東京地方裁判所 昭和26年(ワ)3434号 判決
原告 美川トク
被告 田崎昇
一、主 文
被告は、原告に対し、東京都大田区田園調布一丁目二十四番地ノ一所在家屋番号同町二二六番木造瓦葺二階家一棟建坪三十六坪二合四勺外二階十一坪七合の一階の内玄関脇三畳の室一室を除いた残の一階の部分全部を明渡すべし。
被告は原告に対し昭和二十五年十二月一日から昭和二十六年六月七日まで一カ月金二千五十八円の割合による金員及び昭和二十六年六月八日から右明渡ずみに至るまで一カ月金五千円の割合による金員を支払うべし。
原告のその余の請求は、棄却する。
訴訟費用は、被告の負担とする。
この判決は、原告勝訴の部分に限り、仮に執行することができる。
二、事 実
原告訴訟代理人は、主文第一項同旨及び被告は原告に対し昭和二十五年十二月一日から主文第一項記載の家屋の明渡ずみに至るまで一カ月金五千円の割合による金員を支払うべし。訴訟費用は被告の負担とするとの判決並びに仮執行の宣言を求め、その請求原因として、次のように陳述した。
(一) 昭和十九年八月十四日原告は被告に対し、原告の長男美川浩也、原告の二男美川淳而及び原告の長女馬淵漾子の共有(昭和二十六年六月十三日漾子は共有持分を原告に譲渡したので、同日以後は浩也、淳而及び原告の共有。)の、主文第一項記載の家屋(以下本件家屋という。)全部を、期間の定めなく、賃料一カ月三百五十円、毎月二十五日支払の約定で、賃貸し、被告はこれに居住したが、昭和二十二年九月一日以後昭和二十五年三月末日以前の間に三回に亘り順次、本件家屋の内二階全部及び一階の玄関脇の三畳の間については、賃貸借を合意解除して、被告からその返還を受け、自らこれに居住し、その他の部分を引続き賃貸していた。
(二) 本件家屋(但し、被告使用部分)の賃料は、当事者の合意によつて、数回増額され、昭和二十四年六月一日から一ケ月二千八百円になつた。
(三) 更に、昭和二十五年八月一日から当事者の合意によつて本件家屋(但し、被告使用部分)の賃料を一カ月五千円に改めたのであるが、被告は昭和二十五年十二月一日以後の賃料の支払をしない。
(四) 原告は昭和二十六年六月四日被告に対し、昭和二十五年十二月一日から昭和二十六年五月末日までの延滞賃料のうち一万円を三日以内に支払われたい旨の催告及び、右期間内にその支払がない場合には、これを条件として、本件家屋(但し、被告使用部分)の賃貸借契約を解除する旨の意思表示を発し、右催告及び意思表示は即日被告に到達した。
(五) 被告は右期間内に全然支払をしなかつた。
(六) それ故、本件家屋(但し、被告使用部分)の賃貸借契約は昭和二十六年六月七日の経過とともに解除された。
(七) 被告はその後も本件家屋の内被告使用部分を原告に返還しない。
(八) よつて、原告は、本訴において、被告に対し、本件家屋の内被告使用部分の明渡並びに昭和二十五年十二月一日から昭和二十六年六月七日まで一カ月五千円の割合による賃料及び昭和二十六年六月八日から右明渡ずみに至るまで同割合による右明渡遅滞による損害金の支払を求める。
(九) 仮に、右賃貸借契約解除の主張が理由がない場合には、原告は、予備的に、次の請求をする。
(一〇) 原告は被告に対し昭和二十六年六月四日本件家屋(但し、被告使用部分)の賃貸借解約申入の意思表示を発し、その意思表示は同日被告に到達した。
(一一) 右解約申入は正当の事由ある場合になされたものである。即ち、
(1) 原告は、共立女子大学家政学部講師をして、月収一万一千円を得ているけれども、他に収入及び資産なく、借財は多く、原告、長男浩也及び二男淳而の生活費並びに浩也(当時東京工業大学二年在学)及び淳而(当時東京都立新宿高等学校三年在学)の教育費を賄うには収入は遙かに足りず、友人の援助及び借財によつて、辛うじてその不足を補つて来たのであるけれども、もはや、これ以上援助及び借財を得る見込はなく、且、原告は老令であるから、今後長くは、他出の勤労に堪えることができない故、被告から本件家屋の内被告使用部分の返還を受けて、本件家屋で、自ら旅館又は下宿業を経営して、収入を増すようにしなければならない。
(2) 被告は、家族少く、その経営する事業は繁昌しており、本件家屋から移転することは容易である。
(3) 被告は、本件家屋を賃借して以来、賃料支払について誠意がなく、その支払期に支払つたことは少く、延滞を常とし、今後もその確実な支払を期待することが困難であるが、毎月の生活費及び教育費の一部を被告のその月分の賃料に頼る原告にとつて、このような被告の態度は、精神上及び物質上の打撃を与えることが甚しく、堪え得ない所である。
右諸事情は賃貸借解約申入の正当事由に当り、原告の解約申入後六カ月目に当る昭和二十六年十二月四日の経過とともに、本件家屋(但し、被告使用部分)の賃貸借は終了したから、原告は被告に対し本件家屋の内被告使用部分の明渡並びに昭和二十五年十二月一日から昭和二十六年十二月四日まで一カ月五千円の割合による賃料及び昭和二十六年十二月五日から右明渡ずみに至るまで同割合による右明渡遅滞による損害金の支払を求める。
被告訴訟代理人は、原告の請求を棄却するとの判決を求め、答弁として、次のように陳述した。
(イ) 原告主張の(一)、(二)、(四)、(五)、(七)及び(一〇)の事実は、認める。
(ロ) 同(三)、(六)及び(二)の事実は、否認する。
(ハ) 本件家屋の内被告使用部分以外は原告において使用しており、本件家屋のガス、水道及び電気の料金は、原被告間においては、半額ずつ負担する約定になつていた。
(ニ) 昭和二十四年十一月二十八日原被告は、被告が本件家屋のガス、水道及び電気の料金をガス会社、水道局及び電気会社に支払つた場合には、その後最初に弁済期が来る本件家屋(但し、被告使用部分)の賃料は、被告が支払つた金額の半額だけ、当然減額されることを約定した。
(ホ) 昭和二十五年八月一日現在における本件家屋全部の賃料の地代家賃統制令に基く統制最高額は一カ月二千七百四十五円であるが、本件家屋全部のいわゆる公定賃料額が一カ月二千七百四十五円である場合、本件家屋の内原告使用部分のいわゆる公定賃料額は一カ月千円であるべきであるから、昭和二十五年八月一日以後は、本件家屋の内被告使用部分の賃料は、一カ月について約定の二千八百円から千円を減じた千八百円となつたのである。
(ヘ) 被告は、昭和二十五年四月一日から昭和二十六年五月末日までの間に、
(1) 原告に対し本件家屋の賃料として合計二万八千六百円を支払い、
(2) 本件家屋のガス、水道及び電気の料金として、ガス会社、水道局及び電気会社に合計一万八千三百十三円を支払つたから、その半額九千百五十六円五十銭だけ、前記(ニ)の特約によつて、右期間の本件家屋の賃料は、当然減額される。
(ト) 右期間の本件家屋(但し、被告使用部分)の賃料は、昭和二十五年四月一日から同年七月末日まで一カ月二千八百円の割合により合計一万一千二百円、同年八月一日から昭和二十五年五月末日まで一カ月千八百円の割合により合計一万八千円、総計二万九千二百円であるが、前記(ヘ)の(2) 記載の九千百五十六円五十銭が減額されるから、これを差引き、二万四十三円五十銭である。
(チ) ところが前記(ヘ)(1) 記載のように、被告は右期間の本件賃料として原告に対し二万八千六百円を支払つているから、差引き八千五百五十六円五十銭の過払であつて、原告が被告に対し本件家屋(但し、被告使用部分)の賃料支払の催告をした昭和二十六年六月四日当時、被告は原告に対し全然賃料の延滞はなく、原告の賃貸借契約解除の意思表示は効力を生じなかつたものである。
よつて原告の本訴請求は失当である。
原告訴訟代理人は、被告の答弁に対し、次のように陳述した。
被告主張の(ハ)の事実は、認める。
同(ニ)の事実は、否認する。
同(ホ)の事実中、昭和二十五年八月一日以後の本件家屋(但し、被告使用部分)の賃料が千八百円であるとの被告の主張は、理由がない。
昭和二十五年四月一日から同年七月末日までの本件家屋(但し、被告使用部分)の賃料が、一カ月二千八百円の割合で、合計一万一千二百円であることは認める。
同年八月一日から昭和二十六年五月末日までの右賃料が被告主張の金額であることは、否認する。右期間の賃料は、一カ月五千円の割合で、合計五万円である。
被告が原告に対し昭和二十五年四月一日から昭和二十六年五月末日までの賃料として二万八千六百円を支払つたことは、否認する。被告が原告に対し右期間内に支払つた金額は二万一千八百円である。即ち、被告は原告に対し、昭和二十五年八月十一日同年四月分賃料二千八百円及び同年五月分賃料内金二千二百円合計五千円、同年九月三日同年五月分賃料残額六百円、同年六月分賃料二千八百円及び同年七月分賃料内金千六百円合計五千円(同年七月分賃料残額千二百円は未払)、同年九月七日同年八月分賃料五千円の内金二千八百円(残額二千二百円は未払)を支払い、更にその後、同年九月分賃料五千円の内四千円(残額千円は未払)、同年十一月分の賃料五千円を支払つたのみである。なお、原告は、本件家屋の修繕を、修繕料の内四千円を被告が負担して、なすことを被告に約し、被告から右四千円を受領したが、それに相当する修繕をしなかつたから、被告に右四千円を返還すべき義務があつたので、その債務と、被告が原告に支払うべき昭和二十五年十月分の賃料五千円の内四千円(残額千円は未払)の債務とを、対当額において、相殺の意思表示を被告に対してなし、右債務を互に消滅せしめた。
被告が本件家屋のガス、水道及び電気の料金合計九千四百九十六円二十銭をガス会社等に支払つたことは、認める。しかし、原告は昭和二十五年九月七日、被告からその半額四千七百四十八円十銭を請求されて、被告にこれを支払つた。右金額を超過する本件家屋のガス、水道及び電気の料金を被告がガス会社等に支払つたことは知らない。
<立証省略>
三、理 由
原告主張の(一)の事実、即ち、本件家屋の所有関係、本件家屋の賃貸及び本件家屋の一部の、賃貸借合意解除による、返還等に関する事実は、当事者間に争がない。
成立に争がない乙第一号証並びに証人美川浩也の証言及び原被告各本人(原告本人は第一回)訊問の結果(いずれも一部)を綜合すれば、原告は昭和二十五年八月中被告に対し本件家屋(但し、被告居住部分)の賃料を同月分から一カ月八千円に増額する意思表示をしたけれども、被告はこれを承諾せず、被告が同年九月七日同年八月分の賃料として二千八百円を支払つた折、原告は、未だ賃料額が決まらないまま、これを暫定的に同年八月分の賃料の内金として、受領し、その後、被告が原告に対し同年九月分の賃料を支払つた折、原被告は、同年八月分までの賃料は一カ月二千八百円に据置き、さきに被告が原告に支払い、同月分の賃料の内金であると原告が主張していた二千八百円を同月分の賃料の全額とし、同年九月以後の賃料を一カ月四千円とすることに協定し、被告は原告に対し同年九月分の賃料として四千円を支払い、更にその後、原告は、さきに、本件家屋の修繕費の内被告が負担することになつた四千円を被告から受領してあつたけれども、それに相当する修繕をしなかつたので、被告に返還すべき右四千円の債務と、被告が原告に支払うべき同年十月分の賃料四千円の債務とを、対当額において、相殺の意思表示を被告に対してなし、なおその後、原被告は同年十一月分以後の賃料を一カ月五千円とすることに協定し、被告は原告に対し同月分の賃料として五千円を支払つたことを認めることができる。証人美川浩也の証言及び原被告各本人(原告本人は第一回)訊問の結果中右認定に反する部分は信用できなく、他に右認定を覆すことができる証拠はない。もつとも、乙第一号証の家賃領収証には、(一)「九月三日八月分家賃内金トシテ二千八百円」、(二)「八月分二千八百円也」及び(三)「十月分四千円也」の記載があるけれども、右認定のように、右(一)の記載は、原告が被告から暫定的に昭和二十五年八月分の賃料内金として二千八百円を受領した折の記載、右(二)の記載は、原被告が後に右二千八百円を同月分の賃料全額とした折の記載、右(三)の記載は、同年十月分の賃料については相殺がなされたのを、簡単に弁済があつたように記載したものと認められるから、右各記載は、右認定の妨となるものではなく、被告主張のように、被告が原告に対し、原告が認める以上の金額を本件家屋の賃料として支払つたことの証拠となるものでもない。
被告は、昭和二十五年八月一日現在の本件家屋全部の地代家賃統制令に基く統制最高賃料額は一カ月二千七百四十五円であると主張し、原告は、これを明らかに争わないから、これを自白したものとみなす。
地代家賃統制令においては、建物の一部の家賃については、都道府県知事の認可を受けるべきことを、その違反に対する罰則を定めて、貸主に対して強制し、その認可を受けて初めて、それが認可統制額となる旨規定している(同令第四条第二項、第六条、第十八条)。本件の場合、原告が本件家屋の内被告使用部分の賃料について東京都知事の認可を受けたことは、原告の主張及び立証しない所であるから、原告はその認可を受けなかつたものと推定される。しかし、同令が建物の一部の家賃についてそのように規定した理由は、住宅難に乗じて、建物の一部を、法外な権利金を取り、もしくは、極めて高い家賃で、新たに賃貸し、又は、既に賃貸している場合には、右のような権利金もしくは家賃を借主に要求することを恐れたからであると認められるのであるが、建物の貸主が、住宅に困つて、建物全部の借主から建物の一部を返還して貰う場合には、そのような心配がなく、且、そのような場合にまで、都道府県知事の認可を受けない故を以て、貸主に対して刑罰を科することは、貸主に対して甚しく苛酷に失するものであると考えられるから、そのような場合には、地代家賃統制令の右規定の適用がなく、同令第四条第二項に「建物の一部についての家賃」というのは、通常の建物の一部の賃貸借の場合の家賃について言つているのであつて、右のような場合までをも包含するものではないと解するのが相当である。
本件原告の場合、最初被告に対し本件家屋全部を賃貸していたのであるが、自らの住宅に困つて、その一部を被告から返還して貰つた為に、建物の一部の賃貸借を生じたものであることは、弁論の全趣旨から明白であるから、地代家賃統制令第四条第二項の適用を受けない場合である。このような場合、地代家賃統制令の統制を全然受けないとすることは不合理であるから、建物の全部の賃貸借が引続き継続していた場合の建物全部の統制最高賃料額を、貸主及び借主が建物を使用する比率によつて按分して、統制最高賃料額を定めるのが、地代家賃統制令の精神に合致するものと考えられる。本件家屋全部の延建坪は四十七坪九合四勺であり、その内被告使用部分は一階の内約三十四坪七合四勺であると推定され、且、その内小部分は原被告の共用であると推定される。被告使用部分の面積からいうと、本件家屋の床面積の四分の三よりも多少少いのであるが、被告が本件家屋の一階の内大部分を使用していることを考慮に入れるときは、被告の本件家屋使用の割合は、全体の四分の三と見るのが相当である。本件家屋全部が引続き賃貸されていた場合の昭和二十五年八月一日現在の統制最高賃料額が一カ月二千七百四十五円であることは、前示の通りであるから、その四分の三の一カ月二千五十八円(円未満切捨)が、本件家屋の内被告使用部分の昭和二十五年八月一日以後の統制最高賃料額である。
従つて、本件家屋の内被告使用部分の昭和二十五年八月一日から昭和二十六年五月末日までの賃料は、原被告間の合意にかかわらず、法律上は一カ月二千五十八円に制限され、これを超過する部分については、被告は債務を負担しないのであるけれども、既に被告が原告に支払つた右期間の賃料の内右金額を超過する部分については、家賃について地代家賃統制令に基く統制があることは殆んど常識となつているのであるから、反証がない本件においては、被告は、その債務がないことを知りながら、これを原告に支払つたものであると推定されるから、原告に対しその返還を請求することはできない。仮に、被告が、債務がないことを知らずに、これを支払い、その返還を請求することができるとしても、その返還を受けるべき金額が当然その後の本件家屋(但し、被告使用部分)の賃料の弁済に充当されるべき理由はない。
同様に、仮に、被告が原告に対し、本件家屋のガス、水道及び電気の料金の償還請求権を有していたとしても、その償還を受けるべき金額だけ、本件家屋(但し、被告使用部分)の賃料が当然減額されるという点についての被告本人訊問の結果は信用し難く、他にそのようなことを認めることができる証拠はないから、被告が償還請求権を有するために、当然本件家屋(但し、被告使用部分)の賃料の減額を生ずるものではない。
また、被告は、原告に対し原告が認めるよりも六千八百円だけ多く賃料を弁済した旨主張するけれども、これは、乙第一号証の内前記(一)乃至(三)の記載を誤読したことによるものと推定されるのであつて、右記載以外には、これを認めることができる証拠はなく、右記載がその証拠となり得ないことは前示の通りである。
それならば、被告が原告に対し昭和二十五年十二月一日以後の本件家屋(但し、被告使用部分)の賃料を支払つたことの証拠はない。
原告が被告に対し昭和二十六年六月四日原告主張の(四)の催告(昭和二十五年十二月一日から昭和二十六年五月末日までの賃料の内一万円についての催告)及び意思表示をしたことは、当事者間に争がない。右期間の本件家屋(但し、被告使用部分)の賃料は、前示のように、一カ月二千五十八円、全部で一万二千三百四十八円であるから、原告のなした右催告及び意思表示は適法であつて、被告が、その後三日間の指定期間内に原告に対し賃料の支払をしなかつたことは被告の認める所であるから、本件家屋の被告使用部分の賃貸借は、昭和二十六年六月七日の経過とともに、解除されたことになる。
それ故、被告は原告に対し、賃貸借終了に伴う義務として、本件家屋の内被告使用部分(玄関脇三畳間一室を除く一階全部)を明渡し、且、昭和二十五年十二月一日から昭和二十六年六月七日まで一カ月二千五十八円の割合による延滞賃料を支払い、なお、昭和二十六年六月八日から右明渡ずみに至るまで、右明渡義務の履行遅滞に基く損害を賠償すべき義務がある。その損害額は、原告は、賃貸借終了後は、本件家屋の内被告使用部分を、事務所、店舗、旅館等、地代家賃統制令の適用を受けない用途に、自ら使用し、又は、その用途に賃貸して、優に一カ月五千円を下らない利益を収め得るものと推定されるから、一カ月五千円の割合によるを相当と認める。よつて、他の争点に対する判断を省略し、原告の第一次の請求の内右範囲内を、正当として、認容し、その余は失当として、棄却し、訴訟費用の負担について民事訴訟法第九十二条但書を、仮執行の宣言について同法第百九十六条を適用し、主文の通り判決する。
(裁判官 望月録郎)