要のために実兄は建築の完成前にも拘らず、不便を忍んで寢泊をしているというような場合には、その建築主は前記法条によるその家屋の賃借申出を正当に拒絶し得るものというべ(きである。)」