大判例

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東京地方裁判所 昭和27年(ワ)6083号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実〕原告は振出人被告、受取人訴外会社Xである額面百万円の約束手形一通をXから裏書により取得した。そこで被告に対し右手形金の支払を求める。右手形を被告自ら振出したものでないとしても訴外Aが被告の記名捺印を代理して振出したものであつて、仮にAに被告の手形振出行為を代理する権限がなかつたとしても、被告は病院新設を計画し、病院にあてる為国有建物の払下その改修工事の為にAに自己の印章をあずけ、右払下手続、工事等に関し広範囲の事務を委任していたのであつて、第三者たる原告としてはAに被告のために手形行為を代理する権限があると信ずべき正当な理由があつたのであるから被告はAの手形振出行為について責任がある、と主張する。

被告は、被告自ら本件手形を振出したことを否認し、Aに対して代理権を与えた旨表示したことはなく、またAに対して如何なる事項の代理権も与えたことはないから、Aの被告名義による手形行為については何等の責任を負うべき理由はない、と主張する。(爾の爭点省略)

〔判断〕原告勝訴。いわゆる表見代理に関する民法上の諸規定が手形行為に適用される場合にも、一般原則は手形の流通証券たる性質上、これと相応する変容を受けるのは当然であろう。手形行為において民法第一一〇条にいう第三者とは如何に解すべきか、判決はまず本件手形を被告名義で振出したAに原告主張事項につき或る範囲の代理権があり、また原告は手形取得当時Aが被告を代理して手形を振出す権限があつたことを認めたうえ上述の点につき次の如く判定している。

「ところで民法第百十条にいう第三者とは一般には表見代理人の直接の相手方を指称すると解せられるが、手形行為においては手形の流通証券たる性質に鑑み右の第三者には直接の相手方である受取人のみならず、受取人より裏書譲渡を受けた爾後の所持人も含まれると解するのが相当であるから本件において被告はAの手形振出行為について原告に対しても責任を負うものといわなければならない。」

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