東京地方裁判所 昭和25年(ワ)5489号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔事実〕原告は原告被告等間の本件各家屋賃貸借契約は建物敷地が区劃整理予定地であることを相互に承認し、その期限を区劃整理による家屋移転工事着手前十五日前とするという約束で賃貸したところ、区劃整理実施によつて期限が到来したという理由で被告等に対し各家屋の明渡を求めた。被告等は期限の定めのない賃貸借契約であると主張して借家法に基く抗弁を提出した。原告は前記のように本件契約は敷地の区劃整理の実施までの期限で賃貸したものであるから借家法に所謂一時使用の賃貸借であるから被告等の抗弁は失当であると抗争した。(他の争点省略)
〔判断〕原告勝訴、判決は証拠によつて本件家屋が区劃整理による家屋移転工事実施前十五日という期限で賃貸せられた事実を認定した上、借家法に所謂一時使用の賃貸借に該当すると判示し被告の抗弁を排斥した。曰く。
「……によれば、移築前の本件各家屋敷地は早くから区劃整理の指定地として告示せられ、その換地先までも指定せられてをつたが、区劃整理実施の時期が未定であつたため、原告は区劃整理実施の時まで土地を利用する考えで、整理実施の際は撤去する条件で整理事務所の黙認の下に撤去に容易なバラックを建築し被告等に対し、各家屋の当時の敷地が区劃整地予定地となつている事実を告げ、各家屋の賃貸借契約の期限は敷地の区劃整理のための家屋移転工事実施前十五日と定めて賃貸したものであるという事実を認めることができる。……中略……然り而して、一時使用の賃貸借であるためには単に合意期間そのものが一時的短期間である丈では足らず、そのように定めるのが相当と見られるだけの理由を必要とするところ、区劃整理になることが確定された土地と、区劃整理によつて引当られる換地とでは通常その価値に隔段の差が生ずるので、区劃整理は土地利用の一転機となるものであり、又区劃整理が近い将来に行はれることを当事者が知悉した上で、区劃整理までの約定でなされた契約は、短期間に到来すべきことの確実な期限が相当の理由で定められた場合というべきであり、従つてかような事情の存することが明白な本件各家屋の賃貸借契約も亦一時使用の賃貸借として借家法の適用を受けないものである。……以下略」