大判例

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東京地方裁判所 昭和27年(ワ)7747号 判決

原告 池田清三郎

被告 日本低圧工業株式会社

一、主  文

原告の請求中招集手続の法律違反を原因とする部分を棄却し、決議の定足数不足を原因とする部分を却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

二、事  実

原告訴訟代理人は「被告会社が、昭和二十七年九月十六日、東京都新宿区新宿二丁目メイフラワー・ホテルにおいて開催した株主総会における(一)取締役高杉正を解任する。(二)土屋三郎を取締役に選任する旨の決議を取消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、その請求原因として、「

一、被告会社は発行済株式総数四千株の株式会社で、原告は被告会社の株式五百株を所有する株主である。

二、被告会社は、昭和二十七年九月十六日、東京都新宿区新宿二丁目メイフラワー・ホテルにおいて臨時株主総会を招集し、取締役高杉正を解任し、新に土屋三郎を取締役に選任する旨の決議をした。

三、被告会社は、右総会の招集通知を原告に対ししなかつた。従つて右総会の決議は取消さるべきものである。

四、仮りに、原告に対し、総会の招集通知があつたとしても、右総会の決議は、発行済株式総数四千株の過半数に達しない二千株を有する六名の株主が出席してしたものであるから、取締役高杉正を解任する決議は、定足数を欠き商法第二五七条第二項の規定に反することとなり、取消を免れない。

」と述べた。<立証省略>

被告は、原告の請求を棄却する旨の判決を求め、答弁として、「請求原因(一)、(二)の事実は認める。(三)の事実は否認する四の事実中、二千株を有する六名の株主が出席して決議のなされたことは認めるが、その余の事実は否認する。被告会社は、本件総会の通知を、原告に対し、昭和二十七年九月一日発したものであつて、総会における決議はその議決権の全数を以て可決されたものである。

」と述べた。<立証省略>

三、理  由

請求原因一、二の事実は、原被告間に争のないところである。

請求原因三の事実につき、判断するに、証人島先良雄の証言により成立を認め得る乙第一号証、並びに証人池谷大正の証言により成立を認め得る乙第二号証及び同証人等の証言並びに証人土屋三郎の証言を綜合すると、被告会社代表取締役池谷大正は本件総会の招集通知を発送することを総務担当の土屋三郎に命じたところ、土屋三郎は、被告会社に株主名簿が備はつておらず、原告の住所が不明だつたので、社員島先良雄をして、東京中央電話局につき調査をなさしめ、原告の住所桐生市今泉三百番地を確めることができたので、原告に対する招集通知を、昭和二十七年九月一、二日頃、右住所宛並びに、念の為東京都港区新橋三丁目二番地の会社宛(高杉正方)右一通発送したことを認めることができる。原告本人尋問の結果中右認定に副はない部分は措信し難く、他に右認定を覆すに足る証拠はない。従つて原告の本件総会の招集手続に瑕疵があるという主張は採用できない。

次ぎに請求原因四の事実について判断する。先ず職権によつて審査するに、原告主張の取締役解任決議の定足数を欠くとの主張は、本件総会の開催された昭和二十七年九月十六日から三月を経過した同年十二月十九日以後に当裁判所に提出された「請求の趣旨並に原因変更の申立」と題する書面によつてなされているものであることは、当裁判所に顕著の事実である(昭和二十八年四月三日午前十時の口頭弁論調書参照)ところ、商法第二百四十八条に規定する期間は、決議に対する特定の取消原因の主張に対するものと解さるから、右主張は、商法第二百四十八条第一項に規定する期間を遵守しなかつた理由により不適法として却下すべきである。

よつて、本訴請求中招集手続の違法を原因とする請求を理由なしとして棄却し、決議方法の違法を原因とする請求を不適法として却下することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条の規定を適用して主文の通り判決する。

(裁判官 小川善吉 畔上英治 岡田辰雄)

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